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副甲状腺機能亢進症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/05/25 甲状腺

副甲状腺機能亢進症とは

副甲状腺機能亢進症(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)とは、副甲状腺ホルモンが過度に出てしまう病気です。
英語名ではhyperparathyroidismといい、略してHPTと呼ばれていることもあります。

副甲状腺は、甲状腺という首の前側の下にある甲状腺の裏側に位置する臓器であり、米粒程度の大きさで甲状腺の左右両葉の裏側の上下2個ずつ、全部で4個あるのが普通であり、またの名を上皮小体(じょうひしょうたい)といいます。

副甲状腺は副甲状腺ホルモンを分泌しますが、このホルモンはParathyroid hormoneを略してPTHと表記されていることもあります。
副甲状腺ホルモンは骨や腎臓に作用してカルシウム濃度を上昇させようとする役割を担っています。

体の機能を維持するため、血液中のカルシウム濃度は常に一定の範囲内にありますが、濃度が落ちそうになった場合には副甲状腺ホルモンが分泌されてコントロールしています。

しかし、副甲状腺機能亢進症では、血液中のカルシウム濃度が正常範囲内か異常に高くなっているにもかかわらず、副甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまいます。

副甲状腺機能亢進症は、国内では2,500~3,000人に1人がかかるとされ、女性のほうが男性の3倍多く、なかでも閉経後の人の割合が高いとされています。
原因などの違いにより原発性副甲状腺機能亢進症(げんぱつせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)、二次性副甲状腺機能亢進症(にじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)、三次性副甲状腺機能亢進症(さんじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)にわけられています。

なお、二次性副甲状腺機能亢進症は、続発性服甲状腺機能亢進症(ぞくはつせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)という呼称が用いられていることもあるものです。

原発性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺自体に問題があるために、副甲状腺ホルモンが出過ぎてしまいます。
過度な副甲状腺ホルモンによって骨からカルシウムが血中へと溶け出し、血中カルシウム濃度が上昇した結果、尿中へと大量に排泄されます。

二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症

慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)など、副甲状腺に対して刺激を与える原因により、副甲状腺ホルモンが出過ぎてしまうものです。

三次性副甲状腺機能亢進症

腎臓移植を行なったあとも、二次性副甲状腺機能を引き起こす問題が解消されない状態では、三次性副甲状腺機能亢進症といいます。

副甲状腺機能亢進症の原因

原因は解明されている?

大部分の症例では、現在までのところ副甲状腺機能亢進症の原因は発見されていません。

原発性副甲状腺機能亢進症の原因

原発性副甲状腺機能亢進症の1割では、遺伝子異常との関わりがあることが証明されています。
そしてこの1割の原因のひとつとして、多発性内分泌腫瘍症(たはつせいないぶんぴつしゅようしょう)です。

英語名ではmultiple endocrine neoplasiaであり、略してMEN(メン)と呼称が使用されていることもあります。
多発性内分泌腫瘍症は、複数のホルモンを生み出す臓器に腫瘍が発生する病気であり、1型と2型にわけられていて、このうち1型のほとんどに副甲状腺機能亢進症が起こっています。

なお、1型は副甲状腺機能亢進症以外に下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、膵消化管内分泌腫瘍(すいしょうかかんないぶんぴつしゅよう)が、2型では副甲状腺機能亢進症以外に甲状腺髄様がん(こうじょうせんずいようがん)、副腎褐色細胞腫(ふくじんかっしょくさいぼうしゅ)が起こり得ます。

2型と比較して1型のほうが血中カルシウム濃度や副甲状腺ホルモン濃度が上昇する傾向があり、病気の容態が重くなりやすいのが特徴のひとつです。
多発性内分泌腫瘍症は原因となる遺伝子異常が明らかになっています。

しかし、この遺伝子異常のみで多発性内分泌腫瘍が引き起こされるのではなく、のちに別の遺伝子異常が組み合わされることにより腫瘍が発生してきます。

二次性副甲状腺機能亢進症の原因

このタイプの副甲状腺機能亢進症の主な原因は慢性腎臓病です。
腎臓が悪いとリンを排泄することができなくなり、高リン血症(こうりんけっしょう)が引き起こされます。

この状態が続いていると副甲状腺に刺激が加わり、副甲状腺ホルモンの分泌が促進されます。
刺激を受け続けた副甲状腺は腫大(しゅだい)し、血中のカルシウム濃度とは無関係に副甲状腺ホルモンが過剰に出るようになり、濃度を必要以上に上昇させてしまいます。

三次性副甲状腺機能亢進症の原因

腎臓移植後も副甲状腺ホルモンの上昇を伴う高カルシウム血症(こうかるしうむけっしょう)が持続する状態が、三次性副甲状腺機能亢進症です。
長期間にわたり副甲状腺に対し刺激を与え続けた結果、副甲状腺が腫瘍(しゅよう)化し、元の状態に戻らないことが原因です。

副甲状腺機能亢進症の症状

原発性副甲状腺機能亢進症の症状

原発性副甲状腺機能亢進症は、骨型、腎結石型、無症候型に大別されています。
骨型では骨量が減少し、弱まることで関節や腰の痛みが出ます。
また、骨の痛み、変形、骨折などを起こすリスクが高まります。

そのほか、骨から大量のカルシウムが溶け出すことにより、骨のカルシウムが不足し骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を招いてしまうことにもなりかねません。
次に腎結石型ですが、尿路結石(にょうろけっせき)や腎臓の機能障害を招いてしまう副甲状腺機能亢進症がこれにあたります。

そして無症候型ですが、このタイプはこれといった自覚症状がない副甲状腺機能亢進症のことです。
ただ、無症候型であっても疲労を感じやすい、気分が落ち込む、頭がボーッとする、苛立つ、眠れない、筋力が落ちる、血圧が高まる、胃十二指腸潰瘍(いじゅうにしちょうかいよう)、膵炎(すいえん)などの症状があることが、くわしく調べることでわかるケースもあります。

二次性&三次性副甲状腺機能亢進症の症状

自覚症状を伴わない無症候性のケースが珍しくありません。
起こり得る症状としては、だるい、吐き気、おう吐、多飲、多尿、食欲がない、口がかわくといったものがあります。

また、血中カルシウム濃度は基準値が8.4~10.2mg/dlですが、20mg/dlをオーバーすると高カルシウム血症クライシスと呼ばれる生命をおびやかす状態になることがあります。
そのほか、原発性副甲状腺機能亢進症と比較して副甲状腺ホルモンの濃度が高く、症状が強く出る場合があります。

副甲状腺機能亢進症の検査・診断

どうやって調べる?

血液検査によって、血液中のカルシウム、リン、副甲状腺ホルモンの濃度を測定します。
血中カルシウム濃度や副甲状腺ホルモンの濃度が上昇していて、リンの濃度が下降している場合には、副甲状腺機能亢進症と診断が下されることになります。

ほかにはどういう検査がある?

血液検査以外には、画像検査が行なわれています。
超音波、CT、シンチフラフィにより、副甲状腺の大きさ、機能、位置、形態などを確認します。

また、レントゲンで骨折の有無が確認されることもあります。
そのほかには骨の硬度を確認する骨量検査、尿中のカルシウム量を確認する尿検査などが行なわれています。

どういう場合に診断されることが多い?

はじめから副甲状腺機能亢進症を疑って医療機関へ行く人はほぼいません。
健康診断や別の疾患の検診などで血液検査を受け、数値が異常を示してわかることがほとんどです。

そのため、2,500~3,000人に1人がかかるとされている病気ではありますが、実際にはこの人数より多くの人が副甲状腺機能亢進症にかかっているのではないかと推測されています。

副甲状腺機能亢進症の治療

外科的療法

副甲状腺機能亢進症を起こしている場合には、腫大した副甲状腺を手術によって摘出するのが基本です。
副甲状腺機能亢進症のほとんどは、1個の副甲状腺だけが腫大しているため、その1個のみ摘出する形になります。

多発性内分泌腺腫瘍に合併し、4個すべての副甲状腺が異常になる過形成(かけいせい)の場合には、4個すべてを摘出しなければいけません。
また、1個のみ異常の場合でも、過形成の可能性もあるということで、同じ側にある副甲状腺をもう1個、組織を調べることを目的に摘出します。

過形成では先述したように、4個全部の副甲状腺を取り除くわけですが、そのままでは逆に低下症を引き起こしてしまいます。
そのため、4個ある副甲状腺のうち、1個の半分だけを前腕などに移植する方法が選択されています。
移植は患者自身の副甲状腺を移植する自家移植によって行なわれます。

なぜ前腕など、本来ある場所とは離れた場所に移植するのかというと、慢性腎不全は副甲状腺の摘出後も続くため、副甲状腺は引き続き刺激を受け続けることになります。
副甲状腺を本来あった場所に残すと、そこでまた副甲状腺が腫大するリスクがあります。

また、のどには声を出す神経が存在しており、合併症を回避するためにも前腕に副甲状腺を移しているというわけです。
そしてこうしておくことにより、万が一副甲状腺機能亢進症が再発した場合でも、容易に摘出することが可能になります。

薬物療法

副甲状腺機能亢進症は患者の状態に応じて、さまざまな種類の薬が使用されています。

たとえばリンを低下させるリン吸着剤、カルシウムを高める高カルシウム透析液、カルシウム製剤、ビタミンD製剤、ビタミンDを高める活性型ビタミンD、骨の吸収を抑制して骨粗鬆症を防止するビスホスホネート、血液中の副甲状腺ホルモンやカルシウムを低下させるシナカルセトなどをあげることができます。
なお、薬物療法は根治治療ではありません。

治癒するためには外科的療法が行なわれる必要があります。

経皮的エタノール注入療法(PEIT)

超音波による画像を確認しながら、アルコールの一種であるエタノールを腫大した副甲状腺に注入します。
こうすることにより、直接に副甲状腺を壊死させることが可能です。

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