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多汗症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/05/10 精神・心の病

多汗症とは(概要)

私たち人間が汗をかくのは、主に体温をコントロールするためです。
激しい運動を行なったときや、気温が高く暑さを感じたときなどは体温が上昇してしまいますが、適切な体温に戻すために自律神経の作用によって多量の汗が出ます。
そして体温が適切なところまで低下すると、自然に発汗はストップします。

これは正常な汗のかきかたなのですが、多汗症になると体温調節をする必要がない状況で大量の汗が出てしまい、止まらなくなってしまいます。
多汗症と一口にいっても複数の種類があり、大量の汗が出る部位が全身に広がっている全身性多汗症、特定の部位だけに大量の汗が出る局所性多汗症、病気が原因となって引き起こされる続発性多汗症、病気が原因でhない原発性多汗症があります。

また、局所性多汗症には手のひらに大量の汗をかく手掌(しゅしょう)多汗症、足の裏に異常なほど汗をかく足蹠(そくしょ)多汗症、わきの下に大量の汗が出る腋窩(えきか)多汗症、頭に大量の汗をかく頭部多汗症、顔に異常なほど汗をかく顔面多汗症があります。
そのほか、熱いもの、辛いもの、酸味が強いものを食べたときなど、食事で異常なほど汗が出る味覚性多汗症という種類も存在しています。

多汗症の原因

不安・緊張・ストレス

精神的問題によって恐怖を感じ、大量の汗が出てしまうということで、多汗症は発汗恐怖症という呼称が使用されることがあります。
不安や緊張、ストレスを感じると、自律神経の交感神経が優位になり、汗腺の働きが活発になって汗が増加します。

交感神経が敏感であるほど多汗症は起こりやすいとされていますが、なぜ交感神経が敏感になるのかは、いまのところ解明されてはいません。
また、精神的問題を抱えている人が全員多汗症になるということもありません。

病気

多汗症を起こしているのは別の病気だったということもあります。
代謝異常や内分泌異常、循環器や中枢神経の病気にかかっている人が、多汗症になることがあります。

また、こうした病気を起こしている人の多汗症のほとんどは、局所性ではなく全身性多汗症になるのが特徴です。
具体的な病気の名称ですが、甲状腺機能亢進症(バセドー病)、急性リウマチ、糖尿病、褐色細胞腫糖尿病、結核、末端肥大症、生殖器障害といったものがあります。

ホルモンバランス

ホルモンバランスに狂いが生じると、交感神経のバランスにまで狂いが生じてしまうことになります。
脳の視床下部ではホルモンの分泌と交感神経の調節が同時に行なわれているため、ホルモンバランスが乱れると交感神経まで乱れてしまうのです。
交感神経のバランスがおかしくなると多汗症を起こしてしまうことがありますが、ホルモンバランスが生理、妊娠、更年期などによって狂いやすい女性はとくに注意が必要といえるでしょう。

生活習慣

多汗症は生活習慣病のなかには含まれていませんが、生活習慣の影響によって異常な発汗を起こしてしまうことがあります。
たとえば肥満。
主に食生活の乱れが原因となって太ってしまうわけですが、肥満体型の人は皮下脂肪が厚く、体に熱がこもりやすい体質になっています。
体温が上昇して温熱性発汗が起こりやすくなってしまい、程度がひどいと多汗症になることがあります。

また、喫煙の習慣がある人や、コーヒーをよく飲むという人も、多汗症を起こしやすいといえるでしょう。
たばこに含まれているニコチン、コーヒーに含まれているカフェインには中枢神経興奮剤と呼ばれる交感神経に刺激を加える物質が多量に含まれており、過度に摂取することにより発汗が促進されてしまいます。
そのほか、熱いもの、辛いもの、酸っぱいものを摂ると味覚性発汗が起こりますが、この発汗自体は異常なものではありません。
しかしながら、異常なほどの汗をかく場合には味覚性多汗症になっている疑いがあり、ひどい人では刺激物を食べているわけでもないのに食事のたびに大量の汗をかいてしまいます。

多汗症の症状

多汗症には複数の種類があるということはすでに述べたとおりです。
どういう症状が起こるのかは、多汗症の種類別に異なります。

全身性多汗症の場合

大量の汗が出る部位が全身に広がっているのが全身性多汗症の特徴です。
胸、背中、お腹、ヒップ、太ももなどに多くの汗をかいてしまいます。

局所性多汗症の場合

全身性多汗症とは違い、体の特定部分だけに多量の発汗が認められるのが特徴です。
とくに汗腺が集中しているわきの下、手のひら、足の裏、顔、頭などに大量の発汗が起こりやすいです。
なお、どこか一ヶ所だけに大量の発汗が認められるというわけではなく、手のひら、足の裏、わきの下といった具合に複数ヶ所に大量の汗が出るようなケースも少なくありません。
汗の量に関しては個人差があり、たとえば手掌多汗症には症状の程度によってレベル1~3があります。
レベル1では水滴ができるほどではないものの、手のひらで汗がきらきら輝いていることはわかり、触ってみると汗ばんでいることがわかります。

次にレベル2ですが、手のひらが常に汗で湿っており、水滴ができているのが確認できます。
汗が手のひらから流れ落ちるところまではいっていません。
最後にレベル3ですが、目で見ると水滴ができていることがはっきりとわかり、手にかいた汗がしたたり落ちるのが特徴です。
こうした症状が起こるため、握手をすることに抵抗を感じたり、仕事の書類を濡らしてしまったり、持ったものが汗ですべって落下してしまったりなど、日常生活に支障をきたしてしまうのが多汗症のやっかいなところです。

また、局所多汗症の一種である足蹠多汗症では、足の裏に異常なほどの汗が出ます。
靴下がびしょびしょに濡れるほど汗をかく人が多く、スリッパやサンダルを履いているとすべりやすいなど、日常生活に支障をきたしてしまいます。
また、足が蒸れることによって雑菌が増殖し、不快な足のニオイに悩まされる人や、水虫を引き起こしている人が少なくなく、汗とはまた別の問題に苦しめられることもあります。

多汗症の検査・診断

異常に多くの汗をかいている人は、目で見たり手で触れたりすることで、多汗があるかどうかを確認することが可能です。
客観的に判断したり、治療効果を判定したりするためには、汗を吸収すると青紫色に変わるヨード紙を使用する検査が行なわれたり、発汗記録計で汗が出る量を測定する検査が行なわれたりしています。
大量の発汗が起こっている部位が全身に広がっている場合には、何の病気が全身の多汗を起こしているのかを調べる検査が選択されることになります。
たとえば、甲状腺機能亢進症が原因になっていると思われる人は、甲状腺機能検査を受けることになりますし、褐色細胞腫によって全身の多汗が起こっている可能性があると考えられる場合には、尿中のカテコールアミン代謝産物の測定をする検査を受ける形になるという具合です。

多汗症の治療

塩化アルミニウム

大量の発汗が起こる部位に塗布するだけと、使用方法が簡単な薬であり、汗腺を塞いで発汗を抑制する効果があります。
使用開始後数日~数週間で徐々に効果が出てくることが多いです。
ただ、汗腺にフタをしているだけであり、根本的な問題を解決することは不可能であり、濃度によっては皮膚のかゆみ、湿疹などの副作用を引き起こすリスクがあります。
また、保険適用外であり、効果が長時間持続するわけではないため、この治療を受けている限りはずっと通院しなければならず、費用負担が大きくなってしまいます。

ボツリヌス毒素

ボトックス注射といって、ボツリヌス菌と呼ばれる毒素を大量の発汗が起こっている部位に注入することにより、交感神経による汗腺に対する発汗の指令が届くのが阻止されるようになり、汗がストップします。
効果は注入後2~3日で出て、半年前後持続します。
効果がきれるとまた大量の発汗が起こるようになるため、根本的な治療にはなりません。
また、わきに対する注入は保険適用となりますが、あとの部位は保険適用外であり、この治療を受け続ける期間が長いほど費用負担は増してしまいます。

イオントフォレーシス

大量の汗が出る部位を水道水に浸し、水に弱い電流を流すことで発生する水素イオンが、汗腺を縮小させて汗を産生しにくくしてくれます。
痛みの感じ方には個人差はあるものの、電流は弱いため少しぴりぴりと感じる程度のレベルです。
また、1回あたりの治療の所要時間は20分ほどと、あまり長くないのも良いところですし、保険適用となるため自己負担額が安くなるのも嬉しいところです。
ただし、1週間に1~2回の治療を何度か継続して、少しずつ効果が出てくる治療であり、効果が持続しないためこの治療を受けている限りは通院し続けなければいけません。
また、治療が行なえるのは手のひらと足の裏の多汗症だけであり、ほかの部位の治療でイオントフォレーシスは選択できません。

抗コリン薬

代表的な薬の種類としては、プロバンサインをあげることが可能です。
抗コリン薬は交感神経の末端から発汗の指令を伝達するアセチルコリンの作用を抑制し、発汗しにくくする効果が出ます。
抗コリン薬は内服薬であり、どこか一ヶ所のみに効果を発揮するということはなく、全身の発汗を抑制します。

また、のどの渇き、発疹、目のかすみ、便秘などの副作用を引き起こすリスクもあります。
なお、プロバンサインは保険適用となり、自己負担額が軽くはなるものの、根本的な多汗症の改善にはならず、薬が効いているあいだしか制汗作用はありません。
抗コリン薬を使った治療を受けている限りは通院し続ける必要があり、費用もかかり続けることになります。

交換神経切除術

発汗の命令を出している交感神経を手術によって切除する治療法です。
そしてこの手術は、ETS手術、胸腔鏡下胸部(きょうくうきょうかきょうぶ)交換神経遮断術という呼び方がされています。
多汗症を完治させることが可能であり、再発率は1~5%と低く、さらに手掌多汗症の手術では保険適用となることがメリットとしてあります。

手術は全身麻酔で行なわれて、日帰り手術の場合もあれば、1日だけ入院する場合もあります。
しかしながら、代償性発汗といって、術後に多汗症ではなかった部位で多量の汗が出るようになるリスクがあります。
また、一度切除した神経は二度と元に戻すことはできません。

心理療法

多汗症の異常なほど大量に汗が出る症状は、精神的・心理的要因によるケースがあります。
このような場合には自律神経訓練法のような心理療法が効果を発揮してくれる可能性があります。
自律神経訓練法は自己暗示を利用したリラックスにより心身の健康を目指す心理療法であり、自律神経のバランスを正常へと導いていく治療法です。

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