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精巣上体炎を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/08/26 男性に多い病気

精巣上体(せいそうじょうたい)とはまたの名を副睾丸(ふくこうがん)といい、精子が産生される精巣(睾丸)の隣に位置する器官のことです。

精巣で精子が産生されるとまず精巣上体へと精子が運搬されて、精巣上体で貯蔵されて成熟します。
精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)というのは、この精巣上体へと細菌が侵入し、精巣上体に炎症が生じる病気です。

精巣は女性にはないため、精巣上体炎は男性特有の病気の一つです。
精巣上体炎には急性(きゅうせい)精巣上体炎と慢性(まんせい)精巣上体炎の2種類が存在します。

精巣上体炎の原因

この病気は細菌が尿道(にょうどう)から精管(せいかん)を通過して精巣上体にたどり着いて炎症が起こります。
急性精巣上体炎と慢性精巣上体炎では、きっかけとなる病気に違いがあります。

急性精巣上体炎の原因

高齢層で高い割合を占めているのが、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、膀胱結石(ぼうこうけっせき)などの病気です。

原因菌としては大腸菌などがあり、尿が汚染されて細菌が多くなり、急性精巣上体炎を発症しやすくなってしまいます。
一方、青年層の場合に高い割合を占めているのが尿道炎(にょうどうえん)です。

STD(性病(せいびょう)・性感染症(せいかんせんしょう))の原因である淋(りん)菌やクラミジアが精巣上体に到達することによって、急性精巣上体炎を招いてしまいます。

慢性精巣上体炎の原因

大腸菌などの細菌によって急性精巣上体炎を招いたあと、治療がしっかりと行なわれていない場合には精巣上体の内部に細菌が居座る形になり、慢性的な炎症を生じさせます。

慢性精巣上体炎では細菌の検出が困難で、どの菌によって精巣上体炎を招いているのか絞り込めないケースも珍しくありません。
このほか、慢性精巣上体炎は、結核菌などの菌が原因で炎症が長引くケースもあります。

結核菌が原因の場合、肺の結核菌感染が、尿へと場所を変えることによって慢性精巣上体炎を招くことになります。
結核感染は、尿中の結核菌が確認されずに精巣上体の摘出を行なった結果、証明されるケースもあります。

精巣上体炎の症状

精巣上体炎は、急性精巣上体炎も慢性精巣上体炎も、精巣上体に炎症が生じる病気であるという点では共通しています。
ただし、急性精巣上体炎と慢性精巣上体炎では、炎症以外に出現する症状が異なります。

急性精巣上体炎の症状

陰嚢(いんのう)は一般にいう金玉袋のことであり、精巣や清掃状態が格納されています。
ここに引き起こされる痛みが急性精巣上体炎の場合はあります。

はじめは痛みの度合いはたいしたことがなく、一部にだけ起こっているだけです。
しかしながら、次第に陰嚢全体にまで拡大しますし、また、陰嚢が赤くなり、硬くはれあがる症状も出現します。

痛みは足の付け根や下腹部にまでおよぶケースもあり、ひどくなると精巣と精巣上体がひとかたまりになってはれて大きくなり、歩行に支障をきたしてしまうこともあります。
痛みに関してははれている部分を押すと強く出ます。

また、陰嚢が熱を持つようになったり、全身の熱が出て38℃以上の高熱になることも珍しくありません。

尿道炎が付随している状態では、排尿時に痛みが走ることがあるほか、膿(うみ)が尿道から排出されることもあります。
そのほか、急性精巣上体炎を起こしていると、深刻な症状を招いてしまうことがあります。

発熱の症状は感染悪化のきざしであり、陰嚢に膿が蓄積して切開の処置をほどこさなければいけなくなるケースもあります。
また、まれなことではありますが、感染が太ももやお尻のほうにまで拡大してはれるのも深刻な状態の一つです。

なかでも糖尿病の患者や、ステロイドの服用中で免疫が低下している患者が感染を放置していると、陰部の広範囲に感染が拡大し、フルニエ壊疽(えそ)という、死亡率・緊急性が共に高い病気を招いてしまうリスクがあります。

慢性精巣上体炎の症状

急性精巣上体炎の時期が終わったあと、硬いしこりが精巣上体に残り、強さはするどくないものの、痛みや違和感の症状が長いあいだ引き起こされます。

急激にはれあがったり、発熱を起こしたりするといった、急性精巣上体炎で出現するような症状はありません。

慢性精巣上体炎の原因が結核菌にある場合も、痛みは強くありません。
ただし、陰嚢が数珠状に硬くはれてくる症状が出現するという点で、結核菌が原因ではない慢性精巣上体炎とは違いがあります。

精巣上体炎の後遺症

急性精巣上体炎も慢性精巣上体炎も、同じ精子が通過していく精巣上体に生じる炎症です。
人によっては、精子が通過しにくくなるという問題を残してしまうことがあります。

精巣上体炎は多くの場合、片側だけに生じる病気であり、片側のみの発症の場合は不妊症(ふにんしょう)の原因になることはないです。

ただ、精巣上体炎が両側に生じた場合には、男性側に原因のある不妊症を起こしてしまうリスクがあります。

精巣上体炎の検査・診断

精巣上体炎を引き起こしているかどうかは、視診や触診ではれ具合や圧迫したときの痛みを調べるほか、以下のような方法で見極めます。

なお、急性精巣上体炎の可能性がある場合も、慢性精巣上体炎の可能性がある場合も、泌尿器科のある医療機関へ行けば対応してくれます。

急性精巣上体炎の検査・診断

急性精巣上体炎を引き起こしているかどうか調べるために行なわれている方法としては、尿検査や血液検査があります。

尿検査で尿内の細菌、白血球を確認し、血液検査では体中への影響を確かめることを目的に、炎症反応などを調べます。

細菌に関しては、菌種と何の抗菌薬が有効かを同時に確認しますが、検査で細菌が確認されないケースもあります。

慢性精巣上体炎の検査・診断

慢性精巣上体炎を引き起こしているかどうか調べる方法ですが、急性精巣上体炎と一緒で尿検査が行なわれています。
尿内の細菌や白血球を確認し、白血球だけで細菌が確認できなければ、結核菌によって慢性精巣上体炎を引き起こしていることを疑い、尿内の結核菌を確認するための検査を行ないます。

そのほか、慢性尿路感染である慢性前立腺炎(まんせいぜんりつせんえん)や、前立腺肥大症といった別の病気が一緒に引き起こされていることもあり、腎、膀胱、前立腺といった別の尿路に問題が発生していないかどうか調べる検査も行なわれています。

精巣上体炎の治療

急性精巣上体炎と慢性精巣上体炎とでは、原因、症状に違いがあります。
そのため、治療方法にも違いがあるのが特徴の一つです。

急性精巣上体炎の治療

急性精巣上体炎を起こしている場合には、原因菌に合った抗菌薬(飲み薬)を使った治療が行なわれています。
ユナシンなどのペニシリン系抗菌薬、セフゾンなどのセフェム系抗菌薬、クラビットなどのニューキノロン系抗菌薬などの投与がされます。

このような飲み薬による治療以外では、陰嚢を冷却し、安静を保つ方法がとられます。
軽症では安静といってもずっと横になっている必要はなく、運動を避ける程度で十分です。

また、サポーターやきつめのパンツを身に着けることで陰嚢を固定してあげると、症状が楽になることがあります。
なお、回復するまでは運動を避けること以外に、アルコールの摂取は避けるようにいわれます。

また、発熱などの全身症状が出現している場合には炎症や痛みを抑制することを目的に消炎鎮痛薬を使用するとともに、入院して安静を保ち、点滴治療を受けることになるケースもあります。

急性精巣上体炎は、抗菌薬が有効であれば7~14日間ほどで回復しますが、十分に治療が行なわれずに炎症がひどくなると、陰嚢に膿が蓄積し、陰嚢の切開や精巣上体の摘出を行なわなければならなくなるケースもあります。

慢性精巣上体炎の治療

慢性精巣上体炎の場合、尿検査の結果、菌が検出された場合には、起因菌に適した抗菌薬の投与が行なわれることになります。
結核菌が原因で慢性精巣上体炎を引き起こしている場合には、抗結核薬であるイソニアジド(イスコチン)、リファンピシン(リファジン)と、ストレプトマイシンかエサンブトールを併用します。

なお、カッコ内の薬の名称は商品名であり、カッコがないほうの薬の名称は一般名(成分)です。
結核菌による慢性精巣上体炎の場合、腎臓、膀胱などの感染を招いている疑いがあり、臓器の奥深くにせい息していることも珍しくないため、6ヶ月以上を費やして抗結核薬の使用を続けていかなければなりません。

そのほか、尿検査の結果、菌が検出されないため原因不明な人に対しては、症状緩和を目的に痛み止めなどを使った治療をしつつ、経過を観察していくことになります。
ほかの方法を試みたのにもかかわらず、慢性精巣上体炎の症状が消失しない場合には、精巣上体や精巣自体の摘出に踏み切ることもあります。

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