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パーソナリティ障害とはどんな病気なのか調べてみました

公開日: : 精神・心の病

症状

パーソナリティ障害で現れる症状にはいくつもの種類がありますが、アメリカ精神医学会による精神疾患に関するガイドラインでは、大きく10種類の症状が、A群・B群・C群の3つのカテゴリーに分けられ規定されています。
まずA群ではおもに、自閉的で、人と異なる考え方や行動をするのが特徴となる症状が規定されています。
「妄想性パーソナリティ障害」や「統合失調質パーソナリティ障害」、「統合失調型パーソナリティ障害」が分類されています。
B群ではおもに、感情が激しく不安定な精神状態が特徴となる症状が規定されています。
「反社会性パーソナリティ障害」や「境界性パーソナリティ障害」、「演技性パーソナリティ障害」「自己愛性パーソナリティ障害」が分類されています。
ストレスによって、周囲の人間が巻き込まれることもしばしばあります。
そしてC群ではおもに、非常に強い不安感や恐怖心を持つのが特徴となる症状が規定されています。
「回避性パーソナリティ障害」や「依存性パーソナリティ障害」、「強迫性パーソナリティ障害」が分類されています。
自分に対する人の評価や視線に敏感で、つねに周囲を気にする特徴があります。
パーソナリティ障害は、幼少期から青年期にかけての長期的な著しい性格的偏りがもたらす人格障害となっており、遺伝気質的なものと後天的なものとの2種類が存在すると考えられています。
パーソナリティ障害によって人格に問題があると、社会生活にも支障をきたし、場合によっては犯罪などの問題行動を繰り返すこともあります。

原因

パーソナリティ障害の原因には大きく、家庭環境・環境の変化・脳の発達障害といった3つがあげられます。
中でも家庭環境は、パーソナリティ障害のほとんどが関係しているとされています。
とくに親の性格に問題がある場合には、子どもの人格も偏りやすくなると考えられています。
もちろん親にすべての原因があるというわけではありませんが、子どもの人格形成には、親の言動が大きく影響するということは間違いありません。
例えば親が子どもに対して極端に無関心であったり、その日の気分によって子どもへの接し方を変えたり、虐待などがあったりすると、子どもは親に対して不信感を抱くようになり、性格や行動パターンに偏りが出てしまう場合があります。
そしてそういった家庭環境が幼少期から青年期まで長期間続いてしまうと、パーソナリティ障害を発症しやすくなります。
そして環境の変化では、引っ越しによる生活環境の変化や、転職や転勤などによる職場環境の変化などが原因となる場合があります。
とくに環境の変化によって精神的にも肉体的にも追いつめられるような状況となると、パーソナリティ障害を発症しやすくなります。
子どもの場合では学校でのいじめ、大人の場合では近隣住民との不和や勤務先での待遇などが関係することがあります。
そして脳の発達障害が原因となる場合では、先天的にパーソナル障害を発症するリスクを伴っている場合があります。
例えば発達障害によって自分に自信が持てず、周囲にも不信感を抱くことで、発症するケースなどがあります。

精神疾患

パーソナリティ障害は、生まれ育った環境によって培われた、固定化された「性格」と捉えられることが多いですが、実際には治療をすれば治る、精神疾患の1つに位置付けられています。
パーソナリティ障害は具体的には、精神的なショックや長期間に渡る精神的苦痛、大きな挫折などがきっかけとなって、偏った人格や問題行動が発現する精神疾患と考えられています。
生まれながらにして奇異な人格などという人は決しておらず、必ず何かしらの原因が伴っているとされています。
しかし中には、遺伝的気質も関係していると考える研究者もいます。
パーソナリティ障害は、一般的な精神病と同じものかと言うと、症状としてはそうとも言いきれないのが特徴となります。
まず精神病というのは、判断力が極端に失われることによって、常識を逸脱した思考や言動を示す精神疾患となります。
妄想や被害者意識が非常に強く、発作に見舞われると、人と正常なコミュニケーションを取ることも困難となります。
一方でパーソナリティ障害は、強い不安感や恐怖感を抱いてはいても、現実感覚は失わないという場合がほとんどとなっています。
また精神病と比べて症状は慢性的であり、治療を施しても長期に渡って症状が改善されないというのも特徴となります。
パーソナリティ障害には非常に多くの種類の症状があるため、一言で特徴を言い表すことはできませんが、幼い子どものように人格が未完成という点については、共通した特徴とされています。

治療

パーソナリティ障害の治療ではおもに、精神療法や薬物療法、家族療法などが行われています。
パーソナリティ障害は通常、精神的なショックや、過去に体験した苦痛などが原因となって発症するとされています。
そのため精神療法ではカウンセリングを行うことによって、心の傷を癒し、精神状態を安定させるための治療が行われています。
症状が重い場合には閉鎖病棟などへ入院し、認知行動療法や集団療法なども取り入れて、ゆっくりと時間をかけて治療を行います。
そして薬物療法では、精神状態を安定させて症状を軽減することを目的として、抗精神病薬や気分安定薬、SSRIなどといった薬が処方されています。
精神が安定した状態で問題のある行動パターンを認知させ、行動パターンを変えるためのアドバイスなどをし、症状を軽減させて行きます。
通常精神療法と薬物療法は、同時進行で行われる場合が多くなっています。
そして家族療法は、パーソナリティ障害を持つ本人とその家族が、一緒になって治療を受ける治療法となります。
パーソナリティ障害の原因には、親や家族が大きく関わっている場合が多くなっています。
親や家族の性格に問題があると、本人を治療するだけでは、問題行動の解決は難しくなります。
そのため親や家族も一緒に治療を受けることによって、問題の原因を解決し、症状を軽減させるといった治療が行われています。
パーソナリティ障害の症状は人によっても差があるため、個々の症状に合わせた治療が施されています。

家族療法

パーソナリティ障害の治療は、家族の対応も重要となります。
パーソナリティ障害のある人は通常、自分の性格に問題があることを自覚していたとしても、行動に問題意識を持つということはほとんどありません。
例えば極端に不安感や恐怖感を感じる時があると自覚してはいても、自分が取る行動については問題があると認識してはいません。
たいてい人やモノのせいにするなどして正当化し、理解力のある周囲の人たちの配慮によって、満足させられることを繰り返します。
そのため周囲の人間は、振り回されて疲れ果てることとなります。
また周囲の人間に理解力がない場合には、被害者意識や妄想がさらに拡大し、大騒ぎをしてより悲惨な結果を招くこととなります。
本人が積極的に医療機関を受診するということはほとんど期待できないため、パーソナリティ障害の改善には、家族の協力がもっとも重要となります。
本人に問題行動がある場合にはまずは家族が、精神科医や専門医に相談をするということが大切となります。
パーソナリティ障害のある人は、価値観や考え方が普通とは異なる場合が多いため、会話にも注意することが大事です。
本人の価値観や考え方を否定するようなことをうっかり言ってしまうと、問題をさらに複雑にしてしまう恐れがあります。
またパーソナリティ障害になるそもそもの原因は、家族にある場合がほとんどとなるため、家族も一緒に治療に参加し、カウンセリングを受けるということが重要となります。

精神療法

パーソナリティ障害の精神療法ではおもに、カウンセリングを通して精神状態を安定させ、症状を緩和させて行くといった治療が行われています。
パーソナリティ障害の症状には個人差がありますが、1回50分程度のカウンセリングを行うことによって、早い人では半年~1年、人によっては2~3年かけて症状が緩和される場合が多くなっています。
精神療法ではまず初めに、心理療法士による、問題行動を認知させるためのカウンセリングが行われることとなります。
パーソナリティ障害の人は基本的に、自分の思考や行動が社会に適応せず、問題行動を起こしてしまっているといった認識を持ってはいません。
そのためそのことを本人に認知させ、その行動によってもたらされる周囲への有害な結果も、理解させるためのカウンセリングが行われます。
人によっては初めは憤慨したり、心理療法士に不信感を抱いて治療を拒否するということもありますが、根気よく時間をかけて、繰り返しカウンセリングが行われることとなります。
また場合によっては抗精神病薬などといった薬物が、補助的に使用されることもあります。
パーソナリティ障害の症状が重く、自殺企図や暴力などといった周囲も手に追えない症状がある場合には、入院による精神療法も行われています。
入院は本人の意思に関係なく、精神保健指定医の同意があれば入院させることができます。
そして症状が落ち着けば、外来診療に切り替えるのが一般的となっています。

薬物治療

パーソナリティ障害の薬物治療ではおもに、抗精神病薬や抗うつ薬、抗不安薬などが使用されています。
睡眠障害を伴っている場合には、睡眠を促すための睡眠薬が処方されたりもしています。
通常パーソナリティ障害は、精神療法が行われるのが基本となりますが、うつ病やパニック障害などといった症状も伴っている際には、薬物療法が同時に取り入れられる場合が多くなっています。
ただし境界性パーソナリティ障害の人には、薬物は逆効果となる場合もあるため、処方は慎重に行われています。
パーソナリティ障害ではおもに、SSRIや感情調整薬、抗精神病薬などといった薬物が、症状の軽減に一定の効果があるとされています。
しかしこれらは一時的に気分を良くして精神を安定させるだけに過ぎず、根本的な症状の改善につなげることはできないとされています。
例えば過去の辛い経験や精神的ショック、深い悲しみなどを、薬で消し去るということはできません。
そのため問題行動を改善するためにはやはり、原因を突き止めた上でのカウンセリングが重要とされています。
薬物療法と精神療法によるカウンセリングは同時に行われる場合が多いですが、どちらかと言うと薬物は、補助的に使用されるというのが一般的となります。
極度に精神の落ち込みが激しく、カウンセリングを行っても効果を得るのが難しい場合などには、まずは精神を安定させるために薬物が処方されたりします。
つまりパーソナリティ障害の治療は、薬物療法のみでは困難ということが言えるでしょう。

入院

パーソナリティ障害には、入院治療を必要とするケースもあります。
入院治療を受ける人のほとんどは、問題行動を起こして警察に保護されたり、自殺を図って救急車で運ばれるなどした人たちとなっています。
こうした人たちは幼少期に親から虐待を受けるなど、なんらかの辛い過去を経験している場合が多く、極端に偏った人格が形成されてしまったことが問題となっています。
入院による治療ではおもに、カウンセリングを通して過去を振り返り、行動パターンの問題点を理解させ、違う行動パターンを身につけさせるための治療が行われます。
パーソナリティ障害のある人は基本的に、自分の行動に問題があることを、認知していないという場合が多くなっています。
例えば親しい友人が結婚したことによって突然見捨てられたような不安感を感じ、友人の関心をもっと自分に惹きつけようと、自殺を図るなどといった行動を取る場合があります。
しかし本人には、それが異常な行動といった認識はほとんどありません。
そのため精神科や閉鎖病棟などへ入れらたりすると、初めはなぜこのような場所に入院する必要があるのかを理解できずに、憤慨したり暴れたりする場合もあります。
入院治療ではまずはこうした問題のある行動パターンを明確にして、本人に伝えて認知させるということから始めます。
そしてどのようにすれば行動パターンを変えることができるのかを指導します。
時間をかけて過去を振り返り、逃げるのをやめることによって、パーソナリティ障害の改善に取り組みます。

境界性パーソナリティ障害と接し方

境界性パーソナリティ障害には、ターゲットとする他者を、自分の思い通りに操ろうとする傾向があります。
ターゲットとの人間関係がうまく行っている時には相手をすばらしい人間と評価し、自分に都合の悪いことが起こると、無条件に相手を最悪な人間と評価するようになります。
自己主張がとても強く、自分の望む形で相手に自分をわかってもらえていないと判断すると、激しく動揺し、時には攻撃的な態度を向けたりもします。
境界性パーソナリティ障害の人と接する際には、気分によってコロコロ変わる本人の態度に振り回されず、自身も感情的にならないようにするということが大切となります。
どのような場面でも一定の態度と距離を保ち、なるべく本人から依存されないようにすることが大事です。
中には境界性パーソナリティ障害の人に同情し、やさしく理解力のある態度で接する人もいますが、途中で投げ出して突き放したりしてしまうと最悪な結果を招くことにもなりかねません。
場合によっては、自分へ興味を惹きつけようと自殺をほのめかしたり、犯罪行為に走ったりすることもあります。
そうなると立ち直るのが非常に困難となります。
境界性パーソナリティ障害の人の治療は、専門家であっても非常に複雑で時間がかかるとされているため、何の知識も持たない素人が、同情心だけで協力してあげようと考えるのは危険です。
むしろ本人にとっても、悪影響となる場合があります。
そのため境界性パーソナリティ障害の人とは、常に冷静沈着な態度を保ち、あっさりと接することが大切となります。

自己愛性パーソナリティ障害の治療

自己愛性パーソナリティ障害は、自分を過度に愛してしまうというのが特徴となります。
例えば鏡で自分の顔を長時間眺めたり、ナルシスト的な発言をするなどといった特徴があります。
こういった振る舞いは、自分の空間だけに納めておけばさほど問題になることはありませんが、自己愛性パーソナリティ障害の人は、他者の前でも気にせずに振る舞ってしまうため、不信感を抱かれたりする場合が多くなっています。
また自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分自身を他の人とは違うと特別視する傾向があり、外見や能力などについても、過剰なほどの自信を持っています。
実際には十分な能力が備わっていないにも関わらず自信だけは過剰なため、時には仕事に支障をきたすということも多く見られます。
また自分に対する賞賛の言葉や特別扱いは求めるにも関わらず、他人のことについては無頓着で気持ちも考えないため、人間関係のトラブルも起きやすくなっています。
自己愛性パーソナリティ障害の治療については、おもにカウンセリングによる心理療法が行われています。
まずは他人を認めて、他人の気持ちを考えることができるようになることを目的とする、カウンセリングが行われます。
他人を認めるということはつまり、場合によっては自分の優越性を否定するということが必要となります。
そのため本人には、屈辱を受け入れて耐える精神を身につけるということが求められます。
精神的に不安定な場合には薬物なども用い、治療は時間をかけてゆっくり行われることとなります。

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