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脳梗塞の薬物療法についてのまとめ

公開日: : 頭・脳・神経の病気, 脳卒中, 脳梗塞

薬物療法について

脳卒中は脳内の血流に支障をきたすものであり、特に脳梗塞は日本人の死亡率でも高い割合を占めているため、問題視されています。
脳内においては血流が滞っている状態であるため、治療方法としては手術のほか、薬物療法も行われます。
薬物療法は長い期間にわたって続けられていくことになりますが、患者さんにとっては身体にかかる負担が比較的少ないものになっています。
症状が現れて以降、頭部の血流を補助する薬剤が用いられて病状の進行を抑止するとともに、再発も防止します。
急性の脳梗塞に対しては脳内の細胞を保護し、血液の正常化をうながすために薬剤が使用されます。
脳梗塞では血管内に血栓が詰まっていますから、急性期における治療として血栓を溶かす血栓溶解療法が推奨されています。
静脈に血栓溶解薬であるt-PAを注射することによって、血流を取り戻します。
ただ、その有効性は脳梗塞が発症してから3時間以内が目安とされていて、なかなかその時間内に治療を開始することができないという患者さんも少なくありません。
ほかの治療法を選択しなければならない場合、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞であれば、アスピリンなどによって血液が固まらないようにする急性期抗血小板療法が行われます。
アテローム血栓性脳梗塞に対しては、同じく血液の凝固を防ぐ薬であるアルガトロバンが有効であるということから、使用されています。
心原性脳塞栓症である場合には、心臓への治療も同時に行われることになります。

血栓溶解療法

脳梗塞の薬物療法として血栓溶解療法は、血管が詰まる原因になっている血栓を溶かすものです。
それによって停滞している血流を元の状態に戻し、梗塞の部位を正常な状態へ戻します。
脳卒中は脳の血管に異常が起こっている脳の病気であるため、脳細胞が損傷を受ける前に血管が正常な状態に戻れば、治癒することになります。
損傷があるとしても度合いが軽いものであれば、リハビリテーションによってある程度の機能を補うことも可能であるため、まずは原因になっている血栓を取り除くことが最優先となります。
血栓溶解療法では脳梗塞を発症してから3時間以内にt-PA、ウロキナーゼなどといった薬剤を投与します。
3時間を超えると治癒率は急激に下がり、3時間以内の投与でまったく後遺症もなく完全に回復したという事例もあります。
そこまで極端ではなくても早い段階で血栓溶解療法を実施することができるほど、後遺症が残る可能性は低くなります。
完全な成功例が少ない理由については、そもそも3時間というタイムリミットの中で治療の開始が間に合わないという場合がほとんどであり、脳が損傷を受けている状態で治療を開始するケースが多いことによります。
また、血栓溶解療法で用いられる薬剤は強力である反面、副作用として出血をもたらすリスクもあります。
脳出血は、脳卒中の中で脳梗塞よりも死亡率が高くリスクを回避するか、リスクがあっても血栓溶解療法を選択するかという決定も簡単なものではありません。

抗凝固療法

脳梗塞の薬物療法には抗凝固療法というものがあり、血栓を構成しているフィブリンと血小板の融解をうながす薬剤が投与されます。
そもそも血栓は、健康な状態でケガをしたときにつくられる血液の蓋と同じものです。
これが身体の表面にある傷口であれば問題もありませんし、自然に融解することを待っていれば良いというだけのことでもあります。
問題は、これが脳の病気として脳の内部にある血管にできる場合です。
これが、脳梗塞を含めた脳卒中の原因となるのです。
こういった場合には場所が場所であるだけに、悠長に自然な融解を待っていては手遅れになってしまいます。
そのために融解をうながす血栓溶解剤、抗凝固薬などの薬剤を投与するのです。
脳の病気は時間との戦いでもあり、ゆっくり待っていて良いことはありません。
使用される薬剤としてはヘパリンナトリウム、アルガトロバン、ワーファリンなどが挙げられ、いずれも血液が固まりにくくなる作用を持っています。
血中の凝固阻害因子に結びついて強化し、またその効果を持続させる薬です。
急性期において一刻を争っている時期から、長く続いていく慢性期に至るまで抗凝固療法には効果が期待されます。
ただし抗凝固療法に使われる薬剤はビタミンKとの相性が悪いため、ビタミンKを含んでいる納豆や青汁、クロレラ、モロヘイヤなどの食材は避ける必要があります。
治療中に入院中であれば、入院食からも該当する食品が除外されることになります。

抗血小板療法

抗血小板療法は、脳梗塞に対する薬物療法として行われることがある治療法です。
薬剤によって血栓をつくっている血小板の機能が抑えられることで、血流も改善されることになります。
使用される薬としてはクロピドグレル・アスピリン・シロスタゾール・オグザレルナトリウムなどが挙げられます。
薬は血小板を凝集させる因子の生成について妨害することで、血小板が凝固しにくい状態にします。
つまり血小板そのものはある中で、それが凝固しにくい環境を整えることで脳梗塞の状態を改善するということになります。
使用されている薬剤ではアスピリンがもっとも知られていて、脳の病気に用いる薬としてよりも風邪薬として処方されることが多くなっています。
副作用が軽くて済み、また経済的であって長く服用することが可能であるというメリットもあります。
そのほかの薬剤は急性期の症状に対して使われることが多い一方、アスピリンは慢性期の症状に対して再発を防止する目的で使用されることが一般的です。
血小板は、健全な状態であれば傷口をふさぐために血液を凝固させ、出血しないようにする役割を担っています。
しかしながら脳梗塞を発症している場合ですと血栓を作ってしまうため、症状を改善する上での弊害になるのです。
そこで機能を低下させることで血栓の融解がうながされ、再発防止効果も期待されます。
抗血小板療法では動脈硬化が重度であって再発するリスクも高い場合ですと、2種類以上の薬剤を組み合わせて投与することもあります。

脳保護療法

脳卒中は脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血に分けられます。
脳の病気を治療するとなると手術というイメージも持たれているところですが、脳梗塞の治療については薬物療法も多く用いられています。
脳保護療法はそのひとつであり、脳細胞がダメージを受けないようにすることを重視します。
脳梗塞が発症したときには血流が止まってしまうため、脳ではその範囲において機能が停止してしまいます。
ただ、すべての脳細胞は壊死してしまっているというわけではなく、仮死状態にあるものも少なくありません。
血流が止まっている部分では血液中で活性酸素がつくられているため、それが周辺にある細胞を傷つけることによって脳細胞はダメージを受ける可能性があります。
そこで脳保護療法として活性酸素除去剤であるエダラボンを使用すると、活性酸素の活動が抑えられ脳細胞もダメージから守られます。
脳保護療法に有効性があるタイミングは、脳梗塞が発症してから24時間以内です。
時間がそれ以上になってしまうとダメージを受ける範囲が確定してしまうため、治療の意味がなくなるのです。
発症してから早い段階であることによって、脳のダメージが防がれます。
脳梗塞の種類は問わず、脳保護療法はあらゆるケースで有効です。
多くの人に用いることができ効果も高い治療法であるのですが、残念ながら腎臓へダメージを及ぼす可能性もあります。
実際に、急性腎不全が起こったという事例もあります。

抗浮腫療法

脳の内部で血管が詰まり、血流が行き届かないために脳細胞が破壊されてしまい、脳梗塞は引き起こされます。
それに対して、抗浮腫療法という治療法があります。
脳細胞は破壊されると壊死してしまい、梗塞が起こった範囲は浮腫を起こします。
細胞が持っている水分調節機能も失われてしまうため、水を吸うほか血漿が染み出すことによって、いわゆる水ぶくれの状態になっているのです。
浮腫が起こることによって、正常な細胞までも圧迫を受けることで壊死してしまいます。
そのため抗浮腫療法では、水分を吸収して尿などにすることで浮腫を抑制します。
抗浮腫療法は薬物療法でありグリセロール、果糖などが薬剤として使用されます。
静脈注射などによって血液中へ投与することで、一時的に血液の浸透圧は引き上げられます。
そこで身体は脳細胞から水分を吸い取り、尿へしようとします。
治療法としては効果が非常に高いものの、身体が本来持っている機能とは違ったところで意図的にバランスを変え、ある意味では強制的に尿を出すものであるため、腎臓に対しては大きな負担がかかることになります。
それとともに心臓へかかる負担も大きいため、元から腎臓や心臓に不安があるという人には向いていません。
特に衰弱している高齢者ですと、そもそも抗浮腫療法は選択肢にすることができないという場合もあります。

血液希釈療法

脳梗塞のうち脳内にある毛細血管が動脈硬化を起こし、脳の中で血行が悪くなったことによって発症するものはラクナ梗塞といいます。
ラクナ梗塞では、治療法として血液希釈療法がよく用いられています。
毛細血管はとても細いものであり、梗塞によって詰まってしまうとなると元から細いものがさらにせばまっているわけですから、そこへスムーズに血液を通すということを考えなければなりません。
血液希釈療法は薬物療法であり、溶液によって血液を希釈することで粘性も下げ、血管へ通すようにします。
使用される低分子デキストランは、一般的に大量の出血が起こっているときなどに血圧が低下しないよう使われています。
輸液というかたちで使うことによって血液が水増しされた状態になり、血圧も安定することになります。
ラクナ梗塞の治療では、低分子デキストラン溶液が流れの悪くなっている血液を希釈して、流れやすくする目的で使用されています。
薄めるられて粘性もなくなった血液は、細い血管であっても流れやすいのです。
そうすることによって脳の全体に流れる血液の量も増え、詰まりにくくなります。
血液希釈療法によって確認されている副作用はないものの、明確に効力が証明されているというわけでもありません。現状では副作用がないということで、症状を改善するために用いられているところもあります。

低体温療法

脳梗塞は、血液が詰まることによって発症します。
血流が脳まで行き届かなければ脳細胞の壊死する範囲が広がっていき、これを一刻も早く食い止めなければ症状は悪化していく一方です。
血流が閉塞していると浮腫が起こり、損傷箇所も拡大していってさまざまな症状へつながり、最悪は生命が失われることにもなってしまいます。
状況によってはすべてを同時に治療するということも困難であるため、薬物療法として低体温療法が選択される場合もあります。
低体温療法は、どのようなタイプの脳梗塞にも利用することのできる治療方法です。
生鮮食品を保存するにあたって冷蔵保存する目的は、温度を下げることによって活動を停滞させるためです。
端的には低体温療法も同じ目的のために行われるものであり、脳梗塞の症状を進行させないことが目的です。
脳細胞が破壊されていく速度も遅くなるため、治療にかける時間をより長く確保することができるということになります。
症状が悪化していかないわけですから、その間は治療を進めるにしても余裕があります。
低体温療法にあたっては、全身麻酔によって筋肉が収縮しないようにします。
しかしながら、低体温である状態が長く続いていると脳のほかにも障害が現れることになります。
そのため、あくまで脳の病気について治療するための時間を捻出するということが主目的です。

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