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放射線検査と妊娠・出産・子供への影響についてのまとめ

公開日: : 検査・健康診断・人間ドッグ

妊娠して放射線の検査を受けました。影響は?

妊娠中の体はもう一つの命を宿しているわけですから、通常とは大きく異なる状態で、さまざまな面で気をつけなくてはいけません。
医療関係においても例外はなく、薬の服用やレントゲンは危険だと考えられています。
たしかに薬の服用に関しては大きなリスクを生じる場合があるため、控えなくてはいけない薬もあります。
レントゲンに関しては放射線の影響が胎児に多大な悪影響を与えるのでは?と心配されることでしょう。
ですがご安心ください。
レントゲンによる放射線の影響は、特殊なケースを除いて基本的には心配ありません。
以下で、その理由をあげていくとしましょう。

胎児に対する放射線が心配な理由

小さなお子様ほど放射線による悪影響を受けやすいイメージがあり、それを懸念している方が多いことでしょう。
たしかに、社会問題によって小児がんが発生しているケースも確認されています。
年齢が若いほど放射線が強く悪影響するという考えであれば、妊娠中は最も放射線を受けてはならないタイミングなのでは?と思ってしまうことでしょう。
先に特殊なケースを除いて基本的には心配はないとお伝えしましたが、その特殊なケースとしては、胎児に奇形などの影響を与えてしまう例があげられます。
胎児が受けても大丈夫な最低ラインが設定されており、それを超えると胎児になんらかの奇形が起こるリスクが生じるとされています。

どれくらいの放射線が危険?

まず放射線量を示す単位ですが、Sv(シーベルト)がニュースでも口にされているため一般的ですが、胎児被爆を表す適当な単位としてはGr(グレイ)が用いられています。
妊婦が放射線検査を受けたとして、胎児が受けていい放射線量の最低ライン値は、国際放射線防護委員によって100mGr~200mGrと考えられています。
最も胎児に影響が強い骨盤部CT検査を受けた際の数値は、25mGrとなります。
ほかの部位のCTについては一桁以下がほとんどです。
このことから、一回の検査で胎児が多大な危険におびやかされてしまうのではと心配する必要はありません。

どうしても心配な場合は?

放射線検査を定期的に受けることさえしなければ、胎児への悪影響は心配ありません。
しかしながら、それでもわずかなリスクでも避けておきたいとお考えであれば、妊娠中の放射線検査は一切避けるというのも一つの考えです。
放射線検査を受けるか受けないかはご自分の体の状態に応じて医師と相談し、ご判断ください。

下腹部への検査と胃や肺の検査の場合の影響は?

放射線が人体に及ぼす影響で発がんすることは、多くの方がイメージすることではないでしょうか。
これは小さなお子様であれば同じ放射線量であっても成人より危険性が高いと考えられていますし、ICRPによる胎児放射線被爆は2~3倍高いとも考えられていることからも明らかなことです。
しかしながら、それでも被爆量数値を示す値が50mGy(ミリグレイ)を超えない限りは明らかな発がん率増加があるとは考えられていません。
医師の判断のもとで行われる医療行為の中では大きな問題として心配する必要はなく、胎児に近い下腹部の放射線検査を絶対に受けてはいけないということもありません。
以下に具体的な被爆量数値を表記し、X線検査とCT検査を例にご紹介していきましょう。

X線検査の放射線量は?

X線を人体に照射し、人体を透過する際の各臓器の吸収率の違いを利用して内部構造を鮮明に写しだすのがX線検査で、病気の検査や定期健診で一般的に用いられています。
検査によって胎児が受ける放射線量は、胸部X線単純撮影が0.01mGr以下、腹部X線単純撮影が約1.4mGr、腰椎X線単純撮影が約1.7mGr、上部消化管造影が約1.6mGr、そしてとりわけ高い数値となり大腸ポリープなどを発見するために用いられる注腸造影検査が約8mGrとなります。
このように、胎児被爆量を50mGr以下におさめようとしたとしても、どの検査も1回、2回受けたぐらいでは多大な影響量とならないことが、ご理解いただけたことと思います。

CT検査の放射線量は?

CT検査(コンピューター断層撮影検査)もX線を用いた検査の一種ですが、コンピューター処理により体の内部を3次元的に画像化することができ、より精密に観察を行うことができます。
そのため胎児被爆量も多くなる傾向があり、胃や腸を検査する場合に用いる腹部CT検査は約8mGr、骨盤部CT検査は約25mGrと高い数値を示しています。
胎児から離れていれば被爆量は当然少なく、胸部CT検査は0.06mGr以下、頭部CT検査に至っては0.005mGr以下となっています。
少しのリスクであっても避けたい場合は胎児に近い部位のCTを避けるのが良いことですが、体の事情により1回検査をというような場合であれば、とくに心配しすぎることもないでしょう。

妊娠中と授乳中に、X線検査を受けたのですが、母乳への影響は?

放射線を過度に浴びることは、人体に悪影響を与えてしまうと恐れられています。
新しい命を宿した妊婦や乳幼児を育てる授乳中の母親は、大切な母乳が放射線によって悪影響が出ないか心配だと思います。
結論から述べますと、医療分野におけるX線検査では、母乳に多大な影響を与えるほどの放射線を受けることはありません。

放射線と母乳

女性は新しい命を宿すと、乳房から母乳を分泌するようになります。
これは乳幼児を育てるために欠かせない栄養源となり、十分に健康な母乳を与えられないことは乳幼児の命にも関わってしまいます。
しかしながら、大切な母乳は思わぬ原因によって出なくなったり質を低下させたりしかねません。
その原因の一つとして多くの母親が気にしているのが、放射線の影響でしょう。
放射線は日常生活のあらゆる場所で受けるリスクがあり、また医療機関でレントゲンなどを受けることによってX線による放射線を透過することになります。
しかし覚えておきたいのは、普通の日常や医療機関で医師に厳格に管理される場面であれば、人体に悪影響が起きることは、基本的にはないということです。
母乳への心配もありません。

健康診断は避けるべき?

健康状態を整えるためにも、定期的な健康診断は誰もが行っておきたいものですし、体調不良でお腹の中の赤ちゃんや母乳に悪影響が出ないかという心配を検診で取り除いておきたい方もいらっしゃることでしょう。
また、逆に健康診断を受けることでレントゲンなどによるX線が、悪影響になるのでは?という心配もあるのではないでしょうか。
リスクはあらゆる場面に考えられますが、健康診断程度であれば、赤ちゃんや母乳に危険がともなうことはありません。
胸部レントゲンではX線を体内に照射することになりますが、問題ありません。

乳がん検診は?

女性の多くの方が心配される病の一つが、乳がんでしょう。
国では2年に1回の検診ペースを推奨していますが、もっと短期ペースでの検診を受けるべきという声もあります。
妊娠中や授乳中であっても、マンモグラフィー検査は受けることが可能です。
しかしながら、受ける医療機関によって対応は異なります。
というのも、母乳が出るため検査がしにくく、乳腺の発達で正しい検査結果が判断しにくいためです。
ただし、検査そのものが母乳に悪影響を及ぼす心配はありません。

子供がX線検査を受けました。子供への放射線による影響は?

放射線は人体に悪影響を与えるとかたくなに考えている方もいらっしゃいますが、X線検査など医療機関で用いられることもあり、私たち人間が健康を管理するために必要不可欠となっている存在でもあります。
医療機関で行われているX線検査による放射線量は、厳格な管理のもとで行われているため、人体に多大な影響を及ぼすことはまずありません。
小さなお子様は成人の方よりも放射線の影響を強く受けてしまいますが、それでもX線検査レベルであれば、まず心配することはありませんので、ご安心ください。

子供は被爆量が多い?

お子様に対するX線検査を心配してしまう理由は、小さな方ほど放射線で被曝するリスクが高いためでしょう。
これはたしかに事実で、その理由は以下の三つに大きく分けることができます。
まず一つ目は、年齢が若いほど体は健康を害する原因を受けやすい状態にあり、放射線だけでなく病気の進行が早いのも同じ理由となります。
若くしてがんを患うほど進行が早いのもそのためです。
二つ目は、放射線によりDNAが悪影響を受けたとしたら、その影響は若いほどのちの人生に長く影響し続けることになるということです。
10歳と30歳が放射線を同じ量を受けたとしたら、10歳のほうが20歳分長く放射線を体内に受け続けてしまうというわけです。
三つ目は、これまでの放射線疫学調査により若年齢ほどDNAがダメージを受けやすいことが確認されているためです。

子供も安心して受けるべき

医療機関で子供がX線検査を受けた場合、同じ検査を成人が受けた場合よりも放射線による被曝リスクが大きくなってしまうのは避けられません。
それだけ聞くと心配に感じてしまうでしょうが、それでも医師の判断により検査が行われる場合であれば人体に悪影響はありませんし、問題があるようなら検査を避けるよう知らされることでしょう。
過剰に放射線を心配して検査を避けることはむしろ、レントゲンで発見できたはずの重大な病気を見過ごすことになり、逆に子供の危険を招きかねません。
子共にとって何が一番の安心となるかをしっかりと医師と相談の上で決定し、放射線をとにかく避ける理由だけという偏った判断は避けましょう。

子供の検査の付き添いで、一緒にX線検査室に入ったのですが、影響は?

小さなお子様がX線検査でレントゲンを受ける場合は、厳重な装置をこわがったりはしゃいだりしてしまって、正しく検査ができないこともあります。
このような場合はご家族の方が付き添いで検査室に入室することもありますが、これによって重大な放射線の影響を付き添いの方が受ける心配はありませんので、ご安心ください。

技師が退室する理由

子供の付き添いに限らず、レントゲンを受ける際は技師が必ず部屋から去り、厳重に隔てられた壁の向こうから機器を操作します。
レントゲンを受ける方の中にはこの行動が気になり、「放射線はとても恐ろしいのでは?」という過剰な心配につなげてしまう方もいらっしゃると思います。
安心していただきたいのは、放射線は患者がレントゲンなどを適切な範囲で受けているだけであれば、人体に多大な影響を及ぼす心配はないということです。
しかしながら、技師の方はどうでしょうか。
毎日レントゲン操作を行い、もし患者と同じ場所で操作を行っていたとしたら、どれほどの放射線を受けることになるでしょうか。
患者が受ける量とは比べものになりません。
放射線による影響は蓄積するものですから、技師はそれを避けるために離れた場所から操作をするだけであって、一回のレントゲンを恐れて逃げるように退室しているわけではないのです。

散乱線と防護エプロン

子供の付き添いでレントゲン室に同室する場合、付き添いの方も放射線を受ける可能性はありますので、まったく被ばくしないとは言えません。
放射線は懐中電灯の光のように真っ直ぐに照射されますが、お子様が照射を受けると体によってX線が跳ね返り、あちこちに飛び散ってしまいます。
これを散乱線と呼び、付き添いの方に向かってくることもあります。
しかしながら、散乱線は撮影に使用されるX線量と比べるとごくわずかで、レントゲンを受けるお子様よりも微量ですから心配することはありません。
これに加えて、付き添いの際は放射線をシャットアウトする効果のある鉛が入った防護エプロンを着用しますので、このエプロンがほとんどの散乱線を防いでくれます。

X線撮影やCT検査を短期間に複数回受けて問題無いの?

医療機関におけるX線撮影やCT検査は放射線をともなうため、人体にまったく変化を与えないというものではありませんが、人体に影響がない範囲を医師が厳格に判断した上で行われていることなので、健康を害する心配はまずありません。
しかしながら、放射線による影響は人体に蓄積するため、検査を何度も受け続けることはリスクを高めていくのも事実です。
短期間に検査を複数回受ける場合は医師と相談の上で決定することが大切です。

短期間に複数受けるリスク

体に良いものも過剰な摂取で毒になることもあります。
放射線が体に良いとは言えないかもしれませんが、適切な範囲内で受けている分には体の異常を確認できるため、結果的には良い行いと言えるでしょう。
だからといって体内に蓄積する放射線を過剰に浴び続ければ、人体に何らかの悪影響を及ぼすリスクを高めることとなります。
どこまでが安全で、どこからか危険かという線引きは医療機関によって決められてはいますが、個人差があるのも事実です。
1年に何回なら大丈夫というように決められるものでもありません。
また、X線撮影やCT検査の部位の頻度によっても異なってきます。
しかしながら、検査で受ける放射線よって重大な病気を発症するとしたら、検査を数千回受け続けた場合というのがほとんどです。
病気の治療により通常よりも多く短期間で検査を受ける必要がある方もいらっしゃるとは思いますが、この程度の範囲であってもリスクを過剰に心配することはありません。
リスクが考えられる場合はまず、医師のほうから説明があるでしょう。

先生により異なる判断

放射線に対する理解度は、現代医療でも明確化しているものではないのが実状です。
よって、病院や医師によって短期間における複数回の検査が患者にどれほどの負担になるかを判断する基準は異なり、どこでも同じ判断が得られるとは限りません。
検査のたびにX線撮影やCT検査を行う先生もいれば、必要のない被ばくリスクを避ける先生もおり、どちらが正しい判断かは一概には言えません。
患者側として気をつけたいのは、自分が信頼できる先生を探すことです。
何か気になったときに頼れる場所が決まっていれば、自分の体について先生も深く理解してくれていますし、検査についての不安も取り除けることでしょう。

放射線検査で下腹部に放射線が当たっても、将来の出産や子供胎児への問題はないのでしょうか?

お腹に胎児を抱える母親の場合、X線検査には厳重な注意が必要です。
医療機関で受ける放射線は、厳格な管理によって安全性が確保されていますが、だからといって何度受けても安全というものではありません。
妊婦の場合、胎児のいる下腹部への放射線影響には特に気をつける必要があり、X線検査を受けるにしても必要最低限、また場合によっては避けることも考えましょう。

出産と胎児への影響

放射線をどれほど受けたかによってどのような状態が引き起こされるかは、まだ未知数のところもありますが、ある程度数値化されている部分もあります。
基本的にICRP(国際放射線防護委員会)では100mGr以下であれば胎児被爆による健康被害はないとしています。
その数値を超えてくると流産や奇形、精神発達異常が引き起こされるリスクが高まります。
胎児が出生後に発がんするリスクや遺伝的影響を受ける範囲については、まだ未知数というのが現状です。

下腹部検査の放射線量は

胎児は母体のお腹で育つため、そこに近いところに放射線を受けるほど、胎児被爆量は増してしまいます。
単純な腹部X線撮影や腰椎単純撮影であれば3mGr前後で、注腸造影となると10mGrを超えてきます。
CT検査となると数値は高まり、最も胎児に密接する骨盤CTともなると約25mGrとなっており、単純計算で4回受ければICRPが指定する100mGrを超えてくる恐れがあります。
頭部や胸部と胎児から離れている検査であれば胎児被爆は少なく心配ありませんが、近いほど危険というのは、数値的に見ればたしかなことです。

信頼できる産科医へ

最も安心なのは妊娠中の放射線が関わる下腹部の検査は避けることですが、ご自身の体の状態によっては検査が必要な場合もあることでしょう。
そのためにも、信頼できる産科医を見つけ頼るようにしましょう。
医師の放射線知識には差があります。
それに対する患者への負担の理解度も異なるため、医師の曖昧な阪大が胎児に重大な悪影響を及ぼす恐れもあるのです。
医師も人間ですから完璧な判断をくだせるとは限りませんし、ご自身で医療知識を蓄えるにも限界があります。
信頼できる産科医に頼ることが、将来の出産や子供・胎児への心配を取り除く一番の方法と言えるでしょう。

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