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回虫幼虫移行症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/10/25 感染症, 人獣共通感染症


回虫幼虫移行症は動物に寄生する回虫によって、引き起こされる感染症です。
動物だけでなく、人間に感染することもあるので、感染症についてよく知っておくことは大切です。
ここでは回虫幼虫移行症について詳しく解説していきます。

回虫幼虫移行症の症状

回虫は犬や猫に寄生しますが、そのほとんどは症状としてあらわれることはありません。
しかし、子犬に多くの成虫が寄生した場合、嘔吐や腹痛、下痢、便秘、食欲不振、毛づやの悪化、皮膚のたるみ、貧血、体重減少、発育不良、元気消失、異嗜、息が甘くなる、腹部の異常な腫れなどさまざまな症状があらわれます。
体に幼虫が寄生したままメス犬が妊娠すると、乳汁や胎盤を介して子犬にも感染します。
感染した動物から人間へと虫卵が入り込むと、回虫幼虫移行症が引き起こされる場合があります。
幼虫が体のどの部位に入り込むかによって症状はちがいますが、食欲不振や倦怠感、発熱は起こりやすい症状です。
肺に侵入されると喘鳴、脳に入り込まれるとてんかん様発作が引き起こされる場合があります。
眼に入り込まれると、飛蚊症や霧視、網膜剥離による視力や視野障害、網膜脈絡炎、ブドウ膜炎、網膜内腫瘤、硝子体混濁などが発症します。
そのほかにもアレルギーの原因となったり、神経系のしびれや麻痺といった症状が出たりすることもあります。
子供が肝臓の腫れが確認され、好酸球の増加がつづき、発熱や気管支喘息をともなう場合は、高確率で回虫幼虫移行症だと言われています。
眼部の違和感や視力障害がある場合も、この病気の疑いが濃厚です。

回虫幼虫移行症の感染経路

犬や猫の場合は、母親と子供との間での母子感染、あるいは糞便中に含まれる虫卵によって感染します。
人間への感染については、動物の糞便に含まれる虫卵が口から入ってしまって感染するケース、回虫に感染した家畜の生肉や臓器を食すことで感染にいたるケースに大別されます。
健康上の問題がない人の体内に回虫卵が入り込んでも、それほど問題はありません。
しかし、免疫力が低下している人や幼児などは、虫卵が腸内でふ化してさまざまな臓器に移動して、多岐にわたる症状があらわれます。
身近な場所で感染しやすいのが、公園の砂場です。
砂場には犬や猫の回虫卵が潜んでいることが多く、実はとても危険だとされています。
とある調査によると、都内の公園の砂場で40%以上の回虫卵が発見されたとも言われています。
十分な免疫力を備えていれば、きちんと手洗いさえ習慣づければ問題ありませんが、免疫力に問題がある場合は避けたほうがいいかもしれません。
感染経路のひとつである回虫によって汚染された家畜の肉や刺身の生食は、より注意が必要だと言われています。
家畜への感染は本来、犬や猫に寄生するはずの回虫の卵を牛や豚、ニワトリなどの家畜が食べることで起こります。
最近の豚やニワトリなどの家畜の管理は徹底され、窓のない畜舎で育てられていることがほとんどです。
餌も食中毒のリスクが低いものだけを与えられています。
しかし、あえて放し飼い農法を取り入れていることもあるので、飼育方法によっては回虫寄生のリスクは高いと言えます。
犬や猫の回虫が含まれる糞便が、家畜がいる空間に存在すると、それを食べてしまうことで取り込まれる可能性はあります。
より自然に近い環境で家畜の飼育を行うほど、犬や猫は侵入しやすくなってそのリスクは高まると言えます。
回虫は豚やニワトリに取り込まれたあと、成虫まで成長することはできません。
そのため、腸を食い破って筋肉や内臓、特に肝臓へと移っていき数年間生存します。
その感染された肉を加熱せずに人間が食べることで、人間も感染してしまうのです。
最近問題視されているのが、アライグマによる感染です。
ペットブームの到来とともに、海外からアライグマが多く輸入されるようになりました。
その分、感染のリスクは高まっていると言えるでしょう。
アライグマに寄生する回虫は糞便を介して、人間に感染します。
ひとたび感染すると運動障害や意識障害など重篤な症状が引き起こされます。
アライグマの回虫は輸入時の検疫対象には含まれませんが、気をつける必要があります。

回虫幼虫移行症の治療

回虫幼虫移行症の治療では、メベンダゾール、ジエチルカルバマジン、チアベンダゾールが基本となります。
しかし、これらの薬には副作用のリスクがあるため、使用には慎重さが求められます。
眼内移行型の場合は、レーザーによる光凝固や硝子体の手術が検討されます。

回虫幼虫移行症の予防

子犬や子猫を飼いはじめる場合は、母子感染を疑う必要があります。
犬の場合は母子感染している場合は、生後3週間から糞便中に虫卵が含まれるようになるので、生後3週齢までに駆除薬を投薬することが大切です。
そして、3ヶ月までは2週間おきに再投薬をし、3~6ヶ月歳になったら毎月、それ以降も定期的に投薬をすることが望ましいでしょう。
猫は母子感染のリスクが低いため、6週齢からの定期的な投与で問題ありません。
人間の体内に回虫が移行すると治療が困難なので、ペットを飼う場合は定期的な駆除が大切となります。
症状がまったくなくても感染していることもあるので、定期的に検便をして確かめる必要があります。
外の土壌にも回虫が潜んでいる可能性があるため、外出したあとは手を洗うことを徹底させましょう。
特に砂場は感染のリスクが高いので、子供を遊ばせる場合は気をつけなければいけません。
回虫の卵は外だけでなく、家にたまったホコリなどにも混入していることがあるので、室内を掃除して常に清潔に保つことも重要です。
感染の可能性がある食品に関しては、必ず加熱することも大切な予防方法です。
冷凍しても回虫が生存していることがあるので、注意が必要です。
回虫の卵はお湯に弱いので、普段使用する食器や調理道具を熱湯消毒するのもいい方法です。

回虫幼虫移行症の検査

体外から臓器に向けて針を刺して、組織サンプルを採取します。
サンプルから幼虫が確認されれば、回虫幼虫移行症と診断することができます。
ただし、この検査は簡単ではないので、血清反応を調査するための検査が行われることが多いでしょう。
また、症状によっては眼底検査や超音波検査なども実施されます。

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