*

神経因性膀胱を詳しく:原因・症状・検査・治療など

公開日: : 最終更新日:2018/05/19 膀胱・尿道の病気

神経因性膀胱とは

神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)とは、脳や脊髄といった膀胱を支配する神経が障害されることによって、尿をためる蓄尿(ちくにょう)機能や尿を出す排尿(はいにょう)機能に異常が起こる病気です。

脳疾患(のうしっかん)、脊髄疾患(せきずいしっかん)、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)が原因となって神経因性膀胱は引き起こされます。

この病気にかかることにより、尿が出にくくなる排尿困難(はいにょうこんなん)、尿が近くなる頻尿(ひんにょう)、尿が漏れる尿失禁(にょうしっきん)といった症状が起こります。

神経因性膀胱が悪化することによって、感染症が起こったり、結石が生じたりする原因になります。
この病気が起こしているかどうかを調べるためには、問診(もんしん)のほか、排尿日誌(はいにょうにっし)の作成、尿流量測定(にょうりゅうりょうそくてい)、残尿測定(ざんにょうそくてい)、排尿時膀胱造影(はいにょうじぼうこうぞうえい)、尿流動態検査(にょうりゅうどうたいけんさ)といった診察・検査が行なわれています。
その結果、神経因性膀胱を起こしていることがわかれば、適切な原因に対する治療や症状に対する治療が行なわれることになります。

神経因性膀胱の原因

神経因性膀胱は、脳や脊髄といった膀胱を支配している神経が障害されることで、蓄尿機能や排尿機能に異常が起こる病気で、排尿困難、頻尿、尿失禁といった症状が出現します。

何が原因となるのかによって出現する症状や症状の程度には違いがあり、無症状の場合もあります。
神経因性膀胱の原因になるものとしては、脳疾患、脊髄疾患、末梢神経障害をあげることができます。

脳疾患

神経因性膀胱の原因のひとつに、脳疾患があります。
一口に脳疾患といってもさまざまな種類の病気があります。

神経因性膀胱を起こす脳疾患としては、脳梗塞(のうこうそく)、脳出血(のうしゅっけつ)、パーキンソン病(ぱーきんそんびょう)、認知症(にんちしょう)、脳髄膜炎(のうずいまくえん)といった病気をあげることができます。

また、頭部の外傷によって神経因性膀胱を起こすこともあります。

脊髄疾患

神経因性膀胱の原因のひとつとして、脊髄疾患をあげることができます。
脳疾患と同じく、脊髄疾患にはさまざまな病気が含まれます。

脊髄疾患によって起こる神経因性膀胱は、脊髄が圧迫されることによるもの、脊髄の血管の異常によるもの、先天性疾患(せんてんせいしっかん)によるものなどをあげることができます。

脊髄が圧迫されることによって起こるものとしては、椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)といった病気をあげることができます。

また、脊髄損傷などの負傷によって起こる神経因性膀胱もあります。
脊髄の血管の異常によって起こるものとしては、脊髄梗塞(せきずいこうそく)、脊髄動静脈奇形(せきずいどうじょうみゃくきけい)などをあげることができます。

先天性疾患によって起こるものとしては、二分脊椎(にぶんせきつい)、脊髄稽留症候群(せきずいけいりゅうしょうこうぐん)といった病気をあげることができます。

末梢神経障害

神経因性膀胱を起こす末梢神経障害としては、糖尿病性ニューロパチー(とうにょうびょうせいにゅーろぱちー)をあげることができます。

直腸癌(ちょくちょうがん)、子宮癌(しきゅうがん)といった骨盤内腫瘍(こつばんないしゅよう)の手術による神経障害などによっても神経因性膀胱は起こります。

神経因性膀胱の症状

神経因性膀胱は、脳疾患、脊髄疾患、末梢神経障害が原因となって起こる病気です。
また、頭部の外傷、脊髄損傷などのケガ、骨盤内手術によって神経因性膀胱が起こることもあります。

このような病気、ケガなどが原因となって起こる神経因性膀胱ですが、この病気にかかると一体どのような症状が出現するのでしょうか。

以下に神経因性膀胱の症状についてまとめていますので、参考情報としてお役立ていただければ幸いです。

神経因性膀胱で出現する症状は何があるのか?
尿が出にくくなる排尿困難、尿が近くなる頻尿、尿が漏れる尿失禁、膀胱の中に尿はあるものの出すことができない尿閉(にょうへい)といった症状が起こります。

何が原因となって神経因性膀胱が起こっているのかによって、出現する症状やその程度には違いがあり、とくに症状が出ないこともあります。

また、排尿の調節を行なっている神経は、排便機能や性機能にまで影響をおよぼします。
症状としては排便異常やED(Erectile Dysfunction)のような性機能障害が起こることがあります。

排尿困難によって残尿(ざんにょう)が多くなった結果、尿路感染(にょうろかんせん)を起こしたり尿路結石(にょうろけっせき)が生じたりして、膀胱尿管逆流症(ぼうこうにょうかんぎゃくりゅうしょう)などが長く続いていると、腎機能障害(じんきのうしょうがい)を招いてしまうことがあります。

神経因性膀胱の検査・診断

排尿困難、尿失禁、頻尿といった、神経因性膀胱にあてはまるような症状がある場合には、何科で診てもらうと良いのでしょうか。
また、神経因性膀胱を起こしているかどうかは、医療機関ではどういった方法で調べることになるのでしょうか。

ここでは受診に適した診療科や神経因性膀胱を調べる方法について解説させていただきますので、気になるという方は以下の内容をチェックしてみてください。

受診に適した診療科

神経因性膀胱を疑うような症状が起こっているとき、何科へ行くのが適切なのでしょうか。
人によっては、この点が気になってどこの病院へ行くかで迷ってしまうこともあるでしょう。

神経因性膀胱かもしれないと思った場合には、泌尿器科へ行けば対応してくれます。
なお、神経因性膀胱で出現する症状は、神経因性膀胱とは別の病気でも起こり得るものです。

病院でくわしく調べてみなければ神経因性膀胱なのか別の病気なのかはわかりません。
気になる症状が起こっている場合には、その症状を放置することなくできるだけ早く医療機関で受診、相談をしましょう。

神経因性膀胱を調べる方法

まず問診によって、いつごろより、どのような症状が起こったのかが確認されます。
また、これまでにかかった病気、その病気にかかった時期が質問されますし、使用中の薬についても確認されます。

検査としては、さまざまな方法が神経因性膀胱を起こしていることを確かめるために行なわれています。
排尿日誌は、その中のひとつに含まれます。

計量コップを使い、24時間の中で排尿を行なった時間、1回あたりに出た尿の量、漏れの有無、摂取した水分量といった情報を自分自身で記録します。
排尿日誌は2~3日つけることになります。

排尿日誌のほかには、尿流量測定検査も行なわれています。
トイレ型の検査機器に普段どおりに排尿するだけの検査です。

この検査では、尿の勢いを測定することができます。
検査自体で痛みを感じるようなことはありません。

残尿測定も神経因性膀胱かどうかを調べるために行なわれている検査です。
排尿後、膀胱内に尿が残っているかどうかを把握することができます。

超音波を使って腹部の膀胱部分に機械をあてるだけで済む検査で、痛みなどの苦痛を伴うことはありません。

排尿時膀胱造影検査も、神経因性膀胱が起こっているかどうか調べるために行なわれている検査のひとつです。

膀胱内にカテーテルという細い管を挿入し、膀胱内へと造影剤を流し込んでレントゲンで膀胱の形を調べます。
検査時には台の上で排尿しながら撮影を行なうと、尿道の形なども把握することが可能です。

なお、カテーテルの挿入によって多少の痛みを感じます。
そのほかには、尿流動態検査も行なわれています。

尿道を経て膀胱内へとカテーテルを挿入すると共に、肛門にカテーテルを入れて膀胱や腹部の内圧を調べます。

神経因性膀胱の治療

神経因性膀胱を起こしていることがわかった場合には、医療機関ではどのような治療が行なわれているのでしょうか。

このような疑問をお持ちの方のため、ここでは神経因性膀胱の治療について取り上げます。

神経因性膀胱の治療方法とは

神経因性膀胱を起こす原因は多数あります。
原因に対する治療によって改善することがありますが、原因がはっきりしても神経因性膀胱自体は、なかなか良くなってくれないこともあります。

神経因性膀胱のいち症状である排尿障害があれば、下腹部を圧迫する、叩くことで膀胱に刺激を加え、尿を出します。

この方法で駄目な場合には、神経因性膀胱を起こしている本人が自分で1日4~5回の頻度で導尿する間欠的自己導尿(かんけつてきじこどうにょう)が選択されます。

間欠的自己導尿法を行なうことは、膀胱機能の改善のほか、尿路感染を防ぎ、腎臓の機能を保護するために効果的です。

医療機関で指導を受けることによって、間欠的自己導尿法のやりかたを覚えます。
間欠的自己導尿法を選択することができない方に対しては、尿道カテーテルの留置を行ないます。

ただ、この方法では尿路感染を起こしたり、尿路結石が生じたりといった、問題を招いてしまうリスクがあります。
また、症状に応じて薬剤を使った治療も行なわれています。

臭化(しゅうか)メタンテリン、臭化プロパンテリン、臭化ジスチグミン、塩酸(えんさん)フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸イミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸クレンブテロール、α遮断薬(あるふぁしゃだんやく)、葛根湯(かっこんとう)などが使用されています。

そのほか、手術療法が検討されることもあります。
治療の名称としては、経尿道的手術(けいにょうどうてきしゅじゅつ)、膀胱拡大術(ぼうこうかくだいじゅつ)、尿道周囲コラーゲン注入術・スリング手術(にょうどうしゅういこらーげんちゅうにゅうじゅつ・すりんぐしゅじゅつ)などをあげることができます。

関連記事

膀胱の病気の原因・症状・治療について

急性膀胱炎の原因・症状・治療について 急性膀胱炎… どんな病気? 原因ってなに?  急性膀胱

記事を読む

尿道の病気の原因・症状・治療について

尿路結石の原因・症状・治療について 尿路結石ってどんな病気? 尿路結石とは、尿の通り道である

記事を読む

尿路結石を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

尿路結石とは 尿は腎臓で生成されており、腎臓のなかにある腎盂(じんう)と呼ばれるところから

記事を読む

no image

膀胱がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

膀胱がんとは 膀胱がん(ぼうこうがん)とは、膀胱の粘膜に発生するがん、いわゆる悪性腫瘍(あくせいし

記事を読む

肺寄生虫症を詳しく:原因・症状・検査・治療など

肺寄生虫症とは 肺寄生虫症(はいきせいちゅうしょう)とは、肺に寄生虫が侵入することに

尿路結石を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

尿路結石とは 尿は腎臓で生成されており、腎臓のなかにある腎盂(じんう)と呼ばれる

カンジダ性おむつ皮膚炎(乳児寄生菌性紅斑)とは

カンジダ性おむつ皮膚炎(乳児寄生菌性紅斑)とは 赤ちゃんが着けているおむつに覆われた

ロタウイルス下痢症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

★ロタウイルス下痢症とは ロタウイルス下痢症(ろたういるすげりしょう)とは、ロタ

肘内障を詳しく:原因・症状・検査・治療など

肘内障とは 日常生活の中で、こどもが急に肘を痛がって曲げなくなる病気のことを、肘内障

→もっと見る

PAGE TOP ↑