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アライグマ回虫による幼虫移行症の原因・症状・感染経路・治療・予防・検査など

公開日: : 最終更新日:2016/01/26 感染症, 寄生虫症


アライグマ回虫による幼虫移行症でどの程度症状があらわれるかは、取り入れられた虫卵の数と幼虫がどこに移行したかによって異なります。

神経に移行した場合、好酸球性髄膜脳炎が発症します。

これは死に至るような症状で、命が助かったとしても発育障害や神経系の後遺症が残ることがあり、非常に危険です。

眼に移行した場合は一側性の網膜炎として、起こります。

視力障害がそのまま残り、失明する場合もあります。

アライグマ回虫による幼虫移行症は、犬や猫の回虫と比較して症状が重篤なことがほとんどです。

その理由のひとつが、回虫の成長速度や大きさだと言われています。

犬や猫回虫は0.5mm以下ですが、アライグマ回虫は2.0mmほどまで短時間で育ちます。

それから体内を移動して、中枢神経系を中心に大きなダメージを与えます。

とある実験では、マウスを用いてその経過を観察しています。

マウスに虫卵を投与したところ、感染後1週間で分泌物がにじみ出して眼をあけるのが困難となり、特定の方向に円を描くようにまわりつづける旋回運動がみられます。

さらに首を傾ける斜頚や体を転がせる横転、けいれん、失禁などの神経症状があらわれることが確認されました。

感染後10日には死に至るマウスも確認され、脳には虫体がみられました。

その体調は1.2mmほどになり、それは感染幼虫の4倍以上ということになります。

アライグマ回虫による幼虫移行症の原因

アライグマは小型のほ乳類で、もともとは南北米の温帯から熱帯の地域に生息しており、日本には存在していませんでした。

しかし、テレビなどで取り上げられる機会が増え、ペットとして日本に多く輸入されるようになったのです。

そして捨てられたものや逃げ出したものの一部が、日本のさまざまな地域に住み着き、その数を増やしていきました。

最近は生息域も拡大していると言われています。

アライグマはすばっしこいうえに日本に天敵がいないため、その数は増え続けています。

雑食性でくだものなどの農作物はもちろん、ネズミなどの小型のほ乳類や魚、ヘビ、蛙、人が出したゴミなどを食べて育ちます。

こういった野生のアライグマは本来の生態系に悪影響を及ぼすだけでなく、農作物被害や家屋への侵入、そして回虫による健康被害などいろいろな問題を発生させています。

アライグマ回虫は北米に生息するアライグマの多くに確認される寄生虫で、成虫は小腸に定着します。

アライグマ回虫のライフサイクルでは、雌の成虫が産んだたくさんの卵は糞便とともに排出されます。

そしておよそ2~3週間をかけて感染力を保持する幼虫包蔵卵まで育ちます。

この感染幼虫包蔵卵をアライグマではなく、鳥類やウサギ、ネズミ、人間が口から取り入れると、幼虫が短期間で大きくなりつつ体内を移動します。

それにともなってさまざまな症状は起こり、特に中枢神経系は大きなダメージを受けます。

人間への感染は日本国内では現時点でみられません。

しかし、アメリカでは1981年に最初の患者が確認されて以来、アライグマ回虫による重症脳障害患者が何件か確認されています。

そのなかには死亡者もおり、日本国内でも寄生虫の侵入が懸念されています。

アライグマ回虫による幼虫移行症の診断

アライグマ回虫卵によって汚染された環境内にあって、好酸球性髄膜炎が起こった場合は幼虫移行症の可能性があります。

脳脊髄液好酸球増多、末梢血好酸球増多、さらにMRIで深部白質異常が確認された場合は、その可能性が高まります。

脳脊髄液や血清検査などで、特異抗体が確認された場合に診断は確定されるのが一般的です。

眼に症状があらわれている場合は、検眼鏡によって虫体が確認される場合もあり、それも診断の決め手になりえます。

アライグマ回虫による幼虫移行症の治療

幼虫が中枢神経系に達している場合、抗炎症剤や抗線虫薬による治療はほとんど意味がないと言われています。

しかし、感染後1~3日だと抗線虫薬は有効で、中枢神経系に達する前に駆除できる可能性が高まります。

抗線虫薬はアルベンダゾールを用いるのが一般的で、1日に20~50mgを10日間服用することになります。

アライグマ回虫卵を口にして感染している恐れがあるようなら、できるだけ早く抗線虫薬を服用することが大切です。

アライグマ回虫による幼虫移行症の予防

アライグマ回虫症の感染を防ぐには、感染源である幼虫包蔵卵が口から体に入り込まないようにするしかありません。

近所で野生のアライグマを発見した、あるいはアライグマがよくみられる場所に行ったときは、動物の糞や土壌中に回虫卵が含まれる恐れがあるので、不用意に手で触れるのは危険です。

幼虫包蔵卵にはいろいろな消毒剤はあまり意味がありませんが、便や土壌を焼却すれば虫卵を死滅させることができ、効率よく処理することができます。

アライグマはもちろん、なんらかの野生動物を見かけた場合、触れるのは厳禁です。

アライグマ回虫だけでなくさまざまな感染症にかかる恐れがあるので、注意するようにしましょう。

野生動物だけでなく、ペットなどの動物に触れたあとは手洗いを徹底することが大切です。

アライグマは決まった場所で排泄するという性質があるので、そういった場所にはできるだけ寄らないようにします。

回虫卵は土のなかでも長期間幼虫包蔵卵の状態で生息をつづけ、感染力を保持しています。

外で土や砂場に触れた場合は、そのままにせずに手を洗いましょう。

特に小さな子どもは土に触れた手で指を口に入れたり、なにか食べたりすることがあるので周囲の大人が気をつける必要があります。

アライグマがみられる地域でも、きちんと対策を講じれば感染のリスクは低下します。

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