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キーンベック病(月状骨軟化症)を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/09/22 骨・関節の病気

キーンベック病(月状骨軟化症)とは

キーンベック病(きーんべっくびょう)とは、手首の関節を構成する手根骨(しゅこんこつ)のひとつである月状骨(げつじょうこつ)が、壊死(えし)または破壊されることによって、痛みや腫れなどの症状が引き起こされる病気であり、月状骨軟化症(げつじょうこつなんかしょう)ともよばれています。

主に大工や工員、農林漁業など手首を酷使する職業に従事している20~40代男性の発症率が高く、こういった職業に従事している方の約3~5%が発症します。

そもそも手首の関節は、月状骨、大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)、豆状骨(とうじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、有頭骨(ゆうとうこつ)、有鈎骨(ゆうこうこつ)の8種類の手根骨とよばれる骨で構成されています。

手根骨のうち月状骨は、8種類ある手根骨のほぼ中心に位置し、ほかの骨と連動する役割を担っています。
手首を動かす際の圧力を月状骨がうまく調節することによって、手首をスムーズに動かすことができます。

ところが、何らかの原因によって月状骨に異変が生じると、ほかの手根骨との連動がうまくいかず、手首をスムーズに動かすことができなくなるほか、腫れや痛みを生じるキーンベック病(月状骨軟化症)を発症します。

キーンベック病(月状骨軟化症)の詳しい発症原因は未だ解明されていませんが、主な発症原因として血流障害が考えられています。
月状骨の表面のほとんどは軟骨で覆われており、もともと月状骨への血流は少ないという特徴があります。

しかし、骨は供給される血流量が減少すると、壊死や破壊されやすいという特徴があり、月状骨への血流障害が発生することで壊死や破壊が進行し、キーンベック病(月状骨軟化症)を発症すると考えられています。

月状骨への血流障害が発生する原因としては、手の酷使や肉体的ストレス、前腕骨(ぜんわんこつ)のバランスの崩れなどが挙げられます。

キーンベック病(月状骨軟化症)は進行性の病気であり、一度発生すると徐々に現れる症状も悪化していきます。
主に手首の痛みや腫れ、握力低下などの症状が現れ、問診やレントゲン検査、CT検査、MRI検査などの画像検査を行なうことで確定診断を下します。
しかし、症状が現れたばかりの初期段階ではレントゲン検査では血流障害が分かりにくいことが多く、MRI検査などより高精度に判別できる画像検査を行なう必要があります。

キーンベック病(月状骨軟化症)であると確定診断された場合、患者の年齢や症状に合わせて治療が行なわれます。
初期段階であれば内服薬や湿布薬の服用、ギプスによる固定やリハビリ訓練が行なわれますが、症状が進行して重度や末期の場合には手術療法が選択されます。

キーンベック病(月状骨軟化症)は自然治癒が難しく進行性の病気であり、末期まで進行すると手首を動かすことが困難になり、日常生活にも支障が出ます。
そのため、できるだけ早期発見し、早期治療に取り組むことが重要であるため、少しでも手首に異変を感じた際はできるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。

キーンベック病(月状骨軟化症)の原因

キーンベック病(月状骨軟化症)を発症する詳しい原因は、未だ解明されていません。

キーンベック病(月状骨軟化症)とは、月状骨、大菱形骨、小菱形骨、三角骨、豆状骨、舟状骨、有頭骨、有鈎骨の8種類で構成された手首の手根骨という関節のうち、月状骨が壊死または破壊されることで発症します。

月状骨が壊死または破壊される原因として、主に血流障害や手の酷使、ストレスなどが挙げられます。

血流障害

8種類の骨で構成されている手根骨のうち、月状骨は表面のほとんどが軟骨で覆われており、ほかの骨と比べて供給されている血液の量が少ない部位となっています。
骨は血液の供給が滞る血流障害などを発症すると壊死しやすいという性質があることから、キーンベック病(月状骨軟化症)も月状骨への血流障害が主な発症原因と考えられています。
血流障害を引き起こす原因には、捻挫(ねんざ)や腱鞘炎(けんしょうえん)などの外傷の繰り返し、不顕性骨折(ふけんせいこっせつ)とよばれる小さな骨折などをあげることができます。

手の酷使

重いものを頻繁に押す、手首を強く圧迫するなど手を酷使した場合、月状骨に小さな傷が付くことがあります。
こうした日常生活において手の酷使を繰り返していると、月状骨に繰り返し小さな傷が付くことによって血流障害を引き起こし、キーンベック病(月状骨軟化症)を発症すると考えられています。

そのため、キーンベック病(月状骨軟化症)は大工や工員、農林漁業など手を酷使する職業に従事している20~40代男性の発症率が高くなっています。
ただし、手を酷使しない職業に従事する女性や高齢者が発症する場合もあります。

ストレス

病気の発症原因としてストレスがあげられる場合、一般的には精神的ストレスがイメージされがちですが、キーンベック病(月状骨軟化症)においては肉体的ストレスが発症原因のひとつと考えられています。

キーンベック病(月状骨軟化症)は、月状骨に強い負担をかけて血流障害を引き起こすことにより発症すると考えられていますが、手を酷使する職業に従事していない場合でも、日頃から手首を動かすことで肉体的ストレスがかかっており、そのストレスが蓄積することで血流障害を招く原因となります。

そのため、肉体的ストレスが蓄積しないように、日頃から手首のマッサージをするなどのケアをほどこすことが大事です。

前腕骨のバランスの崩れ

前腕は橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)とよばれる2本の長い骨で構成されており、橈骨のほうが尺骨よりも少し短く小さいことでバランスを保持しています。

ところが、橈骨と尺骨のバランスが崩れてしまうと、月状骨へ強い圧力がかかり、血流障害を引き起こしてキーンベック病(月状骨軟化症)を発症すると考えられています。

キーンベック病(月状骨軟化症)の症状

キーンベック病(月状骨軟化症)は利き手に発症しやすく、発症した場合は手首の痛みや腫れなどのさまざまな症状が引き起こされます。

主な症状

キーンベック病(月状骨軟化症)の主な症状としては、手首の痛みや腫れ、手首の甲の中央部分を押すと痛みを感じる、握力低下、手首がスムーズに動かないなどをあげることができます。
また、徐々に手を使った作業がやりにくくなるほか、朝起きたときや手を使った作業のあとに症状が強く引き起こされます。

そのほかの症状

キーンベック病(月状骨軟化症)は進行性の病気です。
そのため、症状が進行するにつれて手首の可動域が狭まるほか、安静時や就寝時にも痛みを感じるようになり、正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)などを引き起こす場合もあります。

キーンベック病(月状骨軟化症)の検査・診断

キーンベック病(月状骨軟化症)の検査としては、主に問診とレントゲン検査やCT検査、MRI検査などの画像検査が行なわれています。

キーンベック病(月状骨軟化症)を発症した場合、手首の痛みや腫れ、握力低下といった自覚症状が現れるため、問診によってある程度のことは分かりますが、画像検査を行なうことで月状骨の硬化像(こうかぞう)や透亮像(とうりょうぞう)、扁平化(へんぺいか)の進行度合いを確認することが可能です。

ただし、初期段階の場合、レントゲン検査では分からない場合があり、CT検査やMRI検査などレントゲン検査よりも高精度な検査方法によって月状骨の状態を確認します。

問診

キーンベック病(月状骨軟化症)を診断する際、はじめに問診が行なわれます。
問診では患者自身の自覚症状の有無、病歴、いつ痛みを感じるのか、痛みが現れる頻度、どのような動作に不具合を感じるかなどについて確認します。

また、握力低下が認められる場合や、手を使ったあとに手首に痛みや腫れが現れる場合、手首の甲の中央部分を押すと痛みを感じる場合には、月状骨で何らかの障害が発生していることが疑われるため、レントゲン検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行ない、月状骨の状態をより詳しく確認し、キーンベック病(月状骨軟化症)であるかどうかが判断されることになります。

レントゲン検査

レントゲン検査とは、放射線の一種であるX線を使って体の内部を画像化する検査方法です。
レントゲン検査は骨が白く写るため、月状骨の状態を確認することができます。

ただし、キーンベック病(月状骨軟化症)の初期段階では分かりにくい場合もあるため、その場合はより高精度に状態を確認できるCT検査やMRI検査が行なわれます。

CT検査

CT検査とはX線を使った画像検査の一種で、CT検査と同様にX線を使うレントゲン検査よりも月状骨の状態をより詳しく確認することができます。

また、血液中に造影剤を注入してCT検査を行なうことにより、キーンベック病(月状骨軟化症)の発症原因となる月状骨への血流障害の有無を確認することが可能です。

MRI検査

MRI検査とは画像検査の一種ですが、レントゲン検査やCT検査のように放射線ではなく、強力な磁気によって体の内部を画像化する検査方法です。
CT検査と比べて検査時間が長いという特徴がありますが、放射線被ばくの心配がないというメリットもあります。

キーンベック病(月状骨軟化症)におけるMRI検査は、症状が初期段階である場合やX線では診断を確定することができなかった場合に選択されます。

血液検査

キーンベック病(月状骨軟化症)を発症した場合に現れる手首の痛みや腫れは、リウマチによる関節炎(かんせつえん)でも見られる症状です。
そのため、リウマチによる関節炎と区別するために血液検査を行ない、炎症の有無を確認する場合があります。

キーンベック病のステージ

キーンベック病(月状骨軟化症)は、上記のようなさまざまな検査の結果に応じて、病期(ステージ)が4段階に分類されており、病期(ステージ)が確定することで治療方針も決定することができます。

Ⅰ期

月状骨の萎縮(いしゅく)がレントゲン検査では確認できないが、MRI検査によって少し確認できる程度の場合。

Ⅱ期

画像検査によって月状骨の萎縮や硬化が確認できるが、潰れるほどではない場合。

Ⅲ期

画像検査によって月状骨が潰れていることが確認でき、さらに分節化していることも確認できる場合。

Ⅳ期

画像検査によって月状骨だけでなく、周辺の骨や関節にも影響を及ぼしていることが確認できる場合。

キーンベック病(月状骨軟化症)は、病期(ステージ)がⅠ~Ⅱ期であれば内服薬や湿布薬、装具固定によるリハビリなどの治療を行ないますが、Ⅲ~Ⅳ期では手術が必要になるため、初期段階で治療をはじめるためにも、手や手首に異変が現れた場合はできるだけ早く医療機関を受診することが重要です。

キーンベック病(月状骨軟化症)の治療

キーンベック病(月状骨軟化症)の治療は、患者の年齢や症状に合わせて行ないますが、基本的に軽症の場合と重症の場合とで大別されています。

軽症のキーンベック病(月状骨軟化症)の場合

キーンベック病(月状骨軟化症)は進行性の病気ですが、発症直後の初期段階では症状が軽く、月状骨の変形なども見られないことが多いことから基本的に保存療法が行なわれています。

主に内服薬や湿布で痛みや腫れといった症状を改善し、日常生活であまり手や手首を使わないように安静にして過ごします。
また、ギブスで固定する場合や、サポーターを装着する場合もあります。
さらに、手首をスムーズに動かすためのリハビリを行なうこともあります。

初期段階であればこの保存療法を1~2ヶ月ほど続け、再度CT検査やMRI検査などの画像検査を行ない、治療の効果が現れているかを確認します。
十分な治療効果を得ることができない人に対しては、重症の場合に行なわれる手術療法が検討される形になります。

重症のキーンベック病(月状骨軟化症)場合

キーンベック病(月状骨軟化症)において重症に分類されるのは、基本的に病期(ステージ)がⅢ~Ⅳ期の場合であり、治療においては手術療法を行ないます。
ただし、症状の現れ方には個人差があるため、まれにⅡ期と診断された方でも手術療法が選択されるケースもあります。

手術療法には、月状骨への圧迫を軽減させるための橈骨短縮骨切り手術(とうこつたんしゅくこつきりしゅじゅつ)や、血管移植によって月状骨への血流を回復させる血行再建術(けっこうさいけんじゅつ)、末期の場合に月状骨を摘出する月状骨摘出術(げつじょうこつてきしゅつじゅつ)、月状骨の摘出後に腱球とよばれる腱を丸めたもので空いたスペースを埋める腱球挿入術(けんきゅうそうにゅうじゅつ)=代替物置換術(だいたいぶつちかんじゅつ)などがあります。

こうした手術療法は、痛みを取り除くこと、握力を回復させること、関節変形を防ぐことを目的として行なわれるため、レントゲン検査やCT検査、MRI検査などで月状骨の状態や壊死、破壊の進行度合いをよく見極め、数ある術式から最適な方法を選ぶことが重要です。

キーンベック病(月状骨軟化症)は初期段階であれば軽い治療で完治へと導くことができます。
しかし、初期段階では発見が難しいうえに進行性の病気でもあることから、発見時には病気(ステージ)がⅡ期やⅢ期であることは珍しくありません。

また、初期段階で適切な治療を受けずにほうっておくと、骨の壊死や破壊が進行し、末期であるⅣ期まで進行すると手術療法を受けたとしても完治が難しい場合があります。
そのため、少しでも手のひらや手首に異変を感じた際は、できるだけ早く医療機関で検査を受け、的確な処置を受けてください。

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