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ジアルジア症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/02/05 感染症, 寄生虫症


ジアルジア症は発展途上国を中心に、世界的に確認されている感染症です。

海外渡航者の帰国時に日本国内に持ち込まれるケースもあり、問題となっています。
ここではその特徴などをみていきます。

ジアルジア症の症状

ジアルジア症はランブル鞭毛虫と呼ばれる寄生虫の嚢子によって感染する、小腸の病気です。

発展途上国での発症者が多く、全世界で2億人ほどの感染者、150万人ほどの患者がいると言われています。

日本国内の年間届出数はおよそ100人、その半数以上が海外渡航時に感染に至ったと考えられています。

インドやタイなど感染地域を訪れた際の感染が多く、国内では小児の発生は報告されておらず、食中毒として発生することはごくまれです。

感染してしまっても症状があらわれず、そのまま時間が過ぎることもあります。

一過性の水溶性下痢がみられることもありますが、それだけで自然完治することも珍しくありません。

悪化すると慢性の水溶性・非血性の下痢から消化吸収不良が発生して、胆管炎や胆嚢炎が引き起こされることもあります。

しかし、日本国内ではなんらかの基礎疾患や免疫力の弱い高齢者や小児以外は、重症化することはめったにありません。

一般的な発症までの流れとしては、感染後1~2週間後に水溶性で悪臭をともなう下痢、げっぷ、ガスの貯留、腹部疝痛などの症状があらわれます。

継続的ではありませんが、吐き気がともなうこともあります。

はっきりしない不快感、疲労感なども感じるようになり、食欲も減退します。

治療しない場合は、数週間にわたって下痢がつづくこともあり、場合によってはより長期化することもあるようです。

下痢がつづくと食事によって栄養を十分吸収することがむずかしくなるため、体重が大きく減少します。

場合によってはジアルジア症が慢性化することで小児の成長が阻害されることもあり、注意が必要です。

下痢の状態はいろいろで、非血性や水様、泥状便などがみられます。

排便回数も状態によって異なり、1日20回以上排便する場合もあれば、1日数回程度の場合もあります。

下痢による腹痛は起こる場合と、起こらない場合がありますが、発熱はほとんどみられることはありません。

分泌型IgA低下症や低ガンマグロブリン血症を患う人が感染した場合、症状は激化しやすくなおすのは困難です。

一時的に状態が改善したとしても、再発する危険性が高いと言われています。

ジアルジア症の症状の原因

ジアルジア症はランブル鞭毛虫の嚢子によって汚染された飲食物を介して感染します。

ジアルジア症は世界のあらゆる地域で確認されており、アメリカでは寄生虫による腸管感染症のなかで特に多くみられる症状だと言われています。

原因となるランブル鞭毛虫は河川や湖などの淡水に生息する寄生虫で、見た目は衛生的に見えるところにも確認されています。

市中の浄水施設の濾過システムに問題がある場合、感染が拡大するリスクが高まります。

その多くは汚染された飲料水を介しての感染ですが、小児同士あるいは性交相手から、便に含まれるシストによって人間に感染する場合があります。

性交の場合、肛門性交あるいは口腔性交をしている人は特に感染の危険性があります。

開発途上国など、衛生状態に問題がある地域へ渡航した人の感染も少なくありません。

ハイカーやバックパッカーなどは湖や小川の水を飲み水として利用するため、感染リスクは高まります。

野生動物もこのランブル鞭毛虫に寄生されているケースが多いので、注意が必要です。

ジアルジア症は数十年にわたって日本国内では確認されず、あまり注目されてきませんでした。

ところが、免疫に問題がある人への感染、あるいは水による集団感染などの事例から、最近では再び注意喚起が行われています。

ジアルジア症の診断

患者の糞便を採取したうえで、顕微鏡で確認し、ランブル鞭毛虫が確認されたら確定診断がなされます。

原因が明らかになっていない下痢症、脂肪便、もしくはそのほかの腹部症状をくわしく調べるために十二指腸液や胆汁を採取してランブル鞭毛虫の有無が確認されることもあります。

糞便に含まれる見られる原虫の形態は、水様便の場合は栄養型、泥状便や有形便の場合はシストを検出することが多いとされています。

検査の方法は一般的な検便、あるいは遠心沈殿法によって得られた沈渣をヨード・ヨードカリ染色処理することで、その有無を確かめられます。

日本国内ではあまり用いられることはありませんが、海外では診断用の蛍光抗体試薬が利用されることもあります。

栄養体を検出する際には、稀釈液に生理食塩水が利用されるのが一般的です。

ランブル鞭毛虫は糞便で確認されるのが一般的ですが、小腸から採取された分泌物、もしくは便サンプルを顕微鏡で観察することで確認する場合もあります。

しかし、長期間にわたって感染している場合、便にランブル鞭毛虫が常に確認されるわけではありません。

そのため、何度も検査を実施する必要があります。

ジアルジア症の治療

感染が確認された場合、ニタゾキサニドやチニダゾール、メトロニダゾールなどを服用します。

症状があらわれていない感染者に対する治療も感染をこれ以上拡大されないために必要ですが、それには多大な費用がかかるので現実的とは言えないでしょう。

チニダゾールは1度の投与でも効果が見込めますが、メトロニダゾールは数回の投与が必要だと言われています。

その分、副作用が起こりやすいため、注意が必要です。

チニダゾールやメトロニダゾールを服用してしばらくは飲酒を控える必要があります。

飲酒すると頭痛や吐き気、嘔吐、潮紅などの副作用が起こることがあります。

また、発がん性のリスクも懸念されています。

ゾキサニドは小児の服用に適した液剤、錠剤の2種類があり、いずれも副作用は弱めです。

妊娠中の女性はメトロニダゾールやチニダゾールを服用することはできません。

妊娠中のニタゾキサニドの安全性についてはまだ調査が不十分なので、避けたほうがいいでしょう。

できれば、妊娠期間が終了するまで妊婦への治療は控えるべきだと言われています。

症状が重症化して一刻も早く治療を開始したほうが望ましい場合は、パロモマイシンが用いられます。

ジアルジア症の予防

ジアルジア症は汚染された水を介して感染することがありますが、水の煮沸によってランブル鞭毛虫は死滅します。

海外などでやむを得ず小川や湖の水を飲む場合は、必ず煮沸してから飲むようにしましょう。

プールや井戸、貯水槽の水はヨウ素や塩素によって殺菌します。

しかし、水の汚染度や水温などの環境はもちろん、殺菌処理をどの程度の間隔で行われているかによって、どの程度殺菌されるかはちがってきます。

そのため、確実な方法とは言えません。

日常的に飲料水に用いられる塩素量は、ランブル鞭毛虫を死滅させるのに十分とは言えません。

携帯型の濾過装置を用いて水から除去することは可能ですが、濾過装置にはいろいろな種類があり、すべてが有効とは限らないと言えるでしょう。

予防接種や予防薬はないため、安全性が確認されていない生水を飲まないなど個人レベルの予防が大切となります。

プールで遊んだり泳いだりするときには、できるだけ水が口に入らないように気をつけましょう。

動物を介して感染することもあるので、動物と接触したあとは手を中心に体を洗浄します。

特に食事をする前には、念入りに手洗いをするようにしましょう。

性行為をする場合は、大便が口に接触しないように注意します。

世界のあらゆる場所でジアルジア症は確認されていますが、特に熱帯~亜熱帯の農村部は多くみられます。

そういった場所で長期間過ごす場合、あるいは未開地で頻繁に食事をしたり水泳をしたりする場合は気をつけたほうがいいでしょう。

海外へ渡航したあとにジアルジア症が疑われるような症状が確認された場合、放置するのは危険です。

早めに医療機関を訪れて、診察してもらうようにしましょう。

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