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食道アカラシアの病気の原因・症状・治療

公開日: : 最終更新日:2018/04/11 胃・食道の病気

食道アカラシ

食道アカラシアとは

消化器である食道と胃の境には、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という筋肉があります。
食事で食べ物を飲み込むと、食道を経由して胃へと自然に運ばれていきますが、そのときに空腹時には閉じている食道と胃の境=食道胃接合部が、下部食道括約筋がゆるむことにより開いて、食べ物を胃へと速やかに通します。

また、食べ物の消化が胃で行われるとき、下部食道括約筋は収縮し、胃酸や胃へと送り込まれた食べ物が、食道へとのぼってこないようにしています。

胃での消化がはじまったときに、下部食道括約筋が収縮して、胃酸や胃へと送り込まれた食べ物が、食道にのぼってこないようにする役割の障害のことを逆流症(ぎゃくりゅうしょう)といいますが、食事のときに下部食道括約筋がゆるみ、胃へと速やかに食べ物を押し流す役割に障害が発生しているのが食道アカラシア(しょくどうあからしあ)です。

食道アカラシアでは、常に下部食道括約筋が収縮しており、食べ物を飲み込んでもこの筋肉がゆるまず、食道が食べ物を押し出す力も低下しているため、食べ物がずっと食道に停滞している状態になりがちです。

そのため、この病気にかかっている人は物を飲み込みづらい、なにかつかえた感じがする、おう吐してしまうといった異常を起こすようになります。
また、慢性的に食べ物が唾液が食道のなかにとどまっている状態のため、睡眠中に食べ物や唾液が口のなかへと逆流しやすくなります。

慢性的な食べ物や唾液の逆流によって、喘息(ぜんそく)のような咳(せき)が出る人もいます。
そのほか、食道アカラシアにかかっている人の半分ほどに、強い胸の痛みが生じます。

この症状は食道が過度に収縮することによって起こるものであり、心臓の病気である狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)によって生じる激しい痛みと思われることもあります。

食道アカラシアのアカラシアはラテン語であり、日本語に訳すと動かないことをさしています。
食道癌(しょくどうがん)のリスク因子で、人口100,000人中に1人という、珍しい病気です。
発症年齢は30~50歳代の割合が高いとされていますが、小児に起こった例も存在します。

食道アカラシアの原因

食道アカラシアの原因は何?

この病気は人口100,000人中に1人という、珍しい病気です。
そのため、現状において食道アカラシアが引き起こされてしまう原因は解明されていません。

食道と胃の境にある筋肉の下部食道括約筋は、一定の圧力によって胃の内容物や胃酸が食道へとあがってこないようになっています。
また、下部食道括約筋は、物を飲み込むとき、唾液を含む食べ物を胃へと通すために一時的にゆるみます。

この下部食道括約筋の運動は、脳で出る信号によって支配されています。
この信号になにがしかの障害が発生しているものという説が提唱されています。

食道アカラシアを悪化させる要素はある?

食道アカラシアの原因は前述のとおり、はっきりしていません。
ただ、症状が悪化する要素があるとされています。
たとえば、冷たい水を飲むことや、精神的なストレスなどがよくないといわれています。

食道アカラシアの症状

食道アカラシアにかかるとどのような症状が出る?

食道アカラシアの症状の多くは、食べ物が胃に送り込まれずに、食道のなかにとどまることによって出現します。
食道下部の流れが悪く、食道が次第に拡張し、ひどくなると食道が蛇行します。

嚥下(えんげ)障害といって、固形物や液体をうまく飲み込むことができなくなる症状が、徐々に悪化してきます。
病状が悪化すると、食道内にたまった食べ物を吐いてしまうこともあり、とくに睡眠中に起こる傾向があります。

ゲップ、胸焼けなどの、逆流症のような症状が引き起こされることもあり、薬剤の効きがよくない人のなかには、その原因が食道アカラシアにあるケースもあります。
そのため、食道アカラシアにかかっている人は100,000人中1人といわれていますが、実際にはもっと多くの人がかかっているのではないかという見方がされています。

そのほか、飲み込むときの痛みである嚥下時痛、胸の痛み、背中の痛み、体重減少の症状や、食道内に停滞している食べ物が、寝た状態になったときに逆流し、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を招いてしまうこともあります。

食道アカラシアの検査・診断

経口食道造影検査

食道造影検査とは、バリウムという造影剤を飲み、バリウムが食道を通る様子をレントゲン(X線)で撮影する検査です。

この経口食道造影検査では、描出された画像をみることにより、食道の拡張の度合いや下部食道括約筋の状態を調べることが可能です。

上部消化管内視鏡検査

上部消化管は食道・胃・十二指腸のことであり、上部消化管内視鏡検査はいわゆる胃カメラのことをさします。
内視鏡を挿入することにより、体内の様子を映像として確認することが可能です。

この検査では、食道の拡張や蛇行の程度をみるほか、食道粘膜の異常の有無を確認します。
また、食道アカラシアは食道癌のリスク因子とされていますが、上部消化管内視鏡検査では食道癌が起こっていないかを探る意味でも行なわれています。

CT検査

ベッド上に横になり、体内の断層画像を撮影する検査です。
CT検査では、食道の拡張の度合いを確認するとともに、別の病気が起こっていないかどうかを確認します。

食道内圧測定

この検査では、食道内に圧力計が搭載されたカテーテルという管を挿入し、食道内の圧を測ります。
食道内圧測定によって、食道の圧や食道の運動の異常を知ることが可能であり、診断を確定することが可能です。

食道アカラシアの治療

薬物療法

食道アカラシアでは、食道括約筋が閉じたままになっているため、この筋肉の圧を低下させる作用のある薬剤を使用します。

食道胃接合部の筋肉をゆるめ、通りを改善することを目的に、カルシウム拮抗(きっこう)薬や硝酸(しょうさん)薬といった薬剤が使用されていますが、高い効果を期待することはできません。

また、こうした薬剤は通常、降圧薬として投与するものであるため、副作用として頭痛などが生じる場合があります。

内視鏡的治療

内視鏡を挿入して、狭まっている食道胃接合部に風船状の器具であるバルーンを挿入し、ふくらませる方法があります。
この治療で下部食道括約筋をひろげ、通りをよくすることが可能です。
ただし、一時的な改善であり、再び狭まってしまうことも珍しくありません。

バルーンによる拡張のほかには、上部消化管内視鏡を使用することにより、筋層の切開を行なう治療方法もあります。
後述する手術とは違い、体表に傷を作ることなく行なうことが可能ですが、実施している施設は多くありません。

手術

薬物療法や内視鏡的治療のような内科的治療で症状が改善しない人に対しては、手術を行なう方法があります。
直接、下部食道の筋肉を切開し、食べ物がうまく胃のなかへと送り込まれるようにします。

従来はおなかを大きく切る開腹術が実施されていましたが、いまは小さな傷で済み、術後の痛みが少なく傷の治りが早い腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を行なうことが可能になっています。

ただし、食道の拡張や蛇行の程度がひどい場合には、手術を受けても高い治療効果を得ることができないケースがあります。
その場合には、食道の切除を行なうことが選択される場合もあります。

日常生活における注意点

食道アカラシアにかかっている人は、食事中に食べ物がつかえる症状が出ます。
そのため、接種したものが通過するまで時間が過ぎるのを待ったり、飲み物を飲んで流し込んだりという経験をすることがよくあります。

このような症状が長引いて、食道アカラシアの検査がまだという人は、早めに病院へ行くことをおすすめします。
また、食事では通過しやすいやわらかいものを摂る、小さいものを摂る、十分に咀嚼して飲むことが大切です。

そのほか、冷たい水や精神的なストレスは症状悪化に繋がるといわれているため、飲み物の温度に注意すると共に、自分なりの健康的なストレス発散法をみつけ、実践することも大切といえるでしょう。

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