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汗疱を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/08/01 皮膚

汗疱(かんぽう)とは、手のひらや手指、足の裏に小さい水疱(すいほう)が多発する病気です。

主に季節の変わり目に引き起こされやすく、小学生から高校生の発症率が高いほか、体温上昇とは無関係に汗を過剰にかいてしまう多汗症(たかんしょう)の人の発症率が高いという特徴があります。

汗疱とは「汗の水疱」と名付けられているように、病気が引き起こされる原因に汗が深く関係していると考えられています。
そもそも汗は肌表面を覆う表皮よりも深部にある汗腺(かんせん)という場所でつくり出されており、管を通して肌表面へと排出されています。

ところが、何らかの原因によって管が詰まり、汗が排出できなくなると汗疱を発症してしまうのです。

汗疱のはっきりとした発症原因は未だ解明されていませんが、汗が排出できなくなる以外にも金属アレルギーや慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)・慢性扁桃炎(まんせいへんとうえん)、アトピー性皮膚炎(あとぴーせいひふえん)、喫煙、ストレス、ビオチン欠乏症(びおちんけつぼうしょう)など、さまざまな要因が考えられています。

これらはどれも、汗の発汗作用に大きく影響することから、汗疱の原因になると考えられています。

汗疱を発症すると、基本的に水疱の症状が現れます。
水疱というのは、一般に水ぶくれとよばれている症状のことです。

水疱は1~2mmと小さく、主に手のひらや指の側面、足の裏に左右対称で発生します。
なかでも指の側面に最も現れやすく、足の裏に現れた場合は水虫と区別する必要があります。

また、初期段階での水疱ではかゆみの症状を伴いませんが、症状が進行するとともに激しいかゆみを感じるようになり、水疱と水疱が融合して豆粒大にまで大きくなる場合があります。

進行段階で水疱が大きくなると破けてジュクジュクした状態になり、そのあと徐々に乾燥し、皮膚が剥がれ落ちて症状が落ち着きますが、悪化した場合には激しい痛みやかゆみ、赤みを伴う場合があります。

汗疱には有効な治療法が確立されておらず、治療はかゆみや痛みを緩和させるための薬物療法が主に行なわれています。

薬物療法では尿素軟膏(にょうそなんこう)、角化軟化薬(かくかなんかやく)、ステロイド薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)などが使用されていますが、それぞれ効能が異なるため、患者の状態に合った薬物が選択されることになります。

また、それぞれに副作用のリスクがあるため、よく理解したうえで使用する必要があります。

汗疱は発症原因に汗が大きく関与していることから、発症を予防するためには高温多湿をなるべく避け、汗をかいた際はこまめに拭き取るなど、汗が肌表面に残らないように心掛けることが大切です。

また、初期段階で治療を受けることなく悪化してしまった場合には、治療にはより長期間を要することになるため、症状が出現したらできるだけ早く医療機関を受診するのが賢明といえるでしょう。

汗疱の原因

汗疱を発症するはっきりとした原因は未だ解明されていませんが、考えられている要因として汗、金属アレルギー、慢性副鼻腔炎・慢性扁桃炎、アトピー性皮膚炎、喫煙、ストレス、ビオチン欠乏症などをあげることができます。

汗疱は汗をかきやすい場所に水疱ができる病気であることから、過剰な発汗が起こる多汗症の人の発症率が高く、夏場に発症しやすい傾向があります。

金属アレルギー

金属アレルギーを持っている場合、金属製のネックレスや時計などを身につけた状態で汗をかくと金属成分が溶け出し、アレルギー反応を引き起こすことで汗疱を発症することがあります。

また、歯科治療に使用した金属性の詰め物の成分が溶け、胃腸で吸収されたあとに汗となって排出され、その汗に触れることで汗疱を発症するケースもあります。
さらに金属を含む食材を摂取することで、金属成分が汗となって排出され、その汗に触れることで汗疱を発症するということも。

金属を含む代表的な食材としては、ニッケルを含むものにくるみ、アーモンド、いんげん豆、あずき、なめこ、あさりなどがあり、コバルトを含むものには干しひじき、はまぐり、青のり、ココアなどをあげることができます。

慢性副鼻腔炎・慢性扁桃炎

副鼻腔炎や扁桃炎は肌表面に現れる汗疱とは関係ないように思われがちですが、副鼻腔炎や扁桃炎の発症原因となる菌が肌に付着することで汗疱を発症する場合があります。

副鼻腔炎や扁桃炎を長く患う慢性症状になるほど、汗疱の発症率が高くなります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎を患っている場合、肌が乾燥しやすく、肌表面のバリア機能が低下し、汗の刺激を敏感に感じることで汗疱を発症する場合があります。

喫煙

タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があります。

この作用によって血流が滞ってしまい、免疫力を高めるビタミンCを無駄に失われてしまうほか、白血球の一種であるマクロファージの抗体の産生力を落としてしまい、免疫力の低下によって汗疱を発症すると考えられています。

ストレス

ストレスが蓄積されると自律神経が正常に機能しなくなり、免疫力が低下します。
また、自律神経は発汗作用にも大きく影響しており、自律神経が正常に機能しなくなることで汗疱を発症すると考えられています。

ビオチン欠乏症

ビタミンの一種であるビオチンは、皮膚形成や皮膚機能を保つためには欠かせない成分です。

ビオチンはもともと体内で生成されていますが、腸内に悪玉菌が増加すると体内の生成量が減少し、ビオチン欠乏症を発症します。

皮膚機能を保つために欠かせないビオチンが欠乏することによって代謝が低下し、皮膚に異常が現れやすくなることから汗疱を発症すると考えられています。

汗疱の症状

汗疱を発症すると水疱が現れ、初期段階から進行段階へと状態が変化していきます。

水疱が現れる場所

水疱は基本的に手のひらや指の側面、足の裏などに左右対称に発生します。

水疱が最も現れやすい場所が指の側面で、足の裏に発生するのは非常にまれなケースです。

また、足の裏に発生した場合にはよく水虫と間違われますが、水虫のようにほかの人に感染させてしまうようなことはありません。

水疱の特徴

水疱は1~2mmと非常に小さく、できていることに気づかない場合もあります。
また、水疱ができている状態でも、基本的にかゆみの症状は引き起こされません。

初期段階の特徴

水疱が現れると数日から一週間ほどで皮が薄くめくれ、徐々に症状が改善していきます。
この初期段階では水疱と水疱が融合し、豆粒大ほどまで大きくなることもあります。

初期段階では基本的にかゆみは感じませんが、人によっては強いかゆみや不快感を伴うこともあります。

進行段階の特徴

初期段階で現れた小さな水疱が融合して大きくなると、破れてジュクジュク状になります。
そのあと徐々に乾燥し、約2~3週間ほどで皮がボロボロと落ち症状が落ち着きます。

この進行段階では、水疱が赤みや痛み、かゆみを伴い悪化する汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)を引き起こす場合があります。

汗疱は初期段階から進行段階を経て改善しますが、改善した場合でも再発しやすい傾向があります。

さらに、かゆみを伴う水疱をかいてしまうと水疱が破れてしまい、そこに細菌が侵入すると炎症を引き起こす場合があるため、かゆくてもかかないように我慢することが大切です。

汗疱の検査・診断

汗疱の検査は、主にパッチテストと細菌検査・培養検査が行なわれています。

パッチテスト

パッチテストとは、金属アレルギーの有無を確認することができる検査方法です。

汗疱の詳しい発症原因は未だ解明されていませんが、金属アレルギーによって引き起こされると考えられているため、金属アレルギーの有無を確認します。

パッチテストでは、アレルギーの原因と疑われる物質を少量ずつ皮膚に塗り、赤みやかゆみなどのアレルギー反応が出るかどうかを確認します。

診断には2~3日様子を見る場合や、数回にわけて検査を行い、総合的にみて判定する場合があります。

細菌検査・培養検査

細菌検査とは、病気の発症原因となる細菌の種類を特定するための検査方法で、培養検査とは体内に細菌が存在しているかどうか、細菌の種類を特定するための検査方法で、どちらも顕微鏡を使って判定します。

また、足の裏に水疱が発生した場合、一般的に水虫と呼ばれている白癬菌症(はくせんきんしょう)と区別しなければいけません。

さらに、もともと水虫を患っている場合にも、手のひらや指の側面に小さな水疱が発生することがあり、この場合も白癬菌症と鑑別する必要があります。

汗疱の治療

汗疱の有効な治療法は未だ確立されておらず、水疱によって引き起こされるかゆみの症状を抑えるために、薬物療法が行なわれています。

薬物療法では、尿素軟膏、角化軟化薬、ステロイド薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、亜鉛華軟膏などが使用されます。

尿素軟膏

尿素軟膏は、汗疱の症状が軽度の場合に使用します。
尿素配合の保湿クリームを水疱部分に塗ることで皮膚の角質を柔らかくし、汗を出やすくさせます。

ただし、皮膚に外傷や炎症を引き起こしている場合に使用すると、ピリピリするなどの刺激を感じる場合があります。

また、副作用としてアレルギー反応が現れる場合があり、発熱や発疹(ほっしん)、目のかゆみといった症状が現れることがあります。

さらに重症化した場合には急激な血圧低下、呼吸困難などを引き起こすこともあります。

角化軟化薬

角化軟化薬は汗疱の症状が軽度の場合に使用します。
一般的にサリチル酸ワセリンという角化軟化薬を水疱部分に塗ることで、皮膚の角質を柔らかくし、汗を出やすくさせます。

ただし、副作用としてアレルギー反応が現れる場合があり、発熱や発疹、目のかゆみといった症状が現れることがあります。

さらに重症化した場合には、急激な血圧低下や呼吸困難などを引き起こす場合があります。

ステロイド薬

副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンであるステロイド薬は、かゆみがひどい人や、悪化して汗疱状湿疹を発症している場合に使用されます。

ステロイド薬はかゆみを緩和させる作用に優れており、症状の度合いに合った濃度のステロイド薬が選択されます。

ただし、副作用としてニキビ、産毛が生えてくる多毛(たもう)などの症状が現れることがあるほか、長期間にわたって使用することで、皮膚が薄くなってしまうことがあります。

抗アレルギー薬

抗アレルギー薬は汗疱の症状が重度の人やかゆみがひどい人、汗疱状湿疹を発症している人に対して使用されます。
抗アレルギー薬を使用する場合、基本的にステロイド薬と一緒に使用します。

ただし、副作用として軽度の眠気や、口腔内(こうくうない)が渇く口渇(こうかつ)などを引き起こす場合があります。

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は汗疱の症状が重度の人やかゆみがひどい人、汗疱状湿疹を発症している人に対して使用されます。
抗ヒスタミン薬はかゆみを抑える作用に優れており、汗疱以外の病気の治療にもよく使用されています。

抗ヒスタミン薬を使用する場合、基本的にステロイド薬と一緒に使用します。

ただし、副作用として軽度の眠気や、倦怠感(けんたいかん)、めまいなどが現れる場合があり、車の運転をする場合には注意が必要です。
また、口腔内が渇く口渇の症状が現れる場合もあります。

亜鉛華軟膏

亜鉛華軟膏は水疱が潰れてジュクジュクしている場合に使用します。
長期間使用しても副作用のリスクが少ない薬物ですが、使用後にかゆみや赤みが強くなるといった副作用が引き起こされる場合があります。

このほかにも、副作用として発熱や発疹、目のかゆみなどアレルギー反応が現れる場合があり、重症化した場合には急激な血圧低下、呼吸困難などを引き起こす場合があります。

このように汗疱の治療はかゆみや痛みを緩和させるための対症療法しかありませんが、重症化してつらい思いをしないためにも、症状が悪化しない初期段階のうちに治療をはじめることが重要です。

また、日頃から汗をかいた際にはすぐにふき取るなど、できるだけ汗を肌に残さないように心掛けることも大事です。

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