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エルシニア・エンテロコリティカ感染症の原因・症状・感染経路・治療・予防・診断など

公開日: : 感染症, 人獣共通感染症


エルシニア・エンテロコリティカ感染症は人獣共通感染症のひとつで、細菌感染を原因として発症します。
エルシニア・エンテロコリティカ感染症は日本国内では比較的新しい感染症で、1972年に報告されたのが最初です。
1983年には陽炎ビブリオやサルモネラと同じように、厚生労働省より食中毒菌に指定されています。
エルシニア・エンテロコリティカ感染症はどういった症状をもち、どんな対処方があるのでしょうか。

エルシニア・エンテロコリティカ感染症の症状

エルシニア・エンテロコリティカ感染症は動物も感染しますが、ほとんどは症状が見られず、ときどき下痢が見られる程度です。
人間が感染すると1~11日ほどの潜伏期間を経て、下痢や腹痛、発熱などの症状があらわれます。

人によっては血便が生じることもあります。
発症するのは小児が多いこともわかっています。
5歳以上の子供や大人の場合は、右下腹部に強い腹痛を感じることがあり、虫垂炎と誤認されることもあります。

自然に治癒することがほとんどですが、悪化すると菌血症や関節痛、発疹などの症状があらわれるケースも確認されています。
症状の程度によりますが、3~28日症状が継続することもあります。

エルシニア・エンテロコリティカ感染症の感染経路

エルシニア・エンテロコリティカ細菌は猿や犬、豚などのほ乳類の腸管、さらに自然界に存在します。
エルシニア・エンテロコリティカ感染症の主な感染源は、豚肉などの食肉です。

豚や牛などの家畜が菌を有し、汚染された食肉や水、牛乳などを摂取することで経口感染します。
感染すると血液中に細菌が入り込むことになるため、輸血によって感染することもあります。

4℃以下の環境でも死に絶えることなく増殖する性質をもつため、低温保管された血液を介して感染するリスクもあります。
動物の糞によって感染することもあるので、動物と触れ合うことが多い環境にある人は注意が必要です。

エルシニア・エンテロコリティカ感染症の治療

下痢症状のみの場合は、特に治療をしなくても自然に治癒することがほとんどです。
重症化している場合や合併症が見られる場合は、抗生物質をつかって治療をすることで症状を抑えます。
アミノグリコシド系抗生物質による薬物療法が、治療の基本となります。

ただし、この薬は小児に使用すると歯牙の着色や骨の発育不全などを引き起こす恐れがあるため、通常小児にはつかわれません。
ほかにも小児が服用するのに適さない抗生物質は多いので、注意が必要です。

エルシニア・エンテロコリティカ感染症の予防

エルシニア・エンテロコリティカは低温でも増殖可能な細菌なので、冷蔵庫に保管してある食品だからといって安全とは限りません。
冷蔵庫を過信しすぎないことが大切で、消費期限が過ぎたものは食べずに処分しましょう。
冷凍した食品でも長期間にわたって生き続けられる菌なので、常に整理整頓をして古いものは処分します。

ほかの食中毒菌と同じですが、生肉や加熱が不十分な肉は食べないようにしましょう。
牛乳は飲んでもかまいませんが、殺菌していないものはリスクがあるので殺菌済みのものを選ぶことが大切です。
生水はできるだけ飲まないようにし、未消毒のミルクから製造したソフトチーズは食べないほうがいいでしょう。

調理する場合はあらかじめ手をきれいに洗っておき、肉用のまな板は別に用意します。
動物と触れ合ったあと、あるいは動物の糞の処理をしたあとは石鹸を用いてしっかり手を洗います。

エルシニア・エンテロコリティカ感染症の診断

便をサンプル採取し、培養してから診断します。
通常の培養方法でうまくいかない場合は、別の方法が模索されます。

ウイダール反応に準じた凝集反応によって、抗体は検出されます。
虫垂炎に近い症状が見られる場合は、それと鑑別するための検査も同時に実施されます。

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