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特発性アジソン病の原因・症状・検査・治療について

公開日: : 最終更新日:2015/07/16 未分類

特発性アジソン病の原因

副腎皮質ホルモンは人間が生きていくうえで不可欠なもので、健康状態に問題がない場合は体の状態に合わせて適切な量が分泌されます。
この副腎皮質ホルモンがなんらかの要因によって、体に必要な量を適切に分泌することが不可能となることを副腎皮質機能低下症と言います。
この症状には、副腎そのものが病気なったケース、そして副腎皮質ホルモンの分泌をコントロールする下垂体が病気になるケースのふたつがありますが、アジソン病は副腎の病気をきっかけとして起こるものに分類されます。
副腎は両側に位置する腎臓のうえにひとつずつありますが、ふたつの副腎の90%以上が損傷を受けるとアジソン病となります。
アジソン病の原因については、感染症もしくはそのほかの原因と特発性に分けられます。
感染症に関しては、結核をはじめとして、真菌性や後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併するものが挙げられます。
特発性アジソン病は自己免疫性副腎皮質炎によって起こる副腎皮質低下症に分類されますが、ほかの自己免疫性内分泌異常を合併することから、
多腺性自己免疫症候群とも呼ばれます。
特発性アジソン病は抗副腎抗体陽性であることがほとんどで、ステロイド合成酵素の P450c21, P450c17といったものが標的自己抗原と考えられています。
日本国内のアジソン病発症者は、年間で660人ほどいると言われ、特発性アジソン病はもっとも高い割合を示すとされています。
特発性アジソン病は年々増加傾向にあるとも言われて、深刻な問題のひとつとしてとられられています。
アジソン病は成人に多く見られ、ほかの要因は特定の年代に集中していますが、特発性アジソン病は発症年齢が幅広く分布しています。
男女差については、比率は同程度とされています。
特発性アジソン病で、ほかの自己免疫性の内分泌疾患や病気と合併が見られるもののうち、遺伝子との関係が指摘されるものもあります。

特発性アジソン病の症状

男性ホルモンや糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドなど副腎皮質にはいくつか種類があります。
アジソン病では糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドの不足が確認されており、欠損症状としてさまざまな症状が引き起こされます。
生じる症状は多様ですが、低血糖や低血圧、便秘や下痢などの胃腸症状、体重減少、色素沈着、倦怠感、脱力感などがよくあらわれます。
特に倦怠感や脱力感は、発症初期段階で頻繁に確認される症状です。
初期に見られる症状はほかの疾患でもしばしば見られる症状のため、神経症などと誤診されることも少なくありません。
色素沈着は肌の露出箇所に起こる傾向が強く、頻度は少ないですが露出していない皮膚のしわなどが黒ずむことがあります。
色素沈着は特に深刻で、薬などで治療を行っても完全には治らない場合もあります。
また、精神症状として集中力の低下や不安感などもあり、恥毛や腋毛が抜けるといった症状もあらわれる頻度の多いものと言えます。
体重減少は、発症後しばらくは見られず、後期にいたってあらわれる症状です。
特発性アジソン病の場合は、真菌症や貧血、糖尿病、甲状腺疾患などと合併するケースが多く、これらにともなう症状が出現することもあります。
また、適切な治療を行わないと副腎クリーゼが発症することもあります。
副腎クリーゼになると腰背部や下肢、腹部の激痛、末梢血管虚脱、著明な無力症などが起こります。
そして最終的には腎機能が働かなくなり、高窒素血症が引き起こされることになります。
低体温が見られることもありますが、副腎クリーゼが急性感染の影響を受けて悪化すると、高熱が出る場合があります。
副腎機能の一部をなくしてもほとんどの人は健康上の問題がないように見えます。
そのため、発熱などが重要な兆候となります。

特発性アジソン病の検査

アジソン病の診断では、尿検査や血液検査が主体となります。
ほかにも腹部CTやホルモンの検査が行われる場合があります。
ホルモン検査では血液に含まれる副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、尿に含まれる副腎皮質ホルモンを調べます。
さらに、ACTHやACTH放出ホルモン(CRH)を投与後の副腎や下垂体の様子を観察し、副腎の働きを確かめます。
副腎が損傷を受けた原因を特定するために、がん検査や自己免疫疾患の検査、結核などの感染症の検査などが実施されます。
アジソン病の診断では、ほかの病気との区別も重要となります。
症状のひとつである色素沈着は、ヘモクロマトーシスや慢性皮膚疾患、重金属の摂取、気管支原発の癌などによっても起こります。
ポイツ・イェガース症候群なども、直腸粘膜や頬粘膜の色素沈着が顕著に生じます。
色素沈着と同時に白斑が起こることでアジソン病と診断されることもありますが、ほかの疾患でも起こりえるのでさまざまな観点から区別する必要があります。
脱力症状もアジソン病だけでなく、ほかの疾患でも見られる症状と言えます。
アジソン病で起こる脱力は安静にして過ごすことで軽減するという特徴をもち、活動後よりも午前中に悪化しやすい精神疾患が原因の脱力とはちがいます。
アジソン病を含む副腎機能低下症では、糖新生が低下しているために食事を絶つと低血糖が生じます。
インスリン分泌過剰が原因の低血糖患者は、どんなタイミングでも低血糖発作が起こる可能性があります。
さらに、一般的には食欲増進による体重増加なども見られ、副腎機能には問題が起こっていません。
そういった点で、アジソン病との区別がなされます。
アジソン病における血清ナトリウム低値は、ADH不適合分泌症候群の希釈性低ナトリウム血症、塩類喪失性腎症、心疾患または肝疾患を伴う浮腫などにも見られるため、区別が必要となります。
こういった疾患患者には高カリウム血症、BUNの上昇、色素沈着などが見られないため、鑑別が可能となります。

特発性アジソン病の治療

アジソン病の治療では、足りていない副腎皮質ホルモンを補充することが基本となります。
副腎皮質ホルモンであるコルチゾール分泌は早朝がピークにとなり、夜は最小となります。
そのため、コルチゾールに近いヒドロコルチゾン10mgは午前中に服用するのが一般的です。
そして、量を減らしたものを昼食時と夕方に取り入れ、1日15~30mgを目安に服用します。
この薬剤は不眠症の原因となることがあるので、夜はできるだけ服用しないほうがいいと言われています。
それから、アルドステロンの補充のためにフルドロコルチゾン0.1~0.2mgを1日1回服用することもあります。
用量を的確にコントロールするには、レニン濃度がたしかに基準範囲に入るよう注意する必要があります。
起立性低血圧が見られず、正常な水分補給ができているようなら、適切な補充ができていると考えられるので、ひとつの目安とするといいでしょう。
人によってはフルドロコルチゾンの影響で、高血圧が起こる場合があります。
その場合は用量を調整するか、利尿薬以外の降圧薬を服用することで防ぐことが可能です。
急性副腎不全を発症した場合は、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドをできるだけ早く補充する必要があります。
また、糖分や塩分、水分も十分に補給することも大切です。
対処が遅れると命にかかわるので、すみやかにしかるべき治療を開始するようにしましょう。
その後も一生涯、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの補充をすることになります。
新生児や乳児への食塩補充は非常に大切なので、きちんと行う必要があります。
治療がうまく進んでいるあいだであっても、発熱などのストレスが起きると、副腎不全が生じて体調が急激に悪化することがあります。
その場合は、グルココルチコイドの内服量を増量するなどして対処することにより、悪化を防ぐことができます。
感染症などの疾患が併発している場合は、体調の急激な悪化が心配されるため、集中的に治療することが大切となります。
症状が起こっている期間は、ヒドロコルチゾンの量を増やすことが望ましいと言われています。
嘔吐や悪心などによって服用がむずかしい場合は、ほかの方法で投与することを検討する必要があるでしょう。
補充用のプレドニゾンの服用も大切で、用量や用法は医師の指示を受けて適切に服用することが重要です。
症状が急激に悪化するような緊急性を要する場合は、非経口ヒドロコルチゾンの自己投与も必要になります。
ヒドロコルチゾン100mgを事前に補填した注射器を常に持ち歩くようにすると、万が一の事態のときに対処することができます。
診断内容やコルチコステロイドの用量を書いた携帯用カードなどを用意しておくと、体調が急に悪化して意識を失ったときにも、ほかの人に対処してもらうことが可能です。
携帯用カードには、普段治療を受けている病院名、主治医の氏名、病名、病状などもくわしく記載しておくとなお安心です。
暑い時期は汗によって塩分が消失しやすいので、フルドロコルチゾンの増量も検討すべきだと言えます。
日頃の運動の習慣がない人が急激な運動をすると、いつも服用している薬量ではストレスに対応できないケースがあります。
放っておくと急性副腎不全症が起こる可能性があります。
高熱や腹痛、悪心、関節痛、強い倦怠感などの症状があらわれたら、急性副腎不全症が起きている恐れがあります。
人によってはショック状態となって、命を落とすこともあるので十分に注意しなければいけません。
1度破壊された副腎機能の回復は、残念ながら見込めません。
そのため、ホルモンの補充療法は一生涯つづける必要がありますが、それさえつづければ体調が悪化することなく過ごすことは可能です。
適切な治療を行うことで、予後を快適に過ごすことができるので、信頼できる医師と連携をとって根気強く治療をつづけていくことが大切だと言えるでしょう。

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