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産褥熱を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/05/10 女性に多い病気

産褥熱とは(概要)

産褥熱(さんじょくねつ)とは、分娩および分娩の前後に、分娩の際に負った傷から細菌感染を招いて発症する熱性疾患の総称です。
国内では分娩後24時間以降、産褥10日までに2日以上にわたり38℃以上の高熱が続くもののことをいいます。
主に出産で負った子宮や膣などの傷から細菌感染が起こり、産褥子宮内膜炎(さんじょくしきゅうないまくえん)、子宮付属器炎(しきゅうふぞくきえん)、子宮傍組織炎(しきゅうぼうそしきえん)など子宮の内側および周囲に炎症が生じることによって引き起こされます。

なかでも多いといわれている(比較的まれとされていることもある)のは、子宮内膜炎が原因で引き起こされる発熱です。
理由は、子宮に悪露(おろ)という胎盤、卵膜、血液などが含まれている分泌物が貯留していると、感染を起こしやすくなるためです。
子宮内膜炎の場合、一度起こると治りにくく、より深刻な感染症へと移行してしまうリスクがあります。

分娩後、子宮や膣以外の、乳腺の炎症などがきっかけで発熱の症状が出現するケースがありますが、この発熱に関しては産褥熱には入りません。
産褥熱は糖尿病にかかっている場合、性感染症が付随している場合、子宮筋腫による悪露の排出不良の場合に発症しやすいといわれています。
出産方法によって産褥熱の起こりやすさには違いがあり、帝王切開のほうが経膣分娩と比較して産褥熱を引き起こすリスクが高いです。
正常分娩では何%ほどとされているのに対し、帝王切開の場合には5~20%ほどとされています。

また、産褥期には膀胱炎(ぼうこうえん)や腎盂腎炎(じんうじんえん)のような尿路感染症(にょうろかんせんしょう)や、うっ滞性乳腺炎(うったいせいにゅうせんえん)や化膿性乳腺炎(かのうせいにゅうせんえん)のような乳腺炎を伴うリスクが高いことも特徴の一つです。
そのほか、産褥熱は過去には妊産婦が命を落としてしまう原因として要注意のものでしたが、家での出産ではなく医療機関での出産が一般的になったことや、治療方法の進歩によって死亡数は激減し、命を落としてしまう確率もきわめて低いものとなっています。

産褥熱の原因

分娩時における産褥熱の原因

内診が何度も行なわれたこと、子宮内操作や止血操作、縫合術が行われたこと、異物の挿入が行なわれたこと、前期破水を起こしたことなどが、分娩時の産褥熱の原因としてはあります。
異物としてはガーゼタンポンなどがあり、前期破水というのはまだ陣痛が起こっていない状態で卵膜が破れて、子宮外へと羊水が流出することをいいます。

産褥期における産褥熱の原因

お腹に胎盤や卵膜が残ってしまっていること、悪露の排出が順調に進まないこと、出産後の多量の出血による抵抗力の落ち込みが、産褥期における産褥熱の原因としてあげられます。

感染源・感染経路

産褥熱の感染源・感染経路としては、外因性感染と内因性感染の2種類に大別されています。
わかりやすくいうと、外因性感染は外部から入り込んできた細菌によって症状が引き起こされるもの、内因性感染は宿主(産婦)に常在している細菌によって症状が出現するもののことをいいます。
外因性感染としては、出産を介助した人の手、会陰(えいん)切開で取り扱った器具、細菌によって汚染された部屋をあげることができます。

なお、使用した器具での感染は、帝王切開でよく起こっています。
内因性感染としては、産婦の性器のなかにせい息している細菌の上行(じょうこう)感染、虫垂炎(ちゅうすいえん)など、女性の体の別の部位に存在する病変部からの感染があります。
上行感染というのは、感染部位が上方向へと拡大していく感染のことをいいます。
なお、産褥熱の感染源や感染経路ははっきりしないケースも珍しくありません。

産褥熱の症状

出産後24時間以降、産褥10日までに2日以上、38℃以上の発熱症状を引き起こすものをいうと、産褥熱は定義付けがされています。
ということで、産褥熱の代表的な症状は38℃以上の高熱です。

このほか、下腹部が痛くなる、子宮の圧痛、異臭のある悪露の排出、軽い出血が続く、食欲がなくなる、悪寒がする、頭痛がするといった症状をあげることもできます。
症状は産褥2日か3日あたりに出現するようになります。
なお、これは産褥子宮内膜炎による産褥熱の症状です。
感染が会陰や腔壁の傷から起こったケースでは、部分的な発赤(ほっせき)、腫脹(しゅちょう)、圧痛といった症状が出現します。

子宮内膜炎の感染の影響が別の場所、一例として筋層まで達した場合には子宮筋層炎(しきゅうきんそうえん)、産褥子宮内膜炎より症状が重く、発熱は39~40℃まで上がり、ほかにも下腹部の痛みや強烈な圧痛、悪寒などの症状が出現します。
そのほか、産褥熱のなかで一番深刻な症状を引き起こすのが、産褥敗血症(さんじょくはいけつしょう)です。
傷口から感染した細菌が血流にのり、体中が感染してしまうものであり、産褥熱を招いてしまうと40℃の発熱、筋肉痛の症状が出現し、何日かが経過すると状態が急に悪くなってショック症状を招くケースもあります。

産褥熱の検査・診断

産褥熱の診断のためには、目的に応じてさまざまな検査が行なわれています。
たとえば、血液や膣からの感染を起こす恐れのある細菌が存在するかどうかを確認することを目的に、細菌検査が医療機関では行なわれています。
細菌検査のほかには全身状態や炎症の度合いを調べるため、血液検査が行なわれており、産褥熱が起こっている場合には白血球数が多くなっていたり、タンパク質のCRPが高まっていたりすることなどがわかります。

そのほか、胎盤や卵膜がお腹のなかに残ってしまっているかどうかを確認するために、経膣(けいちつ)超音波検査も実施されています。
抗生物質(抗菌薬)の投与を行なっているにもかかわらず、発熱の症状が改善しない人に対しては、別のところに膿がたまっていないか調べることを目的に、腹部CT検査や腹部MRI検査が選択されるケースがあります。

産褥熱の治療

産褥熱の治療の基本は抗生物質(抗菌薬)の投与です。
感染を起こした細菌の種類を特定するまでにはある程度の日数がかかるため、抗菌スペクトルという幅広い菌種に対して有効な薬剤がまずは使用されることになります。
抗生物質としてはペニシリン系、セフェム系が選択されるケースが多いですが、治りにくい産褥熱や症状が重い産褥熱に対しては、強力な抗菌作用のあるカルバペネム系の薬剤が選択されるケースもあります。

そのほか、ニューキノロン系の薬剤も有効ですが、母乳への移行が多く赤ちゃんへの影響を考慮して、この薬剤を使用しているあいだは授乳を行なわないようにといわれます。
抗生物質を使った治療方法以外には、産褥子宮内膜炎が原因の場合には抗菌薬以外に子宮収縮剤が使用されているほか、膣・子宮内洗浄を行なうことにより、悪露の排出を促す治療が選択されています。
悪露滞留が起こっている場合には、頸管拡張術を行なうことによって、悪露排出を促進させる治療が行なわれています。

滞留していた悪露が出ていくことによって、発熱の症状も改善します。
子宮内に胎盤などが残留している状態を放置していると全身状態が悪化するため、速やかに除去しなければいけません。

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