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高病原性鳥インフルエンザの原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/11/03 感染症, 人獣共通感染症


鳥インフルエンザは鳥類がA型インフルエンザウイルスに感染することで引き起こされる病気です。
鳥類に感染するA型インフルエンザウイルスを総称して、鳥インフルエンザウイルスと言います。
鳥インフルエンザのなかでもウズラや鶏などの家きんに特に強い病原性をもち、感染した鳥の致死率が高いものを高病原性鳥インフルエンザと呼びます。
高病原性鳥インフルエンザは感染が拡大すると養鶏などの産業にも大きな打撃を与える、世界的にも問題視されている家畜伝染病のひとつです。
人間への影響もある高病原性鳥インフルエンザについて、ここでは見ていきます。

高病原性鳥インフルエンザの症状

原因となるウイルス株によって、あらわれる症状は少しずつ異なります。
症状として多いのが、咳などの呼吸器系、高熱、筋肉痛、全身倦怠感などです。
軽い症状で済む場合もあれば、一般的なインフルエンザに近い症状が起こる場合や、重篤な肺炎や急性呼吸窮迫症候群、多臓器不全が起こることもあり、その症状はさまざまです。
多臓器不全など症状が悪化すると、短期間に死に至ることもあります。
オランダで起こったH7N7亜型感染症では、結膜炎の症状が確認されています。
アジアで猛威を振るうH5N1亜型の場合は、はじめに見られる症状は高熱や咳などの気道症状、全体倦怠感などがあらわれるインフルエンザに近い症状で、胸痛や腹痛、嘔吐、下痢などの症状も確認されています。
人によっては歯肉出血や鼻出血も見られますが、H5N1亜型感染で特徴的なのが下気道症状が早い段階であらわれ、急速に悪化するという点です。
はじめて診察を受けたタイミングで、一次性のウイルス性肺炎による下気道症状が見られることも珍しくありません。
タイでは発症後6日ほどでこの症状が確認され、トルコでの重症例でも発症から数日で呼吸不全が確認されています。
また、多臓器不全や播種性血管内凝固症候群といった症状が見られることも、H5N1亜型の特徴のひとつに数えられます。
しかし、ほかの国では呼吸器症があらわれない症例も確認されており、疾患がもたらす症状の多彩さを物語っています。
H5N1亜型の致死率は、全体の50%以上を示していますが、年齢層によってばらつきがあり、もっとも高い数値は10~39歳です。
程度が軽い患者が見逃されている可能性もあり、実際の致死率が低いという説もあります。
しかし、症状が軽度な症例や症状がまったくあらわれない症例はごくわずかというデータもあるため、H5N1亜型感染では重篤な症状もあらわれると考えてまちがいないでしょう。
また、鳥類が病原性の強い鳥インフルエンザ菌に感染した場合、突然死亡することがあります。
鳥に見られる症状としては、産卵率の低下や停止、チアノーゼ、皮下出血、脚部・顔面の浮腫、下痢、神経症状、肉冠、肉垂れ、元気消失、食欲・飲水欲の減退、呼吸器症状などが挙げられます。
病原性が強くない場合は、症状が軽度で済むこともあります。

高病原性鳥インフルエンザの感染経路

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型といくつかの種類がありますが、一般的に人間の間で流行するのはA型とB型です。
たとえば近年流行している豚由来の新型インフルエンザはA型に分類されます。
鳥類のなかでおアヒルやカモなどの水鳥はいろいろなインフルエンザウイルスをもっています。
水鳥の場合は、インフルエンザウイルスが体内で共存しているため、病気が発症することはまれです。
しかし、ウイルスが家畜として飼われる鳥に感染した場合に、一定割合で発症することがあります。
もともと、鳥インフルエンザウイルスは人間には感染しないと言われてきましたが、人間との感染例が報告されてからは感染のリスクがあることが判明しました。
人間への感染は、感染した鳥あるいはその死骸に深く接触した場合に起こります。
具体的に言うと、感染した鳥を解体・調理するときに起こる排泄物や体液、血液との接触です。
ほかにも感染した闘鶏の世話や、感染したアヒルやカモなどの肉を食べることで感染すると言われています。
ただし、接触したからと言って必ずしも感染が起こるとは限らず、感染率は低いと考えられています。
また、H5N1亜型のウイルスやH7N7亜型のウイルスの人間同士の感染例も報告されています。
アジアで多く見られるH5N1亜型の場合は、人間同士の濃厚な接触が長時間つづいたことで感染にいたると考えられています。
インフルエンザウイルスは定期的に遺伝子の変異が起こり、鳥インフルエンザが人間や鳥類などの体のなかで変異を起こし、人間から人間へ感染しやすいウイルスになることはあり得ます。
そうなった場合の流行が、現在懸念されています。

高病原性鳥インフルエンザの治療

現時点で抗インフルエンザウイルス薬のノイラミニダーゼ阻害剤の人間への効果は十分実証されていないというのが現状です。
しかし、早い段階で治療を開始することで、効果が期待できると考えられています。
そのため、高病原性鳥インフルエンザの疑いがある場合は、できるだけ早く投与することが推奨されています。
ですが、依然としてその効果を疑問視する声や投与量の延長・増量に懐疑的な意見もあり、今後の検討が必要と言えます。
多機能不全や呼吸不全、肺炎などの症状には、呼吸管理をはじめとする支持療法が必要となります。
急性呼吸促迫症候群が起きた場合は、ステロイドパルス療法やγグロブリン療法が行われることが多いですが、どちらも確かな効果は確認されていません。

高病原性鳥インフルエンザの予防

感染している恐れがある鳥に濃厚に接触する可能性がある人は、ゴーグルや防護服、医療用マスク(N95)などを身につけることで、感染を防ぐことが大切となります。
抗インフルエンザ薬をあらかじめ服用することで、予防の効果を上げることも必要です。
また、高病原性H5N1ウイルスの感染予防として、H5N1不活化ワクチンも開発されています。
臨床実験によって安全性が確かめられたことで、2007年に製造販売承認がされ、4種類のウイルスをつかったH5N1不活化ワクチンがつくられています。
ワクチンは一定量備蓄されていますが、その数は決して多くないため、医療従事者や社会機能維持者などが優先して接種されることになっています。
鳥インフルエンザウイルスは感染した鳥と濃厚に接触しなければ、普通は人間には感染しないと言われています。
日常的には、鳥の排泄物などに触れた場合はうがいや手洗いをすることを徹底すれば、それほど心配する必要はないでしょう。
死亡した野鳥に手を触れないことや、野鳥がいる公園などに出かけたときには、靴で糞などを踏まないようにするということも気をつける必要があります。
また、海外で感染した鳥と濃厚に接触した人への感染は確認されていますが、鶏肉や鶏卵を食べたことで人間に感染した例はまだありません。
内閣府食品安全委員会も鶏肉や鶏卵は安全だという考えを示しているので、市場に出回っているものは安心して食べられると考えられます。
鳥インフルエンザウイルスは中心温度が摂氏70℃以上に熱せられれば死滅するので、万が一感染していたとしても加熱すれば問題ありません。
鳥インフルエンザの流行地域へ旅行する場合は、生きたまま家きんを販売する市場、あるいは家きん飼育場などで家きんとの接触はできる限り避けるべきでしょう。
また、家きんをペットとして飼育している人も、注意が必要です。
日本国内で高病原性鳥インフルエンザが起こったからと言ってペットとして飼われている家きんがすぐに危険になるということはありません。
日本国内で起きた高病原性鳥インフルエンザは日本に来る渡り鳥を介して野生動物や衛生害虫に伝染し、人間やものに付着して鶏舎内に運ばれたと考えられています。
そのため、家きんを飼っている場合は、渡り鳥などの野鳥と接触させないよう注意しなければいけません。
飼養ケージに注意を配り、穴などが空いている場合はすぐにふさぐ処置をしましょう。
野鳥の糞などがペットの餌や水に混入しないよう気をつけることも大切です。
餌や水は常に清潔なものを与え、餌は野鳥が入らない場所に設置します。
野鳥が利用する可能性のある池の水などはペットに与えないようにしましょう。
人間がウイルスを持ち込む可能性もあるので、飼育舎などに入るときは靴を履き替え、消毒液を用意しておくことをおすすめします。
鳥の飼育舎などに、不特定多数の人が入ることは避けるようにしましょう。
飼っている鳥の体調管理には気をつけ、少しでも異変を感じたら動物病院で相談します。
鳥インフルエンザだけでなく、動物にはいろいろな病気があり、人間に感染するものも多くあります。
そういった病気の感染を防ぐためにも、糞尿は手袋やマスクなどを着用してから適切に処理することが大切です。
動物の世話をしたあとは手洗い・うがいを徹底して衛生管理を適切に行うようにしましょう。
鳥が感染した場合の治療方法は、確立されていないというのが現状です。
国によってはワクチンをつかって発症を抑制していますが、ワクチンを用いても感染そのものを防ぐことは残念ながら不可能です。
ワクチンによる抗体と感染の区別もつきにくいことから、日本ではワクチンは用いず、感染家きんの摘発・淘汰によって感染の拡大を防いでいます。

高病原性鳥インフルエンザの検査

高病原性鳥インフルエンザの疑いがある場合は、流行地への渡航歴、鳥との接触歴、発熱や咳などの症状があるかどうかなどが確認されます。
そして、胸部レントゲン検査や血液検査などが実施されます。
鳥インフルエンザウイルスへの感染が濃厚だと判断された場合は、ウイルスの遺伝子検査など詳しい検査が行われることもあります。
治療の開始は早ければ早いほどいいので、感染が疑われる場合はすぐに検査するようにしましょう。

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