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一酸化炭素中毒の原因、症状、検査、診断、治療方法、予防方法を調べた

公開日: : 最終更新日:2017/05/25 中毒症 , , , , , , ,

一酸化炭素中毒の原因

一酸化炭素中毒とは

一酸化炭素中毒(いっさんかたんそちゅうどく)とは、血液中の一酸化炭素を体内に過度に取り込むことによって出現する中毒症状のことをいいます。

一酸化炭素は無味無臭・無色透明、酸素と比較して若干軽い気体で、燃えることによって酸素とくっつき、二酸化炭素に変化します。
化学式ではCO(シーオー)と呼びます。

二酸化炭素と比較して安定しておらず、酸素とくっつきやすい性質があり、人体に悪影響をおよぼすガスになりやすいのです。

私たち人間の体中に酸素を届けている細胞は赤血球ですが、この赤血球には酸素を届けるためのタンパク質のヘモグロビンが備わっています。

一酸化炭素は酸素と比較して250倍もヘモグロビンとくっつきやすい性質があり、酸素とヘモグロビンがくっつくのをさまたげて、一酸化炭素ヘモグロビンに変化します。

これによって赤血球は体中へと酸素を届けることができなくなり、体中の組織で酸素が足りない状態におちいってしまうというわけです。

少量の一酸化炭素を吸い込むだけでも全身の組織での酸素不足状態を招くことになり、体のなかでもとくに酸素を必要としている脳がまず障害されます。

空気中の濃度が0.02%(200ppm)に高まると頭痛などの症状が出現し、より濃度が高まれば吐き気、めまいといった症状が出現し、最終的には死にいたったり、深刻な後遺症を残したりといった、体に多大な悪影響をおよぼすのが一酸化炭素中毒です。

日本国内で中毒によって命を落とした人の約60%という高い割合を占めており、石油の不完全燃焼、火事、自殺目的での車の排気ガス引き込みなどによって起こります。

故意に一酸化炭素濃度の環境をつくり出そうとしていなくても、色やニオイがないということで、発生していることを自覚しにくいというのがやっかいなところでもあります。

一酸化炭素中毒の原因

不完全燃焼と換気不足

炭素を含有している石油ストーブ、ガスストーブ、ガスコンロ、薪(まき)、練炭、ガソリンなどは、完全燃焼によって二酸化炭素が出ます。
これに対し、たとえば窓を閉めきった環境で不完全燃焼を起こしている場合には、一酸化炭素が発生することになります。

空気中で一酸化炭素が大量に発生した状態で息をすることにより、中毒症状を引き起こしてしまう原因になります。
一酸化炭素は色やニオイがないため、増加していても気づきにくく、知らないあいだに吸い込んでしまうことになります。

一酸化炭素は酸素を全身に運ぶヘモグロビンとくっつきやすく、気づかず吸い込んでいると体のなかでは深刻な酸素欠乏状態を起こしてしまいます。

また、建物の構造も一酸化炭素中毒を起こすリスクと関係があるといわれており、木造の伝統的日本家屋は、通気性に優れているのが特徴です。

これに対し、マンションのような密閉された鉄筋コンクリート造の建物は一酸化炭素中毒を招くリスクが高いといわれています。

火災による一酸化炭素中毒

火事で発生する煙のなかには、有害物質が多く含まれています。
塩化水素、シアン化水素、アンモニアといったものがありますが、そのなかでも一番多量に発生し、なにが燃えても例外なく出るのが一酸化炭素です。

火事で亡くなった人は火傷で命を落とした人の割合が高いと思う人も多いでしょうが、これは実は違っています。
煙を吸い込んで意識がなくなった状態で炎に襲われて、死亡してしまっている人の割合が高いのです。

なお、煙は上へとのぼっていく性質があるため、マンションの下層階で火事が起こった場合には、上層階の住人まで一酸化炭素中毒を起こすリスクがあります。

喫煙で一酸化炭素中毒は起こる?

煙で思い出されるものの一つにタバコがあります。
タバコの煙にも一酸化炭素が含まれており、喫煙によって発生した煙を吸い込むことで、血液中の一酸化炭素濃度は高まります。

しかしながら、換気のよいところで普通に喫煙をしているぶんには、一酸化炭素中毒の症状が出現するほどの量には達しません。

車内・浴室での事故

自動車のなかでの一酸化炭素中毒が発生しています。
とくに積雪量が多い地域では警戒が必要なケースが、多量の雪で自動車のマフラーが塞がれてしまうことです。

この状態になっていることを知らずに、車中でエンジンが暖まるまで過ごしていたところ、一酸化炭素中毒を起こしてしまうという危険があります。

マフラーが埋もれているのに気づかずエンジンをかけたままにしていると、車内に一酸化炭素が逆流してしまい、中毒症状を起こしてしまうというわけです。

また、ボイラーがそばにある古い湯沸かし器の追い炊き機能を使用しながらお風呂に入っていたところ、一酸化炭素中毒を起こしてしまうというリスクがあります。

一酸化炭素中毒は石油ストーブを使用している部屋のなかだけでなく、さまざまな状況下で起こり得る事故なのです。

一酸化炭素中毒の症状

空気中の一酸化炭素濃度と吸入時間・症状の種類

空気中での一酸化炭素濃度が0.02%(200ppm)に高まると、2~3時間で軽い頭痛が出現します。

これが倍になると1~2時間で前頭痛や吐き気が、2時間半~3時間半で後頭痛が出現、さらに倍の0.08%(800ppm)の一酸化炭素濃度では、45分間で頭痛、めまい、吐き気、けいれんの症状が出現し、2時間で失神してしまいます。

濃度が高まるほど重い症状が出現することがご理解いただけると思いますが、さらに倍の0.16%(1.600ppm)では頭痛、めまい、吐き気の症状が20分間という短時間で起こり、2時間で命を落としてしまい、0.32%(3,200ppm)では5~10分間で頭痛やめまいの症状が引き起こされて、30分間で命を落としてしまいます。

0.64%(6,400ppm)では1~2分間で頭痛やめまいが起こり、15~30分間で命を落とし、1.28%(12,800ppm)は1~3分間と非常に短い時間で死にいたってしまう一酸化炭素濃度です。

血中COHb濃度と症状

まずCOHb濃度というのは、血液中でヘモグロビンと一酸化炭素がどのぐらい結合しているかを示す数値のことをいいます。
単位は「%」であり、数値が0~10ではとくに症状は出現しません。

10~20の数値になると軽い頭痛、皮膚が血管拡張により赤くなる症状が出現、20~30では頭痛やだるくなる症状が引き起こされます。

空気中における一酸化炭素濃度と共通しているのは濃度が高いほど重い中毒症状が出ることであり、30~40の数値では強烈な頭痛、脱力、めまい、視力が落ちる、吐き気、嘔吐(おうと)の症状が出現します。

濃度が40~50では体の虚脱、過呼吸、脈拍増加、50~60では失神、チェーンストークス呼吸が起こります。
チェーンストークス呼吸というのは、一回の呼吸量が徐々に増加し、そのあと徐々に呼吸量が減少していって一時的に呼吸が止まるというサイクルができている状態であり、1周期は30~120秒間といわれています。

濃度の話に戻しますが、数値が60~70%になるとこん睡、心臓拍動が弱まる症状が出現し、命を落とすリスクが上昇します。
そして70~80の数値では血圧低下、呼吸不全の症状を引き起こして命を落としてしまいます。

重症度別の症状

一酸化炭素中毒の症状は、上記のような数値で示されているもの以外に、重症度によって示されているパターンもあります。

軽度、中等度、重度の一酸化炭素中毒に分類されており、軽度の症状としては頭痛、めまい、吐き気、集中力低下、眠気などの症状が、中等度~重度では判断力低下、錯乱(さくらん)、意識消失、けいれん発作、胸の痛み、息切れ、血圧低下、こん睡といった症状が出現します。

重度の一酸化炭素中毒では命を落としてしまうことになりかねません。

間歇(かんけつ)型一酸化炭素中毒

前述した頭痛などにはじまって次第に体の自由がきかなくなり、こん睡状態に陥って命を落とすまでの症状のことを急性症状といいますが、一度はよくなったものの数日~ひと月ほどが経過して意思疎通困難、行動異常、尿失禁といった異常が出現する場合があります。

これを間歇型一酸化炭素中毒といって、遅発(ちはつ)性神経症状や慢性中毒症という呼称が使用されていることもあります。
意思疎通困難などの先述した症状をまとめて認知機能障害といいますが、認知症と間違われることがあります。

間歇型一酸化炭素中毒とは別の後遺症

脳細胞が障害されることにより、ふるえ、筋肉のこわばり、動作が遅くなったり少なくなったりする、バランスがとりにくくなるといった症状が起こるパーキンソニズム、しびれの後遺症が起こることがあります。

一酸化炭素中毒の検査・診断

一酸化炭素中毒は何科へ行くのか

一酸化炭素中毒を起こしている疑いがある場合に適した診療科は何科なのでしょうか。
この点に関してですが、救急外来へ行くのが適しています。

最悪の場合には命に関わることですし、命は助かっても後遺症が残る恐れがありますので、強い頭痛、めまい、眠気、吐き気などの症状がある場合には、すぐに救急車を手配します。

見た目の印象で症状がない場合でも、お年寄りや赤ちゃん、心臓や肺の持病がある人などはとくに、念のため病院へ行ったほうがいいです。
また、意識がはっきりしている人は救急車を呼ぶことなく病院へ行っても問題ありませんが、一人で車を運転していくようなことはせず、誰かに付き添いをお願いしたほうがよいでしょう。

医師や救急車を依頼する際には、どういう環境で、誰に(何人に)、どういう症状が出ているのか、詳細な情報を伝えることが、一酸化炭素中毒の早期発見のほか、新鮮な空気下に症状が出ている人を移すなどの早期の適切な対処を行なうことにつながります。

検査・診断方法

一酸化炭素中毒は状況と出現している症状、血中COHb濃度を確認することによって診断されます。
意識障害を伴っている人に対しては、脳の状態を調べることを目的に画像検査である頭部CTや頭部MRIが行なわれています。

一酸化炭素中毒の治療

自発呼吸

一酸化炭素中毒の症状が軽く、意識障害が起こっていない場合には、自発呼吸で事足りることもあります。
場所を移動して新鮮な空気をたくさん吸い込みましょう。
この方法を試してみておかしいと思うところ、不安に感じることがあれば、医療機関へ行くことが大切です。

酸素投与

一酸化炭素中毒の治療では、患者に新鮮な空気を吸わせることが欠かせません。
そこで酸素マスクを装着し、100%の純酸素の投与が行なわれています。

救急車を呼んだ場合、かけつけた時点で純酸素を投与する治療がスタートしますが、医療機関に運ばれたあとも投与は引き続き行なわれる形になります。

高圧酸素療法

重症で、純酸素の投与を行なっても呼吸が不十分なケースで必要になる治療法です。
高圧タンク内で、患者は高濃度の酸素を吸入します。
気圧は段々に高めていって、大気圧の2倍に相当する2気圧程度を維持した状態を続けて、正常な数値に戻すという方法で、1回の治療には90~120分を費やすことになります。
1回のみ行なわれるのではなく、1日に1~2回という頻度で、数日間にわたり続けて行なわれる形になります。

気管内挿管

高圧酸素療法を行なうためのタンクがないケースでは、専用のチューブを気管内に挿入して気道を確保し、空気の出し入れを行なえるようにする気管内挿管が行なわれます。
人工呼吸器で純酸素の投与を行ないます。

リハビリテーション

重症の一酸化炭素中毒を引き起こした人は、命が助かっても自由に手足を動かせなくなるなどの後遺症が残ってしまう場合があります。
その場合、長期にわたるリハビリを行なうことが必要になります。

どこまでよくなるかは人によって違いはありますが、不自由のない生活を送ることが可能になるケースもあります。

一酸化炭素中毒の予防

調理で注意すること

ガス瞬間湯沸かし器やガスコンロなどを取り扱っているあいだは、常に窓を開けた状態にしたり、換気扇を運転させた状態にしたりしましょう。
そうすることによって排気ガスを追い出すことが可能になるためです。

暖房器具で注意すること

屋内で開放型暖房器具(石油ストーブ、ガスストーブ、ファンヒーターなどに該当するもの)を使用する際には、こまめに換気を行ないましょう。
1時間に1回以上は5分程度の空気の入れ換えを行なう、決まった時間に換気扇を動かすことを習慣にするといった方法があります。

開放型暖房器具は部屋のなかの酸素を使用して燃えて、排気ガスを部屋のなかに出すものなのですが、空気の入れ換えをしないで運転させ続けていると、部屋のなかの空気が汚染されてしまうほか、酸素濃度が低くなってくると不完全燃焼が進むことで一酸化炭素が急増し、一酸化炭素中毒を招いてしまいます。

煙突式風呂釜などで注意すること

建物のなかで煙突(排気筒)が設置されている風呂釜や大型湯沸かし器を使うときには、隣接する台所などの換気扇を運転させてはいけません。
風呂釜などの排気が逆流する原因となり、一酸化炭素中毒の症状が出現する危険性があるためです。

検知器・警報機を導入する

家庭用に販売されている製品で、一酸化炭素を検知してくれるものがあります。
換気不足が原因での不完全燃焼などもわかり、検出された場合にはアラームを鳴らして知らせてくれる製品があります。
このようなものを取り入れることも、自分や家族の命を守るための有効な手段といえるでしょう。

車のマフラーをチェックする

積雪によって車のマフラーが埋もれてしまっていたために、エンジンが暖まるまで車中で過ごしていた人が一酸化炭素中毒を起こしたしまったという事故があります。
積雪量が多い地域ではとくに、雪でマフラーが塞がれていないか常に気をつけておく必要があります。

浴室の設備をチェックする

そばにボイラーが取り付けられている、追い炊き機能のある旧式のお風呂で起こっている事故もあります。
普段からガスの燃焼状態、給排気設備に問題がないかなどを確認しておくことが大切です。

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