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腎膿瘍を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/05/25 腎臓の病気・人工透析

腎膿瘍(じんのうよう)は腎臓に膿(うみ)がたまる病気で、膿がたまる部位によって呼び方が異なります。
腎臓の外側にたまるものは腎皮質膿瘍(じんひしつのうよう)、腎臓の内側にたまるものは腎髄質膿瘍(じんずいしつのうよう)といいます。

腎臓の皮質の内外ではなく、腎臓周囲の組織を覆う筋膜(きんまく)=ゲロタ筋膜に膿がたまった場合は腎周囲膿瘍(じんしゅういのうよう)と呼ばれます。
この病気にかかる原因として考えられているものには諸説ありますが、遺伝的な要素も含まれるのではないかとされています。

男女比では男性の患者の割合が多く、遺伝的な要素のほかには生活習慣が乱れていることも原因として考えられており、食事での脂肪の摂り過ぎや喫煙との関わりも注目されている病気です。

腎臓という臓器のことを知ろう!

大きさは人間の握りこぶし程度、形はそら豆に似ており、人間の体内に2個ある臓器です。

「腎臓を大切に」とはよくいわれるものの、実際にどのような仕事をしている臓器なのかを普段から意識している人は少ないかもしれません。

腎臓の主な働き

体内からの老廃物の排出

腎臓には尿を作り出したり、血液のろ過をしたりする働きがあります。
このとき、余分な塩分や老廃物も尿として一緒に排泄されるため、腎臓は私たちの体内バランスを整える役割を持つ臓器といえるでしょう。

腎臓の機能が低下すると体内には不要な老廃物や毒素がたまることになり、血尿(けつにょう)、むくみ、高血圧(こうけつあつ)、尿毒症(にょうどくしょう)といった異常を引き起こす原因となります。

血圧の調整

塩分や水分の量をコントロールする腎臓の機能は血圧を安定させる効果も持っています。
血圧が高くなったときは塩分と水分の排出を増加させるように働き、逆に血圧が低くなったときは塩分と水分の排出を少なくするように働きます。

また、このような排出のバランスを司るだけではなく、血圧を安定させるためのホルモンの分泌も行なっています。
高血圧の状態が長く続くと腎臓への負担も重くなっていきます。

血液を作る

腎臓から排出されるエリスロポエチンというホルモンは、骨髄のなかに存在する「血液を作る細胞」を刺激します。

腎臓の機能が低下するとこのホルモンの分泌も低下するため、血液を作る細胞が十分な刺激を与えられず、新鮮な血液の製造が滞ります。
この結果、貧血(ひんけつ)などの症状があらわれます。

体内の体液のバランスを保つ

私たちの体内の体液量やイオンバランスは体のむくみに深い関わりがあります。
貧血・むくみの症状は体が危険信号を発している状態です。

健康な腎臓は体内の体液量の調節を行ない、むくみにくい体の維持や、体内の機能を維持するために必要なミネラルを取り込むように働いています。

骨を強化する働き

骨が丈夫に健やかに発達するためには複数の臓器が健康であることが必要です。
骨の製造に関わる働きで腎臓が担っているのは活性型ビタミンDの製造です。

活性型ビタミンDは体内へのカルシウムの吸収効率を高める働きをしているため、腎臓の機能が低下することで骨の強度が弱まる恐れが出てきます。

腎膿瘍の原因

腎皮質膿瘍の発症のしくみ

腎皮質膿瘍は腎臓の外側に膿がたまります。
この腎膿瘍の場合は、もともとの原因は腎臓ではなく、ほかの臓器が細菌に感染することがはじまりです。

この感染が血流に乗ることでやがて腎臓に届き、腎臓も感染を起こして発症するしくみです。
この過程を血行性感染と呼んでいます。

感染の経路はさまざまで、皮膚、口などからも細菌が侵入します。
原因となる主な菌は黄色(おうしょく)ブドウ球菌で、体が弱っていて免疫が低下しているときはケガなどでの傷や扁桃腺炎(へんとうせんえん)が原因で感染してしまうこともあります。

腎皮質膿瘍は糖尿病(とうにょうびょう)を患っている人に多いとされ、また、静脈内への薬物乱用、血液の透析を受けている人も発症のリスクが高いといわれています。

腎髄質膿瘍の発症のしくみ

腎髄質膿瘍は腎臓の内側に膿がたまります。
こちらもはじめは腎臓そのものが感染を起こすのではなく、尿道口から侵入した細菌が尿路から体内へ感染を拡大させることが原因です。

尿路を逆行し腎臓まで感染が届く様子を上行性尿路感染(じょうこうせいにょうろかんせん)と呼びます。
原因となる菌は黄色ブドウ球菌に加え、大腸菌(だいちょうきん)、腸球菌(ちょうきゅうきん)などとなっています。

上行性尿路感染を起こしやすい人には尿路結石(にょうろけっせき)や膀胱尿管逆流現象(ぼうこうにょうかんぎゃくりゅうげんしょう)などを患っている人が挙げられます。
このような症状がある場合、腎髄質膿瘍にかかるリスクも高いでしょう。

腎髄質膿瘍の症状

腎膿瘍にかかった場合の主な症状は発熱、背中から脇腹にかけての痛み、体全体のだるさ、体重の低下、体の震えなどがあります。
また、残尿感や尿をするときの痛みなど、膀胱炎(ぼうこうえん)の症状と似ているものもあります。

腎臓の付近を体の外から押してみると、脇腹の痛みや、脇腹にしこりができているように感じることもあります。
腎髄質膿瘍の場合は頻尿(ひんにょう)などの症状もあり、この症状が出現すると、腎臓で小さな膿のかたまりがいくつもできあがっている状態となります。

この膿のかたまり同士が融合して拡大していき、腎実質全体が膿で覆われる可能性もあります。
腎臓だけではなく、腎臓外の組織にまで感染が拡大した場合は腎周囲膿瘍と呼ばれる症状に発展します。

体の異変に自覚する頃にはすでに症状が進行していることも珍しくなく、大半は重篤な状態になっており、医療機関へ行くのも救急車で運ばれてのケースが多いです。

腎膿瘍と似た症状を見せる病気

腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎臓に細菌が感染することで起こる炎症で、発症するメカニズムも腎膿瘍と似ています。
男女比では女性のほうがかかりやすい病気であるとされています。

男性に比べて狭い尿道や、尿道と肛門が近いことなど体の構造の違いが女性の割合が高い主な理由です。

糖尿病を患っていたり、抗がん剤やステロイド剤での治療を受けたりしていて体の免疫が低下している人や、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)・尿路結石の症状がある人、また妊娠中の人なども患うリスクが高いとされています。
腎盂腎炎には大まかに分けて2つの種類があります。

急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)

健康な腎臓は、本来であれば細菌が存在しない状態にあります。
この状態の腎臓に細菌が侵入し、炎症を起こすと急性腎盂腎炎になります。
急性という名のとおり症状は突然に出現します。

早期発見と治療ができれば長くても5日程度で改善しますが、そのまま放っておいて悪化してしまうと入院が必要なほどになります。
適切な治療が受けられなかった場合、慢性に移行する場合もあるので注意が必要です。

慢性腎盂腎炎(まんせいじんうじんえん)

こちらは新たに細菌に感染するのではなく、ほかの病気の影響で陥る病気と考えられています。

主な症状として発熱、食欲不振、吐き気、体全体のだるさなど、腎膿瘍で見られる症状と似ているものがあります。
また、一見すると急性ではないかと思われる症状を引き起こすケースもあります。

この病気はかかった人全員が何らかの特徴的な症状を見せるものではなく、自覚症状がまったくない場合もあるので注意しなければなりません。

膀胱炎

膀胱炎の原因は腎臓ではなく、膀胱内に細菌が侵入することで起こります。
症状は腎膿瘍で見られるものと重なっているものもあり、軽い膀胱炎だろうと思っていると実は腎膿瘍の疑いがあったということもあり得ない話ではありません。
また、膀胱炎自体が放置すると危険な病気でもあります。

膀胱炎になる原因

主な原因は大腸菌、腸球菌などの細菌が膀胱内に侵入することでの炎症です。
患者は女性が多く、理由は腎盂腎炎へのかかりやすさと同じです。

こちらも急性と慢性があり、急性を放置することで慢性に移行するケースが比較的多いとされています。
慢性の場合、同じ病原体で繰り返し症状が起こる「再燃」と、最初とは別の病原体で症状が起きている「再感染」にわけられます。

膀胱炎を引き起こす原因としてよくあがるのが「トイレを我慢してしまう環境」です。
尿意を感じたらすぐにトイレへ行くことを習慣化し、できるだけ尿をためないようにするべきです。

どうしても途中でトイレに行くことができない環境の場合は、尿意を予防するために先にトイレに行っておくなどするとよいでしょう。
また、女性の感染リスクを高める原因として不衛生な状態で性交渉を行なうというものがあります。
女性だけではなく、パートナーにも清潔な状態を維持することを心がけてもらうべきでしょう。

性交渉後に尿を排出すると、尿道に侵入した細菌を押し流す効果があります。
性交渉前はしっかりと体を清潔にすること、性交渉後はトイレに行くことを習慣化すると予防に効果的です。

膀胱炎の主な症状

尿をするときの痛み、残尿感(ざんにょうかん)、頻尿の症状が挙げられます。
また、炎症が起きた膀胱内が傷つくことで微量の出血を伴う場合もあり、血尿となることもあります。

白濁尿(はくだくにょう)の症状もありますが、これは悪い細菌を殺そうとした白血球の死骸が尿にあらわれるために起こる異常といわれています。

膣(ちつ)付近を清潔にしすぎる

体を清潔に保つことは大切ですが、洗いすぎると膣付近を守る粘液を流しすぎてしまい、かえって危険にさらされる恐れがあります。

普段の入浴やシャワー程度であれば問題はありませんが、過剰なウォシュレット、シャワートイレ、ビデの使用は控えましょう。

膀胱炎を発症した場合、細菌が腎臓のほうへ流れていくと腎盂腎炎に発展するケースがあります。

腎盂腎炎に発展した場合、高熱の症状があらわれることが多いため、膀胱炎に加えて38度以上の高熱を発したときには注意しなければなりません。
できるだけすみやかに病院での診察を受けましょう。

膀胱炎は予防策も多く、そのほとんどが日常で意識して改善できるものなので、できるだけ患わないようにしたいものです。

腎髄質膿瘍の検査と診断方法

腎膿瘍かどうかを判断するために、まず最初に血液検査が行なわれます。
採血により白血球やCRP値の様子が見てとれるので、腎臓が炎症を起こしているかがはっきりわかります。

腎皮質膿瘍では尿への異常がとくに見られないという特徴があるため、症状の原因となる細菌の特定のために血液培養検査が行なわれるケースがあります。
逆に腎髄質膿瘍の場合は膿尿(のうにょう)の有無で異常がわかるため、さらに詳しい検査として尿の培養検査が行なわれます。

尿の培養検査の結果で、症状の原因となっている細菌を把握することができるしくみです。
さらに症状が進んだ段階の腎周囲膿瘍かどうかの判断のためには、超音波検査やCT検査など、画像化して把握するための検査が必要となります。

これは膿のかたまりがどの程度進行しているのか、どの部位にあるのかを診断するために行なわれます。
そこからさらに、組織を採取するための生検へと進みます。

腎膿瘍の診療科

腎膿瘍の疑いがある場合に受診したい診療科は泌尿器科になります。
しかし、この病気では自分の足で医療機関を訪れることよりも、救急車で運びこまれるケースが多いです。

腎膿瘍の治療の進め方

各種検査が行なわれることにより、症状の原因となっている細菌の特定ができれば、その細菌の種類に対し効果的な抗生物質を用いた薬物療法が行なわれる形になります。

腎膿瘍の基本的な治療法はこの薬物療法となります。
しかし、症状の進行具合などによっては異なる治療法が選択されるケースもあります。

腎膿瘍の大きさが比較的小さい場合

膿瘍が小さく、広がりも見られない場合は基本的に保存療法が選択されます。
細菌の種類に対応した抗生物質を用い、薬物療法で治療していきます。

腎膿瘍の大きさが5cmを超える場合

5cmほどの大きさの膿瘍になってしまうと、薬物での治療だけではうまくいかないことが多いです。
このような場合には、穿刺(せんし)ドレナージという方法で膿の排出を試みます。

穿刺ドレナージとは

穿刺はその名の通り「刺す」ことを意味する言葉で、体の外側から注射針を刺す治療のことを穿刺といいます。
一方、ドレナージは「不要なものを捨てる管を挿入する」という意味があります。

腎膿瘍の治療においては、既に述べたとおり、たまった膿を取り除くことを目的として実施されています。
手術とは異なる、メスを入れない治療法として行なわれている治療法です。

感染の度合いが著しい場合

感染が広がり状態が悪く、腎臓の機能の低下、もしくは機能不全に陥っている場合は腎臓の摘出をしなければならないケースがあります。

腎臓は私たち人間の体内に2つ存在しますが、腎膿瘍での摘出手術の場合、症状が広がっている片方(患側)だけの摘出となります。

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