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リステリア症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2015/09/30 感染症, 人獣共通感染症


リステリア症はグラム陽性細菌のリステリア菌が原因となって起こる人と動物共通の感染症です。
人間のリステリア症が確認されたのは日本国内では1958年で、それ以降この病気への認知が広がるにつれて報告例も増えています。
ここではリステリア症がどういった感染症なのか詳しく紹介していきます。

リステリア症の症状

リステリア症が発症すると、発熱や筋肉痛が見られることが多く、下痢や吐き気と言った胃腸症状があらわれるケースもあります。
こういった主症状のみの場合もありますが、神経系統にまで感染が拡大すると、痙攣やふらつき、昏迷、首の痛み、頭痛などの症状があらわれることもあります。
さらに、敗血症や髄膜脳炎、髄膜炎などの重篤な症状があらわれることもあり、注意が必要です。
妊娠中の女性が発症すると、軽いインフルエンザのような症状があらわれることがあります。

リステリアの菌血症におちいると、急激な発熱や筋肉痛、背部痛、頭痛などが起こります。
胃腸症状や軽度のめまい、頭痛、悪寒、発熱などがあらわれることもありますが、感染しても特に症状が見られないこともあります。
しかし、母親の症状がなくてもお腹の子供はその影響を免れず、新生児の敗血症や髄膜脳炎、早産、死亡、流産などが引き起こされます。
感染によって脳障害をもって生まれる例も確認されているため、妊娠中の女性は十分に注意しなければいけません。
妊娠した女性が菌に感染してから流産や早産、死産が起こるまでは数日~数週間だと言われています。

妊娠した女性から流産や早産、死産などの重篤な状態に変化しやすい時期は、一般的な妊娠期間を三等分した場合だと最後の3番目の時期とされています。
これは妊娠26~30週でリステリアなどに対抗するための細胞性免疫が下がることが関係していると考えられます。
新生児に関しては、生まれる前に子宮内で、もしくは出産の際に膣内で感染する場合があります。
感染に至った胎児や新生児の致死率は、20~30%とされています。

リステリア症の感染経路

リステリア症の原因となるリステリア菌は、世界各地のたくさんの動物の腸内に存在します。
感染の多くは、リステリア症に汚染された食物によって起こります。
感染の原因となる食品はさまざまで、特に多いのが食肉加工品や乳製品など調理済みで低温保存する食品です。

以前と比べて食品を低温のまま流通させることが増え、食品の長期保存が実現したことが、リステリア症が増える一因と推測できます。
リステリア菌は冷蔵庫など温度が低い状態でも生き続け、冷凍状態でも死ぬことがありません。
ただし、乳製品の場合はリステリア菌がごくわずかであれば低温殺菌で消滅します。

また、適切な調理方法や再加熱によっても細菌は消滅するので、過度に恐れることはありません。
しかし、食品加工施設で食品が詰まったすきま、あるいは掃除しにくいエリアでこういった細菌が生き続け食品を汚染することがあります。
そういった食品が未調理でそのまま食べられるタイプの場合、汚染された状態で体に取り入れられることになります。

また、調理済み食品によっては、冷蔵庫内に保管している間に匂いや味を変化させることなく、細菌が増えていくこともあります。
ほかの細菌と比べてリステリア菌は耐塩性が強く、10%の食塩濃度であっても増え続けます。
以前にリステリア症が流行した際には、きちんと加熱処理されていない鶏肉、海老、ホットドッグ、シチメンチョウのソーセージ、冷肉、カマンベールやブリー、フェタチーズ、ラテンアメリカ産の白チーズなどの柔らかいタイプのチーズ、低温殺菌されていない牛乳などに菌が確認されました。

リステリア症の治療

リステリア菌に汚染された食品を食すことで感染にいたりますが、実際に発症する人はごくわずかだと言われています。
リステリア菌に汚染された食品を食べても特に症状があらわれないようなら、検査や治療は必要ありません。
しかし、リステリア症を発症しやすい人が、そういった食品を食べて2ヶ月以内に発熱などの症状があらわれたら、医療機関で受診する必要があります。

リステリア症の治療では、たくさんの抗生物質が用いられます。
妊娠中の女性がリステリア症を発症した場合、できるだけ早く抗生物質を投与することで胎児や新生児の感染を防ぐことができます。
しかし、抵抗力が弱っている人やお年寄りの場合は、抗生物質を投与しても状態を食い止めることができずに、死亡するケースもあります。
抗生物質で用いられることが多いのが、ペニシリン・アンピシリンなどです。

ペニシリンのアレルギーをもっている人は、トリメトプリム-スルファメトキサゾール(trimethoprim-sulfamethoxazole : TMP-SMX)やバンコマイシンなどで代用されます。
トリメトプリム-スルファメトキサゾールは妊娠中の女性や乳児への使用を控えなければいけない時期があるので要注意です。
セファロスポリン系抗生物質はリステリア症には効果が期待できないため、通常は使用されません。
抗生物質は静脈投与されるのが一般的です。

脳脊髄液に問題がない菌血症の場合は2週間、髄膜炎の場合は3週間の治療が一般的です。
脳炎や心内膜炎、脳膿瘍の治療には、それ以上の治療期間が必要となります。
妊娠女性の治療期間はいろいろで、短期で2週間、長期で分娩までと人によって大きく異なります。

あまりに短すぎると再発の可能性が高まるので、3~4週間ほどは治療をしたほうがいいという意見もあります。
敗血症をともなう新生児の場合は、特別な処置が必要となることもあります。
感染の程度が重い場合は、排液や分泌物に向けた対抗策を十分に考える必要もあります。

リステリア症の予防

健康上の問題がない人はリステリア菌に汚染された食品を口にしても、症状があらわれないことがほとんどです。
しかし、発症しやすい人の場合はほんのわずかな食品を食べただけでも、発症してなんらかの症状があらわれる可能性があります。
発症しやすい傾向にあるのは、臓器移植を受けた人やがんや糖尿病を抱える人、ステロイド治療をしている人、高齢者、妊婦など免疫機能がなんらかの理由で低下している人です。
そういった人は特定の食品を避ける、適切な方法で調理することで、感染を予防することが大切となります。

未加熱の肉は野菜や調理が済んだ食物、食べる準備が整った食物と距離を置くこと、未加熱の肉をのせていた食器を食事に用いないことが重要です。
豚肉や鶏肉、牛肉などはしっかり加熱してから食べること、生野菜を食べる場合は十分に洗うことも大切です。
滅菌していない牛乳、もしくは滅菌していない牛乳で製造した食物は食べないようにしましょう。
加熱していない生の状態の食物を取り扱ったあとは手はもちろん、包丁やまな板もしっかり洗浄します。

プロセスチーズやヨーグルト、クリームチーズ、コッテイジチーズは問題ありませんが、カマンベールチーズ、ロクフォーチーズ、メキシカンスタイルチーズ、フェタチーズ、ブリーチーズなどソフトチーズは避けたほうがいいでしょう。
加工済みの食品や総菜を食べる場合は、あらかじめしっかり加熱することが大切です。
なかまでしっかり熱を通して、摂氏74℃以上で加熱するようにしましょう。
妊娠中の女性は特に、口にするものに気を遣う必要があります。

妊娠中は普段の20倍ほど感染リスクが高まるというデータもあるため、しっかり自衛することが大切です。
低温殺菌されていない牛乳、牛や羊の肥やしに触れた生野菜は、リステリア菌に汚染されている可能性があるので、控えたほうがいいでしょう。
汚染された子供を出産したことがある女性は、リステリア菌の保菌状態を調査することが推奨されています。
検査方法は妊娠第3トライメスター中に、子宮頸部と便の培養をして調べるというものです。

リステリア症のワクチンはまだ実用化にはいたらず、原因となる菌は自然界に広範囲で見られるため、予防するのは簡単ではありません。
しかし、個人で予防対策を行うとともに、飼養管理を徹底することである程度予防できるはずです。

リステリア症の検査

リステリア症によって起こる敗血症や髄膜炎は、一般的な細菌感染が原因で起こるものと区別するのは容易ではありません。
髄液の検査所見でも特異的なものは見られないため、ほかの検査も行って特定する必要があります。
患者の血液や臓器、髄液などを調べて、原因菌であるリステリア・モノサイトゲネスが検出されるかどうかが、診断確定のための必要条件となります。
髄液を調査する場合は、サンプル採取のために脊椎穿刺が行われます。

採取したサンプルは研究室に送られて、そのまま細菌の培養が実施されることになります。
一般的な臨床細菌検査で用いる血液培養用の液体培地と血液寒天培地によって、通常は簡単に分離できます。
しかし、食品や環境材料、糞便などによって、選択培養が必要とされることもあります。
抗原的には耐熱性O 抗原(菌体)と易熱性H 抗原(鞭毛)によって、16種類の血清型に分かれます。
このなかで臨床から分離される菌株の血清型は4b が1番多く、続いて1/2b 、1/2aが多いとされています。

菌の名称は単球増多からとられていますが、人間の場合は必ずしも単球増多となるわけではありません。
分離菌の診断や同定、型別に関しては、PCR 法、パルスフィールド電気泳動法、RAPD 法などを利用した遺伝子診断法という方法が選択されることが増えています。
簡易的な検査としてELISA 、DNAプローブなどをつかったキットも登場していますが、リステリア属菌があるかどうかということしかわかりません。
そのため、リステリア・モノサイトゲネスの存在を明らかにするためには、従来の培養による検査が必須となります。

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