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卵巣がんを詳細に:種類,原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/05/10 女性に多い病気

卵巣とは

卵巣(らんそう)がんとは、卵巣に形成される悪性腫瘍のことをいいます。
卵巣とは子宮の左右両側に一つずつ存在する臓器で、サイズは直径で約2~3cmです。
女性ホルモンの分泌や排卵、月経など、女性にとって重要な役割を担っている器官です。

卵巣が分泌する女性ホルモンは、黄体(こうたい)ホルモンの「プロゲステロン」と卵胞(らんほう)ホルモンの「エストロゲン」の2種類があります。
これらの女性ホルモンによって妊娠を維持させ、月経を引き起こします。
また、閉経すると卵巣からエストロゲンは分泌されなくなりますが、ほかの部位が分泌するようになります。
月経や妊娠に大きく関係する卵巣ですが、「卵子を育てる」という働きも担っています。

女性の場合、卵子のもととなる「原始卵胞」を卵巣のなかに200万個ほど持って生まれてきます。
初潮がはじまると毎月1回、2つある卵巣のどちらかから成熟した卵子を1個ずつ排出する「排卵」を行ないます。
排卵されたあと、精子と受精しなければ月経を引き起こし、受精すると妊娠に至ります。

この排卵・月経・妊娠に大きく関わる卵巣に、何らかの原因で細胞に異常が現れ増殖すると「卵巣がん」となります。
また、卵巣がんは発生部位によって主に3種類にわけられています。

卵巣がんの種類

表層上皮性(ひょうそうじょうひせい)・間質性腫瘍(かんしつせいしゅよう)

表層上皮性腫瘍とは、卵巣表面の上皮近くに腫瘍ができる種類で、卵巣がんの多くを占めているタイプです。
間質性腫瘍とは、卵巣内の卵巣皮質と卵胞のあいだを繋ぐ卵巣間質に発生するがんです。

表層上皮性腫瘍と間質性腫瘍は40代から50代女性の発症率が高く、また卵巣がん患者の約70%を占めるほど患者数が多いという特徴があります。
表層上皮性・間質性腫瘍はさらに細かく分類され、リンパ節に転移しやすい「漿液性腺(しょうえきせいせん)がん」や、漿液性腺がんに似た性質を持つ「移行上皮(いこうじょうひ)がん」、閉経後に発症しやすい「粘膜性腺(ねんまくせいせん)がん」、ほかにも「明細胞腺(めいさいぼうせん)がん」や「類内膜腺(るいないまくせん)がん」などがあります。

胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)

胚細胞腫瘍とは、卵胞のなかの胚細胞が何らかの原因でがん細胞に変異し、腫瘍となるタイプです。
「胎児性癌(たいじせいがん)」「卵黄嚢腫瘍(らんおうのうしゅよう)」「未分化胚細胞腫(みぶんかはいさいぼうしゅ)」などの種類があり、卵巣に形成される腫瘍の約20%を占めています。

また、発症患者が10代から20代女性と若い世代に多いという特徴があります。

性索間質性腫瘍(せいさくかんしつせいしゅよう)

性索間質性腫瘍とは、胚細胞のなかの女性ホルモンを生成する細胞が、何らかの原因でがん細胞化して増殖し、腫瘍となったものをさします。
「セルトリ・間質細胞腫瘍(かんしつさいぼうしゅよう)」「線維肉腫(せんいにくしゅ)」などの種類があり、卵巣がん全体の約5~10%を占める比較的珍しい卵巣がんです。

日本人の卵巣がん患者数は年々増加しており、2008年のデータでは87人に1人が卵巣がんを発症しているとされています。
しかし、卵巣がんは初期症状が出にくく、がんが進行して腹水などの症状が出現した頃にはかなり病期が進行しており、完治は難しいとされています。
そのため、早期発見・早期治療が重要とされており、1年に1度は定期検診を受けることが推奨されています。

卵巣がんの原因

卵巣がんを発症する確かな原因は解明されていませんが、卵巣がんが担う「排卵」という働きと大きく関係していると考えられています。
また、卵巣がんを発症しやすいリスク因子として、遺伝や妊娠・出産経験の有無なども大きく関係していると考えられています。

排卵回数が多い

卵巣がんの原因の一つに、「排卵回数の多さ」が挙げられます。
卵巣は毎月1回排卵するたびに卵巣表面の表層上皮が損傷しますが、卵巣細胞自らが修繕を行ないます。
この修繕する際に卵巣細胞に異常が現れ、変異した細胞が増殖することで卵巣がんを発症します。

このことから、排卵回数が多い女性ほど卵巣細胞の異常を引き起こしやすく、卵巣がんを発症する可能性が高まるとされています。
そのため、排卵回数が多い「初潮年齢が早く、閉経年齢が遅い女性」ほど卵巣がんになりやすいとされています。

遺伝

卵巣がんの原因の一つに、「遺伝」が挙げられます。
遺伝子のなかでも「BRCA1遺伝子」と「BRCA2遺伝」に異常がある場合、卵巣がんを発症する可能性が高いとされています。
また、この2つの遺伝子は50%の確率で遺伝することも判明しており、母親や姉妹、祖母に卵巣がんを発症した経験のある方がいる場合は、この2つの遺伝子を保有している可能性が高く、将来の卵巣がん発症率が高いとされています。
しかし、この2つの遺伝子に異常があったとしても、卵巣がんを発症する可能性は25%前後とされています。

妊娠・出産経験がない方

卵巣がんは排卵回数が多いほど発症リスクが高まることから、妊娠・出産経験がない方はある方よりも卵巣がんの発症リスクが高いとされています。
女性は妊娠すると排卵が止まり、さらに出産後も授乳しているあいだは排卵しにくくなります。
そのため、妊娠中・出産後・授乳中を合わせると2年近く排卵されないという方もいます。
近年は日本人女性の晩婚化により子どもを持つ世帯が減ったほか、子どもの人数も減少していることから、日本人女性全体の卵巣がん発症率が高まっているとされています。

罹患歴

過去に子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)を患ったことのある方は、卵巣がんの発症リスクが高いとされています。
子宮内膜症とは、月経時に体外へと排出されるはずの血液が逆流して腹腔内に戻る場合があり、この逆流した血液に含まれる子宮内膜細胞が癒着(ゆちゃく)を引き起こして、月経時に癒着細胞から血液を排出しようとする病気です。
子宮内膜症を患うと卵巣にまで血液が逆流して癒着を引き起こし、この癒着細胞ががん化して卵巣がんを引き起こす原因になると考えられています。

その他

月経不順(げっけいふじゅん)の方、不妊症(ふにんしょう)の方、月経前症候群(げっけいまえしょうこうぐん)の症状が重い方などは卵巣がんを発症しやすいとされています。
これはこうした症状が卵巣の異常によるものが多く、卵巣に異常がある人ほど細胞異常を引き起こしやすいためと考えられています。
なお、月経前症候群はPMSともいいます。
また、生活習慣が乱れている方、食生活が乱れている方、タバコを吸っている方、糖尿病疾患(とうにょうびょうしっかん)を持っている方なども、卵巣がんを引き起こしやすいとされています。

卵巣がんの症状

卵巣がんは初期症状が現れにくいがんですが、特徴的な初期症状と末期症状があります。
また、がんが進行するとともに「腹水(ふくすい)」の症状が出現するケースもあります。

初期症状卵巣がんの特徴的な初期症状

腹部の膨満感(ぼうまんかん)があること

卵巣がんを発症すると腫瘍が腹部を圧迫するため、腹部の膨満感…イコールお腹が張った感じがするケースがあります。
体重が増加していないにもかかわらずスカートやズボンのお腹まわりがきついと感じた場合は、卵巣がんの可能性があります。

食事量の減少

卵巣がんの腫瘍によって腹部が圧迫されると、食欲が低下して食べる量が通常より減少する場合があります。

下腹部・骨盤の痛み

卵巣がんの腫瘍が5cm以上になると、卵巣を支える靭帯が支えきれずに、下腹部や骨盤に痛みを感じる場合があります。

頻尿(ひんにょう)

卵巣がんの腫瘍が大きくなると膀胱(ぼうこう)が圧迫されるため、頻尿になる場合があります。

末期症状

卵巣がんが進行し末期になると、初期症状の度合いがひどくなって現れます。
末期になると初期よりも腫瘍サイズが大きくなるため、腹部が圧迫されて食事量が減少するほか、ひどい場合はまったく食事を受け付けなくなることもあります。
また、膀胱が圧迫されて頻尿になるといった、排尿障害が出現するケースもあります。

さらに下腹部に張りを感じ、激しい腹痛や腰痛を感じる場合もあります。
卵巣がんが肺に転移すると息切れしやすくなり、ひどい場合は胸水(きょうすい)が貯留することがあります。
骨に転移した場合には病的骨折や、脊髄(せきずい)圧迫による麻痺(まひ)が現れる場合があります。

腹水

卵巣がんの特徴的な症状として「腹水」が挙げられます。
腹水とは腹部に体液が溜まることで、がんが原因の場合には末期の症状として現れることが多いですが、卵巣がんの場合には初期の段階でも現れる場合があります。
腹水が1L以上溜まると自覚する方が多く、食欲低下やお腹の張り、体重増加は見られないにもかかわらずウエストまわりが肥大するといった症状が現れます。

卵巣がんの症状の1つとして腹水が現れやすいのは、「移行上皮がん」や「漿液性腺がん」です。
腹水の症状が起こった場合、溜まった体液を一気に抜かずに、利尿薬を使用して徐々に溜まった体液を抜きます。

また、塩分摂取を控えるよう、食事指導が行なわれています。
卵巣がんの初期症状も末期症状も基本的に下腹部に現れます。

とくにウエストまわりや下腹部が肥大した場合、できるだけ早く医療機関で検査を受けるようにしましょう。
また、早期発見・早期治療に繋げるために1年に1度のペースで定期検査を受けることをおススメします。

卵巣がんの検査・診断

卵巣がんは早期発見が難しいがんであり、さまざまな検査を行なって最終的に卵巣がんであるかどうか診断を下します。
また、適切な治療方法を決めるために、病期(ステージ)診断も行なわれています。
卵巣がんの検査では、視診・触診を一番最初に行ないます。

次に超音波検査(エコー検査)を行ない、卵巣がんの可能性が高い場合はMRI検査やCT検査などの画像検査を行ないます。
このほかにより高い精度でがんを発見できるPET検査や、骨への転移の有無を調べる骨シンチグラフィー検査などがあります。

視診・触診

卵巣がんの検査で一番最初に行なう検査が視診・触診です。
卵巣がんには、病期が進行するとともに腹部が盛り上がってくることがあるため、まず視診で下腹部に膨らみや盛り上がりがないか確認します。
次に触診を行ないますが、触診では医師が患者の膣内に片方の手の指を入れ、もう片方の手は下腹部に置きます。

体の内側と外側の両方から卵巣を挟むように触れ、卵巣の位置・サイズ・形状・癒着の有無などを確認します。
この段階で卵巣がんが進行し、腫瘍サイズが大きいと発見することができますが、腫瘍サイズが小さいと発見は難しく、さらに詳しく検査するために超音波検査(エコー検査)を行ないます。

経腟(けいちつ)超音波検査

経膣超音波検査とは、妊婦検診にも使用される安全性の高い検査で、卵巣がんの検査において最も用いられる方法です。
超音波(エコー)を発するプロープという専用器具を膣内に入れ、跳ね返ってくる超音波の波を画像化して卵巣が正常であるかどうか確認します。
経膣超音波検査では2cmほどのごく小さな腫瘍でも発見できることから、早期発見に繋がる検査方法です。

腹部超音波検査

腹部超音波検査とは、膣内から超音波(エコー)をあてる「経膣超音波検査」とは異なり、体の外側の腹部から超音波(エコー)をあてる検査です。
「経膣超音波検査」よりも広範囲を画像化できるため、大きな腫瘍を観察しやすいとされています。
ただし、腹部超音波検査で大きな腫瘍が発見されたとしても、そのすべてが卵巣がんというわけではなく、より確実に卵巣がんであるか診断するためにはMRI検査などを実施しなければいけません。

MRI検査

MRI検査は画像検査の一種で、強い磁場を利用して骨盤内を撮影・画像化して腫瘍の位置やサイズを確認する検査方法です。
MRI検査は視診・触診や超音波検査で卵巣がんであると診断された場合に、卵巣がんの病巣をより詳しく観察するために行なわれます。

また、MRI検査では卵巣がんの種類も特定することができ、灰色に写ると固形腫瘍の「充実性腫瘍(じゅうじつせいしゅよう)」、黒色に写ると液体腫瘍の「嚢胞性腫瘍(のうほうせいしゅよう)」であることがわかります。
さらにMRI検査では、卵巣がんのほかに腹水・子宮がん・子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)・子宮内膜症なども確認することができます。

CT検査

CT検査とはX線を使って腹部の断面を撮影する方法で、卵巣がんのリンパ節や他臓器への転移を確認することができます。
CT検査は5~15分ほどでMRI検査よりも短時間で終了します。
MRI検査と同じ画像検査の一種ですが、CT検査ではMRI検査よりもリンパ節への転移の有無をより正確に診断することができます。

PET検査

PET検査とは、がん細胞の性質を利用した比較的新しい検査方法です。
がん細胞は増殖する際、ブドウ糖を大量に取り込むという性質を持っています。

PET検査では、ブドウ糖に似た薬剤を静脈注射してがん細胞に薬剤を行き渡らせたあと、CT検査を行ないます。
薬剤を取り込んだがん細胞部分はCT検査によって光って見えることから、がんが発生しているか、またその位置、サイズなどを細胞レベルで確認することができます。

骨シンチグラフィー

骨シンチグラフィーとは、骨への転移の有無を確認する検査です。
「ラジオアイソトープ製剤」を注射すると、薬剤が骨の代謝が活発な部位に集まり、X線撮影すると転移している部位が濃く写ります。

実際に検査をする際は「ラジオアイソトープ製剤」を注射したあと、3時間ほど経過したらX撮影を行ないます。
食事制限などはなく、X線撮影自体は30分~1時間ほどで終了します。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは血液検査の一種で、がん細胞が増殖するたびに血液中に増える特殊な物質を調べることで、がんであるかどうか診断することができます。
ただし、腫瘍マーカーで陽性であっても、必ずしも卵巣がんであるとは限りません。

また、腫瘍マーカーは卵巣がんを発見する目的以外に、治療の効果の有無や再発の有無を確認するために行なうケースもあります。
さまざまな検査を行ない、卵巣がんであると診断するとともに、治療方法を決定するための目安として病気(ステージ)を診断します。
卵巣がんの病期(ステージ)はⅠA期からⅣ期までの10段階に分けられます。

・ⅠA期卵巣がんがどちらか片方の卵巣に留まっている状態。

・ⅠB期卵巣がんが両方の卵巣に発生している状態。

・ⅠC期卵巣がんの発生が片方あるいは両方の卵巣に限らず、卵巣がんが被膜表面へ浸潤している状態、または破綻している状態。

・ⅡA期卵巣がんが卵巣に留まらず、子宮や卵管にまで浸潤している状態。

・ⅡB期卵巣がんが卵巣に留まらず、卵巣以外の骨盤内臓器に進行している状態。

・ⅡC期卵巣がんが卵巣に留まらず、子宮や卵管、骨盤内臓器まで進行し、被膜表面へ浸潤もしくは破綻している状態。
または、細胞診検査によって悪性腫瘍であると診断された場合。

・ⅢA期リンパ節への転移はないが、被膜表面にがんが広がる「播種(はしゅ)」がある場合。

・ⅢB期リンパ節への転移はないが、2cm以下の腹腔内(ふくくうない)播種がある場合。

・ⅢC期2cm以上の腹腔内播種がある場合、またはがんが後腹膜や鼠径部(そけいぶ)リンパ節に転移している場合。

・Ⅳ期肝臓や肺などに遠隔転移している場合、または胸水が貯留して悪性細胞が含まれている場合。
卵巣がんは早期のⅠ期に発見できれば完治が見込めますが、末期のⅣ期になると完治は難しく、生存率もガクッと下がるため、早期発見・早期治療に繋げるために定期検査を受けることが自分の命を守るためには大切です。

卵巣がんの治療

卵巣がんの治療方法は、主に「外科手術」「化学療法」「放射線療法」の3種類がありますが、どの治療方法を選択するかは病期(ステージ)によって異なります。
基本的にⅠ期またはⅡ期であれば外科手術を行ない、手術後には再発予防のために抗がん剤を使用する場合があります。
Ⅲ期またはⅣ期であれば手術の選択が困難であるケースが多く、基本的に抗がん剤を使用した化学療法が中心となります。

外科手術

卵巣がんの病期(ステージ)がⅠ期またはⅡ期であれば、基本的に治療方法として外科手術が選択されています。
外科手術は腫瘍を取り除くために行なう治療方法で、Ⅰ期またはⅡ期であれば、腫瘍を完全に取り除くことができるため完治が見込めますが、卵巣がんの病巣によっては手術前や手術後に抗がん剤を使った化学療法を行なう場合があります。
卵巣がんは転移しやすいがんであることから、早期のⅠ期であっても基本的に卵巣・卵管・子宮をすべて取り除きます。

しかし患者が若く、将来出産する可能性がある場合には、卵巣と卵管を片方だけ残す温存治療を選択する場合もあります。
ただし、温存療法が適応できるのは早期のⅠ期のうち、腫瘍が片方の卵巣のみに留まっているⅠA期のみとなっています。
実際に取り除いた腫瘍は、手術後の治療方針を決定するために病理検査にまわし、組織型や病期(ステージ)を正確に診断します。

また、卵巣がんの外科手術ではリンパ節郭清を行なう場合もあります。
卵巣がんはもともと転移しやすいがんですが、なかでも腹部近くにある傍大動脈(ぼうだいどうみゃく)のリンパ節へと転移しやすい特徴があり、転移が疑われる場合には外科手術によって取り除きます。

化学療法

卵巣がんは体のさまざまな部位に発生するがんのなかでも抗がん剤が効きやすいがんであり、抗がん剤を使った化学療法が用いられます。
とくに「類内膜腺がん」「漿液性腺がん」「移行上皮がん」は抗がん剤の効き目が現れやすいですが、「粘液性腺(ねんえきせい)がん」「明細胞腺がん」には効き目が現れにくいという特徴があります。

日本人の卵巣がん患者の約50%は「漿液性腺がん」であることから、化学療法はよく用いられる治療方法です。
卵巣がんの治療において化学療法が選択されているのは手術が行なえないⅢ期からⅣ期が中心ですが、Ⅰ期やⅡ期であっても手術前や手術後に化学療法を用いることがあります。
実際に抗がん剤を使用した化学療法を行なわれた場合には、抜け毛・吐き気・骨髄抑制といった副作用の症状が出現するケースがあります。

放射線療法

放射線療法とは体の外側からX線を照射し、がん細胞にダメージを与えて増殖を抑制する方法です。
現在の卵巣がん治療では主に外科手術と化学療法が用いられ、放射線療法は再発もしくは転移した場合の緩和ケアに用いられます。

とくに若い女性の発症率が高い「胚細胞腫瘍」は、放射線療法の効果が高いとされています。
また、放射線療法を受けた場合には、放射線の照射部位に粘膜炎や皮膚炎といった副作用の症状が引き起こされるほか、食欲低下や吐き気、白血球の減少といった症状も出現するケースがあります。
副作用の症状が出現した患者に対しては対症療法が行なわれていますが、適切な治療を行ないさえすれば数週間で症状は治まります。

卵巣がんの予防法

卵巣がんの治療後の5年生存率は、発見時の病期(ステージ)によって異なります。
発見時が早期のⅠ期であれば、5年生生存率は91%と高い数字を誇っていますが、病期(ステージ)が進むごとに生存率は下がり、Ⅱ期は72%、Ⅲ期は31%、末期のⅣ期では12%まで下がります。
この数字からわかるように、早期のⅠ期に治療を行なえば完治が見込めますが、Ⅲ期以降になると生存率がかなり落ち込んでしまうため、早期発見・早期治療に努めるとともに、卵巣がんを発症しないように予防することが重要となります。

生活習慣を見直す

卵巣がんを予防するうえで重要なポイントとなるのが生活習慣の見直しです。
卵巣がんに限らず、がんの発症リスクを高める要因としてタバコを吸っていることや過度な飲酒、太っている、ストレスがたまっている、食生活が偏っていることなどがあげられます。
食生活においては、乳製品を摂取しすぎると卵巣がんを引き起こしやすいというデータがある一方、野菜や果物を積極的に摂取することにより、がんの発症予防に繋がるというデータもあります。

また、卵巣がんの発症リスクを高める要因の一つ・肥満は食生活が大きく関係しています。
そのため、毎日の食生活では野菜や果物を積極的に摂取するとともに、食事全体のバランスを見ながら乳製品や脂っこい食事の量を抑えるようにしましょう。
さらにアルコールの摂取・タバコを吸うことを控え、適度な運動を取り入れることも重要です。

なお、タバコに関しては、受動喫煙にも注意したいところです。
一日中、自分の近くで喫煙している人がいると、その煙を毎日吸っている人もまた、タバコを吸っているのと変わりません。
家族など同居している人のなかに喫煙者がいる場合には、禁煙をお願いするか外で吸ってもらうなど、配慮してもらったほうがよいでしょう。

また、ストレスを溜めないように趣味などで適度に発散し、しっかり睡眠をとって体を休めることも重要です。
ストレス発散に関しては、健康的な方法で行なうようにしなければいけません。
暴飲暴食をするような不健康なストレス発散方法は、肥満などの問題を招く原因となり、かえって卵巣がんのリスクが高めることになりかねません。

低用量ピルを活用する

年々、卵巣がんの患者数が多くなっている日本に対し、卵巣がんの予防として低用量ピルを活用している欧米に関しては、患者数が年々減少しています。
低用量ピルは日本国内において避妊薬として活用されていますが、排卵を人工的に抑えるピルの作用が卵巣への負担を軽減して、卵巣がんの発症リスクを下げるという効果が認められています。
ただし、タバコを吸っている方が低用量ピルを使用すると、血栓症を引き起こしやすいことがわかっているため、喫煙習慣のある方は卵巣がんの発症を予防するために、まずは禁煙に取り組むようにしましょう。
根性で吸わない方法、禁煙グッズを使った方法など、家庭で行なえる自力での禁煙が困難な場合には、禁煙外来に通うことでタバコをやめることを目指すというのもおススメです。

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