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旋尾線虫症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/02/03 感染症, 寄生虫症


旋尾線虫症は一般的にはあまり知られていませんが、旋尾線虫という寄生虫が原因の感染症です。
身近な海産物にも寄生していることがあるので、実は危険な感染症でもあります。

ここではその特徴などを紹介します。

旋尾線虫症の症状

旋尾線虫に感染すると1~3日ほどで腹部皮膚にみみずばれが生じます。

さらに腹痛や嘔吐といった症状がみられ、悪化すると腸閉塞などが起こることもあります。

腸閉塞は入院して一定期間絶食することで改善されることがほとんどですが、状態が悪いと手術が必要になることもあります。

かゆみや発赤をともなう水疱が生じるといった皮膚症状が起こることもあり、それは感染からおよそ2週間後に確認されることがほとんどです。

感染しても症状があらわれないことは多く、発症しても軽度なもので済むことも少なくありません。

兆候として、下痢や腹部けいれん、悪心などが生じることもあり、つづいて全身症状があらわれるのが一般的な流れです。

全身症状としては顔面あるいは眼窩周囲の浮腫、結膜下出血、点状出血、頭痛、持続性発熱、筋肉痛などが挙げられます。

目の痛みや羞明のあとに、筋肉痛が起こることもあります。

筋肉に起きる症状の多くは、多発性筋炎に似ています。

嚥下の筋肉の疼痛、呼吸、発声、咀嚼が起こることもあり、悪化すると呼吸困難が起こる場合もあります。

発熱は弛張熱であることが多く、39℃以上の高熱が数日間継続し、それから少しずつ下がります。

好酸球増加も起こりますが、これは通常新生幼虫が組織に入り込んで開始され、感染後2~4週間でピークに達したあとに幼虫の被嚢によって少しずつ減っていきます。

悪化するとさまざまな臓器で合併症状が起こることもあり、心筋炎や脳炎が生じると死に至ることもあります。

症状は少しずつよくなり、幼虫が筋肉細胞の内側で被嚢し、ほかの臓器や組織から取り除かれるまで3ヶ月程度でなくなります。

しかし、疲労感や筋肉痛はしばらく残ることもあります。

旋尾線虫が最初に確認されたのは1969年のことで、腸閉塞の患者から発見されたと記録されています。

その後少しずつこの寄生虫による症例報告数が増えてきましたが、1995年にはほとんど確認されていません。

しかし、その後再び患者が確認されるようになり、いくつかの症例が報告されています。

旋尾線虫症の原因

旋尾線虫症の原因は旋尾線虫X型幼虫と呼ばれる寄生虫で、主な感染源は生のホタルイカです。

ホタルイカのおよそ2~7%に寄生されているという説もあります。

ホタルイカは踊り食いとして生で食されることもあるため、その際に感染に至ると考えられます。

生のホタルイカは酒のつまみとして食べられることが大半なので、特に中年男性の感染が多いと言われています。

その一方で女性や小児への感染は、あまりみられません。

ホタルイカがよくとれる時期は、特に旋尾線虫症の発生件数は上昇します。

ほかにも、アンコウやスケソウダラ、ハタハタ、スルメイカの内臓にもみられることがわかっています。

長い間、旋尾線虫X型幼虫の終宿主は不明とされてきましたが、最近になってツチクジラであることがわかりました。

成虫はツチクジラの腎臓にひそんで卵を産み、その卵はツチクジラの尿などと一緒に海に放たれます。

ツチクジラは日本海と北太平洋に多くみられるため、そこでとれる海産物には注意が必要です。

また、最近は輸送の発達により、冷凍せずに生のまま遠くまで運ぶことができるようになりました。

その結果、内臓がついたままの魚や生のホタルイカなどを食べる機会が増え、旋尾線虫症を発症する人は増えていると言われています。

内臓を取り除いても、胴体に残ることがあるので、それによって感染に至ることもあります。

旋尾線虫X型幼虫は体長5~10mm、体幅0.1mmとまるで糸のようで、とても小さいため肉眼では見ることはできません。

幼虫は組織内に入り込む性質をもち、奥に入り込まれることで炎症が引き起こされます。

旋尾線虫X型幼虫は人間を終宿主とすることができないため、人間の体に入り込んでも成虫まで成長することはできません。

そのため、幼虫の状態で体内を移動して、さまざまな症状を生じさせるようになります。

旋尾線虫症の診断

正確に診断をくだすうえで重要視されるのが、3~8月にホタルイカを内臓ごと食べたかどうかという点です。

皮膚症状がみられる場合は、皮膚組織の採取と組織学的検索による虫体断端を見いだすことが必要で、その特徴から病原幼虫を同定することができます。

さらに、急性腹症がみられる場合は、アニサキス症などとはちがって虫体がきわめて小さいため、内視鏡などを用いて確認や摘出はむずかしいと言えます。

腸閉塞の可能性があって手術が必要となった場合は、皮膚症状があらわれる場合と同じように組織学的検索によって虫体断端を確認して、形態的特徴から病原幼虫を同定することになります。

しかし、腸閉塞のような症状がみられ、さらに対症療法によって症状が改善されるものについては診断はむずかしくなります。

旋尾線虫typeX幼虫を抗原とする免疫血清学的診断が行われることもあります。

検査結果は偽陰性となることもあり、特に感染後2~3週間以内に感染した場合は偽陰性となりやすいと言われています。

その場合は、1ヶ月後に再び検査を実施する必要があります。

抗体は数年間つづくこともあるので、はじめての検査で陰性であっても、その後陽性となるのなら、複数回検査を行う意味はあります。

旋尾線虫症の治療

旋尾線虫症の治療では駆虫薬であるメベンダゾールを用いるのが一般的です。

200~400mgを経口で1日3回、3日間服用し、その後400?500mgを1日3回、10日間服用します。

もしくはアルベンダゾール400mgを1日2回、8?14日間服用する場合もあります。

これらの薬によって消化管から成虫は取り除くことができますが、被嚢幼虫にはあまり効果がないと言われています。

筋肉痛がある場合は、鎮痛薬であるNSAIDあるいはオピオイドが処方されることもあります。

アレルギー症状が激しい、もしくは心筋や中枢神経系症状に対してはプレドニゾン20?60mgを経口で1日1回、3?4日間用いることになります。

それから、10~14日にわたって少しずつ量を減らしていくのが一般的です。

炎症反応が激しい場合はステロイドを利用することもありますが、痛みがそれほど強くないようなら通常は2ヶ月以内に自然におさまります。

皮疹の先端を切り開くと幼虫が確認されるので、それを摘出することもあります。

腸閉塞がみられる場合は、幼虫を取り除く必要がありますが、幼虫はとても小さいので内視鏡による手術は困難です。

そのため、腸を切除する手術が行われる場合もあります。

旋尾線虫症の予防

ホタルイカが主な感染源なので、内臓を生で食べることは避けるべきです。

旋尾線虫症の原因である旋尾線虫X型幼虫はホタルイカの内臓に生息しているとされています。

そのため、内臓をしっかり取り除くことで、旋尾線虫症の多くは予防できると言われています。

しかし、内臓を取り除いたあとも幼虫が確認されることはあるので、加熱処理や冷凍処理をすることになります。

釜ゆでの状態で売られているホタルイカに関しては、旋尾線虫X型幼虫の多くは死滅しているので心配いりません。

冷凍の場合はマイナス30℃以下で4日間冷凍するか、100℃で30秒冷凍することでリスクはなくなります。

こういったことは厚生労働省などから周知されていますが、義務化されているわけではありません。

そのため、旋尾線虫症は減少せずに、症例は増えているとも言われています。

ホタルイカの踊り食いは避けて、内臓つきで冷凍処理をしていないものには特に気をつける必要があります。

酢や塩などの調理による処理では旋尾線虫X型幼虫は死滅しないため、正しい方法で処理することが大切です。

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