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難治性下痢症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/05/10 腸の病気

難治性下痢症とは(概要)

難治性下痢症とは「なんちせいげりしょう」と読み、主に生まれて間もない子どもに起こる症状の一つです。
2~3週間以上の長期にわたり下痢の症状が続く状態で、便は尿と見分けがつかないほどの、水のような状態になります。
腸で糖質、脂質、タンパク質といった栄養素の消化が行なえない、腸で栄養素を取り込めない、腸で水分を取り込めない・あるいは水分が過剰に分泌されている、腸のぜん動運動が激しいことを理由に、難治性下痢症は起こります。

こうした難治性下痢症を引き起こす「理由」の影には、病気が隠れているのがやっかいなところです。
水のような便(水様便)が出る症状が2~3週間以上にわたって続く以外の主な症状としては、体重増加不良、栄養障害、成長障害といったものをあげることが可能です。
治療方法としては、脱水症(だっすいしょう)の治療を行なったあとに、栄養療法を行なう形になるのが基本です。

難治性下痢症の原因

難治性下痢症を引き起こしている理由は主に4個あります。
糖質、脂質、タンパク質などの栄養素の処理が行なえない、栄養素を取り込むことができない、水・電解質を取り込めない、あるいは水分が異常に分泌されている、腸のぜん動運動が異常に活発になっているというものです。

この4個の理由にあてはまる問題を起こしている犯人は病気であり、糖質・脂質・タンパク質などの消化が行なえない問題は先天性蛋白分解酵素欠損症(せんてんせいたんぱくぶんかいこうそけっそんしょう)が原因となっている疑いが濃厚です。
この病気ではすい臓で分泌される消化酵素の機能が一部またはすべて悪化します。

栄養素の吸収ができないのは腸の粘膜に問題があるためなのですが、原因となる病気があり、食物過敏性腸症(しょくもつかびんせいちょうしょう)が該当します。
さらに水・電解質の吸収ができないために起こる難治性下痢症の影には先天性微絨毛萎縮症(びじゅうもういしゅくしょう)、先天性クロール下痢症(せんてんせいくろーるげりしょう)、VIPホルモン産生腫瘍(びっぷほるもんさんせいしゅよう)、大腸菌感染性腸炎(だいちょうきんかんせんせいちょうえん)、コレラ(これら)などの病気が隠れていることがあります。

そして腸のぜん動運動が異常に激しくなることによる難治性下痢症は、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)や過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)などの病気が裏に潜んでいることがあります。

難治性下痢症の症状

難治性下痢症を引き起こした場合には、いったいどのような症状が出るのでしょうか?
この点を気にする人は多いでしょうが、2~3週間以上の長期にわたり続く下痢、生まれて数日までに起こる下痢症状があります。
生まれて数日以内に起こる下痢の症状は、難治性下痢症の原因となる病気の一つである先天性微絨毛萎縮症や先天的な消化酵素の欠損症がある場合に認められるものです。
先天性微絨毛萎縮症が難治性下痢症を引き起こしている場合はとくに、尿と見分けることができないほどの水のような便の状態になるのが特徴です。

また、難治性下痢症の下痢の症状が食物過敏性腸症によって引き起こされる場合には、アレルギー反応を示す原因となる食品を摂ることによって起こります。
なにが原因となって反応を示すのかは一人ひとりの患者で異なり、たまご、ミルクなど原因となるものを摂ることで下痢の症状が出てしまいます。
また、湿疹(しっしん)や喘鳴(ぜんめい)の症状が引き起こされるケースもあります。
なお、湿疹はかゆみを伴う皮膚の炎症の総称であり、喘鳴はぜいぜい、ひゅーひゅーといった息の音が出る症状です。
そのほかの難治性下痢症による症状として大事なものには、体重増加不良、栄養障害、成長障害といったものがあります。

一般に体重増加不良は体重が増えない、栄養障害は食物の消化や栄養素の吸収がうまく行なえない、成長障害は大きくならない症状のことをいいます。
吸収障害といって、一般に栄養をうまく取り込めない状態が続いていることにより低栄養状態を招いてしまうと、免疫力がダウンして深刻な感染症を招いたり、ビタミン・微量元素などが不十分なために起こる貧血や皮膚炎といった問題も生じてきます。
なお、微量元素に関してですが、栄養学では人間の体を構成する元素のうち、酸素、窒素、水素、炭素を除外した元素のことをミネラルといいます。
さらにそのなかでごくわずかにしか存在しないもののことを微量元素といいます。

難治性下痢症の検査・診断

何科で受診する?

下痢の症状が長く続いていて、ひょっとすると難治性下痢症を起こしているかもしれない。
このような問題に直面した際には、病院へ行くことが大切です。
ただ、なかにはどの診療科に相談に行けばいいのかということで、迷ってしまう人もいるのではないでしょうか?この疑問に対する回答ですが、長引く下痢の症状がある場合には小児科を受診しましょう。

なにか準備したほうがいい?

どのような症状が起こっているのか、メモなどにまとめておくとよいでしょう。
便の状態、たとえば水のような便が出ているということや出る便の量、いつ下痢がはじまったのか、なにをどのぐらい食べて症状が出たのかなど、難治性下痢症に関係がありそうな情報はすべてまとめておくと診察時に役立ちます。
また、母子手帳などを使い、子どもの体重を同じ歳の標準体重と照らし合わせてみて、平均値に満たないことがわかった場合には、医療機関に連れていきましょう。

どういうことを調べる?

便検査を行なうことにより、便の性質と状態を把握します。
具体的には、尿と区別がつかない水のような便が出ていないか、下痢便に粘液や血液がまぎれ込んでいないか、口からの飲食物の摂取をまったく行なわなくても水のような便がたくさん排泄される分泌性下痢になっていないかといったことを調べる検査です。
また、食物過敏性腸症が原因になって難治性下痢症を引き起こしているのではないかと思われるケースでは、アレルギーを起こす原因となっている食物を突き止めるための検査が行なわれています。

この検査ではアレルギーを起こしている原因と思われる食物をやめてみて、患者の状態がよくなるかどうか様子をみます。
その結果、下痢の症状によい変化が起こった場合にはやめた食品が原因になっている可能性が非常に高いと判断して、さらなる調査を行なうという流れになるのが普通です。
体重増加不良があるケースや先天性微絨毛萎縮症が難治性下痢症を起こしているケースでは、小腸生検が行なわれています。
生検というのは組織を一部だけ採取し、顕微鏡で観察して診断を行なう方法です。
小腸生検では、腸の粘膜に問題があるかどうかを確認します。

そのほか、栄養素の消化・吸収異常の有無を把握するための検査も行なわれています。
脂質や各種糖類を口から入れることにより消化・吸収の機能を確認します。
なお、この検査方法の名称は負荷試験です。
便中に大量の脂質が認められる場合には、脂質の消化・吸収が悪くなっている可能性が高く、さらなる調査が行なわれますし、糖質を取り込めないケースでは、便の酸性度を確認するクリニテストによって、糖質を取り込めない場合に酸性化する現象を確認します。

難治性下痢症の治療

難治性下痢症に対する治療ですが、この症状を起こしている患者は前提として栄養状態がよくない人の割合が高いです。
まず、脱水症の治療をし、続いて栄養療法を選択するという形になります。
栄養療法では消化済みのタンパク質・アミノ酸配合の栄養剤が選択されており、腸からの栄養補給が不可能なケースでは、栄養を静脈から補給する形で対処します。

難治性下痢症の予防

難治性下痢症の原因となる病気のなかには、先天性のものが多いです。
先天性という言葉には生まれつきのという意味合いがありますが、このような病気は未然に防ぐことが困難です。
原因となる病気の予防が困難である以上、その病気が原因となって起こる難治性下痢症を未然に食い止めることも困難ということになります。
日ごろから子どもの様子をよく確認して健康状態の記録を残し、異常がわかった場合にはすぐに病院へ連れていくことが大切です。
また、食物過敏性腸症が原因となる難治性下痢症に関しては、アレルギー反応を起こす食品を摂取しないことが大切です。

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