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狂犬病の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/09/25 感染症, 人獣共通感染症


狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染することで引き起こされる重篤な病気です。
狂犬病はほ乳類全般が感染対象なので、動物と人間の境なく発症する恐れのある病気と言えます。
この病気は世界各地で確認された病気で、その感染者は年間5万人以上だと言われています。
狂犬病とはどういった症状をもち、どう対策していけばいいのでしょうか。

狂犬病の症状

長い潜伏期間をもつことが狂犬病の特徴のひとつです。
犬の場合は2週間~2ヶ月、猫の場合は2~3週間、人間の場合は、1~3ヶ月ほどが多いと言われています。
犬は犬同士で伝染をつづけ拡散していくと言われ、人間が発症する狂犬病のほとんどが犬からのものとされています。
犬の初期症状としては、発熱や食欲減退、元気消失などが挙げられます。

行動や正確が変化することもあり、おとなしい犬が攻撃的になったり、朗らかな犬が臆病になったりすることがあります。
発症からしばらく経つと狂躁期に移行し、落ち着きなく徘徊したり、まったく眠れなくなったりします。
咽頭筋が麻痺することで声がかすれるようになり、吠え声が大きくなることもあります。

脱水を起こしやすくなるため、水を盛んに飲もうとしますが、麻痺によってうまくいかず鼻ごと水につけて飲もうとしたり、いらだって容器に噛みついたりします。
徐々に攻撃性が増し、人間相手に噛みつくこともあります。
麻痺期に至ると、横たわっている時間が長くなり、よだれをだらだらと流すようになり、意識が失われて呼吸麻痺によって死に至ります。
人間も感染動物に噛まれることで、狂犬病に感染します。

噛まれてからウイルスが脳髄や脳に達すると、発症します。
発症するまでには一定の潜伏期間がありますが、どの程度の期間を経るのかは人によってちがいますが、顔など噛まれた場所が脳に近いほど、発症は早まると言われています。
初期に見られる症状としては、倦怠感や頭痛、発熱などが挙げられます。
ほとんどのケースで落ち着きが失われて、混乱状態や興奮状態が引き起こされます。
おかしな行動をとるケースや、不眠や幻覚があらわれることもあります。

狂犬病はものを飲み込む、呼吸、発話などをつかさどる脳領域に影響を及ぼすので、のどや咽頭の筋肉が痙攣し、痛くなります。
少しの風や水を飲む動作だけでも痙攣が起こるため、狂犬病発症者は水を飲むのが困難となります。
そのため、狂犬病は恐水病と言われることもあるのです。

感染が脳全体に拡大されると、興奮と錯乱がさらに悪化します。
最終的には昏睡状態におちいったのちに、死亡します。

狂犬病の感染経路

狂犬病の人間への感染源は、地域によって異なります。
中南米やアフリカ、アジアの場合は犬、北米や西ヨーロッパの場合は野菜動物が多いとされています。
北アジアからヨーロッパにかけてはキツネ、南北米はコウモリ、アフリカはイエローマングースなどの感染も多く報告されています。
アメリカでは犬の狂犬病は予防接種によってしっかり予防されているため、感染例の多くは野生動物で、なかでも多いのがコウモリです。
ハムスターやモルモットなどの齧歯類から感染することはほとんどなく、鳥類や虫類からの感染はありません。

狂犬病ウイルスは脳や唾液腺のなかで増えていくため、ウイルスを保有する動物に噛まれて感染することがほとんどです。
そのほかの感染経路としては、コウモリなどが唾液を飛ばした際の感染があります。
通常は人間から人間に感染することはありませんが、角膜移植によって感染した例が報告されています。
また、動物に皮膚をひっかかれたときに生じた傷口からウイルスが入り込むことで、感染することもあります。

狂犬病の治療

狂犬病に対する確実な治療法はないため、ひとたび発症にいたったらほぼ100%の人が死に至ると言われています。
そのため、発症後は症状をできる限り軽減させて、快適な状態にすることくらいしかできることはないというのが現状です。
ただし、感染動物に噛まれるなどして感染の可能性がある場合に、時間を置かずに連続してワクチン接種をすることで発症を抑制できるということがわかっています。

ワクチン接種は早ければ早いほどいいとされ、初回ワクチン接種日を0日として3日、7日、14日、30日、90日の計6回接種します。
狂犬病ウイルスに感染した可能性がある場合は、医療機関で感染の状況をできるだけ詳しく伝えます。
狂犬病とは関係のないような動物でもほ乳類である限りリスクはあるので、必ず医療機関に行くようにしましょう。

噛まれたときの応急処置としては、傷口を石けんでしっかり洗浄して、消毒液やエタノールで消毒するという方法が一般的です。
狂犬病ウイルスは比較的弱いウイルスなので、この処置だけで死滅することもあります。

狂犬病の予防

もっとも必要な狂犬病の対策は、動物に噛まれないようにすることです。
野生動物などには近づかず、適切な距離を保つことが大切です。
狂犬病を発症している動物は攻撃性が増し、人間が近づいても怖がりません。
コウモリやキツネ、アライグマ、スカンクなどの夜行性の動物は感染後に日中に行動するようになります。

コウモリの場合は奇妙な音を出し、飛行がうまくできないこともあります。
動物にそういった異変が生じている場合は狂犬病を発症している可能性があるので、近づかないようにしましょう。
病気の動物は刺激を与えると噛みつくことが多いので、抱き上げるのも厳禁です。
狂犬病ウイルスに感染する可能性がある場合は、事前に狂犬病ワクチンの接種をすることが推奨されています。

感染の可能性がある場合とは、コウモリがいる洞窟に赴く、狂犬病が流行している発展途上国に30日以上滞在する、狂犬病を発症している可能性のある動物を取り扱うといったことです。
大多数の人は、予防接種さえあらかじめ受けておけば、狂犬病への生涯免疫がえられます。
しかし、予防の効果は少しずつ弱まっていくため、ウイルス感染のリスクが継続する場合は、2年ごとの接種が望ましいでしょう。
また、狂犬病は非常に致死率が高い病気なので、動物へのワクチン接種が大切となります。

狂犬病をなくすために日本では「狂犬病予防法」という法律を制定し、輸入動物の検疫、野犬の捕獲、放し飼いの禁止、飼い犬の登録と1年に1度の予防接種の義務化など、さまざまな対策を行っています。
その成果によって、日本では1957年を最後に狂犬病は発生していません。
犬を飼っている人は年に一度の予防接種と畜犬登録を済ませておくことになります。
畜犬登録を行うと1年に1度狂犬病予防接種の時期が間近に迫ると、はがきなどで連絡がきます。
畜犬登録の方法はいくつかありますが、市区町村が行う集団接種が簡単です。

市区町村に問い合わせると会場や日時など詳細を教えてくれるので、わからない場合はきいてみるといいでしょう。
集団接種以外の方法でもかまいませんが、その場合は接種済み証明書を保健所などに提出することになります。

狂犬病の検査

コウモリとの接触があった、もしくは動物に噛まれたという人で、頭痛や錯乱などの症状が見られる場合は狂犬病ウイルスへの感染が疑われます。
しかし、狂犬病ウイルスに感染した大多数の人は、コウモリと接触したことや動物に噛まれたことを自覚していません。
そのため、ウイルスがあるかどうか検査をすることになります。

首のうしろなどから皮膚組織を採取して、顕微鏡をつかって観察するとともに、唾液や尿も採取してウイルスが潜んでいるかどうかを確かめます。
さらに脊椎穿刺によって脳脊髄液を採取して、検査を行います。
脳脊髄液、尿、唾液を採取する検査は、ウイルスを検出しやすくするために時間を空けて何度か行うのが一般的です。

狂犬病ウイルスに特徴的なDNA配列を検出することを目的に、多くの遺伝子を複製するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法のひとつを実施する場合もあります。

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