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エキノコックス症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/02/01 感染症, 寄生虫症


エキノコックス症は主に北海道でみられる感染症で、エキノコックスという寄生虫によってもたらされます。

エキノコックス症はどういった経路で感染し、どのような症状がみられるのでしょうか。

エキノコックス症の症状

エキノコックス症は条虫の幼虫が寄生して発症する病気で、日本国内では多包条虫によって起こる多包性エキノコックス症が確認されています。

エキノコックス症はもともと世界の北半球に多くみられ、1964年より前は北海道の礼文島のみで確認されていました。

1965年には北海道の根室市で発症者がいることが判明し、その後の調査によって、北海道の東の10市町村でエキノコックスが分布していることが明らかになったのです。

また、1983年以降は北海道のさまざまな地域で存在が確認され、近年では北海道全域にエキノコックスは広がっています。

北海道では1年に数十人ほど感染者が報告されています。

エキノコックスは犬やキタキツネなどに寄生しますが、犬の場合はほとんどは感染しても症状があらわれることはありません。

しかし、犬によっては一般的な固形便だけでなく、粘液の塊を排便することがあります。

それほど多くはありませんが、下痢がみられることもあります。

包虫は少しずつ増えていくため、人間の場合は感染に至っても数年から数十年は症状があらわれることはありません。

子どもは大人と比べて、早い段階で自覚症状があらわれると言われています。

包虫が増えるとスポンジ状の大きな病巣をつくります。

肝臓に寄生されると、肝臓が腫れてしまって上腹部に痛みが伴うようになります。

さらに、黄疸症状が確認されることもあります。

肝臓にエキノコックスが寄生すると、がんに近い形で増えていきます。

包虫は肺や脳に転移する場合があり、脳に転移したケースでは神経症状が確認されています。

転移してからは少しずつ臓器をむしばみ、重症化していきます。

なんらかの症状を自覚してから治療をせずにいると、10年でほとんどの人が死に至ると言われています。

しかし、早めに診断を確定して治療をスタートすれば、完治することはむずかしくありません。

エキノコックス症の原因

エキノコックス症はエキノコックスという条虫に寄生されることで発症します。

成虫はとても小さく、犬やキツネの腸に寄生します。

寄生した成虫は腸で産卵して、その卵はフントともに排泄されます。

野生の野ねずみなどが木の芽と一緒にこの卵を摂取すると、野ねずみの体内で卵がかえって幼虫となって、肝臓に寄生します。

この幼虫が寄生する野ねずみをキツネが捕食すると、キツネの腸内で幼虫が成虫へと成長します。

エキノコックスはキツネと野ねずみの間の感染するのが通常でで、本来は人間には影響を及ぼしません。

しかし、飼い犬がキツネと同じように感染した野ねずみを補食することで、エキノコックスの成虫は犬に寄生します。

そのため、飼い犬を介して人間が感染してしまうことがあるのです。

犬が野ねずみを補食する機会は、飼い方によってさまざまです。

完全室内飼いの場合は野ねずみと接触することはありませんが、散歩のときなどに野原や山林で犬を放すことで野ねずみを補食してしまうことがあります。

こういった行為は非常に危険で、野ねずみを補食しエキノコックスに感染するリスクが高まります。

野ねずみを捕食できないように口輪を用いることは効果的ですが、まだまだ十分に普及していないというのが現状です。

また、人間もエキノコックスの卵によって汚染された沢水や山菜を摂取してしまうことがあります。

卵がついた手指によって感染し、野ねずみと同じようにエキノコックスの幼虫が肝臓に寄生してしまうのです。

ただし、人間から人間、あるいは野ねずみから人間に感染することはありません。

エキノコックス症の診断

エキノコックス症でみられる症状が確認された場合、CTや超音波などで患部を観察します。

病巣部が発見された場合、もしくは免疫血清学検査によって陽性がでた場合はエキノコックス症と診断されます。

症状がみられない状態で免疫血清学的検査で陽性がでた場合は、長期的に体調を観察していくことになります。

エキノコックスが人間の体に入り込むと、人間の体にはエキノコックスを撃退するための抗体という物質が生成されます。

抗体は血液のなかに含まれ、その有無を確認するのが、免疫血清学的検査です。

血液を検査してエキノコックスの抗体が発見されれば、エキノコックス症にかかっている可能性が高まります。

免疫血清学検査のひとつでよく行われるのが、エライザ法です。

エライザ法は非常に簡単で費用もそれほどかからず、たくさんの試料を同時に検査できます。

そのため、はじめに行われる検査として、よく用いられます。

検査ではエキノコックス抗原に被験者の血清を反応させて行い、酵素反応をつかってあらわれる色調から判断します。

ウェスタン・ブロット(WB)法も免疫血清学検査の一種です。

この方法はエライザ法よりも困難で高い費用がかかりますが、特異性や感度に優れているので2次健診として行われるのが一般的です。

検査では電気泳動でたくさんの抗原成分に分類し、さらに短冊状の紙に転写させたエキノコックス抗原に被験者の血清を反応させて、その状態を確認します。

診断は酵素反応をつかってつくられる特定の有色バンドがあらわれるかどうかで行われます。

また、どこに済んでいるか、犬やキツネと接触する機会はあったかといった情報は、診断を確定させるうえで非常に重要な要素となります。

より確かな診断としては、手術によって包虫を検出することがあります。

生検は病巣の腹腔内もしくは穿刺創への播種・定着するので、ほかの肝腫瘍性病変との区別で不可欠な場合以外は行うことはありません。

エキノコックス症は肝臓病のひとつに分類されますが、通常の肝臓検査で病気を発見することは困難です。

そのため、画像検査と免疫血清学的検査のどちらか、あるいは両方が行われるのが一般的です。

エキノコックスの感染者が多い北海道では、患者の早期発見や早期治療のため、エキノコックス症の健康診断が定期的に行われています。

地域単位では住民健診が、専門医療機関では治療が系統的に行われています。

はじめにそれぞれの市町村が第一回の健診が行われ、希望者の血清検査が執り行われます。

この健診によって陽性もしくは擬陽性という結果だった人、そして健康診断以外での血清検査が陽性あるいは擬陽性だった人は二次検査が行われます。

二次検査では超音波検査や免疫血清学的検査が行われ、一定期間経過を観察します。

それで異常がない場合でも、その後年以上検査をしていない人は再び一次健診を受けることになります。

エキノコックス症への感染の疑いが強い人に対しては、医療機関ですみやかに精密検査が行われます。

家族にも感染している可能性もあるので、その調査が行われることもあります。

エキノコックス症の治療

包条虫への対策としてはアルベンダゾール400mgが有効とされ、1日2回の服用で1~6ヶ月間継続します。

この方法は30~40%の患者が治癒に至ることがわかっており、手術がむずかしい状態にある場合は増殖を抑えるために行います。

手術を行う場合は、腹腔鏡下で実施します。

嚢胞内容物の漏出が確認された場合は、ほかの臓器への転移を防ぐことを目的に、手術前にアルベンダゾールの投与を行うこともあります。

医療機関によってはCTで確認すながら経皮的吸引を行い、高張食塩水などの殺頭節薬注入と再吸引を実施します。

幼虫を全部取り除かないと、エキノコックス症の完治は困難です。

そのため、手術を行うことが望ましいですが、病変のサイズや位置によってはむずかしい場合があります。

その場合はアルベンダゾールが服用されますが、それによって病変の増殖を抑えます。

患者によっては肝機能移植が必要な場合もあります。

エキノコックス症の予防

エキノコックス症を完治させるには、外科的切除が必要となります。

早期に診断され治療をスタートした場合は完治もむずかしくないですが、悪化していると手術ができないこともあります。

そのため、予防を重視して、日頃から気をつけることが大切となります。

キツネのなかには、エキノコックスが寄生しているものもおり、その数は少なくないとされています。

そのため、不用意には近づかず、一定の距離を保つことがエキノコックス症の予防として重要です。

直接手でキツネに触れること、あるいは餌付けなどをして近くに置くことはとても危険です。

また、生ゴミなどを放置していると、それを食べるようになり、キツネを呼び寄せる原因となってしまいます。

生ゴミはしっかり管理して、処分することが大切です。

犬もキツネと同様に、エキノコックスの親虫が寄生する場合があります。

犬にエキノコックスが寄生するのは、エキノコックスの幼虫に寄生されたネズミを補食したときのみです。

飼い犬がエキノコックスに寄生した場合、人間との接触機会はぐっと増えるため、より危険性は高まります。

犬がネズミを補食しないように、放し飼いは避けてリードをつけた状態で散歩させるようにしましょう。

エキノコックス症で重要視すべきなのが、卵が人間の口に入り込まないようにすることです。

もしも飲み水にエキノコックスの卵が入り込むと、感染リスクは高まります。

水道水などきちんと管理された水は問題ありませんが、井戸水などを利用する場合は犬やキツネの糞が混入しないように管理を徹底する必要があります。

沢水は沸騰させて飲むようにすれば問題ないでしょう。

沢水を主な飲料水として用いている地域では、エキノコックス虫卵除去装置を用います。

外出したときに手などに卵がつくこともあるので、帰ってきたら手洗いを徹底することも大切な予防だと言えます。

手洗いはほかの感染症への予防にも有効なので、しっかり行いましょう。

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