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直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)の原因・症状・治療などのまとめ

公開日: : 腸の病気

直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)【ちょくちょうりゅうちょくちょうちつへきしかんしょう】とは、直腸前壁のたるみにより、排便時にいきむことで膣後壁が前方にとび出したり、ふくらんだりする病気のことをいいます。
膣から直腸、膀胱、子宮などがとび出す病気である骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)の一種であり、お通じが悪くなる原因となる病気でもあるため、排便障害の一種として取り扱われることもあります。
また、別の呼び方としては直腸ポケットといわれることもあります。
直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)は中高年の女性に起こっている割合が高いのですが、20~80歳代とほぼあらゆる年齢の人に引き起こされています。
女性特有の病気と思われやすいのですが、割合的には非常に低いものの、男性にも患者はいます。
ただ、大きい直腸瘤に関しては、男性に起こることはありません。

原因

直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を引き起こす原因としては、直腸と膣の境目にある筋膜や結合組織により構成されている壁の弱体化が挙げられます。
この壁の弱体化が起こる原因としては、出産を繰り返したこと、難産を経験したことがまず挙げられます。
これにより膣のまわりの組織が損傷を負い、直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を引き起こすリスクが増大するのです。
また、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが加齢により減少することによっても、壁の弱体化を招きやすくなります。
女性ホルモンが減少すると骨盤の中にある内臓を支えている筋肉などが弱体化し、直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を引き起こしやすくなるのです。
それから、便を排泄する際に過度にいきむ癖があること、太っていることも骨盤にかかる圧力が増大するため、直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を招くリスクが大きくなってしまいます。

症状

直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を引き起こすと、便を排泄してもスッキリしない、便の排泄が上手くいかないといった排便障害になります。
便の排泄がスムーズにいかない場合、膣の内部に指を挿入し押さえると上手くいくことがありますが、これは直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を引き起こしている人によくある症状です。
また、膣がとび出してくるといった膣の不快症状が引き起こされるのもこの病気の特徴といえるでしょう。
そのほか、肛門部の痛みを感じたり、腫れの症状が引き起こされるケースもあります。
それから、直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)を引き起こしている人は多くの場合、肛門括約筋(こうもんかつやくきん)は正常な状態なのですが、稀に弱体化していて、便失禁(べんしっきん)の症状を招く人もいます。
なお、痔核(じかく)などの肛門疾患を合併している人の場合には、便を排泄する際に出血したり脱出したりといった症状が起こります。

検査と診断

直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)かどうかを調べるための検査方法はいろいろとあります。
便を排泄する際の直腸の形状や動作、直腸瘤の大きさなどを確認し、診断のために必須の排便造影検査、大腸がんや直腸がんの有無を調べる大腸内視鏡検査、肛門括約筋の状態を探る直腸肛門内圧検査、膀胱瘤(ぼうこうりゅう)や子宮脱(しきゅうだつ)の合併の有無を調べるMRI検査が実施されます。

治療の方法

直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)の治療方法としては、主に保存的療法と外科的療法を挙げることができます。
保存的療法では生活習慣を改善したり、緩下薬(かんげやく)や坐薬(ざやく)を使用したりし、排便障害の改善を目指します。
保存的療法が功を奏さなかった場合には外科的療法が選択されますが、肛門からおこなう経肛門的手術と膣からおこなう経膣的手術があります。
外科的療法は弱体化した壁の強化を目的としておこなわれます。
実際に手術する際には、直腸と膣の境界部分に存在する組織の縫合をおこなうことになります。
また、膀胱瘤、子宮脱のほか、痔核などの肛門疾患を合併している場合には、それらの治療も並行しておこなわれる形になります。

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