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手首自傷症候群の特徴や症状、治療・予防などについて

公開日: : 最終更新日:2015/04/19 精神・心の病


手首自傷症候群はリストカットとも言い、刃物をつかって自分の手首を切ってしまう病気を指します。
この病気は精神的な影響が強く、恐怖や不安を感じたときに自分の体を傷つけて、そこで生じた痛みによってそれらの感情をまぎらわせようとします。

さらに、血を流すことで、自分が生きているという実感を持とうとします。
こういった行為は何度も繰り返されることがほとんどで、手首にはたくさんの切り傷が刻まれます。
ただし、手首自傷症候群によって生じる傷自体はたいしたものではなく、数センチ程度の傷口であることがほとんどです。
そのため、死に至ることはあまりありません。

自傷行為は人がいるときに行われることはまずなく、多くはひとりで家にいるときなどに行われます。
10~20代の女性に多く、手首だけでなく腹部や足、顔などを切ることもあります。
自傷行為のほかに、うつ病や薬物依存症、性的無軌道、引きこもり、神経症、短時間の意識喪失、食欲不振、器物破損、憂鬱感などが見られる場合もあります。

手首自傷症候群の主な要因は、精神的なストレスだと言われています。
普段の生活のなかで不安感や不満がつのって、自傷行為につながってしまうのです。
特に思春期になると就職や進学などの進路のことで思い悩むことが増え、刃物をつかって自傷行為をして心の安定を保とうとします。
家族や周囲の大人は、自傷行為に走らないように深い理解を示してあげることが大切となります。

手首自傷症候群の要因で特に多いのが、母親との関係性の悪化です。
成長するにつれて、娘は母親に対して接近と反発を繰り返すようになると言われています。
友人関係が充実していれば母親との関係はそこまで悪くなりませんが、親しい友人がおらず母親との関係に依存してしまう場合があります。
そして、母親に接近して支配しようと試みますが、それがうまくいかない、あるいは母親が不適切な対応をとると、母親との関係が悪くなってしまいます。
その結果、見捨てられたような気持ちになって、自傷行為へと走ってしまうことがあるのです。

手首自傷症候群の診断は、本人への問診や家族からの聞き取りなどによって行われます。
入院したことがあるか、自傷行為を何度も繰り返していないかといったことが確認されます。
さらに、精神科から薬を処方されていないか、薬物を乱用していないかといったことも調査されます。
脳神経の異常が疑われた場合などは、脳のCTをとるなどして調べることになります。

手首自傷症候群の治療は、認知行動療法を主体とし、薬物療法と組み合わせて行われます。
認知行動療法を行ううえでポイントとなるのが、患者自身そして家族に自傷行為に対する誤解をとくこと、そして患者本人が自分に抱いているイメージをよくするということです。
ただし、この方法は必ずしも効果があるわけではなく、治療がうまくいかないことも多々あります。

一時的な対処方法として、自分の体ではなく別のものを壊すようにするということがあります。
しかし、衝動が強すぎる場合などは効果はないと言われています。
患者が自傷行為をやめたいと考えている場合はカウンセリングが有効とされていますが、これも絶対にうまくいくとは言えません。

刃物のかわりに赤いボールペンやマーカーを渡すという方法もあります。
手首にボールペンをさせば痛みがありますし、マーカーをつかえば血のように見えます。
それで満足して、刃物をつかわなくなるケースはあります。
衝動を感じたときに氷を手でぎゅっとにぎりしめれば、冷たさと痛みで衝動がおさまることもあります。
ただし、どちらの方法も患者自身がある程度冷静な場合にしか効果はありません。
衝動が強すぎる場合は記憶や意識も曖昧になっていることが多いので、こういった方法は適さないでしょう。

自傷行為が起こる根本的な原因に、統合失調症や境界型人格障害などが隠れているケースもあります。
どういった疾患が原因となっているかによって治療方法も変わってくるので医師による診断が重要となります。

薬物治療では、衝動や抑うつ感などを抑制するために、向精神薬などが処方されます。
ただし、薬はあくまでも補助的な役割に過ぎないので、根気強くさまざまな治療法を試すことが重要となります。

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