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コレラを詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/07/05 感染症

コレラとは

コレラとは、コレラ菌によって引き起こされる感染症です。
日本におけるコレラのほぼ総数は、国外で感染し帰国した人たちです。

とくに多いのは衛生環境が整っていない開発途上国での感染であり、このような国以外でコレラが発生するのは珍しいことです。

一部、日本で感染したケースもありますが、原因は輸入食品などの汚染であるという見かたがされています。
主な症状は下痢と嘔吐であり、病原体に汚染された飲食物を摂取することによって引き起こされます。

一度感染が成立すると、病原体を含む便が排泄されるようになり、とくに排泄物の処理が適切に行われていない地域では急速に感染が拡大していきます。

コレラは適切な治療を受けることにより、命を落としてしまう確率は1%以下と非常に低いものの、治療を受けず重症化すると、50%以上が命を落としてしまう、軽視できない感染症です。

感染症法では三類感染症の一つであり、コレラを診断した医師はただちに最寄りの保健所に届出をする義務があります。

コレラの原因

病原体

コレラを引き起こす原因となるのは、病名にあるコレラ菌です。
ただ、コレラ菌と一口にいっても205種類が存在しており、症状が出現するのはO-1およびO-139血清型だけとされています。

そしてこのO-1とO139によって作り出されてしまうコレラ毒素によって、病気の症状が引き起こされます。
なお、コレラは食中毒菌としても知られており、細菌性毒素型食中毒に分類されています。

細菌性毒素型食中毒というのは、食品のなかで細菌が作り出した毒素を摂取することによって発生する食中毒のことをいいます。

感染経路

コレラの感染経路は経口感染です。
コレラ菌に感染した食べ物や飲料水を摂ることによって人に感染し、発症してしまいます。

汚染された飲食物を摂取し、消化管のなかに入り込んだコレラ菌は熱への耐性にとぼしく、胃のなかでコレラ菌の多くは殺されてしまいますが、生き残った少ない数のコレラ菌が小腸に入り込んで、コレラ毒素を作り出します。

原因食品

病原体によって汚染された状態の水、よく火の通っていない魚介類などを摂取することにより感染してしまいます。

コレラの症状

潜伏期間

コレラは感染後、すぐに発症するわけではありません。
感染後、数時間~5日間の潜伏を経て、症状が出現するようになります。

出現する症状

主なコレラの症状として、下痢か嘔吐が引き起こされます。
ただ、患者の多くは軽症であり、何度か下痢や嘔吐の症状が出現するほどで回復してしまいます。

人によってはこれといった症状が出現しないことも珍しくありません。
まったくこわくないと感じる人もいるでしょうが、コレラは重症化する恐れがあります。

重症化した場合の症状

重いコレラになると、激しい下痢を起こします。
米のとぎ汁に似た色をしていて、甘く生臭い水様性の便が出ます。

症状が出現するのは20~30回であり、量は1日10~数十リットルにまでなります。
そしてすぐに治療を受けないと、さらなる問題を招くことになります。

下痢で大量の水分が消失してしまうことで、数時間以内に出現する症状が脱水症状です。
血圧が下がり、皮膚が乾燥し弾力が失われます。

下痢で水分が消失してしまうため、尿量は少ないかほぼ排泄されません。
また、水分だけでなくミネラルなどの電解質も消失してしまうため、けいれんを起こしたり、意識を失ったりするケースもあります。

コレラによる死因は急激に起こるひどい脱水症状であり、腎不全、ショック状態、昏睡状態を招いて命を失ってしまいます。

発熱や腹痛はある?

熱が出たりお腹が痛くなったりする症状は、出現しないケースが多いです。
とくに発熱の症状に関しては、むしろ体温が低下してしまうことのほうがこわいです。

というのも、下痢の症状で脱水状態を招くと、血流が悪化して34℃ほどにまで体温が下がってしまうことがあるためです。

コレラの症状を引き起こしやすい人

胃酸の分泌量が少ない人は、重症のコレラを招きやすいといわれています。

コレラは胃酸で減少するとされており、胃の手術を受けた人、胃酸の分泌を抑制する薬剤を服用している人、元々胃酸の分泌量が多くない小さな子どもやお歳よりは、体のなかでコレラ菌が増殖しやすく、深刻な状態に陥りやすいといわれています。

何日で回復する?

命が助かった場合には、多くは3~6日間で症状が治まり、細菌が完全に消失するには、14日間の期間を要するケースがほとんどです。

細菌が完全に死なない珍しいケースもありますが、このようなケースでも症状が出現することはありません。
なお、細菌がいる状態で無症状な人のことはキャリアといいます。

コレラの検査・診断

コレラかもしれないと思ったら

白っぽく水のような下痢便が多量に、繰り返し出るような場合や、嘔吐の症状がある場合には、医療機関へ行きましょう。

重い脱水症状を招くと命が危ないため、すぐに治療を受ける必要があります。

診療科は一般内科でも問題ありませんが、より専門のところでと思う人は消化器内科や感染症内科を選択するとよいでしょう。

コレラは衛生環境が整っていない国で多く、コレラ菌に汚染された食べ物や飲料水によって起こるため、渡航歴や渡航中に摂ったものがこの病の疑いありと判断するための手がかりになります。

どうやって調べる?

コレラは便を調べることにより、コレラ菌が検出されて、コレラ毒素を有していることがはっきりとすれば診断可能です。
検査結果が出るまでには2日か3日間を要し、診断が下れば医師は保健所への届出を行ないます。

治療は便の検査結果を待たずに、コレラの疑いがあると暫定的に判断して開始されます。
血液・尿の検査を実施することにより、脱水の程度や腎臓の機能を確認する方法もあります。

コレラの治療

輸液

激しい下痢や嘔吐の症状により消失してしまった水分と電解質を補給します。
輸液は経口または点滴の形で行なわれています。

軽症の人は薄い糖分と塩分が含まれており、吸収のよいスポーツドリンクが選択されており、経口の補液で嘔吐してしまう人や重い脱水症状で経口補液が困難な人、下痢の症状が強く出ている人に対しては、静脈内への点滴による水分・電解質補給が選択されています。

抗菌薬

下痢の症状を早く解消するため、排菌を早く止めるため、抗菌薬を使った治療が行なわれています。
ニューキノロン系やテトラサイクリン系などの種類の薬剤が使用されています。

抗菌薬により早く下痢の症状や排菌が終わることは、感染拡大の抑制にも効果的です。

コレラの予防

流行している地域に行かない

コレラの感染の多くは開発途上国で起こっており、日本国内で感染してしまうことはまずありません。
したがって、一番いいのは海外の流行地域に行かないということです。

流行はしていなくても流行する恐れのある衛生環境のよくない国に行かないというのも、コレラの予防としては有効です。

手を洗う

菌は便中に排泄されるため、患者本人が手洗いを徹底して行なうことにより、まわりへの感染拡大回避に繋がります。

患者本人に対して排泄の介助をしなければいけない場合、介助する人が手洗いを徹底することが大切です。

なお、コレラ菌の感染者は無症状でも便中にコレラ菌が排泄されるため、感染の可能性がある人も手洗いを行なう必要があります。

流行地域で口にするものに気をつける。

生水の摂取は回避しましょう。
プールの水を飲用して感染した例があります。
汚染水で洗浄された食器、生野菜にも注意が必要です。

沸騰させた水、塩素処理された水のほか、未開封であることが完全にわかるボトル入りのものを使用するのが安全です。
また、氷にも警戒が必要です。

料理の装飾として氷のうえに盛り付けられた果物を摂取して感染した例がありますし、汚染水の氷で作ったアイスクリームにも気をつけなくてはいけません。
コレラはたとえ凍らせたとしても、殺すことはできません。

そのほか、コレラの病原体は水のなかを好む性質があります。
魚介類は病原体によって汚染されているリスクがあるため、摂取しないか十分に加熱が行なわれていることを確認したうえで摂りましょう。

また、しっかりと加熱調理がされているものでも、生の食品と接触した状態で置かれていないか注意する必要があります。
なお、貝類や甲殻類にも警戒しなければいけません。

こうした食品にはビブリオ属に分類されている別の細菌が付着していることがあるためです。

コレラワクチンを接種する

流行地域に行かないのがコレラを防ぐためには最善の方法ですが、やむを得ず行かなければいけない場合には、渡航前にコレラワクチンを接種しておくことが大切です。

コレラワクチンは輸入もので、日本での製造は行なわれておらず、厚生労働省の承認もありません。
接種を受けることが可能なのは、一部の医療機関(トラベルクリニックなど)のみです。

また、輸入ワクチンの使用により副反応が起こった人は、医薬品副作用被害者救済制度の対象外になる可能性があります。

国内のワクチン救済制度の対象外でもありますが、輸入業者の輸入ワクチン副作用救済制度の対象にはなります。
医療機関を選択する際には、輸入業者による救済制度を取り入れている業者から輸入を行なっているところが安心です。

コレラの輸入ワクチンには種類があり、主にコレラO-1を抗原として含有しているものと、O-1とO-139を含有しているものがあり、両方ともこれまで重篤な副反応が起こったという報告は存在しません。

起こり得る副反応としては、O-1が主な抗原のものは下痢、O-139も含有しているものは下痢、発熱、吐き気、嘔吐、腹痛などがあります。

接種の方法ですが、主な抗原がO-1のものは2回接種で2回目は初回の7~42日後になります。
O-139も含有しているものは2回で2回目は初回の14日後に接種する形になります。

抗体価がつくのはO-1が主な抗原のものは2回目の接種後7日、O-139も含有しているものは2回目の接種後7~10日が目安です。

O-1が主な抗原として含まれているワクチンは下痢の症状を約2年間にわたり防ぐ効果が望め、O-139も含有しているものはO-1とO-139への感染をおさえる効果が2年間にわたり持続することが確認されています。

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