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マラリアの原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/01/24 感染症, 寄生虫症


マラリアはマラリア原虫よ呼ばれる寄生虫の一種に感染されることで発症する、熱病のことです。
世界中の熱帯・亜熱帯地域に流行している病気で、こういった場所を訪れる日本人が感染することもあります。

この病気はどういった症状がみられ、どのような対処が有効なのでしょうか。

マラリアの症状

マラリアはマラリア原虫によってもたらされる感染症で、世界の100カ国以上で確認され、1年間に3~5億人の人が病気にかかり、150~270万人の人が死に至るとされています。

その大半はサハラ以南のアフリカでの小児ですが、東南・南アジア、オセアニア、中南米などでもたくさんの罹患者がいます。

マラリアは熱帯地域で流行していますが、以前はそれ以外のあたたかい地域にもみられ、近代以降も幾度も流行してきました。

日本でも古くからマラリアがあったことが資料などから明らかになっており、第二次大戦前には沖縄や九州はもちろん、東北や北陸の日本海沿岸で多数みられていました。

こういったいわば土着とも言われれるマラリアは、衛生環境の整備やインフラの普及などによって現在は消滅しています。

日本ではアフリカなどの流行地域を旅行で訪れた人が感染し、帰国後に発症することがほとんどです。

診断や治療が遅れることで死に至る人も多く、深刻な問題だと言われています。

感染の多くは蚊に刺されることで、感染の数週間後に戦慄や悪寒、発熱などの症状があらわれます。

発熱が起こると倦怠感や下痢、腹痛、嘔吐、悪心、筋肉痛、関節痛、頭痛などの症状がともないます。

高熱は数時間ほどつづきますが、たくさんの発汗とともに熱は下がります。

マラリアは原虫の種類によってその症状は異なります。

人間に感染するのは熱帯熱や三日熱、四日熱、卵形マラリア原虫の4つの種類です。

これらはどれもハマダラカによってもたらされ、蚊に刺されることで感染します。

熱帯熱マラリアを除けば経過はそれほど悪くありませんが、熱熱帯マラリアはアフリカからのマラリア輸入症例の大半を占めています。

悪性なのでアフリカを訪れた人で発熱がみられる場合は、熱帯熱マラリアの可能性が高いでしょう。

三日熱と卵形マラリアの場合は48時間ごとに、四日熱の場合は72時間ごとに熱発作が起こるのが一般的です。

しかし、高熱の出方などのパターンは発症段階ではあまり明確な違いはみられません。

熱帯熱の場合は熱の出方が一定せずパターンに分類されにくく、場合によっては発熱が長期間つづくこともあります。

熱帯熱は悪化すると命にかかわるので、できるだけ早く診断して治療を開始しなければいけません。

悪化すると播種性血管内凝固症候群や肺水腫、急性腎不全、脳性マラリア、血色素尿、低血糖、代謝性アシドーシス、重症貧血などの重篤な合併症状が起こることもあり、死亡のリスクが高まります。

また、熱帯熱マラリア以外のマラリアは潜伏期が非常に長く、なかなか気づかないこともあります。

抗マラリア薬を用いていると、特にその傾向は強まると言われています。

潜伏期が長期化すると帰国時にはまったく症状があらわれず、家に帰ってから発熱が確認されるということも珍しくありません。

マラリアの原因

マラリアは感染した雌の蚊が人間を刺すことで、拡大していきます。

それほど多くはありませんが、原虫が感染した母体から胎児へうつる、汚染された血液の輸血、マラリア患者が使用した注射針と接触することで感染する場合もあります。

マラリアの感染サイクルは、雌の蚊がマラリアに感染された人の血を吸うことで開始されます。

蚊は寄生虫の卵を含む血液を体内に入れ、マラリア原虫が蚊に取り込まれることで原虫は増えて蚊の唾液腺にうつります。

その状態で蚊が別の人間をさすと、唾液とともにマラリア原虫が刺された人間の体のなかに取り込まれます。

新たに感染した人間の体のなかで原虫は肝臓に移動して、赤血球に入り込みます。

原虫は赤血球のなかでますます増えて、いずれは感染した細胞をこわし、そこから出された原虫がさらに別の赤血球に入り込みます。

三日熱マラリア原虫と卵形マラリア原虫の場合は、肝臓内部で1度休眠状態となります。

そうすると育った原虫は一定期間ごとに血流に放出するため、症状が幾度も起こることがあります。

一般的な抗マラリア薬では休眠状態のマラリア原虫を取り除くことは不可能です。

熱帯熱マラリア原虫や四日熱マラリア原虫は、肝臓に定着することはありません。

しかし、育った四日熱マラリア原虫は、数ヶ月あるいは数年の期間で血液中に生息をつづけ、症状を引き起こすことがあります。

マラリアの診断

マラリアが流行する地域を訪れ、帰国後に発熱がみられる場合はマラリアの疑いが濃厚だと言えます。

特に一定のパターンで発熱症状が起こる場合は、マラリアの可能性は高いと言えるでしょう。

血液塗抹標本を色素で染色して、マラリア原虫に感染した赤血球を顕微鏡を用いて観察するのが、マラリアの一般的な検査となります。

顕微鏡をつかった判定はある程度の技術が必要となるので、スキルを持つ医師がいる医療機関で検査することが大切です。

マラリア原虫の抗原を検出することができるキットも開発されており、専門の研究・検査機関で調べることができます。

また、PCR法によって原虫のDNAを検出できる検査もあり、研究機関によってはそれを受けることが可能です。

診断の遅れ、あるいは誤診は致命的となるので、経験の乏しい医療機関で診察を受けるのではなく、できるだけ早く専門の研究所や大学、病院で診てもらうことが大切です。

マラリア原虫の種類によって、起こりうる合併症や病気の経過、治療法はちがいます。

そのため、検査ではマラリア原虫の種類も、念入りに調査されます。

マラリアのなかで熱帯熱は重篤化しやすく死に至ることもあるので、正確な診断によって区別することが大切となります。

マラリアの治療

マラリアの治療では亜熱帯マラリアと、そのほかのマラリアを区別して行われるのが一般的です。

熱帯熱マラリアは重い合併症が起こるリスクが高く、適切な診断や治療を早急に行う必要があります。

その場合は、入院して適切な全身管理が不可欠です。

熱帯熱以外のマラリアの場合はクロロキンという薬が用いられるのが一般的です。

クロロキンは比較的安全性が高く、小児や妊娠中の女性に用いることができます。

また、この薬は苦みをもち、下痢や吐き気、食欲減退、腹痛などの腸に関係する症状が起こる場合があります。

薬剤は1度にたくさん服用すると死亡することもあるので、小児が誤って口にしないようにきちんと保管しなければいけません。

クロロキンが手に入らない場合などは、スルファドキシン・ピリメタミン合剤(ファンシダール)、メフロキンなどが使用されます。

熱帯熱にもクロロキンやスルファドキシン・ピリメタミン合剤などが用いられていましたが、最近は薬への耐性をもつことも多いので、はじめから使用せずにメフロキン、もしくは経口キニーネとドキシサイクリンを併用することもあります。

それぞれの薬には禁止事項や副作用があるので、それをよく理解したうえで医師の指示のもと利用することが大切です。

薬を服用した場合、発熱は3日以内、感染赤血球は5日以内に改善されることが多いでしょう。

熱帯熱によって腎機能障害や意識障害など重篤な症状がみられる場合、日本国内では販売されていない薬剤を用いる必要がある場合もあります。

熱帯熱以外のマラリアはきちんと治療を行えば、経過は悪くありません。

薬剤耐性もほとんど報告されていないので、一般的な治療薬で改善されることがほとんどです。

三日熱や卵形マラリアの場合は、数ヶ月後に再び同じような症状があらわれることがあるので、注意が必要です。

再発の要因となる肝臓内の原虫を取り除くことを目的に、プリマキンと呼ばれる薬剤を用いる場合があります。

マラリアの予防

マラリアに有効なワクチンはまだ開発にいたっていないため、個人での予防が重要となります。

マラリアを媒介する蚊はアフリカには多く生息しており、自然豊かな場所だけでなく都市部にも多くみられます。

アジアや中南米でもマラリアを媒介する蚊はいますが、郊外の自然環境豊かな場所に限定されています。

そのため、都市部やリゾート地などは比較的安全だと言えるでしょう。

ハマダラカは日中はあまりみられず、夜間に血を吸うという特徴をもちます。

そのため、日が暮れたあとは外出を控えて、室内で過ごすようにすれば予防することができます。

室内に蚊が入り込むことはあるので、殺虫剤や蚊取り線香などを用いて防ぐことも重要です。

野外での蚊対策としては、肌を露出しないことと虫除けスプレーを用いることがポイントとなります。

外に行くときは長ズボンや長袖を身につけるようにしましょう。

マラリア感染の危険性が高い地域に赴く際には、薬剤をあらかじめ服用することも効果的だと言われています。

日本で認可されている薬としてはメフロキンがあり、1週間に1錠を服用します。

服用するのは感染する可能性のある期間の1週間~4週間前までの期間です。

副作用としては、頭痛や不眠、気分の落ち込み、胃痛、吐き気、平衡感覚障害、めまいなどがあり、一定割合であらわれます。

ドキシサイクリンも海外ではマラリア予防薬として用いられますが、日本では認可されていません。

この薬は1日1錠を感染する危険性が高い期間の1~2日前から4週間後まで毎日飲むことになります。

副作用としてカンジダ膣炎や吐き気、下痢症、光線過敏症などが起こることがあるので、注意が必要です。

いずれの薬剤も妊婦には危険性が高いため服用は避ける必要があり、小児の場合は必要最低限に抑えられます。

マラリア予防薬は医師によって処方されるので、その際に副作用のリスクや薬の用法などをくわしく聞いておくことが大切です。

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