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肛門狭窄を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/12/01 腸の病気

肛門狭窄とは

肛門狭窄(こうもんきょうさく)とは、種々の原因によって肛門が狭まる病気です。
肛門が狭まることにより便意を催しているのに便が出にくく、いきむことで細い便がやっと出てくるというのが肛門狭窄です。

原因として最多なのは肛門部が切れてしまう裂肛(れっこう)で、これは一般に切れ痔(きれじ)といわれている肛門の病気です。

繰り返し裂肛を起こして慢性化してしまうと、排便時以外は常に無意識に肛門を締める役割を担っている内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)に炎症がひろがり、肛門が狭まったまま固まってしまいます。

硬い便や太い便が出ると、肛門部が傷ついて新たな裂肛ができてしまいます。
肛門狭窄は男性、女性に関係なく起こる病気であり、若い人にも高齢者にも起こります。

肛門狭窄の原因

肛門狭窄は肛門が狭まることで、便が出にくくなったり、細い便しか出なくなったりする肛門の病気です。

この肛門狭窄は、いったい何が原因で起こってしまうのでしょうか。

以下に肛門狭窄の原因に関する情報をまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。

裂肛による肛門狭窄

肛門狭窄の原因として最多の割合を占めているのが裂肛です。
裂肛はいわゆる切れ痔のことで、肛門部の皮膚が切れてしまう病気です。

裂肛を繰り返して慢性化することにより、排便時を除いて無意識に肛門を締めている内肛門括約筋に炎症がひろがり、肛門が狭まったまま固定化されてしまいます。

痔瘻(じろう)による肛門狭窄

肛門の奥から細菌が侵入し、肛門周囲に強い炎症が生じ膿(うみ)が貯留した状態になる肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)という病気があります。

肛門周囲膿瘍は一般に穴痔(あなじ)といわれている痔瘻の前段階であり、肛門周囲膿瘍が進行し膿が皮膚を貫通して排出される状態のことを痔瘻といいます。

貫通して生じた管のような通路のことを瘻管(ろうかん)といい、この瘻管が肛門周囲を取り囲むような状態になると、肛門が狭まってしまいます。

下痢による肛門狭窄

肛門と直腸の境界部分のことを歯状線(しじょうせん)といいます。
ここには肛門小窩(こうもんしょうか)という、5~8ヶ所ほどの小さなくぼみがあります。

長年にわたり下痢に悩まされていると、肛門小窩に炎症が起こり、その結果として肛門が狭まってしまいます。

肛門の手術による肛門狭窄

不適切な肛門手術が原因となって、肛門が狭まってしまうことがあります。

いわゆるイボ痔(いぼじ)のことをさし、肛門部にイボのようなはれが生じる病気である痔核(じかく)があります。

痔核の手術が行なわれた際に、肛門の異常が起こっていないところまで切除してしまうことで肛門狭窄を招くことが多いです。

肛門狭窄の症状

裂肛、痔瘻、下痢、肛門の手術といった、さまざまな原因で肛門が狭まる肛門狭窄。
ここでは、肛門狭窄で起こる症状について解説させていただきます。

肛門狭窄ではどのぐらい肛門が狭まるのか

肛門は普通、人差し指を挿入することが可能なひろさがあります。
また、麻酔が効いているあいだは普通、2本の指を挿入することが可能です。

肛門狭窄を起こしていると、小指を挿入することができないほどに狭まることもあります。

肛門狭窄を起こすとどのような異常が出るのか

肛門が狭いということは、便の出口が狭くなることを意味しています。
そのため、肛門狭窄では便意があるのに便が出にくくなってしまいます。

また、出にくい便をいきむことによって無理やり出しても、出口が狭いために細い便が出てきてしまいます。

出てくる便が硬い、太い場合には、肛門部の皮膚が切れてしまいます。
そのため、肛門狭窄は裂肛を起こす原因になってしまうのです。

肛門狭窄の検査・診断

便が出にくい、細いという症状がある場合、肛門狭窄を起こしている可能性があります。

以下に受診に適した診療科や肛門狭窄を調べる方法を記載していますので、気になるという方はぜひご一読ください。

受診に適した診療科

裂肛、痔瘻といった肛門の病気は、肛門科・肛門外科へ行けば診療を受けることが可能です。
近所に肛門科・肛門外科がない場合には外科・消化器外科へ行けば対応してくれます。

肛門狭窄を起こしていると、狭まっている肛門を硬い便や太い便が通り、皮膚が切れる裂肛を起こすことになりかねません。

肛門狭窄を疑うような症状が気になっている方は、放置することなくできるだけ早く医療機関で受診、相談しましょう。

肛門狭窄を調べる方法

問診、視診、触診のほか、大腸内視鏡(だいちょうないしきょう)検査や直腸肛門機能(ちょくちょうこうもんきのう)検査が行なわれています。

大腸内視鏡検査は先端にカメラが取り付けられた細いチューブを体内に挿入することにより、カメラがとらえている体内の様子がモニターに表示される検査です。

直腸肛門機能検査は肛門の中に圧力を検知する装置である細いチューブを挿入し、肛門に力を入れていない状態=最大静止圧(さいだいせいしあつ)や、力を入れた状態=最大随意圧での肛門の締まる強さ=圧力を測定する方法です。

肛門狭窄の治療

病院で調べた結果、肛門狭窄が起こっていることがわかった場合、どのような治療が行なわれているのでしょうか。

ここでは、肛門狭窄の治療について取り上げていますので、参考情報としてお役立ていただければ幸いです。

肛門狭窄の治療方法

裂肛や痔瘻によって肛門狭窄を起こしている場合、原因となる病気があれば先にその病気の治療を行ないます。

肛門狭窄に対しては、保存療法と外科療法があります。
保存療法としては薬物療法があります。

坐薬(ざやく)をさしたり、軟膏(なんこう)を塗布するなどし、排便時の肛門の負担を抑えて、できるだけ肛門に柔軟性が出るようにします。

また、肛門プジーといって、金属の棒を肛門に挿入し、一定時間にわたって入れたままにすることで、筋肉を慣らし、肛門をひろげていきます。

肛門の狭まり具合に合わせて太さの異なる棒が選択されて、段階的に棒を太くしていって肛門をひろげます。
こうした治療によって改善しない場合には、手術を行なうことによって肛門の狭まりを解消します。

肛門狭窄の手術方法としては、皮膚弁移動術(ひふべんいどうじゅつ)(sliding skin graft:SSG)と内肛門括約筋側方切開術(ないこうもんかつやくきんそくほうせっかいじゅつ)(lateral subctaneous internal sphincterotomy:LSIS)があります。

皮膚弁移動術(SSG)

肛門が狭まっている部分を切開し、その部分に正常な皮膚を移動して肛門をひろげます。

局所麻酔をほどこして手術を行ない、術後7~10日間で退院することが可能です。
この手術は肛門の狭まりかたがひどい場合に選択されます。

内肛門括約筋側方切開術(LSIS)

内肛門括約筋を切開することによって、肛門の狭まりを解消する方法です。

局所麻酔をほどこして手術を行ない、4~5日の入院だけでなく日帰り手術を受けることが可能な医療機関もあります。

この手術はさほど肛門が狭まっていない場合に選択されます。

手術に関して気をつけたいこと

肛門狭窄の手術を受けても、再発を完全に防ぐことはできません。

また、肛門狭窄に対する手術を受けたあとには、めったにないことではあるものの、麻酔の影響で頭痛の症状がしばらく続くことがあります。

ほかにも出血を起こすことや、傷が膿を持つこと、はれが生じることがあります。

術後の外用薬や内服薬は正しく使用し、入院が必要だった場合、退院後の通院は指示されたとおりに続けることが重要です。

肛門狭窄の予防

肛門狭窄の原因として多くを占めている裂肛や痔瘻は共に、排便異常が主な原因となって起こる肛門の病気です。

ここでは、肛門狭窄の予防に関する情報を提供させていただきますので、興味のある方はチェックして実践してみてください。

便秘の予防・改善に取り組む

不規則なリズムで食事を摂っていると、便通を悪くしてしまいます。
三食を毎日できるだけ決まった時間に摂りましょう。

また、便秘の予防・改善のためには、食物繊維や水分を積極的に摂り、適度な運動をするのが効果的です。
歩くことによってお腹が揺すられて、腸の活動が良くなります。

下痢の予防・改善に取り組む

便秘とは正反対の排便異常である下痢も、肛門小窩に炎症が生じさせた結果、肛門狭窄を招いてしまいます。

お酒、辛いものは下痢を起こすリスクを高めるため控えるに越したことはありません。
また、整腸剤(せいちょうざい)の服用も効果的です。

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