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胃がんの症状・原因・検査・治療

公開日: : 最終更新日:2015/10/14 胃・食道の病気

胃がん
こちらでは、胃がんの症状や原因、それに治療法などについて、様々な角度から知識を深められるように情報をまとめてあります。
胃がんにかかってしまう可能性は、残念ながら誰にも少なからずあるものですが、早期発見ができれば最小限の治療ですみますし、場合によっては完治させることもできます。
そのためにも、胃がんについての知識を深めておくことは大切なこと。
こちらで、胃がんについて詳しく知り、イザという時には適切な対処ができるように備えておいてください。

胃がんとは…

『胃がん』というのは、文字通り胃にできるがんのことですが、より詳しく見てみると、胃の壁の中でも一番内側にある粘膜の細胞が、がん細胞になってしまうという状態です。
胃がんは、粘膜内の「分泌細胞」と呼ばれるものや、分泌物を胃の中に導くという役割をする「導管」と呼ばれる細胞から発生します。
当初は非常に小さなものなのですが、数年の間に徐々に細胞が大きくなり、5mm程度になると胃がん検診などで発見できるようになります。
ですから、どんなに発見が早かったとしても、発生から数年は経ってしまっているということになりますね。
がん細胞が増殖していくと、徐々に広がっていくのですが、その広がり方には大きく分けて次の3通りがあります。
まずは、「胃の壁を深く広がる」というケースで、胃の中に広がったがん細胞が膵臓や大腸、肝臓などに広がっていうという場合もあります。
次が「リンパ節を通して広がる」というケースで、がん細胞がリンパ管に入りリンパ液の流れに乗って増殖していきます。
これは『リンパ節転移』と呼ばれているものですが、胃がんでもっとも多い転移がこの形だと言われています。
3つ目は「血液を通して他の臓器に広がる」というケースです。
胃の壁には多数の血管がありますので、そこにがん細胞が入り込み肝臓や肺に流れていきます。
その結果、肝転移や肺転移が起こってしまうのです。
このように胃がんは、胃だけではなく他に転移することも多いですから、できる限り早期発見して対処することが大切と言えるでしょう。

初期症状

胃がんの初期症状の特徴としてあげられるのは、ほとんどの場合『自覚症状がない』ということでしょう。
つまり、早期発見が難しい病気ということができます。
とはいえ、できるなら早期発見ができるに越したことはありません。
そこで、よく見られる典型的な初期症状をご紹介しておきましょう。
まずは、「胃の不快感が続く」ことや「食欲不振」、「継続的な吐き気」、「胸焼け」、「体重の減少」、「貧血」、「げっぷ」、「便が黒くなる」などが挙げられます。
しかし、これらは胃がんの初期症状であることは間違いないのですが、日常生活の中で「なんとなく調子が悪い」と認識されることも多いため、実際には特別な病気を疑うことなくやり過ごしてしまうというケースがほとんどなのです。
そのため、気がついた時には胃がんが進行してしまっているということになるんですね。
また、これらの症状は胃がんだけではなく、「胃炎」や「胃かいよう」などの場合にも起こります。
一時的なものであれば心配ないというケースも多いですが、もしも上記の症状が数日間にわたって続くようなら、何らかの胃の病気になっている可能性は十分に考えられますので、病院で検査を受けておくほうが安心できるでしょう。
ついつい「これくらいで検査なんて・・・」と放置してしまいやすいですが、検索の結果、問題がなければそれで良いわけですし、万が一、胃がんができていれば早期発見できることになります。
いずれにしても検査を受けて損はありませんので、少しでも気になればすぐに病院に行きましょう。

進行と症状について

胃がんの進行状況を見ていくと、初期の段階では大きな自覚症状があらわれることはほとんどありません。
胃の粘膜に、ごく小さながん細胞ができているというのが初期状態ですが、この段階では身体に異常が現れるということは、まずないと考えられます。
自覚症状が現れたとしても、「なんとなく胃の調子が悪い」とか「ただの胃炎だろう」という程度にしか考えず、市販の胃腸薬などでやり過ごしてしまうため、見逃しやすいのですね。
もちろん、実際に大した病気ではないというケースもあるのですが、「がん年齢」と呼ばれる40代以上の方の場合、胃の異常が2週間以上続くようであれば、病院で何らかの検査を受けておくほうが安心です。
胃がんの初期状態では、「食欲不振」や「胸焼け」、「胃もたれ」、「吐き気」、「胃の不快感」、「大量のげっぷ」などが見られますが、少し進行してくると、みぞおちのあたりに疼くような痛みを感じることもあります。
ただし、それほど激しい痛みではありませんので、やはり見逃しやすいのですが、少しでも痛みを感じるようであれば注意が必要です。
また、特にダイエットをしているわけでもないのに痩せてくるというケースもありますので、理由もなく体重が落ちている時にも気をつけてください。
とはいえ、上記の通り「食欲不振」が起こることも多いですから、体重が落ちてもそのせいだと思ってしまいがちですが、ここで見逃すと胃がんが進行してしまいます。
身体の変化には敏感になっておいて、なにかあれば早期発見ができるよう、すぐに検査を受けるようにしましょう。

スキルス胃がんとは

『スキルス胃がん』というのは、胃がんの中でも比較的発見がむずかしいとされているもので、これが悪性腫瘍と分かるまでは、一種の胃炎と考えられていたものです。
通常の胃がんであれば、胃の表面の粘膜に異常が起こるのですが、スキルス胃がんの場合には胃の表面に大きな変化が起こることがあまりありません。
そのため、X線検査などでも発見できないばかりか、胃カメラの検査をしても見つけられないような場合もあるのです。
やがて胃壁全体が硬くなり、この時点で発見されることが多いのですが、こうなるとスキルス胃がんが進行してしまっているため、時には末期になっているというケースも少なくはありません。
また、スキルス胃がんが怖いのは、転移しやすいという性質を持っているということです。
転移のスピードも早く、特に腹膜に転移することが多いと言われています。
転移しやすいということは、それだけ完治させることが難しいということになりますが、スキルス胃がんが発見された時点で、約60%の人が腹膜やリンパ節に転移してしまっていることが確認されています。
また、切除手術で一旦完治したと思っても、再発の可能性が高い病気でもありますので、術後も注意が必要です。
スキルス胃がんは、男性よりも女性に多いとされ、中でも30~40代の発症率が高いと言われています。
初期症状としては、「胸やけ」や「消化不良」、「食欲不振」、「胃の痛み」、そして「食後に胃が硬い感じがする」など、胃の異常を感じるようになります。
これらの症状に心あたりがあるようなら、すぐに検査を受けておくほうがいいでしょう。

ステージ

『胃がんのステージ』というのは、胃がんがどのくらい進行しているのか、その進み具合を表す言葉です。
より詳しく言うなら、がん自体が胃壁のどこまで進行しているのかを表す『深達度(がんの深さ)』と、どのくらいまで転移しているのかを表す『リンパ節転移の状況』という2点が大きなポイントとなります。
深達度に関しては、T1~T4という4つの段階に分類されていて、T1がもっとも軽く胃の粘膜層にとどまっている状態で、T4が一番重く周辺の臓器にまで広がっている状態を表しています。
リンパ節転移の状況は、N0~N3という、やはり4つの段階に分類され、N0はリンパ節への転移が認められない状態で、N3が遠く離れているリンパ節にまで転移がある状態を表しています。
さらに、この2つのポイントを組み合わせて胃がんのステージが分類されるのですが、その際には「ⅠA期」、「ⅠB期」、「Ⅱ期」、「ⅢA期」、「ⅢB期」、そして「Ⅳ期」という計6つの段階に分けられています。
「ⅠA期」や「ⅠB期」という早期に発見ができれば、胃がんは転移していませんので完治させられる可能性もありますが、「Ⅳ期」まで進んでしまっているとリンパ節や肺などへの遠隔転移も見られますので治療がかなり困難となってきます。
検査や診察によって胃がんのステージが判断出来れば、それに基づいて治療方針を決定し、実際の治療が開始されるのですが、言うまでもなく早期のステージのほうが治療効果も高くなりますので、やはり早期発見が何よりも大切といえるでしょう。

タバコの関係

タバコといえば、肺がんの原因になりやすいという認識をしている方が多いでしょうが、実は胃がんにも大きく関与していて、食生活と並んで最も多い原因に数えられているものです。
タバコを吸う人と吸わない人とでは、胃がんの発症率に2倍の違いがあるということからも、その影響度の大きさがわかると思います。
「タバコには百害あって一利なし」と言われることも多いですが、実際問題として有害物質が200種類以上も含まれていることがわかっています。
特に有名なところでは、ニコチンやタールが挙げられますね。
これらの成分には依存性もありますから、一度吸い始めるとなかなかやめられないという人も少なくはありません。
ただでさえ有害なものを吸い続けてしまっていたら、身体に良くないことは言うまでもありませんね。
ところが、タバコの依存性には、吸うとリラックスできるという錯覚を起こす作用もあります。
そのため、少しストレスを感じるような状況になると、つい一服吸ってしまうのですが、ストレスを感じているだけでも胃には良くないのに、そのうえ有害物質の影響も加わっていきますから、胃にとっては追い打ちをかけることになり、より過酷な状況になってしまうのです。
そのため、胃がんも発生しやすくなるのですね。
仮に胃がんは免れたとしても肺がんになる可能性も高いですから、いずれにしてもタバコが良くないことは明らかでしょう。
その他、生活習慣病などの原因にもなり得ますから、吸っている方は早めに禁煙したほうがよさそうですね。

食生活との関係

胃がんと食生活の関係というのも、多くの方が気になるところだと思います。
というのも、どんな食生活をしているのかによって、胃がんになる確率も変わってくると言われているからなんですね。
特に、私たち日本人が注意しないといけないのは『塩分の摂り過ぎ』です。
塩分を摂り過ぎると、胃壁を守ってくれている粘液が溶けてしまい、その結果、発癌物質がしみこみやすくなってしまうのです。
実は、日本の家庭料理の代表とも言える「味噌汁」や「つけもの」、それに「干物」などは塩分が多く、食べ過ぎると胃がんになる可能性は高いとされています。
もちろん、これらの料理が必ずしも悪いわけではないのですが、あまりにも味付けの濃いものに慣れてしまっていると、どうしても塩分の摂り過ぎになりますので注意が必要といえるでしょう。
最近では、「減塩」の味噌汁なども増えてきていますので、そういったものを選ぶというのもひとつの方法です。
また、『ピロリ菌』も胃がんの原因になるということが最近の研究では明らかになってきています。
ピロリ菌は、胃の粘膜に作用して胃壁を傷つけてしまうのですが、この状態が長く続くと胃がんを引き起こす原因となってしまうのです。
ピロリ菌には乳酸菌が効果的とされていますので、ヨーグルトをはじめとした乳製品を積極的に摂ることをオススメします。
また、いわゆる発がん物質を抑えるのに効果的とされているのが、ビタミンCを多く含んでいる『果物』ですので、新鮮なフルーツを食べることを習慣にしておくといいでしょう。

口臭・ゲップ

『口臭』や『ゲップ』というと、あまり胃がんと結びつけて考える人は少ないかもしれませんが、実は関係している場合も少なくはありません。
もちろん、口臭がキツかったりゲップが多ければ、必ず胃がんだとは言い切れないのですが、胃がんの初期症状の中にこの2つは含まれているものなのです。
元々、口臭やゲップというのは、胃の状態が良くない時に出てきやすい症状です。
口臭の場合は歯周病などが原因の場合もありますが、どんなに歯磨きをしたりマウスウォッシュをしたりしても改善できないものは、胃の状態が悪いためと考えられます。
ゲップも、単に食べ過ぎたためであれば問題はないのですが、特に食事量には変わりがないのに大量のゲップが出てくるようであれば、胃に問題があるのかもしれません。
胃の異常というのも色々と考えられるのですが、胃がんになっている場合にも口臭やゲップが出てきやすいものなのです。
とはいえ、どちらも他の原因である可能性が考えられるため、すぐに胃がんを疑うという人はあまりいません。
そのために発見が遅れてしまいやすいというのが実情です。
明らかに、歯周病や食べ過ぎなど、原因がハッキリしているのなら問題はないと思われますが、特に心当たりもないのに口臭がひどくなってきたり、ゲップが頻繁に出てくるようになったら、ひとまず胃がんを疑って検査を受けておくほうがいいでしょう。
検査の結果、問題がないのであれば、それが最善なのですから、不安材料は少なくしておくことをオススメします。

ストレス

胃がんとストレスの関係も、見過ごすことができないものです。
ストレスが直接、胃がんの原因になるとは言い切れないのですが、胃がストレスの影響を受けることは広く知られています。
強いストレスにさらされることが長く続き、胃炎や胃潰瘍を起こすことはよくありますし、そこから胃がんに発展してしまうことは十分に考えられますので、間接的にはストレスも胃がんの原因のひとつということができるでしょう。
過度のストレスが心身ともに悪影響を与えることは、現代では常識のひとつといえるほど明らかにされてきています。
ですから、できる限りストレスのない生活を送りたいものなのですが、現代の仕事事情や生活状況を見渡してみると、それはほとんど不可能といえるほど、ストレスを避けることはできません。
となると、できるだけ短期間で上手にストレスを解消し、長引かせたり溜め込んだりしないということが大切になってきます。
しかし、いわゆる真面目な人ほどストレスを貯めこんでしまいやすいものですから、ある意味では「いい加減」に取り組むという側面も必要なのかもしれません。
「いい加減」というのは大雑把という意味でも使われますが、「良い加減」ととらえることもできますので、あまり深刻にならずリラックスすることを覚えることも大切でしょう。
まだ確実なデータではないようですが、楽観的な人のほうが胃がんになりにくいという説もあります。
ストレスをうまく発散し、解消することで、胃がんのリスクを減らしていきたいものですね。

胃がんと胃潰瘍

胃潰瘍といえば、ストレスなどが原因で胃酸が強くなりすぎ、自分の胃を溶かしてしまうという症状ですね。
ひどい場合には胃に穴を開けてしまい、激痛に苦しむというケースもあります。
また、この胃潰瘍が悪性に進行・変化して胃がんになってしまうというケースもあるようです。
胃潰瘍に関して厄介なことは、それ自体も問題のある病気なのですが、転移を起こす前の胃がんと症状が似ているということです。
つまり、詳しい検査を受けないと(時には検査を受けても)、胃潰瘍と胃がんは区別しにくいということなんですね。
ですから、ずっと胃潰瘍だと思っていたものが、実は胃がんだったということが、かなり進行してからわかるというケースも決して少なくはないようです。
実際、胃潰瘍や胃癌の患者さんを何千人と診てきたお医者さんですら、表面に現れる症状だけでは、どちらなのかを判別することはできないといいます。
胃潰瘍でも激しい症状に苦しむこともあれば、胃がんでもなかなか自覚症状が現れないケースもありますので、これはやむを得ないことといえるのでしょう。
ですから、胃潰瘍を長年にわたって患っていたという方は、特に注意が必要になるかもしれません。
とはいえ、胃潰瘍でも命にかかわるほどの緊急手術が必要になることもあれば、胃がんでも早期発見で完治することもありますから、必ずしもどちらが重篤とは言い切れない部分もありますが、いずれにしても早く治療するに越したことはありません。
気になる症状があれば、すぐに医師の診断を仰ぎましょう。

ピロリ菌とは

『ピロリ菌』というのは、1980年代に発見された胃の壁を傷つける細菌のことで、胃炎や胃潰瘍、それに胃がんの原因になりやすいと言われているものです。
元々、胃の中には胃酸があり、その強い酸性のために細菌は生息できないと思われていたのですが、ピロリ菌は自ら住みやすいような環境をつくりだしてしまうという特性を持っています。
ちなみに「ピロリ」というのは、胃の幽門を意味する「ピロルス」という言葉からきている名前です。
幽門とは、言ってみれば胃の出口のことなのですが、この幽門で発見されたためにピロリ菌という名称が付けられたのです。
ピロリ菌は食べ物や飲み物から感染しやすく、衛生状態の悪い発展途上国の方が感染率が高いと言われています。
では、日本人は大丈夫なのかというとそうではなく、中高年以上の衛生状態が良くなかった戦後を経験している人は感染率が高いようです。
調査によると、日本人の約50%はピロリ菌の保持者で、50代以降の人になると70%以上が感染しているとも言われています。
ピロリ菌に感染しているからといって、必ずしも胃潰瘍などを発症するというわけではないのですが、最近の研究では胃癌の発生にも深くかかわっていることが報告されています。
胃の中という強い酸性の中で生息しているピロリ菌ですから生命力もかなり強いのですが、抗生物質で除去することは可能とされています。
また、乳酸菌がピロリ菌に強いと言われていますから、普段からヨーグルトなどを積極的に食べておくことも効果的なようです。

抗がん剤による治療

『抗がん剤』というのは、がん細胞の増殖を防ぐための薬で、がんの種類によっては、この抗がん剤による治療が第一選択とされることもあるのですが、胃がんの場合には、まず手術が選択されます。
そこで、胃がんにおける抗がん剤治療の位置というのは、「手術後の再発を防止する」ためか、がん細胞の転移や再発のために手術ができない場合の「延命治療の手段」として用いられるものということになります。
胃がんのための抗がん剤としては、1999年に治療薬として承認された「TS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)」というものが知られていますが、この薬によるがんの縮小効果は、従来の薬に比べてかなり高いと言われています。
また、このTS-1に関しては副作用も少ないと言われていますが、一般的に抗がん剤というものは副作用は避けられません。
というのも、抗がん剤の働きは前述のとおり、がん細胞の増殖を防ぐということであり、これはがん細胞の細胞分裂を抑制するというものです。
ですが、実際のところ私たちの身体の中でさかんに細胞分裂をして増殖しているのは、がん細胞だけではありません。
血液をつくる骨髄の造血細胞をはじめとして、消化管の粘膜や毛根細胞などの、いわゆる「正常細胞」も同様に細胞分裂をして増殖しているわけですから、これらの細胞も抗がん剤の影響を受けてしまうのです。
そのために、吐き気や脱毛などの症状が現れてしまうというわけですね。
もちろん、がんの抑制に効果が見込めるのなら使う意味はあるのですが、事前に副作用についても知っておきたいところです。

内視鏡手術

内視鏡というのは、柔らかい素材で作られたチューブの先端にカメラが付いている機器のことで、これを口などから挿入することで身体の内面を調べるというものです。
元々は、食道や胃などの状態を観察するために使われていたものですが、最近は画像の映りも鮮明になり、その精度も上がってきているため内視鏡を用いた手術も頻繁に行われるようになってきました。
そこで、胃がんの治療でも内視鏡手術が行われるのですが、実際に手術ができるのは胃がんのステージがまだあまり進んでいない時に限られます。
というのも、胃がんのステージが進行し、リンパ節や肝臓などに転移してしまっている状態では、外科的な手術を行うしか改善が見込めないからです。
つまり、胃がんで内視鏡手術が行われるのは、転移がなく、がん細胞が胃の中にとどまっている状態、より詳しく言うなら、胃の表面の粘膜にある状態までということになります。
また、がん細胞の大きさにも制限があり、一般的には2センチ以下の時に内視鏡手術が用いられるようです。
とはいえ、外科的な手術を行うと、どうしても身体への負担が大きくなってしまいますから、なるべく内視鏡手術で治療できる範囲を広げようと開発が進み、今では2センチ以上の胃がんでも切除ができるようになってきているといいます。
転移した場合には外科手術に頼るしかありませんが、やがて技術が進めば、内視鏡手術の利用範囲も、もう少し広がってくるのかもしれませんね。

手術の合併症

胃がんの手術を受けた場合、いくつかの合併症の可能性が考えられます。
合併症は、手術することで直接発生する「一般的障害」と呼ばれるものと、「術後の合併症」とに分けることができます。
一般的障害の方で特に問題となりうるのは、麻酔薬や抗生物質の投与に対する「アレルギー反応」や、それに伴う「肝障害」、「腎障害」などでしょう。
もちろん手術前に検査を行いますので、アレルギー反応は回避しやすいのですが、肝臓や腎臓の薬剤性の障害は予測が困難だと言われています。
続いて、術後の合併症については、手術後の比較的早い時期に起きるものとして、「腹腔内出血」や「消化管内出血」、「縫合不全」、「腹腔内膿瘍」、「腸管麻痺」などが挙げられます。
縫合不全がひどい場合には「腹膜炎」を起こすこともありますし、他に「すい炎」や「肺炎」、それに「肺塞栓症」などを起こす場合もあるようです。
また、胃がんの手術では、胃そのものを切除するため、それによる影響が術後しばらくしてから出てくることもあり、これらは「晩期合併症」と呼ばれています。
晩期合併症の代表的なものには、一度にたくさん食べられなくなる「ダンピング症候群」がよく知られています。
さらに、胃を切除することで栄養素の吸収が損なわれてしまうことも少なくありません。
ビタミンB12や葉酸、鉄分などの吸収障害が起きると「貧血」になりますし、カルシウムの吸収障害が起きると「骨粗しょう症」になってしまうというケースもあるようです。

手術の後遺症

胃がんの手術を受けると、いくつかの後遺症が出てくる場合も少なくありません。
一部は、術後の晩期合併症と重なってくるものもありますが、ここで代表的な後遺症をご紹介しておきましょう。
まず筆頭に挙げられるのが「腸閉塞」です。
これは、手術後に腸が癒着を起こし、それにより腸の流れが閉ざされてしまって便やガスが出なくなってしまうという状態です。
通常は、絶食することで自然に回復するのですが、癒着があまりにもひどい場合には、腸閉塞を治すための手術が必要になることもあります。
また、「ダンピング症候群」もよくある後遺症の一つです。
胃がんの手術では、胃を切除するわけですが、それにより以前は胃の中で撹拌されながら徐々に腸に移動していた食べ物が、一気に腸に流れこむような状態になります。
するとホルモン異常が起きたり、ひどい動悸や全身の倦怠感に襲われてしまうことがあるのですが、これらを総称してダンピング症候群と呼んでいます。
他に、「胆石症」になるというケースも少なくありません。
これは胃を手術したために胆嚢の神経が切れ、それにより胆嚢の動きが悪くなって胆嚢内に結石ができてしまうのです。
あまりにも症状が強い場合には胆石の手術が必要になることもあります。
他に「逆流性食道炎」や、胃を切除したために栄養素の吸収力が落ちて発症する「貧血」、それに「骨粗しょう症」なども後遺症として数えられることがあります。
また、胃が小さくなりますので、食事が少ししかとれなくなる「小胃症状」は、避けられないものと言えるでしょう。

手術後の食事

胃がんの手術を受けた後は、少なくとも胃が小さくなり、場合によっては全摘出で胃がなくなってしまうこともあります。
すると、術後の食事も、それまでと同じようにはできませんので、いくつかの注意が必要となります。
手術の状況などは個人差もありますが、ここでは手術後の食事に関する基本的な注意点をご紹介しておきましょう。
まず、何よりも意識しなくてはいけないのが『胃の負担を軽くする』ということです。
健康な時には、あまり意識することがありませんが、実は私たちの食事の仕方というのは、かなり胃に負担をかけているもの。
それは確実になくしていくようにしましょう。
特に意識したいのは「よく噛む」ということです。
口の中で食べ物をよく噛むと、当然食べ物自体が小さくなりますし、唾液とも十分に混ざりますので胃の負担をかなり軽くすることが出来るのです。
唾液には酵素が含まれていますので、これによりある程度の消化も行われると言われています。
まずは、よく噛むことを習慣にしてください。
続いて「ゆっくり食べる」ということも大切です。
胃が小さくなっていますから、どうしても食べる量は少なくなりますが、それでも短時間で食べ物が胃に入ってくると負担は大きくなります。
よく噛むこととあわせて、味わいながら食べるようにしてみてください。
他に「少なめに食べる」ということも意識しておくといいでしょう。
こうして見てみると、少なめの量を、ゆっくりよく噛んで食べるという、一般的な健康法とも通じてきますが、手術後は特に意識しておくことが大切です。

手術後のお酒とタバコ

胃がんの手術後は、お酒やタバコを控えたほうがいいのか?これが気になる方も少なくはないことでしょう。
お医者さんの中には、特に禁酒や禁煙をする必要はないという方もいらっしょるようです。
が、総じてこの2つは控えたほうが無難だと思われます。
まず、お酒に関してですが、適量であれば飲酒自体は決して身体に悪いとはいえないものの、胃がんの手術後は胃が小さくなり、どうしてもアルコールの吸収も早くなります。
つまり、手術前よりも酔いが早くなるということですね。
ですから、以前の感覚で適量だと思っていても、実は飲み過ぎになってしまうということが十分に考えられるのです。
それに、お酒を飲み過ぎると胃炎になる可能性も高いので、飲むのであっても、かなり控えめにしておくほうがいいでしょう。
続いてタバコですが、喫煙自体が「がんと因果関係がある」とされているものですので、吸わないほうがいいのは確かなようです。
また、血管を収縮させることを筆頭に、身体に良くない影響をあたえることは、ほぼ間違いがありませんので、基本的には禁煙するほうがいいでしょう。
それに、タバコを吸うことで術後の体力回復にも影響が出てしまうと言われています。
愛煙家の方には残念ですが、やはりタバコにはメリットを見つけることが難しいようです。
ただ、禁煙するとかえってストレスが溜まるという場合にはやむを得ないかもしれません。
その場合でも、数量は最小限にとどめておくようにしましょう。

転移や再発について

胃がんで怖いのは、他の部分への転移です。
胃がん自体は、胃の内側の粘膜に発生し、当初はこの粘膜内を横に広がっていきます。
ですが、進行するに従って胃の外側に浸透するような形で広がり、やがて胃壁の外側にも、がん細胞が顔を出すようになるのです。
もちろん、がんが進行すればするほど、他の部分への転移もしやすくなっていきます。
胃がんが転移するのは、主に次の3ヶ所と言われています。
まずは、リンパ管の中に入って転移する「リンパ行性転移(りんぱこうせい てんい)」と呼ばれるもので、これが胃がんの転移の中でも一番多いようです。
続いては、がん細胞が血管の中に入って転移する「血行性転移(けっこうせい てんい)」、そして最後が、胃の中の漿膜(しょうまく)と呼ばれる部分に進んだがん細胞が腹腔内で飛び散ってしまう「腹膜転移(ふくまくてんい)」などがあります。
前述のとおり、もっとも多いのはリンパ行性転移ですが、その種類を問わず、がん細胞が転移してしまうと完治させることはかなり難しくなります。
というのも、現時点でもっとも確実な治療法と言われているのが、がん細胞の切除なのですが、どの種類の転移であっても、がん細胞が広がってしまうと、その全てを切除することは実質的に不可能となります。
仮に、わかっている範囲ですべてのがん細胞を切除したとしても、リンパ管や血管を通じてどんどん広がっていきますので、とても追いつかなくなってしまうのです。
こうなると、延命処置として抗がん剤を使用するということになります。

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