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サルモネラ症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/10/01 感染症, 人獣共通感染症


サルモネラ症はサルモネラ属菌に感染することで発症する感染症です。
食中毒の原因菌として認知されていますが、それ以外にも感染経路があることがわかっています。
ここではサルモネラ症の特徴や対処方法について紹介します。

サルモネラ症の症状

サルモネラ症の症状はさまざまですが、多く見られるのが急性胃腸炎です。
ほとんどは8~48時間の潜伏期間を過ぎてから症状があらわれますが、最近は3~4日後に発病することもあります。
症状のはじまりは嘔吐と吐き気であることが多く、数時間後に腹痛や下痢といった症状があらわれます。

下痢は1日数回~十数回ほど起こり、3~4日その状態がつづくことが多いですが、なかには1週間以上継続されるケースもあります。
症状がなくなって数時間たったあとに便から菌が検出されることがあり、こういった人はキャリアと呼ばれます。
成人のおよそ30%は、下痢の症状がおさまってから数週間~数ヶ月ほどで反応性関節炎が起こります。

これは痛みや腫れをともなう症状で、多くは股関節やアキレス腱、膝で生じます。
菌血症が起きて感染が体内で拡大すれば、ほかの症状が起こります。
骨に感染が拡大した場合はその周辺で痛みや圧痛が生じ、心臓弁に感染が広がれば息切れが生じます。
大動脈に感染が広がれば、背部と腹部に痛みが起こります。

小児の場合は、菌血症や痙攣、意識障害などが起こり、高齢者の場合は急性脱水症や菌血症などが起こり、重篤化しやすい傾向にあります。
回復も遅れることが多いので、十分に注意しなければいけません。

サルモネラ症の感染経路

サルモネラ症の原因であるサルモネラ属の菌は、2500種類以上の血清型があり、土壌や下水、河川など自然界のあらゆる場所に存在します。
わたしたちが普段食べる鶏や豚、牛などの家畜にも一定割合で含まれます。
犬や猫の場合は3~10%、亀の場合は50~90%の割合で感染していると言われています。

サルモネラ属の菌は乾燥や低温に強い性質をもつため、土壌のなかでも数年間は生き続けるといわれています。
冷凍しても、完全に死に絶えることはありません。
サルモネラ属の菌は人間や動物の糞便として排出され、それから汚染が起こります。
1970年代、アメリカではペットの亀によって感染症が起きたために、亀の販売が禁止され感染症の拡大が食い止められました。

最近になってペットのとして亀が飼われるようになり、ペットの爬虫類すべてを含めるとそのほとんどはサルモネラ属の菌に汚染されていると考えられています。
そういった亀をはじめとする、接触感染は多く報告されています。
また、調理が不十分な卵や鶏肉、豚肉、牛肉、低温殺菌されていない乳製品、汚染された海産物や精製食品を食べることで感染することもあります。
サルモネラ属の菌は雌鶏の卵巣に感染することがあるため、感染した親鳥から生まれた卵ははじめから感染しています。
動物の糞便、排泄後に手洗いをしなかった食品取扱業者などによって、食品が汚染されるケースもあります。

感染者の糞便処理後に手洗いや消毒がしっかりできていないことで、汚染された手指を通じて接触感染することもあります。
また、患者が用便後にさわったテーブルやドアノブなどに触れることで、手指が汚染される間接的な接触感染もあり得ます。

サルモネラ症の治療

胃酸がうまく働かない場合は別ですが、普通はサルモネラ菌は胃酸によって死滅するため、多くの場合は発症することはありません。
胃酸が十分に機能していないといったことは、高齢者や1歳未満の小児に起こりやすいとされています。
また、ラニチジンなどのH2遮断薬やオメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤といった胃酸の分泌を抑制する薬を用いていると発症のリスクは高まります。
サルモネラ症の症状があらわれた場合、腸の感染に対しては経口で輸液を与えるのが一般的な治療です。
感染の程度が重い場合は、経口ではなく静脈投与が行われることもあります。

細菌が原因の感染症では抗生物質が用いられるのが一般的ですが、サルモネラ症の場合は抗生物質によって回復を早めることはできません。
そのため、便中への細菌の排泄が長期間つづくことがあるので抗生物質をつかった治療は行われないのです。
しかし、菌血症のリスクがある場合、人工関節、人工心臓弁、もしくは血管グラフトといったインプラント材料、インプラントデバイスがつかわれている場合には抗生物質が用いられます。
こういった場合には、アジスロマイシンあるいはシプロフロキサシンを1週間ほど投与することが多く、症状が改善しても便中に細菌が検出される場合はさらに抗生物質の投与が検討されます。

敗血症が起こった場合は、セフトリアキソンもしくはシプロフロキサシンの静脈投与が2週間ほど実施されます。
膿瘍がある場合は外科的に排出され、抗生物質を4週間ほどつかって治療します。
関節や心臓弁、大動脈などに感染した場合は、多くは手術が実施され、抗生物質は数週間~数ヶ月用いられます。

サルモネラ症の予防

サルモネラ菌に対する予防ワクチンはまだ開発にいたっていないため、自分で日頃から気をつける必要があります。
動物からの接触感染があり得るので、ペットを飼っている場合は触れたあとや飼育ケージを清掃したあとには十分に手を洗うことが大切です。
特に子供は抵抗力が十分に備わっていないうえに、手を口にいれることが珍しくないので、爬虫類などをペットとして飼う場合は知識を備えた大人がしっかり管理する必要があります。

爬虫類のなかでも亀は特に感染しやすいので、水槽の水はこまめにかえて清潔な状態を保つことが重要となります。
食事からの感染を防ぐには、食肉や鶏卵などの食材はしっかり加熱し、できるだけ生食は控えます。
加熱する場合は、中心部が75℃以上で1分以上行うというのが基本です。
残り物をレンジなどで温め直す場合も、十分に加熱することでサルモネラ症の予防につながります。
調理したものをいつまでも置いておくとよくないので、できるだけ早めに食べるようにします。

包丁やふきん、まな板などの料理道具は熱湯や漂白剤などを用いて、こまめに殺菌しましょう。
細菌が料理道具や手を介して食材につき、増殖することがあるので、しっかり菌を取り除くことが重要なポイントです。
調理道具に菌が付着していなくても自分の手についていたら意味がないので、調理の前に手洗いをすることを徹底しましょう。
包丁やまな板などの調理道具は、肉・魚・野菜と食材の種類ごとに分けてつかうのも大切な予防方法です。
肉や魚などを保存する場合は、ほかの食品に肉汁などが付着しないように容器や袋をつかって小分けします。

また、赤ちゃんのおむつ交換などをする場合も、終わったあとにきちんと手洗いをするようにしましょう。
トイレ内は常に清潔な状態にし、特に水洗レバーや便座、ドアノブなどは、消毒用エタノールなどをつかって定期的に消毒することをおすすめします。
サルモネラ菌は消毒剤に弱い性質をもつので、消毒や石鹸をつかった手洗いを徹底することで、かなりの割合で予防できます。

サルモネラ症の検査

サルモネラ症の診断は、ほかの食中毒菌による急性胃腸炎と同じように、症状と患者の状態を見極めたうえで、確定診断が行われます。
38℃以上の高熱、腹痛、血便、1日10回以上の水様性下痢といった症状が見られる場合は、サルモネラ症が疑われます。
検査所見では、炎症の状態によって白血球数やCRPなどの炎症反応の増加が確認できます。

ただし、敗血症や胃腸炎でもトランスアミラーゼの上昇が見られることがあるため、さまざまな検査が行われます。
痰や便、血液のサンプル採取、あるいは直腸からめん棒をつかってサンプル採取が行われるのが一般的です。

採取できたサンプルは検査室などに送られて、そのまま細菌を培養します。
サンプルに含まれる細菌を観察し、同定することで診断が確かなものとなります。

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