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アニサキス症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/01/30 感染症, 寄生虫症


アニサキス症はイヌ糸状虫症やイヌ回虫症、顎口虫症などと同じ幼虫移行症に分類される病気です。

非常につらい症状の病気として知られていますが、これは具体的にどういった病気で、どのような症状が見られるのでしょうか。

アニサキス症の症状

鮮度の高い海産魚類を口にしてから3~4時間後に、症状はあらわれます。

主な症状は突如としてあらわれる吐き気や嘔吐、強い腹痛などです。

吐瀉物は胃液が大半で、下痢症状が見られることはそれほど多くありません。

腹痛と嘔吐は非常に激しく、患者は耐えられないことがほとんどなので、正確な診断がくだされる前に治療をスタートすることも珍しくありません。

症状がいつあらわれるかは人によって多少異なり、人によっては半日以上、あるいは1週間後に発症することもあります。

1週間後に腹痛などの症状があらわれる場合、胃ではなく腸に原因があると考えられます。

人によってはじんましんのような発疹やかゆみを生じることもあり、これはアニサキスに対するアレルギー反応だと言われています。

サバアレルギーをもつ人をくわしく調べると、原因はサバではなくアニサキスにあるということもしばしばあります。

アニサキス症はアニサキスという幼虫が胃の内部に入り込むことで起こり、これを除去しない限り、症状は継続します。

しかし、このアニサキスはずっと胃のなかにいることはできないため、ある程度時間が経過すると排出されることがほとんどです。

寄生虫症はいくつか種類がありますが、日本で特に多く発祥しているのがアニサキス症です。

日本では古くから魚介類を生で食べる食習慣があったため、アニサキス症も古くから存在していたと推定できます。

しかし、原因となる虫の種類がはっきりわかったのは、1960年代でした。

昔は診断の方法が確立されておらず、あまりに激しい腹部症状から手術によって患部を切除するというのが一般的でした。

そして病理学的にはじめてアニサキス症だと証明された事例が大半だったのです。

しかし、1970年代には内視鏡検査が広く浸透したため、生検用鉗子での虫体摘出ができるようになりました。

その結果、想定よりも多くの発症者がいることがわかったのです。

こういった確実性が高い診断方法が確立されるとともに、生鮮食料品の輸送体系が近代化されたことで、アニサキス症の発症は広範囲に見られるようになりました。

アニサキス症の原因

アニサキスはイルカやクジラなどの海洋ほ乳類の胃に寄生して成虫となる寄生虫です。

成虫となったアニサキスは、スルメイカやサバといった魚介類に寄生します。

これらは寄生されることが多い魚ですが、ほかにもサンマやイワシ、ニシン、サケなどにも寄生します。

最近はアイナメやメジマグロ、キンメダイ、サゴシ、サワラ、ホッケなどの魚にも寄生することがわかっています。

アニサキスはいわゆる天然物の魚に寄生しますが、養殖魚に寄生することはあまりありません。

しかし、アニサキスが寄生した魚を餌として与えていた場合は、寄生に至ることもあり、絶対に寄生されていないとは言い切れません。

アニサキスは卵を産み宿主であるクジラなどの糞と一緒に海に放出されます。

卵からふ化したアニサキスは、時間が経つとオキアミというプランクトンに食され、体のなかで第3期幼虫に変化します。

オキアミを捕食した魚介類はもちろん、アニサキスが寄生した魚を食べた魚介類にまで感染は拡大します。

そのため、アニサキスに寄生されている魚は多種多様だと言われています。

アニサキスが寄生した魚介類を生、もしくは生に近いまま口にすると、アニサキスは人間の胃や腸壁に入り込んで胃腸炎を引き起こします。

胃の内部に入り込んだアニサキスは胃酸から自分を保護しようと、胃粘膜内にもぐろうとします。

このときに突然の腹痛が起こり、さらに体で起きたアレルギー反応によって痛みが生じるケースもあります。

サバにあたって吐き気がひどいということは昔からよくありますが、その直接的原因は魚に潜むアニサキスだと考えられています。

アニサキス症の診断

胃にアニサキスが入り込んで起こるアニサキス症の場合は、内視鏡を用いて虫の有無を確認して取り出すことが可能です。

検出された虫の状態と遺伝子配列によって、確定診断は可能です。

しかし、腸に入り込んでしまうと見つけるのはむずかしく、X線や超音波検査などで小腸を観察することになります。

割合としてはごくわずかですが、寄生虫が胸腔や腹腔、ほかの臓器などに侵入することがあります。

そうするとイヌ回虫症に近い症状があらわれます。

このケースでは抗体検査が有効だと言われています。

症状によってアニサキス症が疑われる場合は、問診によって食べたものが確認されます。

特に症状がなく、健康診断などで行った内視鏡検査によって胃粘膜に入り込んだ虫が確認される無症状例もあり、これは緩和型胃アニサキス症と呼ばれます。

アニサキス症の治療

胃にアニサキスが入り込んでいる場合は、内視鏡を用いて虫を除去した途端に激しい痛みは消失します。

ただし、アニサキスは人間の体のなかでは1週間ほどしか生存できないため、虫を取り出さなくても対症療法だけでも完治します。

虫が腸管から外に出て症状があらわれている場合は、駆虫薬を用いて治療します。

また、状態によっては外科的処置が行われることもあります。

幼虫に対する有効な駆虫薬はまだ開発されていないのが現状です。

アニサキス症の予防

アニサキスは魚介類の筋肉よりも内臓に寄生していることが多いと言われています。

ある実験では常温で魚介類を放っておくと、アニサキスは筋肉に移動するということが明らかになりました。

そのため、魚を生の状態で食べる場合は、新鮮なものを選んで、できるだけ早く内臓を取り除くことが大切な予防となります。

保存する場合は、4℃以下の場所が最適です。

感染をより確実に防ぐためには、海産魚介類の生食を避けて、加熱したあとに食すことが望ましいでしょう。

加熱する場合は60℃で1分以上行う必要があります。

また、冷凍処理をほどこすとアニサキス幼虫は感染性がなくなるので、魚を1度冷凍して解凍後に生食するのもいい方法です。

お酢でしめると感染しにくくなるという説がありましたが、料理で使用する程度のお酢では死滅することはありません。

しめさばを食べてアニサキス症を発症するという人も多いので、注意が必要です。

同じように、一般的なわさびや醤油などの調味料もアニサキスに影響が与えることはできません。

オランダではニシンの酢漬けが食べられますが、調理前に1度冷凍させることが義務づけられており、それによってアニサキス症の発生を抑制しています。

ほかにも、アメリカやヨーロッパでも冷凍処理が推奨されています。

販売店や飲食店でアニサキスが寄生する恐れがある魚を用いる場合は、加熱調理や中心部までの完全な冷凍処理が推奨されています。

また、家庭と同様にできるだけ早い段階で内臓を取り除くこと、低温で保存することが大切となります。

料理を出すとき、調理をしているときは魚をきちんと確認しておくことも、大切な予防方法です。

2012年に食品衛生法施行規則の部分的な改正によって、アニサキスは食中毒の原因物質に分類されました。

その前の規則の一部改正によって、アニサキスは食中毒の原因物質として食中毒事件票に記されていました。

しかし、食中毒を起こした人を正確に把握するため、新たな改正が実施されたのです。

現在は厚生労働省の食中毒事件一覧速報によって、アニサキスが原因の食中毒の発生状況は確認することができるようになっています。

アニサキスによる食中毒の疑いがある患者を診察した医師は、24時間以内に近くの保健所に届け出を行うことが義務づけられています。

医師以外の報告、あるいは苦情などは食中毒の可能性があるということで、保健所が受け付けています。

動物を介して人間に感染する感染症はいくつかありますが、そのひとつがアライグマから感染する病気です。

ここではその詳細について、紹介します。

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