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三叉神経痛の原因・症状・治療などについてのまとめ

公開日: : 最終更新日:2018/04/11 頭・脳・神経の病気 , , ,

三叉神経痛の原因

三叉神経痛とは

三叉神経痛(さんさしんけいつう)とは、人間が感じる痛みのうち、とくに激しい痛みが顔の片側だけに生じる病気です。

そもそも三叉神経とは顔面の感覚を司る神経で、顔面で感じた痛み、熱さ、冷たさなどの感覚を脳へと伝えるほか、食事の際に食べ物を噛むための筋肉をコントロールする役割を担っています。

三叉神経は1番から12番まである脳神経のうち5番目の神経にあたり、脳幹部分から左右に1本ずつ出たあとは顔面で三つの叉という名前の通り、3本に枝分かれしています。

3本に枝分かれした神経はそれぞれ顔面上部の第1枝、中部の第2枝、下部の第3枝へと分かれており、第1枝は眼神経(がんしんけい)、第2枝は上顎神経(じょうがくしんけい)、第3枝は下顎神経(かがくしんけい)と呼ばれています。

三叉神経痛は、何らかの原因によって第1枝から第3枝のうちのどれか1つ、あるいは複数に障害が発生することによって顔面に激しい痛みを感じる病気です。

三叉神経痛は顔面全体に痛みを感じることはなく、神経のある部分のみに痛みを感じるという特徴がありますが、第2枝がある顔面中部の頬の部分と第3枝がある顔面下部の顎の部分に痛みを感じる場合が多いです。

また、第1枝から第3枝のうち複数の枝に障害が発生した場合、第1枝と第3枝に同時に障害が発生することはなく、第1枝と第2枝、あるいは第2枝と第3枝の組み合わせで障害が発生します。

三叉神経痛は年齢に関係なく発症しますが、とくに50歳代以降の発症率が高く、全体の70%以上を60歳以上の患者が占めているほか、男性よりも女性の発症率が高いという特徴があります。

三叉神経痛を発症する主な原因としては、血管による圧迫と他疾患の2つを挙げることができます。
三叉神経痛の約90%は、三叉神経の根元を血管が圧迫することが原因で、脳血管に動脈硬化(どうみゃくこうか)を引き起こした場合も発症原因となります。

また、残り10%は多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)や帯状疱疹(たいじょうほうしん)、脳腫瘍(のうしゅよう)、副鼻腔炎(ふくびくうえん)など別の病気が原因で、三叉神経を損傷あるいは圧迫することで三叉神経痛(さんさしんけいつう)を発症します。

実際に三叉神経痛を発症すると、初期段階では鈍い痛みが顔面の一部分にのみ出現し、虫歯(むしば)と勘違いするケースが多いです。
しかし、症状が進行するにつれて痛みが激しくなり、耐えられないほどの激しい痛みが現れるようになります。

また、痛み自体は数秒から30秒ほど、長くても2分間ほどでおさまりますが、多いときは1日に100回ほど痛みが出現する場合もあり、日常生活が困難になる場合もあります。

三叉神経痛が疑われる場合、特別な検査は必要ありません。
三叉神経痛を発症すると特徴的な痛みが現れるため、検査では問診である程度の診断が下せます。
実際の検査では問診に加え、画像検査によって三叉神経の損傷や圧迫の有無を確認することで確定診断を下しますが、血液検査を行なう場合もあり、総合的に見て判断されます。

三叉神経痛と診断されると、薬物療法・神経ブロック療法・放射線療法・外科療法の中から、症状の度合いや患者の年齢に合わせて最適な治療法を選択します。
三叉神経痛の治療は基本的に薬物療法が第一に選択され、治療には抗てんかん薬の一種であるカルバマゼピンを使用します。

薬物療法の効果が十分に得られない場合には、神経ブロック療法や放射線療法を行いますが、これらの治療法は痛みを緩和させるための対症療法でしかなく、三叉神経痛を唯一完治へと導くことができる治療法は外科療法のみとなっています。

また、薬物療法・神経ブロック療法・放射線療法・外科療法にはいずれも副作用のリスクがあり、リスクを十分理解したうえで治療を受ける必要があります。

三叉神経痛はいったん発症すると、適切な治療をほどこさない限り症状は悪化し、激しい痛みによって日常生活が困難になります。
また、発症そのものは予防できないため、いかに初期段階で適切な治療をほどこすかが重要となってます。

ただし、三叉神経痛は初期段階だと虫歯と間違われやすいことから適切な治療を受けられない場合が少なくありません。
そこで少しでも顔面に痛みを感じた場合や、歯科医院で虫歯ではないと診断された場合には、できるだけ早く医療機関を受診し、早期発見・早期治療に繋げることが重要です。

三叉神経痛の原因

三叉神経痛は17世紀の頃から知られていましたが、当時は発症原因が解明されておらず、特発性三叉神経痛(とくはつせいさんさしんけいつう)と呼ばれていました。

しかし、1967年にアメリカ人医師のジャネッタ氏によって、三叉神経が血管に圧迫されることで発症するということが解明されました。

血管による圧迫以外にも多発性硬化症や帯状疱疹、脳腫瘍などの他疾患が三叉神経を損傷させた場合にも三叉神経痛を発症するということが解明されており、このように発症原因が判明している場合は症候性三叉神経痛(しょうこうせいさんさしんけいつう)と呼びます。

血管による圧迫

三叉神経痛の発症原因の約90%は、血管による三叉神経の圧迫です。
三叉神経は1番から12番まである脳神経のうち5番目にあたる神経で、脳幹部から左右に1本ずつ出たあとは3つに枝分かれしています。

三叉神経は本来顔面で感じる痛みや熱さ、冷たさといった感覚の信号を脳へと伝達する役割を担っていますが、脳幹(のうかん)から出てすぐのあたりである三叉神経の根元部分に血管が食い込み三叉神経を圧迫すると、三叉神経が刺激され痛みの信号を脳へと伝達してしまい、その結果として三叉神経痛を発症します。

また、脳血管に動脈硬化を引き起こした場合にも三叉神経を圧迫し、三叉神経痛を発症します。

他疾患

三叉神経痛の約10%は、ほかの病気が原因となって発症します。
主に多発性硬化症や帯状疱疹、脳腫瘍、副鼻腔炎などが挙げられ、これらの病気が三叉神経を損傷あるいは圧迫することによって三叉神経痛を発症します。
中でも帯状疱疹を発症した方の約25%が3か月以内に三叉神経痛を併発するというデータがあります。

帯状疱疹とは、幼少期に発症した水疱瘡(みずぼうそう)の原因ウイルスが治癒後も体内に潜み、免疫力が低下したときなどに皮膚に水泡(すいほう)が発生する病気です。
水疱瘡の原因ウイルスが体内で活性化すると神経に損傷を与えてしまい、その結果として三叉神経痛を発症します。

また、水疱瘡の原因ウイルス以外にヘルペスウイルスというウイルスに感染した場合でも、三叉神経痛を発症する場合があります。

三叉神経痛の症状

三叉神経痛の症状は顔面の痛みで、主に顔面の下半分、とくに頬や顎に出現しやすく、その症状は初期段階と進行時で異なります。

初期段階

三叉神経痛は激しい痛みが特徴の病気ですが、発症して間もない初期段階では鈍い痛みが顎など顔面の一部分にのみ現れます。
この段階では顎の痛みを虫歯と勘違いしやすく、歯科医院を受診する方も少なくありません。

進行時

進行時には顔面の片側に発作のような突発的な激しい痛みが現れます。
三叉神経痛の痛みは人間が感じる痛みの中でもとくに激しく、「針で突かれたような激痛」や「電気が走ったような激痛」と表現されます。

この発作のような突発的な激しい痛みは、1回あたり数秒から30秒ほどですが、長い場合は2分間ほど続くこともあります。
また1日に数回、多いときは100回近く現れる場合もあります。

さらに食事、歯磨き、会話、洗顔、髭剃り、化粧などの動作がきっかけとなり痛みが現れる場合も多いです。
三叉神経痛の症状の現れ方には個人差があり、たとえ少ない回数でも我慢できないという方もいます。

また、三叉神経痛の痛みは季節によって現れ方に変化があり、11月から2月の寒い冬場の時期に悪化しやすいという特徴もあります。
三叉神経痛は現れる痛みの回数が多いほど肉体的・精神的にストレスがたまり、日常生活で何もできなくなります。

しかし、三叉神経痛を発症しても見た目に変化が現れないために、他人の理解をなかなか得られない場合も多く、このことが精神的ストレスを悪化させてしまう場合も少なくありません。

三叉神経痛の検査・診断

三叉神経痛は顔面に現れる痛みが特徴的であることから、問診によってある程度の診断が下せます。
また、発症原因の約90%は血管による圧迫であるため、画像検査によって脳の状態を確認することで、血管による圧迫の有無を確認することができます。
そのため、三叉神経痛の検査では主に問診と画像検査を行ないますが、そのほかにも血液検査を行なう場合があります。

受診に適した診療科

三叉神経痛を疑うような顔面片側の痛みといった異常が起こった場合に、何科へ行けば良いのでしょうか。
中にはこの点で迷ってしまうという人もいることでしょう。

三叉神経痛にあてはまるような気になる症状がある場合には、神経内科やペインクリニックへ行けば対応してくれます。
三叉神経痛はいったん発症すると、適切な治療を受けない限り症状は悪化していき、激しい痛みによって日常生活に支障をきたしてしまいます。

そのため、起こっている症状は我慢することなく、できるだけ早く医療機関で受診、相談することが重要です。

問診

問診では、いつから痛みが現れはじめたのか、どこに痛みが現れるのか、どのような嫌みが現れるのかを確認します。
さらに、これまでの病歴や治療歴なども確認します。

三叉神経痛を発症している場合、問診の段階である程度は診断が下せますが、確定診断を下すために画像検査や血液検査を行ないます。

画像検査

画像検査ではCT検査やMRI検査などを行ない、三叉神経の損傷や圧迫の有無を確認します。
三叉神経痛の発症原因の約90%は血管による三叉神経の圧迫ですが、脳腫瘍による圧迫が発症原因である場合もあり、CT検査やMRI検査によって脳腫瘍の有無も確認することができます。

三叉神経痛の検査における画像検査は、主にMRI検査を行ないます。
MRI検査とは、強い磁力を使って体内の断面図を作成する画像検査で、脳幹部から出た三叉神経の根元が血管や脳腫瘍によって損傷あるいは圧迫されているかどうかを確認します。

また、MRI検査は患者の体への負担が少ないという特徴があります。
一方、CT検査はX線を使って体内を撮影する画像検査で、三叉神経痛の治療においては副鼻腔炎などほかの病気が発症原因と考えられる場合に行ないます。

血液検査

三叉神経痛は、帯状疱疹などウイルス感染が原因の他疾患の合併症として発症する場合があります。
そこで血液検査によってウイルス抗体の有無を確認し、発症原因が他疾患の合併症であるかどうかを調べます。

三叉神経痛の治療

三叉神経痛の治療には薬物療法や神経ブロック療法、放射線療法、外科療法などがあります。
治療法によって効果や副作用が異なるため、症状の度合いや患者の年齢などに合わせて最適な治療法を選択します。

薬物療法

三叉神経痛の治療ではまず、薬物療法を行ないます。
薬物療法では、抗てんかん薬の一種であるカルバマゼピンを使用します。
カルバマゼピンは神経伝達を抑制する作用に優れた薬物で、三叉神経痛の治療に使用すると痛みを一時的に解消させる効果を発揮します。

カルバマゼピンは三叉神経痛を発症したすべての方に使用することができますが、重度の血液障害や抗うつ薬に対してアレルギーを持っている方に対しては使用できません。
また、心疾患にかかっている方や妊娠中の方の場合は、医師の判断によって使用できない場合があります。
さらに、カルバマゼピンには副作用があります。

主な副作用には眠気、めまい、ふらつき、倦怠感(けんたいかん)などが挙げられ、さらに発疹(ほっしん)やかゆみなどの皮膚症状、食欲不振や発熱、皮膚や眼の白目部分が黄色くなる黄疸(おうだん)などの肝機能障害、血小板減少や白血球減少、貧血(ひんけつ)などの血液障害などが現れる場合もあり、とくに高齢者がカルバマゼピンを服用する場合は注意が必要です。

神経ブロック療法

神経ブロック療法とは、神経の伝達を遮断することで痛みを緩和させる治療法です。
三叉神経痛の治療における神経ブロック療法は、三叉神経を麻痺させる遮断方法と破壊する遮断方法の2種類があります。
三叉神経を麻痺させることで神経の伝達を遮断する場合、高濃度の麻酔薬やアルコールなどの薬剤を注射します。

しかし、薬剤の注射による神経ブロック療法の効果が十分に得られない場合には、三叉神経を破壊して神経の伝達を遮断するために、三叉神経の中に存在するたんぱく質を高周波電流の熱によって固める高周波熱凝固法(こうしゅうはねつぎょうこほう)を行ないます。

神経ブロック療法の効果は半年から2年ほど続きますが、その後痛みが再発する場合があり、その場合は再度神経ブロック療法を行なうことができます。
ただし、副作用として顔面にしびれが現れる場合があり、後遺症としてずっと残る場合もあります。

放射線療法

放射線療法とは、ガンマ線と呼ばれる放射線を三叉神経の根元に照射することで、痛みを緩和させる治療法です。
放射線療法は、薬物療法の効果が十分に得られない場合に行なうことが多いですが、薬物療法と同時に行なう場合もあります。

放射線療法は、患者の体への負担が少ないというメリットから、高齢者の患者に対し行なわれる場合が多く、約60~80%の方が治療効果を得ることができます。

しかし、再発率が約30%と高いうえに、治療後には顔面のしびれ、むくみや脱毛、正常な細胞の壊死(えし)といった放射線障害などの副作用が現れる場合があります。

外科療法

薬物療法や神経ブロック療法、放射線療法は痛みを緩和させる対症療法ですが、三叉神経痛を唯一完治へと導くことができる治療法が外科療法です。
外科療法では、三叉神経を圧迫している血管を引き離すことで、症状を改善させる神経血管減圧術(しんけいけっかんげんあつじゅつ)を行ないます。

神経血管減圧術は全身麻酔をほどこし、三叉神経痛を発症している顔面側の耳の後ろを切開し、数㎝の穴を頭蓋骨に開け、顕微鏡で観察しながら三叉神経を圧迫している血管を引き離します。

手術時間は2時間ほどで終了し、治療効果は手術直後から得られますが、手術による痛みが1~2週間ほど続くこともあります。
また、ごくまれに再発する場合があるほか、顔面麻痺(まひ)、聴力低下や耳鳴りなどの聴覚障害、物が飲み込みづらくなる嚥下(えんげ)障害、感染症による発熱や細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)などの合併症を引き起こす場合があります。

三叉神経痛を発症すると初期段階では鈍痛(どんつう)が現れ、進行するにつれて耐えられないほどの激しい痛みが現れますが、発症そのものを予防することはできません。
そのため、症状を悪化させないように初期段階で適切な治療をほどこすことが重要です。

しかし、初期段階の三叉神経痛は虫歯に間違われる場合が多いうえに、症状が悪化しても見た目には変化が現れないため、他人に理解してもらえず、そのことが精神的にストレスとなる場合も少なくありません。

また、痛みを放置すると症状は悪化し、激しい痛みによって正常な日常生活を送ることが困難になる場合もあります。
そのため、少しでも顔面に痛みを感じた場合や、歯科医院を受診したものの虫歯ではなかったという場合には、三叉神経麻痺を疑い、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。

病院で適切な治療を受けることによって、強い痛みに悩まされ続けることがなくなる可能性が高いため、放置するのはやめましょう。

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