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せん妄の特徴や症状、治療・予防などについて

公開日: : 最終更新日:2016/06/07 精神・心の病

せん妄の原因・症状

せん妄は突如あらわれる精神機能の障害のひとつで、軽度から中等度の意識障害が見られます。
意識障害の程度は激しく変動し、そのときに強い不安感や錯覚、幻覚などの症状がともないます。
また、興奮状態となったり、異常な行動や言動などが見られる場合もあります。

せん妄は病気を指す言葉ではなく、特定の精神状態を指した言葉です。
明確な定義はありますが、さまざまな混乱状態を指してせん妄と呼ぶこともあります。

せん妄となると集中力や注意力が欠如し、場所や時間を把握できなくなります。
高齢者が発症することが多いこともあって、しばしば認知症と勘違いされることがあります。
認知症と決定的に異なる点としては、症状がいきなりあらわれるところだと言えます。
せん妄は夜間に症状が悪化するケースが多く、夜だけ症状が見られる場合は「夜間せん妄」と言います。

せん妄を発症する要因はいろいろあります。
脳の病気に限らず、全身性の病気によって発症するケースも多々あります。
また、食事や水分の摂取が不足している場合、もしくは飲んでいる薬によって症状があらわれることもあります。
せん妄は若年層でも発症しますが、その場合は生命を脅かす病気や薬物使用が原因となっていることがほとんどです。

手術によって、せん妄が起きることもあります。
手術にともなうストレス、用いられる麻酔薬や鎮痛薬の影響で発症することがあるのです。

入院や引っ越しなどの心理的なストレスがきっかけとなって、せん妄となる人もいます。
入院が原因となっているケースでは、特にICUに入室した人に多いと言われています。
ICUは窓や時計がないため、感覚への刺激が減少し、結果的にせん妄が引き起こされやすくなるのです。
夜間に治療や検査のために起床したり、さまざまな医療機器の音などによって睡眠が妨げられるのも要因として考えられます。
さらに、ICUに入室した患者の多くは重大な病気があり、その治療のために薬剤の投与をされています。
その影響でせん妄が引き起こされることもあります。

せん妄の治療・予防方法

せん妄を発症すると、多くの場合は入院することになります。
しかし、原因によっては短時間で帰宅が許されることもあります。

せん妄の原因はいろいろ考えられるので、まずは原因を特定することが急務となります。
原因が判明したら、すみやかに治療が行われます。
たとえば、原因が脱水なら水分と電解質を静脈内投与し、感染症なら抗生物質が投与されます。
せん妄は原因さえ特定され、その治療を行えば、回復されます。
せん妄の症状を進行させるような薬剤を服用している場合は、できれば使用をやめたほうがいいでしょう。

せん妄の改善と予防のためには、環境を整えることも大切となります。
部屋になにがあって自分がどこにいるのか把握できるように、部屋を暗くし過ぎないようにしましょう。
家族の写真やカレンダー、時計などを部屋に用意しておくと、見当識の維持に効果的です。

せん妄が引き起こされると、床ずれや転倒、失禁、低栄養、脱水などの症状が出やすくなります。
それを予防するためには、医師だけでなく看護師や作業療法士、理学療法士、ソーシャルワーカーなどが総合的にケアしていくことが大切です。

場合によっては、原因となる病気の治療を行うのと並行して、抗精神病薬を用いて治療を進めていくこともあります。
ただし、抗精神病薬によって症状が悪化することもあるので、使用には慎重さが求められます。

夜間せん妄は昼間の刺激を増やして日中眠らないようにして、夜ぐっすり眠って症状があらわれないようにします。
ただし、それだけではうまくいかないこともあるので、精神科の受診をすすめられることもあります。

患者が興奮状態にあって幻覚などの症状が見られる場合は、自分や介護者を傷つける恐れがあります。
その場合は、家族がつき添う、ナースステーションの近くの病室に入院するといった対策が必要となります。
膀胱カテーテルや点滴チューブ、パッドつき拘束具によって患者がパニック状態となることもあるので、使用は控えたほうがいいかもしれません。

せん妄の検査・診断方法

せん妄は症状によって、その可能性が疑われますが、軽度なものだとみつけるのがむずかしいこともあります。
入院患者にあらわれたせん妄すら、気づかれないケースもあるのです。

せん妄の診断では、精神機能が障害となるほかの病気と区別することがまず必要となります。
患者がそれまでどんな病気になったかという情報を集めるとともに、身体診察とさまざまな検査が実施されます。

病歴については、せん妄を発症している人が答えるのはむずかしいため、家族や友人などがかわりに答えることになります。
最近服用をはじめた、もしくはやめた薬の有無、錯乱はどのようにはじまったか、それはどれくらいのスピードで進行したか、心身の健康状態についてなど、いろいろなことが確認されます。
さらに、診療記録の調査、救急隊や警察から話を聞いたり、薬剤に関する書類が調べられたりすることもあります。
守れなかった予約や未払いの請求書、最近出した手紙、購入記録などの雑多なことが、精神機能の異常を見いだすきっかけとなることもあります。

せん妄と一緒に偏執症や妄想、幻覚、興奮などの症状が見られる場合は、統合失調症や躁鬱病と区別しなければいけません。
精神病では記憶喪失や錯乱といった症状が見られず、意識レベルの変化も確認できません。
高齢となってはじめて生じた精神症状は、せん妄もしくは認知症と考えていいでしょう。

身体診察では、脱水や感染症などのせん妄を引き起こす原因が隠れていないか確かめます。
精神状態の検査が行われることもあり、多くは医師とのやりとりのなかで探っていきます。
たとえば、短文を読み上げてそれを患者に繰り返すようにいい、その内容を受け入れているかを見ます。
せん妄状態の患者は内容を受けいれることができないので、ひとつの判断基準となります。
図形や文章をかく、ものの名前をいうといった検査も実施されます。

CTやMRIを用いた検査、血液検査、尿検査などもあわせて行われます。
パルスオキシトメトリーや心電図検査、胸部X線検査などが実施される場合もあります。

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