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パーキンソン症候群を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2018/05/28 頭・脳・神経の病気

パーキンソン症候群とは

19世紀になったイギリスにて、ジェームズ・パーキンスという医師によって報告された病気のことを、そのまま医師の名前をとり「パーキンソン病(ぱーきんそんびょう)」と呼ぶようになりました。

主な特徴として、50歳を過ぎたあたりから手足の震えが気になりはじめ、そこからゆっくりと病気が進行していきます。
症状の経過は一般的に、片側に症状があらわれたのちに両側に広がり、体のバランスが悪化します。

その後も進行が進むと、介助なしでの日常生活を送ることが非常に困難になり、寝たきりの状態になることが珍しくありません。

パーキンソン病は、日本国内だけでも100,000人以上の患者数が存在しており、これは脳の神経系の病気のなかではもっとも多くなっています。

また、世界的に見てもこの病気の症状を抱えている人は少なくはありません。
しかしながら、世界の人口から見れば稀有な病気であるということでしょう。
なお、日本では「指定難病」として扱われています。

パーキンソン症候群(しょうこうぐん)とは、実はパーキンソン病とは違いがあり、「パーキンソン病ではないが似たような症状があらわれる病気」の総称として使用されている病気の名称です。

指定難病とは

人口の1%以下の人が患っている稀有な病気のなかでも、確立された効果的な治療法がなく、長期的な治療を必要とする病気と認定されているもののことを言います。

パーキンソン病とパーキンソン症候群の症状はほぼ同じであると考えられています。

パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いとして挙げられる項目

・疾患の原因として、脳血管障害、薬剤、神経変性疾患をはっきりと特定できる場合はパーキンソン症候群とされる
・治療を試みた際、パーキンソン病の治療薬で思うような改善が見られなければパーキンソン症候群とされる
・脳血管障害、薬剤、神経変性疾患の特定ができず、なおかつ治療薬で明らかな改善が見られればパーキンソン病とされる

パーキンソン病には効果の非常に高い治療薬があり、その薬の投与で症状の明らかな改善が見られます。
薬は「レポドバ」と呼ばれるもので、パーキンソン症候群の場合にはこの薬の投与では症状が改善されないことが知られています。

必ず50歳を超えてからかかる病気ではない

パーキンソン病は一般的には、年齢が50歳を超える頃に患うと言われています。

しかしながら例外もあり、40歳より前に発病する若年性のものや、50歳頃には症状がなくても70歳を超えた頃に患うケースもあります。

病気の進行速度にも個々で差があるのが特徴で、速いスピードで進行する場合もあれば、非常にゆっくりとした進行で、発病から10年以上が過ぎてもあまり意識しないでいられる場合もあります。

パーキンソン病は普段はあまり聞き慣れない病名ですが、年齢を重ねれば患う確率は誰にでも存在する病気です。

しかしながら、近年のこの病気の治療の研究は優秀で、多くは病気にかかっても天寿をまっとうすることが可能となっています。

パーキンソン症候群の原因

パーキンソン症候群は原因となったものの種類によって、いくつかに分けられます。

症候性・原因がはっきりとわかる場合

・脳血管障害性
軽度の痴呆や歩行の障害、物をうまく飲み込むことが難しい嚥下(えんげ)障害などが見られます。
頭部のMRI検査をおこなうと、血管障害をはっきりと捉えることができるため原因の特定が可能となります。

・薬物性
ある種類の薬剤の服用によって、その薬が持つ効果や副作用が原因となって症状があらわれます。
歩行障害が見えることで気づきやすいパーキンソン症候群です。
原因ははっきりとしているものの、パーキンソン病との区別をつけるのが難しい症状を見せる場合があります。

変性疾患・原因の特定が難しい場合

レヴィー小体系痴呆症

パーキンソン病の特徴と痴呆症の特徴を併せ持つのが特徴で、男性に多く見られます。

線条体黒質変性症

頭部のMRI検査をすると特徴的な症状がわかる場合もあります。

進行性核上性麻癖

歩行時に転倒しやすい、嚥下障害が見られる、眼球運動の障害が見られるなどの特徴があります。
嚥下障害の影響でむせやすい面もあります。

ジャイ・トレージャー症候群

男性患者の割合が多く、一般的に40代から60代の層で発病します。
起床時に血圧が異常に下がり、重い場合には失神の可能性もある「起立性低血圧」の症状が多いのが特徴です。

これらの症状が見られればパーキンソン症候群としてパーキンソン病と区別され、適切な治療を進めることになります。

パーキンソン症候群の症状

症状として挙げられるもののほとんどは、パーキンソン病と共通しているものが多くあります。

運動障害

・とくに運動もしていない安静時に手足の震えがある
・筋肉が引きつったようにこわばる
・あらゆる動作が鈍く、遅くなる
・足が張り付いたかのように重くなり、上手く動かせず歩行ができない
・体のバランスを保つ能力である「姿勢反射」が衰え、よくよろけるようになる
・自分の目線より下、または上のものを見るのがつらくなる(眼球運動の障害)

自律神経の障害

・起床時に血圧が下がり、場合によっては失神してしまう「起立性低血圧」
・汗をかきにくくなる

精神的な症状

・睡眠中に異常な動作が見られる「レム睡眠行動異常」
・うつの症状があらわれる
・脳卒中などの後遺症として知られる「失語」の状態になる。
・言葉を話すことや理解することが難しくなる。
・認知症の症状があらわれる

パーキンソン症候群の検査と診断

パーキンソン症候群の検査では、主にパーキンソン病でおこなうことのある検査が中心となっています。

歩行状態の解析

モーションキャプチャーという技術を用い、歩行障害の様子をビデオ撮影して観察します。

脳のMRI検査

現在の脳の形を観察するためにおこないます。
一般的なMRI検査では異常をとらえることが難しい場合もありますが、3T MRIを用いると中脳黒質緻密層の異常を見ることができる場合があります。

脳の血流量の分布の確認

前頭葉、後頭葉を中心に、脳全体の血流量の低下の状態を観察します。

ルンバール(髄液穿刺)

パーキンソン病・レヴィー小体型認知症において、ある特殊な蛋白(アルファ・シニュクレイン蛋白)を測定します。

パーキンソン症候群の診断に有効ですが、この検査方法は結果が出るまでに時間がかかるのが特徴です。

遺伝子の検査

家族性・若年性パーキンソン病・パーキンソン症候群など、遺伝子の変異に原因がある可能性がある場合に用いられる検査方法です。

末梢血を用いた検査方法ですが、こちらも結果が出るまでに時間がかかります。

脳波の観察

現在の脳の機能を調べます。
脳全体の機能に変異がないか、またはてんかん性の脳波が出ていないかを中心に観察します。

感覚・聴覚・視覚のといった「感覚」をつかさどる神経の通り道を調べるもので、この検査はパーキンソン病の診断にはあまり用いられません。
パーキンソン症候群の疑いがある場合にとられる方法といっても良いでしょう。

自律神経の働きを調べる

よくむせる、物の飲み込みが難しいなどの嚥下障害の有無について検査します。
必要と判断された場合には耳鼻科にて喉頭ファイバースコープを用いた検査がおこなわれます。

心臓MIBGシンチ

抹消自律神経への変異がないかを確認する検査です。
パーキンソン病・レヴィー小型認知症において、抹消自律神経への変異から心臓交感神経の働きの低下が見られる場合があります。

この検査では、具体的に変異を画像で捉えることが可能です。

キューエルガット

パーキンソン病・レヴィー小型認知症を患っている人が重い便秘も患っていることがしばしばあることを参考に、トランジットというカプセルを飲み込んでの検査、直腸の圧力を測るための便ラボ検査を試みるものです。

膀胱の自律神経の検査

膀胱の圧力を測る検査です。
パーキンソン病・パーキンソン症候群の疑いがある人のなかでも頻尿や尿もれ、排尿困難の症状が見られる人に対しておこなわれる検査です。

起立性の確認

立ちくらみや失神、食事中や食後の失神などの症状が見られる場合におこなわれます。
具体的には起立時の負荷、糖分負荷での血圧を繰り返し計測し、観察する検査です。

食後に起こる低血圧の状態を詳しくゆっくりと調べるため、検査をおこなう際はラコールや栄養食品などの基準食の摂取をする場合があります。

抹消自律神経の検査

立ちくらみの症状が見られる場合におこなわれます。
具体的には心電図の解析と血液検査で、血液中のノルアドレナリンの量を測定します。

サーモグラフィー検査

体の冷え、またはほてりの症状が見られる患者に対しておこなわれます。
皮膚の温度や脈の波を観察します。

フル・ポリソムノグラフィ検査

異常ないびきや寝言の症状が見られる場合におこなわれる検査方法です。
レム睡眠時の異常行動がどの程度なのかを調べます。

これらに加え、日常生活でのストレスやうつの症状の有無、それらがあった場合は評価表を用いての評価や心理検査がおこなわれることがあります。

検査をおこなっても判断がつかなかった場合には、パーキンソン病の治療薬である「レポドバ」の投与がある場合もあります。

これはパーキンソン病ではなくパーキンソン症候群であることを確認する目的でおこなわれるものです。
もし、レポドバで症状に改善が見られればパーキンソン病であると判断されます。

パーキンソン症候群の治療法

パーキンソン症候群の治療は長期に渡ることがほとんどです。
また、短い期間で完治するといった劇的な変化がないことも特徴です。
医師の診断とアドバイスをきちんと受け入れ、適切な治療を継続することが鍵となります。

原因となっている薬物の中止や置き換え

なんらかの薬物が原因となっているとはっきり判別できる場合は、可能であればそれらの薬物の投与を中止することで症状の改善を試みます。

薬剤性パーキンソニズムの原因になりやすい薬物として抗精神病薬の副作用が知られるため、精神的な疾患で薬物の投与を必要とするときには、できるだけ副作用の少ない種類の薬物の選択や、アマンタジンや抗コリン薬を併用することで合併症を予防するなどの工夫がされる場合があります。

脳の疾患が原因となっている場合の治療

脳梗塞、脳血栓、脳卒中などの疾患を原因とする場合は、これらの疾患の原因となるものの予防も意識します。
主に食生活の改善や生活習慣の見直しなどから、脳の疾患を引き起こさない生活を基本とすることからはじめます。

脳内のドーパミンを補充するための治療

脳内のドーパミンが不足した状態の継続を防ぐため、常にドーパミンを補う治療が必要とされます。

これは長期に渡り継続しておこなうことが重要なので、途中で治療をやめたり来院を中止たりしてしまうと、続く高熱や突然の意識障害に悩まされることになります。

意識障害は命の危険に及ぶ場合も多いので、きちんと治療を続けることがパーキンソン症候群と付き合って生きていくためのポイントです。

医師とのコミュニケーションを図り、アドバイスを受け入れて治療を進めていきましょう。
詳報された薬は指示通りにしっかりと使用し、不安なことがあればすぐに相談するようにしましょう。

パーキンソン症候群は何科で受診するのか

パーキンソン病・パーキンソン症候群ともに、基本的には「神経内科」で受診します。
手の震えが気になりはじめた、歩行障害を感じるようになったなど、パーキンソン病の疑いを持った場合には、早めに来院するようにしましょう。

総合病院や大学病院などの規模の大きな病院を訪れ、適切な診療科を紹介してもらうという方法も良いでしょう。
また、パーキンソン病を専門に検査・治療する病院も存在します。

来院の際には日常生活で気になる点や実際に起こった症状を伝えるとともに、普段から服用している薬があればその申告も忘れずにおこないます。
お薬手帳を所持している場合は、持参して直接医師に見せることが望ましいでしょう。

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