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肺吸虫症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/02/11 未分類


肺吸虫症はその名が示す通り、肺に吸虫類が寄生する病気です。

感染によって引き起こされる症状は多様で、場合によっては深刻な状態に陥ることもあります。
ここでは具体的な症状について、紹介します。

肺吸虫症の症状

肺吸虫症による主な症状は血痰と咳です。

悪化すると胸水の貯留や気胸なども引き起こされ、その状態になると胸が苦しくなります。

X線撮影などを行うと、肺がんや肺結核に近い状態が見て取れます。

原因となる肺吸虫は肺以外の臓器に寄生することもあり、中枢神経などにもダメージを与えることがわかっています。

肺以外の臓器が損傷される場合は、症状のあらわれ方はゆっくりで、症状は少しずつあらわれます。

症状の進行中に呼吸困難や喀血、胸痛、慢性の咳などがあらわれることもあります。

これらの症状は結核と近いため、勘違いされることも珍しくありません。

もっとも重大な状態となるのが、脳に侵入された場合です。

そうなると脳腫瘍のような症状があらわれ、視覚障害や半身麻痺、てんかん、失語といった重篤な状態になります。

また、人によっては髄膜炎などが引き起こされることもあり、こういった脳への重大なダメージは肺の症状が確認されてから1年以内にあらわれると言われています。

日本国内では複数の肺吸虫症が確認されていますが、そのなかでウエステルマン肺吸虫と宮崎肺吸虫による感染例は増加傾向にあります。

ウエステルマン肺吸虫に感染すると、易疲労や微熱、腹痛、胸痛、慢性の咳、血痰といった症状があらわれます。

皮下に寄生された場合は移動性のある腫瘤があらわれることもわかっています。

肺吸虫症の原因

肺吸虫は肺に吸虫類が寄生することで、発症する病気です。

成虫は体長1cmほどで、レモン型が特徴の寄生虫です。

日本国内でよく見られるのがウエステルマン肺吸虫と宮崎肺吸虫の2種類です。

ウエステルマン肺吸虫は主に肺に虫嚢を形成して寄生し、ほかにも脳、胸腔、腹腔などに寄生する場合もあります。

ウエステルマン肺吸虫はモクズガニから感染することが多く、宮崎肺吸虫の場合は、サワガニから感染することがほとんどだとされています。

また、それほど多いわけではありませんが、肺吸虫の幼虫が寄生したイノシシの生肉を食べて感染にいたったという症例も報告されています。

人間に感染できる肺吸虫は30種類以上ありますが、そのなかでもっとも感染頻度が高いのがウエステルマン肺吸虫だと言われています。

もっとも多く流行しているのが極東で、日本だけでなくフィリピンや中国の山岳地帯、台湾と広い地域で確認されいています。

また、アフリカ西部や中南米の一部地域でも流行していると言われています。

これらの地域での流行は、食生活の改善や衛生管理などによって、その発症例は減少傾向にあると言われています。

そのため、主な感染経路としては、山岳部に住む人が獣肉を狩猟して口にすることで感染に至るということが多いとされています。

また、散発的に行われるサワガニなどの摂取によって感染するといったことも、ときにみられます。

サワガニなどを十分に加熱せずに食すことは日本人はあまりないですが、一部の在日外国人が未加熱の状態で食すといったことが近年起こっています。

特にサワガニを加熱せずに食べる習慣のある中国人や韓国人の間で頻繁に起こっており、問題となっています。

今後そういった症例を予防するためには、感染経路や感染源の周知が必要となるでしょう。

痰あるいは糞便に出された卵は、淡水のなかで数週間にわたって発育し孵化したあとにミラシジウムが排出されます。

ミラシジウムは淡水貝に入り込み、発育しつつその数を増やし、セルカリアに変化して水のなかに出ます。

セルカリアは淡水で生息するカニやザリガニなどに入り込んで、被嚢してメタセルカリアをつくり出します。

それを生の状態、もしくは十分に加熱されていない状態で口にすると感染します。

メタセルカリアは人間の消化管で脱嚢して腸壁を突き破って腹膜へと入り込みます。

そして横隔膜を通過して胸腹腔へと移って、肺組織へ入り込んで被嚢したのちに、雌雄同体の成虫へと変化します。

成虫は肺だけでなく皮膚や脊髄、リンパ節、肝臓、脳などでも成長することもあり、成虫は20~25年ほど生息し続けると言われています。

肺吸虫症の診断

肺吸虫症の診断は、痰もしくは糞便を確認し、大型の有蓋卵の有無によって行われます。

場合によっては胸水あるいは腹水のなかで虫卵が検出できることもあるので、それによって診断が行われることもあります。

虫卵は常に放出されるわけではなく、数もそれほど多くありません。

そのため、発見は非常にむずかしいと言えるでしょう。

濃縮法という方法を用いると、発見しやすくなると言われています。

X線検査が行われることもあり、診断の役には立ちますが、確定診断にいたるわけではありません。

胸部X線では環状陰影、空洞化、肺膿瘍,胸水、気胸、小結節、びまん性浸潤などが確認されます。

肺吸虫成虫がとどまっている箇所は、胸部X線では肺の影のようにうつります。

そのため、肺がんや結核と勘違いされることも珍しくありません。

肺吸虫が1カ所にとどまらずに移動することもあり、その場合はX線検査で肺水貯留などが確認されます。

血清学的検査は軽い感染、あるいは肺外感染の診断に有用な場合があります。

肺吸虫症では白血球のひとつである好酸球の増加がみられます。

そのため、胸部X線検査でなんらかの異常が確認され、さらに好酸球の増加がみられるようなら肺吸虫症の可能性が高まります。

肺になんらかの異常がみつかったのに虫卵が発見できない場合、そして肺以外の場所に寄生されている可能性がある場合は血清学的検査は非常に有用です。

血痰が確認される場合は、肺吸虫症の可能性だけでなく結核の疑いがあるため、2種類の検査が必要になります。

肺吸虫症の治療

肺吸虫症の治療では抗寄生虫薬を用いた薬物療法を行うことになります。

主に使用されている薬はプレジカンテルで、25mgを1日3回服用するのが一般的です。

プレジカンテルを用いることで、肺感染症のほとんどは改善すると言われています。

プラジカンテルは排外感染の治療に有用とされていますが、治療は長期的になることもあります。

この薬が使用できない場合は、ビオチノール50mgをかわりに用います。

この薬は1日おきに服用するのが効果的だと言われています。

しかし、副作用のリスクなどもあるため、できる限りプレジカンテルを用いることになります。

胸水がたまっているようなら、胸水を取り除いてから治療を開始します。

皮膚や脳への病変を確認される場合は、手術が必要になることもあります。

肺吸虫症の予防

肺吸虫症の予防で大切となるのが、体の中に幼虫をもっているサワガニやモズクガニ、ザリガニを食べないようにするということです。

食べる場合はしっかり加熱処理をしてから、食べることが大切です。

感染した豚やイノシシから感染する可能性もあるので、これらの肉を食べる場合もきちんと加熱処理をしてから口にするようにしましょう。

感染の可能性がある食材を調理する場合、まな板や包丁などの調理器具に幼虫が付着している恐れがあります。

調理器具を介して感染することもあるので、つかい終わったらしっかり洗浄して付着物を落とすことが大切です。

洗浄を徹底すれば、そのあとにほかの食材を調理した際に感染するのを防ぐことができます。

また、肺吸虫が脳に寄生すると、症状は重篤化してしまう可能性が高まります。

そのため、肺になんらかの症状があらわれた時点で、診断を確定してしかるべき治療を受けることが重要となります。

早めに治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。

こういった場合は抗寄生虫薬が有用となるので、早めに服用することで症状の重篤化を予防することができるのです。

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