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後陣痛の原因・症状・治療・予防

公開日: : 最終更新日:2017/03/26 女性に多い病気


後陣痛(こうじんつう)とは、出産後の子宮で生じる陣痛のような下腹部の痛みのことをいいます。
症状は出産が終わった数日間にわたって続くことが多く、生理的現象である子宮復古(ふっこ)という、出産後の急激な子宮の収縮によって引き起こされています。
一度症状がおさまったあとは再発することはほとんどなく、後陣痛自体は胎盤がはがれたあとの止血、子宮のサイズを妊娠前の状態にまで戻すための生理的現象でもあるため、むしろ起こったほうがいいものであり、特別な治療を行なわなくてもよいケースもあります。

しかしながら、数日~1週間ほどでおさまらない場合には後陣痛ではない別の病気による症状の疑いがあるため注意が必要です。
なお、後陣痛が弱いと分娩終了直後の出血がおさまらず、大量出血してしまう弛緩(しかん)出血を招くリスクがあります。
症状の程度は個人差があるものの、経産婦、双胎妊娠、多胎妊娠、羊水過多症などに該当する人のほか、授乳によって悪化する傾向があります。

後陣痛の原因

出産後の子宮収縮

出産が終わったあと、不規則に子宮が収縮することにより、下腹部の痛みが引き起こされます。
妊娠中に大きくなった子宮を妊娠前にまで戻ろうとする生理的現象の子宮復古によって痛みの症状が出現します。

なお、子宮は子どもが出てきた直後には約1kgほどの大きさがありますが、子どもを出産して1ヶ月半ほどが経過すると約60gにまで小さくなります。
また、出産直後は母体のヘソより5cmほど下の場所に子宮が存在していると触ることによって感知できますが、12時間ほど経過すると出産で緩んだ骨盤内の筋肉、膣などの緊張がとけるため、ヘソ付近まで場所が上昇していきます。

さらに時間の経過とともに子宮自体が収縮し、出産後7日ほどで恥骨のすぐ上のところまで小さくなります。

薬剤・ホルモン

女性ホルモンの一種であり、母乳の分泌を促進するオキシトシンは、子宮収縮を促進する作用があり、子宮収縮促進薬(陣痛促進薬)としても取り扱われています。
後陣痛の痛みは授乳を行なうことによって強くなる場合がありますが、この現象は授乳により脳の視床下部でオキシトシンが出ているために起こっているというわけです。

後陣痛の症状

症状の種類と程度

産後、不規則的に生じる子宮収縮にともなう下腹部の痛みや、後陣痛が弱い場合には出産終了直後の出血が止まらず、大量出血を起こす弛緩出血の症状が出現します。
生理痛に似た鈍い痛み、下腹部がチクチクする程度の痛み、陣痛と同程度の痛み、陣痛より強い痛みといった具合に、下腹部の痛みの度合いには個人差があります。

症状が出現する時期

出産直後から後陣痛の下腹部痛が出現します。

症状が続く日数

数日~長い場合には1週間ほど、間隔をあけてやってくる痛みが続くことになります。
症状の間隔は20~60分ほどと、個人差があります。
通常の後陣痛であれば、退院するころには症状はだいぶよくなっているでしょう。

症状が出る人

出産がはじめてかどうかに関係なく後陣痛は起こります。
帝王切開術を受けた人のなかで、後陣痛の症状を感じる人も少なくありません。

また、無痛分娩での出産でも、後陣痛の痛みを感じる人がいます。
痛みの症状が強く起こりやすいのは経産婦、双胎妊娠、多胎妊娠、羊水過多症などのケースです。

正常な初産の場合と比較して、子宮のサイズや疲労が大きく、より強力に子宮収縮が起こる必要があり、痛みの度合いもよりひどくなるというわけです。
なお、正常な初産であっても後陣痛が強く出ることはあります。

症状が後陣痛によるものではないケース

主なものとしては産褥子宮付属器炎(さんじょくしきゅうふぞくきえん)、虫垂炎(ちゅうすいえん)、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)、子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)をあげることが可能です。

産褥子宮付属器炎

細菌感染によって引き起こされる病気であり、子宮内膜だけでなく卵管、卵巣といった別の器官にまで細菌感染がおよんでしまった状態です。
産褥子宮付属器炎は出産数日後に引き起こされて、発熱をともなうことが多いです。

一方の後陣痛は出産後すぐに引き起こされて、発熱はともないません。
症状が出現するタイミングと、発熱の有無が産褥子宮付属器炎と後陣痛では違いがあるということがご理解いただけたのではないでしょうか。

虫垂炎

小腸と大腸のあいだに存在する小さいくぼみのような場所を虫垂と呼びますが、ここに便やリンパ組織が詰まり、細菌がたまることによって炎症が生じます。
強烈な下腹部痛が起こることも珍しくありませんし、嘔吐や発熱といった症状も出現します。

ほうっておくと穴があいてしまい、よりひどい痛みを感じるなど重症化してしまうことになります。
後陣痛と間違われやすい病気として名前があがることが多いですが、後陣痛では出現しない嘔吐や発熱のような症状があるということが、見分けるポイントになるでしょう。

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮の筋肉から形成される良性腫瘍(りょうせいしゅよう)のことです。
主な症状としては過多月経、月経困難、不妊・不育があり、主要が巨大化することによって排尿困難、便秘、腹部圧迫感といった症状が引き起こされるようになります。
妊娠中に巨大化する腫瘍は約2割であることが研究によってわかっており、腫瘍への血流が障害されることにより、妊娠中期以降になると腫瘍の変性壊死(えし)を招いて、そこに細菌が侵入して感染するケースがあります。

卵巣嚢腫

卵巣に出現しやすい症状の一つで、卵巣に形成される良性腫瘍のことをいいます。
これといった症状を自覚しないケースが多いのですが、腫瘍が巨大化すると下腹部の膨らみや違和感の症状が出現するようになり、腰痛が引き起こされるケースもあります。
また、より巨大化した場合には強烈な下腹部の痛みや嘔吐、ショック状態に陥る症状が出現します。

こうした激しい痛みは腫瘍が過度に巨大化したために、卵巣がねじれた状態になることが原因となります。
これは卵巣嚢腫の茎捻転(けいねんてん)といって、ねじれを起こした場所からの血行が途絶えて卵巣の細胞が壊死してしまうことにもつながります。

子宮復古不全

とくに異常がなければ産後約ひと月半ほどで子宮は妊娠前の状態にまで戻ります。
この回復が遅れてしまっているトラブルのことを子宮復古不全といいます。
子宮復古は授乳を行なうことによって促されるため、人工栄養の人に起こることが多いです。

原因として最多なのは卵膜や胎盤が子宮に残っていることであり、ほかには子宮の疲労、子宮壁が過剰に伸展していること、子宮筋腫、子宮内感染症によっても子宮復古不全は引き起こされます。
症状としては子宮の収縮が悪く出血が長く続くというのが主なものです。

後陣痛の検査・診断

どうやって後陣痛かどうか調べる?

後陣痛が引き起こされているかどうか確認すること自体は、特別な検査を必要としません。
症状が出現していることさえわかれば、診断はつきます。

直接、子宮の様子をみる内診が行なわれることはあります。
ただし、後陣痛にあてはまるものとは違う下腹部の痛みなどの症状が出現しているケースでは話は違ってきます。

別の病気の疑いがある場合の検査

前述した内診で子宮の様子を確認するほか、血液検査や画像検査の超音波検査、腹部エックス線検査などが行なわれています。
これによって後陣痛なのか、産褥子宮付属器炎、虫垂炎、子宮筋腫の変性壊死、卵巣嚢腫の茎捻転といった別の異常なのかを調べます。

後陣痛の治療・予防

特別な治療は行なわれないことが多い

通常、起こり得る範囲の症状は生理的な現象によるものであり、子宮を元の状態に戻すためには望ましいことです。
後陣痛が分娩後の正常な経過であることを本人がよく理解し、痛みによる不安がなくなれば、特別の治療を行なうことなく症状が解消されるのを待つケースが多いです。

薬剤の使用を中止する

子宮収縮薬が原因となって痛みが増強されている疑いがある場合には、使用をやめてみる方法が選択される場合があります。
実際に薬剤が原因だった場合には、使用を中止するだけで後陣痛の症状が軽減されるという効果を獲得することが可能です。

薬剤を使用する

子宮は元の状態に戻っているものの、ひどい痛みが起こることがあります。
その場合には子宮収縮抑制薬を使用するケースがあります。
痛みが非常に強く我慢できないような場合には、痛み止めの薬剤を使用することにより、症状が緩和される効果が得られます。

後陣痛の予防は可能?

後陣痛は子宮の回復のために発生する生理的現象であり、未然に防ぐことは困難です。
出産を経験する人は誰でも起こるような症状ですし、いつまでも続くものではありません。
子宮の大きさを妊娠前の状態にまで戻したり、出血を止めたりと、体にとって必要な現象ですので、自分にとってよいことが起こっていると前向きにとらえましょう。

痛みが強い場合には楽になる薬が処方されますし、別の病気が隠れている場合にも調べればわかることです。
過度に不安にならず、なにかある場合には医師などに相談して過ごしましょう。

後陣痛の対処法

痛み止めの使用

後陣痛によって出現する下腹部の痛みは、人によって強さが異なります。
気になるほどではない痛みの人もいますが、なかには激しい痛みに襲われて耐えられないこともあります。
もしも激しい痛みに襲われた場合には無理をしてはいけません。

痛いことを医師に伝えることによって、痛み止めの使用が選択されることがあります。
これによって、後陣痛の症状が消失するまでの数日間を楽に過ごしていくことができるようになります。

子宮収縮剤をやめる

強い痛みに襲われている原因が、子宮収縮剤にあるケースが少なくありません。
経過が良好で、子宮収縮剤が不要な場合には、やめることで症状が軽減されることがあります。

いずれにしても痛い場合は我慢せず、痛いと率直に伝えることが大切です。
猛烈な痛みに耐え続けることがストレスになり、回復を阻害してしまうことのほうがよくありません。

リラックスする

気持ちが不安定な状態で横になっていると、痛みの症状が気になってしかたなくなります。
痛みでリラックスできるような状態ではないということもあるでしょうが、何かできることがあればしたいと思う人もいるでしょう。
人によってなにでリラックスできるかは異なりますが、アロマの香りを取り入れるというのも有用なリラックス法の一つです。

体を温める

痛みの症状は体を温めることによって緩和されることがあります。
体を温めることによって血行がよくなるためです。
逆に体が冷えてしまうと、痛みが増強してしまうともいわれています。

腹巻を身に着けるなどして、お腹まわりの冷えを防ぎましょう。
また、身に着けるもの以外では、体を内側から温める効果のある、たとえばホットドリンクを飲むというのもおすすめです。

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