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直腸脱の原因・症状・治療などのまとめ

公開日: : 最終更新日:2018/04/11 腸の病気

直腸脱とは

直腸脱(ちょくちょうだつ)とは、お尻の穴のことをさす肛門(こうもん)より、直腸が飛び出した状態のことをいいます。
年齢では高齢者に多く、性別では女性に多く起こっています。
直腸脱には完全直腸脱(かんぜんちょくちょうだつ)と不完全直腸脱(ふかんぜんちょくちょうだつ)の2種類があります。

完全直腸脱は直腸の筋肉を含む全層が飛び出た状態であり、不完全直腸脱は直腸表面の粘膜のみが一部だけ飛び出した状態です。
完全直腸脱では、10cm程度も直腸全層が飛び出ることも珍しくありません。

直腸脱の原因

肛門から直腸が飛び出た状態になる直腸脱。
この異常は、いったい何が原因で起こってしまうというのでしょうか。
また、直腸脱はどのような人に多く起こっているのでしょうか。

ここでは、直腸脱の原因に関する情報を提供させていただきますので、気になったという方は以下の内容をぜひご一読ください。

直超脱を招く原因は何か

お尻の穴である肛門は、骨盤の下にあいている大きな穴の真ん中にあります。
排便時、腹部に力を込めて便を押し出しますが、肛門ごと押し出されてしまうことがないよう、肛門をまわりの骨から引き上げて支えている筋肉があります。

その筋肉は肛門挙筋(こうもんきょきん)といって、直腸が骨盤より下にいかないように支えています。
この支えがなくなってしまうと、肛門や直腸が正常な位置より下がってくるのです。
また、直腸脱は高齢でこどもを産んだ経験が多い女性によく起こるトラブルです。

こどもを産むことによって骨盤の下にあいている大きな穴である骨盤底(こつばんてい)の筋肉が弱まるため、高齢で出産経験の多い女性によく起こっているのではないかという見方がされています。
それから、肛門を締める役割を担っている肛門括約筋(こうもんかつやくきん)が弱いこと、直腸が長いことなどが原因になり得るとされています。

直腸のポリープ、一般にイボ痔(いぼじ)といわれている内痔核(ないじかく)といった、飛び出てくる病気を未治療でいることも一因です。
そのほか、便秘(べんぴ)、排便時のいきみ、慢性的な咳(せき)など、直腸脱を起こすとされている要素にはさまざまなものがあります。

こうした原因と考えられているものの中で、何か一つの要素だけで直腸脱を招くのではなく、複数の要素が重なることで直腸脱を招いているという見方がされています。

直超脱はどのような人に多いのか

高齢の女性に直腸脱は多く起こっています。
全体の90%以上を占めているといわれるほどです。
ただし、100%ではありません。

若い方にも直腸脱は起こっています。
全体の数%を占めている程度ですが、年齢が低いということで直腸脱とは無縁になるわけではありません。

また、滅多にないものの、小児に起こる直腸脱もあります。

直腸脱の症状

直腸脱は直腸が肛門の外(体外)に飛び出た状態です。
直腸が飛び出る以外に起こる症状はないのかと、疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。

また、直腸が飛び出る=脱出する異常に関して、特徴が知りたいと思っている方もいることでしょう。
以下に直腸脱の症状に関する情報をまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。

直腸脱では何の症状が出現するのか

直腸が飛び出すことで、肛門に違和感をおぼえます。
直腸脱は常に飛び出した状態になる可能性があり、実際にこのような状態を招いてしまうと、下着との摩擦で出血を起こしたり、痛みを感じたりします。

直腸脱のむくみが強く戻らなくなった場合には、強い痛みを感じることが多いです。
脱出が起こることによって、便が出だしても続かず、便が残っているような感じが持続する症状が起こります。

また、直腸脱を起こしている方では、肛門のしまりが悪くなっていることが多いです。
そのせいで便漏れを起こすことがあります。
逆に便秘になることもあり、直腸が飛び出ることによる下腹部の違和感、排尿困難といった症状なども起こります。

また、肛門まわりの湿疹(しっしん)、かゆみ、頻繁に便意を催すといった症状もあります。
そのほか、直腸脱が起こる方は、子宮(しきゅう)や膀胱(ぼうこう)など別の臓器の脱出を伴っていることが多いです。

脱出の特徴

初期は、排便時にいきんだときに直腸が肛門から飛び出し、いきみを止めると自然に戻ります。
初期より病状が進行すると、立ち上がるだけで飛び出してしまい、手を使わなければ戻せなくなります。

また、飛び出してむくみがひどくなると、手を使って戻すことが困難な状態になり、医師でも腰椎麻酔(ようついますい)をほどこさなければいけなくなるケースもあります。
高齢の方の場合、若い方の直腸脱に比べて大きく飛び出さないケースが多いです。

高齢の方の直腸脱は、10cm以下の飛び出しであることが多いです。
これに対して若い方の直腸脱は、大きく飛び出すケースが多いです。
ひどい場合には20cm以上も飛び出してくることがあります。

直腸脱の検査・診断

直腸脱にあてはまるような症状がある場合に、何科へ行けばいいのかが気になっている方もいるのではないでしょうか。

また、本当に直腸脱を起こしているのかどうかは、どのようにして調べているのでしょうか。
ここではこのような疑問をお持ちの方のため、受診に適した診療科や直超脱を調べる方法を解説させていただきます。

受診に適した診療科

直腸脱は直腸が肛門から飛び出てきた状態です。
したがって、肛門科で受診するか大腸肛門病専門の医療機関で受診すれば大丈夫です。
また、消化器外科も受診の候補になるでしょう。

恥ずかしいと感じる方もいるでしょうが、お尻に起こる病気は未治療でいると深刻な事態を招くリスクがあります。
放置することなく、気軽に受診しましょう。

とくに肛門科では訪れているほかの方たちも皆、肛門の診療を受けにきているわけですので、そう思えば恥ずかしさも薄れるのではないでしょうか。
また、異性の医師による診療に抵抗を感じる方は、同性の医師による診療を受けることが可能な医療機関へ行けば、恥ずかしさは感じにくくなるでしょう。

直腸脱を調べる方法

まず、診察室で直腸の飛び出しを確認します。
診察室で飛び出しがはっきりしない場合には、怒責診(どせきしん)といって検査用トイレにしゃがみ、いきんだときの様子を直接に見る方法があります。

ほかには、直腸脱がある方では、肛門括約筋の機能が弱まっていることが多いです。
そのため、肛門内に圧力を検知する装置である細い管を挿入し、しまり具合を確認する肛門内圧検査(こうもんないあつ)が行なわれています。

また、直腸脱の大部分は高齢の方に起こっており、若い方と比較して大腸の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)やポリープが形成されている可能性があります。

そのため、治療の前にこうした病気の有無を調べるため、先端にカメラが取り付けられている細い管を体内に挿入し、カメラがとらえた映像をモニターで確認する大腸内視鏡検査(だいちょうないしきょうけんさ)が行なわれています。

そのほか、医療機関によっては、直腸が飛び出てくる状態を正確に把握するため、デフェコグラフィーという検査が行なわれています。
この検査は排便造影検査(はいべんぞうえいけんさ)ともよばれているもので、バリウムを少量お尻の穴から流し込んだ状態で排便し、直腸が飛び出てくる様子を観察する検査です。

直腸脱の治療

医療機関で直腸脱を起こしていることがわかった場合、治療方法としては手術をあげることができます。
手術方法は多数ありますが、ここでは主な方法の特徴をご紹介します。

デロルメ法

この方法は経肛門(けいこうもん)手術の一種です。
デロルメ法ではまず、飛び出している直腸の粘膜を電気メスで切り開きます。
次に表面を覆っている粘膜をはがし、直腸の筋肉を縫います。

糸を縛ることにより、直腸が縮み正常な場所へと戻っていきます。
余った粘膜は切り捨て、直腸側と肛門側の粘膜を縫合します。

デロルメ法は全身麻酔をほどこす必要がなく、患者の体への負担が少ないため、高齢の方が受けるのに向いています。
また、経肛門手術の中では一番再発が少ない治療です。

ただし、大きく飛び出している直腸脱や、これまでにも経肛門手術を受けていて癒着(ゆちゃく)を起こしている直腸脱の方は受けることができない場合があります。
また、粘膜を切り開いたり縫い合わせたりするため、出血や感染を起こす危険性があります。

三輪-Gant(みわ-ガント)法

三輪-Gant法は経肛門手術の一種です。
針糸を使って飛び出した直腸の表面を覆っている粘膜を貫いてからその粘膜をつまみ、縛りあげます。
一ヶ所縛り終えるともう一ヶ所と縛り上げていき、数多く縛り上げると飛び出している直腸にたくさんのコブができているため、大仏の頭に似た状態になります。

数多く縛り上げていくと共に、飛び出していた直腸が徐々に奥へと引っ込んでいきます。
三輪-Gant法は全身麻酔をほどこす必要がなく、患者の体にかかる負担が少ないです。
また、デロルメ法より出血や感染を招く確率が低いです。

ただし、再発を招くリスクはデロルメ法に比べて高いのが短所ではあります。
三輪-Gant法はデロルメ法を選択することができない場合に行なわれるケースが多いです。

ティールシュ法

ティールシュ法は経肛門手術の一種です。
特殊繊維を肛門のまわりにドーナツ状に留置し、ゆるんだ肛門のしまりを補助する方法です。
素材としては、ナイロン糸や人工靭帯などが使われています。

再発防止を狙って行なわれていますが、デロルメ法や三輪-Gant法の補助として、同時に組み合わせて行なわれる形になる場合が多いです。
この治療方法も、全身麻酔をほどこすことなく行なえます。

硬化療法

飛び出てくる直腸の粘膜下に硬化剤のジオンを注射します。
少量ずつ数十ヶ所にわけて、大きな範囲に注射します。
注射が完了したあと、飛び出している直腸を押し込み元の場所に戻します。

注射したところにマッサージをほどこすことで、硬化剤を拡散させます。
最後にはジオンが固まり、直腸が周囲に固定されて飛び出してこなくなります。
成功すると切ることなく注射だけで直腸脱を改善させることができると考えられています。

また、全身麻酔をほどこすことなく実施可能で、患者にかかる体の負担が少ない方法でもあります。
ただし、再発リスクが高いことや健康保険がきかない点が短所です。

直腸固定術

経腹的(けいふくてき)手術で、お腹の中から直腸脱を治します。
以前は下腹部を大きく切開する開腹手術が実施されていましたが、今は腹腔鏡(ふくくうきょう)という体内の写すカメラを挿入し、カメラがとらえた映像をモニターで確認しながらの手術が行なわれています。

小さい傷で済むようになったぶん、患者の体にかかる負担は少なくなっています。
直腸固定術は腰の骨に固定しておいた医療用のメッシュの左右に、ひっぱることで飛び出していない場所まで戻した直腸の壁を固定させます。

これによって腰の骨に直腸が固定された状態になり、飛び出さなくなります。
直腸固定術は、経肛門手術を実施しても繰り返し起こる直腸脱、大きく飛び出した直腸術に対しても行なうことが可能です。

ただし、全身麻酔をほどこさなければならず、体内から処置をほどこす治療であり、患者の体にかかる負担は大きくなります。
全身麻酔を行なうため、若い方で体力がある方が受けるのに適した治療です。

直腸脱の予防

直腸脱を防ぐために効果的な手段はあるのでしょうか?
中にはこのような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
ここでは直腸脱の予防について取り上げていますので、興味のある方は以下の内容をチェックしてみてください。

骨盤底筋体操(こつばんていきんたいそう)を行なう

直腸脱は骨盤底の筋肉が弱まっていることで起こすことがあります。
そのため、骨盤底筋体操を実践することにより、骨盤の筋肉を強化することが直腸脱の予防のためには効果的です。

ただ、この体操は自己流で実践することで、体に負担がかかってしまうことがあります。
医療機関で相談し、理学療法士による指導を受けて正しく実践することが重要です。

ほかに普段の生活で注意することは?

先述した骨盤底筋体操を実践すること以外にも、気をつけなければいけないことがあります。
便秘で排便時にいきむことで直腸脱が起こることがあります。

いきむことなくすんなり便が出てくるよう、便秘対策を行ないましょう。
食物繊維や水分を十分に摂り、歩くことなどが効果的な便秘対策になります。

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