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A型肝炎の原因・症状・検査・治療・ワクチン・予防とは

公開日: : 最終更新日:2017/05/30 肝臓の病気

A型肝炎とは

A型肝炎(えーがたかんえん)とは、A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus)によって引き起こされる感染症のことをいいます。

A型肝炎ウイルスが肝臓に感染・肝細胞で増殖することによって一過性の急性肝炎を引き起こし、肝細胞を破壊し肝機能を悪くします。

また、A型肝炎ウイルスは糞便と一緒に排泄されて、下水を通って河川や海の水、土壌を汚染します。

汚染された水や食べ物を摂ること、病原体が付着した手で口に触れることによる感染(経口感染)、性行為による感染(糞口感染)が感染経路です。

世界中で起こっている感染症ですが、とくに多く起こっているのは開発途上国であり、衛生状態や飲用水の管理が悪い国・地域で発生しやすいです。

国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、日本では2011年に報告された患者数は176名、2012年は157名、2013年は128名、2014年は432名、2015年は242名とされています。

日本人に引き起こされたA型肝炎のなかには、渡航や輸入食品が原因となったケースも少なくありません。

国内での発生時期としては1~5月あたりまでがとくに多く、年齢では戦後に誕生し、抗体を獲得していない若い人が感染するケースが多いです。

感染症法では四類感染症に分類されており、診断した医師はただちに最寄りの保健所へと届出を行なう必要があります。

A型肝炎の原因

水・氷

A型肝炎ウイルスは食中毒の病原微生物としても知られており、A型肝炎ウイルスによって汚染された水を飲むことによって感染する恐れがあります。
また、ウイルスに汚染された水を凍らせた氷を口にすることも、感染の原因の一つです。

食べ物

生の牡蠣(かき)や加熱不十分な食品を食べることが感染源となるケースがあります。

また、A型肝炎ウイルスに汚染された水で洗った野菜・フルーツを食べてしまうことにより、A型肝炎ウイルスに感染してしまう恐れがあります。

性行為

A型肝炎はSTD(性病・性感染症)の一種でもあります。
アナルセックスやオーラルセックスによってA型肝炎ウイルスが口から入り込み、感染が成立してしまうリスクがあります。

A型肝炎の症状

A型肝炎はすぐに発症するわけではない

A型肝炎は感染後すぐに症状が出現するわけではありません。
感染後、14~49日間(14~42日間や21~42日間という情報もあります)にわたる潜伏期間を経て発症します。

潜伏期間が長く、感染したのが直前の渡航ではなく、それより前の渡航時であったというケースもあります。

症状の種類

発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、頭痛、筋肉痛、腹痛、食欲不振、吐き気、嘔吐、黄疸(おうだん)、肝腫大(かんしゅだい)、濃色尿、灰白色便といった症状がA型肝炎では出現します。

また、急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)、貧血(ひんけつ)、心筋障害(しんきんしょうがい)といった肝外合併症(かんがいがっぺいしょう)が起こり得ます。

どのぐらいの期間で治る?予後は?

通常、7~14日間でA型肝炎はよくなっていき、1~2ヶ月が過ぎると治癒します。
慢性化したり、キャリア化したりすることはありませんし、肝硬変(かんこうへん)
や肝癌(かんがん)を招いてしまうようなこともないです。
さらに抗体もできるため、再び感染してしまうことも基本的にはありません。

ただし、A型感染を発症した場合には、非常に珍しいことではあるものの劇症化することがあり、その場合には命を落としてしまう恐れがあります。

なお、大人は小児と比較して症状が出現しやすく、とくに高齢者は症状が重くなりやすいという特徴があります。
これに対し、10歳以下の子どもの場合はほぼ不顕性感染で、黄疸などの症状が認められません。

A型肝炎の検査・診断

何科に行けばいい?

A型肝炎は熱が出たりだるくなったりするほか、食欲がなくなる、お腹を下す、吐くといった風邪に似たような初期症状が出現しますが、とくに海外へ行った人は風邪と片付けてしまうことはせず、病院へ行ったほうがよいでしょう。

実は出現している症状がA型肝炎によるもの、ということもあり得ない話ではないためです。

その場合にどの診療科に行くのが適切なのか、判断に困ってしまう人もいるでしょうが、内科か消化器内科で受診するとよいでしょう。

なにを調べる?

問診による、A型肝炎のリスクが高い国・地域に行ったことや、生の牡蠣を食べたことなどの情報が、A型肝炎かどうかを判断する重要な手がかりとなります。

このほか、A型肝炎かどうか確認するため、医療機関で行なわれている検査方法としては、血液検査をあげることができます。

血液を採取することで、A型肝炎ウイルスの抗体や遺伝子を確認することにより、A型肝炎の診断が下されることになります。

A型肝炎の治療

安静臥床(あんせいがしょう)

A型肝炎特有の治療方法というのは存在しません。
入院して安静臥床を基本とし、抗体を獲得して自然によくなることを目指します。
肝外合併症が起こったり劇症化したりした人に対しては、出現している症状などに合った治療方法が選択されることになります。

点滴

食欲不振、吐き気、嘔吐の症状によって、脱水や栄養不良を招いてしまうリスクがあります。
このような状態を招くようなケースでは、輸液(点滴)によって必要な水分・栄養分の補給が行なわれます。

食事

急性期の患者に関しては、低タンパク&低脂肪食が出されます。
このような食事内容にすることにより、肝臓にかかる負担が軽く、なおかつ消化器症状の早期回復に繋がります。

A型肝炎の予防

ハイリスクな地域に行かない

国の機関によってネットで公表されている情報などで、A型肝炎のリスクが高い国および地域を確認し、該当する場所への渡航を避けることは、A型肝炎の予防に効果的です。

手洗いを徹底する

手洗いをこまめに行なうことの習慣化は、A型肝炎をはじめとする多くの病気の予防に効果的です。
A型肝炎ウイルスが手に付着したまま食事を摂るようなことをすると、口からウイルスが入り込んで感染してしまう恐れがあります。

料理をする前、食事を摂る前、トイレに行ったあと、生の魚介類に触れたあと、食中毒患者の便に触れたあとなど、流水と石けんでしっかりと手をきれいにしましょう。

また、A型感染ウイルスに感染すると、発症前から治癒後数週間が経過するまではA型肝炎ウイルスを排出し続けているため、まわりに感染を拡大させないように、本人や周囲の人も含め手洗いは徹底しましょう。

口にするものに注意する

衛生環境の劣悪な地域では、生水、氷、生肉、生野菜、カットフルーツなどにA型肝炎ウイルスが付着している恐れがあります。

使用する水はミネラルウォーターまたは一回沸騰させた水、食べるものは十分に火を通してあるものを選択しましょう。

カットフルーツに関しては、洗ったときに使っていた水がウイルスによって汚染されているリスクがあるため、摂取する際には自分の手で皮をむくフルーツを選択するのが無難です。

そのほか、十分に加熱されているものでも、加熱されていない飲食物に触れていないか確認したうえで摂取するのが安全です。

日本では生または加熱不十分な食品、とくに牡蠣をはじめとする魚介類による感染を招いてしまっているため、十分に火が通っているものを食べることが予防に効果的です。

調理に注意する

包丁、まな板を使用する際には、生の魚介類の調理は最後に行ないましょう。
また、生の魚介類の調理で使用した包丁やまな板などの調理器具と、調理済みの食品が接触しないようにする必要があります。

さらに生の魚介類の調理で使用した包丁、まな板などの調理器具は、使用後すぐに洗いましょう。
洗ったあとには熱湯消毒を行なうとより効果的です。

そのほか、生の魚介類に関しては、その汁がほかの生食する食品や調理済み食品にかかってしまうことがないよう、細心の注意を払います。
生の魚介類などで火を通す必要があるものは、中心までしっかりと加熱を行なうことが予防に効果的です。

手洗いを徹底するの項目でも解説しましたが、生の魚介類に触った手はほかの食品に触る前に十分に洗いましょう。

免疫グロブリンの投与

集団や家族内でA型肝炎が起こっている場合、潜伏期間中の投与での発症を防ぐことや顕性感染を防ぐことを狙いたい場合、急に国外への出張などが決まり早く抗体を獲得したい場合に、ヒト免疫グロブリン製剤の投与を受ける選択肢があります。

ワクチンのように効果が長く持続するわけではありませんが、それでも効果は大体90日間程度はあるといわれています。
投与は筋肉内注射の形で行なわれます。

ワクチンと同じく、免疫グロブリンの投与にかかる費用は保険適用外となっています。

性行為に注意する

A型肝炎は性行為での感染があります。
男性同性愛者間で起こったケースも多いです。

A型肝炎を防ぐには、不特定多数の人との関係は避け、感染していないとはっきりわかる、信頼のおける相手とのみ性行為をすることが大切です。

また、気づかずまわりに感染を拡大させないため、一度は検査を受けておくと安心です。

予防接種(ワクチン)について詳しく

A型肝炎のワクチンが存在するため、どうしても衛生状態や飲用水の管理がよくない国および地域へ行かなければならない場合には、事前に予防接種を受けるとよいでしょう。

医療機関(トラベルクリニックなど)で予防接種を受けることが可能です。
なお、国と扱っている製剤次第では接種のしかたが日本と共通していないため、日本国外の場合はドクターの指示にしたがいましょう。

A型肝炎ワクチン接種のタイミング

A型肝炎ワクチンは、A型肝炎という病気の性質上、海外渡航するか、または海外の人を受け入れるかの際に、国が接種を要求するケースが多いです。

たとえば、アフリカや南米の熱帯地域など、A型肝炎の感染例が見られる地域です。
こうした国では、入国してきた外国人がA型肝炎に感染しないよう、入国前のワクチン接種を要求してきます。
また入国の際に要求されなくても、学校に入学するときに接種を要求されることもあります。

こうした国では、予防接種証明書の提示によりワクチン接種をしていることを示す必要がありますので、渡航の際に予めワクチンを接種し、証明書を用意しておかなければなりません。
また、ワクチン接種が要求されていなくても、予防接種を受けてからの渡航には意味があります。

A型肝炎は日本では感染しにくい病気ですが、渡航先で感染リスクがある場合には、帰国後にウイルスを周囲の人に感染させないためにも、予防接種をしておくことが推奨されます。
海外転勤の多い企業では、従業員に対してこうした予防接種を受けさせています。

A型肝炎ワクチンの接種についてですが、やろうと思ってすぐにできるとは限りません。準備に時間がかかる可能性がありますし、またワクチンの仕組み上、接種後に体調を崩す可能性もあります。

日本の場合、A型肝炎ワクチンは2~4週間のあいだに2回に分けて接種します。
接種は皮下または筋肉内に実施されます。
そして、その半年後に3回目の接種をすれば免疫が強化され5年間は効果が続くといわれています。

つまり、A型肝炎ワクチンの接種が必要な場合、最低でも1ヶ月は時間が必要となります。
そのため、海外渡航の予定がありワクチン接種が必要な場合、なるべく早く医療機関や検疫所に相談する必要があります。
また海外転勤の指示も、ワクチンの接種を考えたスケジュールで調整しなければいけません。

A型肝炎ワクチンの摂取方法と料金

A型肝炎ワクチン接種方法は、医療機関において皮下注射により行われます。2回から3回の接種が必要ですので、その都度医療機関に出向いて注射してもらうことになります。

料金については、接種を行う医療機関やワクチンの種類により異なります。
多くの場合は、1回あたり6,000~10,000円のあいだにおさまっており、これを最低でも2回、できれば3回繰り返すことになります。
費用は保険適用外です。

最大で30,000円となれば、1~2泊程度の宿泊費用にも匹敵するでしょうから、それなりに経済的余裕がある人でないかぎりは、かなり重い出費となります。
仕事での海外渡航の場合は雇用者がワクチン代も負担するでしょうが、もしも旅行など遊びで渡航する場合は、予防接種にかかるお金についても別途考慮しておく必要があります。

ホテル代がなくなるなどといって予防接種を無視していると、病気リスクが高まるだけでなく、そもそも入国ができないといった事態になりますので、しっかりとワクチンの接種を受けるようにしましょう。

予防接種を受けることができない人

日本製A型肝炎ワクチンは、16歳以上でなければ接種できません。
それ以下の場合は安全性や投与についてのやり方などは定められていません。

もし海外渡航の可能性がある場合、若年者に関しては本当に渡航が必要なのかも含めて、考慮が必要となります。

ただし、2013年3月より国際A型肝炎ワクチン(エイムゲン)については16歳未満への接種が可能となりました。
必要であれば、ワクチンの種類を問い合わせるようにしましょう。

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