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水痘の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2016/01/25 皮膚


水痘はみずぼうそうともいい、水疱性の発疹が見られる病気です。
その症状は全身にあらわれ、人によっては重症化することもあります。
ここでは水痘について、くわしく説明していきます。

水痘の症状

水痘は水痘帯状疱疹ウイルスによって発生する、感染力が強い病気です。
ほとんどは重症化することはありませんが、毎年10名以上の子どもが亡くなっていると言われ、決して油断できない病気と言えます。
アメリカでは定期接種を2回受けることになっていますが、日本では任意で接種費用は保険適用されません。
そのため、接種率はそれほど高くないため、毎年100万人程度発症しているとされています。

水痘は生後すぐに発症することがありますが、特に生後6ヶ月~4歳頃までの発症率が高いと言われています。
水痘の潜伏期間は10~21日ほどですが、免疫に問題がある人はもっと長期間潜伏することもあります。
成人の場合は発疹が出る前に1~2日ほど、発熱や全身倦怠感が生じることがあります。

子どもの場合は、はじめにあらわれるのは発疹であることが多く、かゆみをともないます。
紅斑や丘疹を経てから、短期間で水疱へと変化し、最終的にカサブタ状になります。
はじめに頭皮、そして体幹、四肢に症状はあらわれますが、体幹はもっとも集中しやすい場所です。

数日間は新たな発疹が続々とあらわれるので、急性期には紅斑や丘疹、水疱、カサブタなどさまざまな段階症状が混在することも珍しくありません。
こういった発疹は膣や気道、鼻咽頭などの粘膜にもあらわれることがあります。
重症化することはあまりなく、数日にわたって倦怠感や掻痒感、38度前後の発熱がつづく程度で治ることがほとんどです。

しかし、成人の場合は悪化しやすく、合併症も起こりやすいということがわかっています。
普通は呼吸症状や胃腸症状などがあらわれることはありません。
はじめての感染から症状がおさまると免疫を獲得して、再発しにくくなると言われています。

合併症のリスクは年齢によってちがいが見られ、健康な小児にはほとんど見られません。
15歳以上と1歳以下ではリスクが高まりますが、1~14歳の子どもの死亡率はごくわずかです。
死亡率は30~49歳が高まると言われています。

合併症としては、皮膚の二次性細菌感染、中枢神経合併症、脱水、肺炎などが挙げられます。
水痘の合併症状として起こる肺炎は通常ウイルス性ですが、細菌性の場合もあります。
中枢神経合併症は無菌性髄膜炎から脳炎までさまざまな病気になる可能性があります。

脳炎は小脳炎がほとんどで、小脳失調が起こることはありますが、予後は悪くありません。
より広い範囲で脳炎が起こることはありますが、割合としてはそれほど多くないでしょう。

急性期に小児がアスピリンを服用した場合、ライ症候群を発症する可能性があります。
免疫機能が低下している状態で水痘を発症すると、命に関わることもあるので注意しなければいけません。

妊娠中の女性が出産の5~2日前までに水痘を発症すると、生まれた赤ちゃんの17~30%で重度の水痘が発症します。
この水痘での赤ちゃんの新生児の致死率は20~30%ほどと言われています。
出産間近で感染すると母親が水痘の抗体を作り出して胎児に伝える期間がないため、赤ちゃんの水痘が悪化しやすいと考えられています。

水痘の原因

水痘は水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスに感染することで発生します。
この水痘帯状疱疹ウイルスは人間だけに感染しますが、その感染力は非常に強力です。
ウイルスは非常に小さく、目で確認することはできません。

水痘が治ってもウイルスは関節の内部に潜んでいるため、症状がおさまっても体の抵抗力が弱まったタイミングで症状があらわれることがあり、これを帯状疱疹と言います。
つまり、水痘帯状疱疹ウイルスは、その名が示す通り水痘と帯状疱疹の2種類の病気を引き起こすわけです。

ウイルスは人間の口や鼻を介して喉に侵入して、体内に入り込みます。
侵入の経路は空気感染と飛沫感染、接触感染の3種類です。
空気感染では空気中に飛散しているウイルスを吸入、飛散感染は咳やくしゃみによって飛散したウイルスを吸入、接触感染では手に付着したウイルスが口や鼻に入り込むことで感染します。

体の内部に入り込んだウイルスは時間が経過するとともに増加します。
血液中でも増えて、最終的には皮膚にも出てきます。
このタイミングで水ぶくれや発疹といった症状があらわれます。

体内でウイルスが増殖して皮膚まで出てくるのにおよそ2週間要するので、ウイルスが体に入ってすぐに症状があらわれることはありません。
ウイルスに感染した人からは、発疹症状があらわれる1~2日前からウイルスが外部へと放出しています。

また、水ぶくれした箇所にもウイルスが含まれているため、そこから感染する可能性があります。
全部の水ぶくれがカサブタ状に変化するまでは、周囲にうつしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

水痘の診断

水痘は特徴的な症状から、問診や診察によって診断が行われるのが一般的です。
はっきりしない場合は、患者からウイルスを分離して調べる場合もあります。
通常は、水疱の内容物を採取して確かめられますが、鼻咽頭から分離させるのは困難です。

水疱擦過物の塗沫染色標本上で多核巨細胞が確かめられれば、診断に役立ちます。
しかし、これだけでは単純ヘルペスとの鑑別が困難です。
水痘帯状疱疹ウイルスはモノクローナル抗体をつかった蛍光抗体法を用いることで確かめられます。

血清学的診断にはさまざまな方法が用いられ、gpELISA法が特に有用と言われていますが、日本国内ではまだ技術が確立されていません。
そのため、現在はIAHA法、ELISA法が用いられるのが一般的です。
急性期と回復期でIgG抗体が高まっているかどうか確認する、あるいはIgM抗体が検出されることで診断は確定されます。

最近はPCR法により水痘帯状疱疹ウイルスのDNAの検出も行われます。
また、ウイルスに対する細胞性免疫能を評価するために、水疱皮内抗原をつかった皮内テストがすすめられる場合があります。
保険適応の対象ではありませんが、皮内テスト液は市販されています。
0.1mlを皮内注射して、24時間~48時間後に発赤最大径5mm以上となったら、水痘帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫が陽性であると判断されます。
この方法は早く結果が出る方法として知られています。

水痘の治療

水痘は放って置いても自然に治る病気ではありますが、薬が用いられることもあります。
使用される薬はアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬が中心です。
薬を服用することで、発疹が抑制され、発熱期間も短く済むことがわかっています。

注意すべき副作用はほとんどありませんが、3日以内に服用をはじめないと効果が十分発揮されません。
ただし、安易に用いると薬の効果が及ばない耐性ウイルスが出現する可能性があります。
かゆみがひどい場合は、抗ヒスタミン薬を内服して、かゆみを緩和させていきます。

フェノール亜鉛華軟膏を塗ると水疱が乾燥しやすくなると言われています。
アスピリンは肝障害や脳症が引き起こされることがあるため、使用は控える必要があります。
発熱が見られる場合は、アセトアミノフェンを使用するのが一般的です。

子どもが水痘になってもそれほど心配する必要はありませんが、小児科は受診したほうがいいでしょう。
白血病の治療中、あるいは副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬を服用中の子どもが水痘になると危険なので、すみやかに小児科を受診する必要があります。

周囲への無用な感染を避けるためには、すべての皮疹がカサブタに変化するまでは幼稚園や保育園、学校に通うのは避けたほうがいいでしょう。

子どもが水疱をひっかいてつぶさないように、爪は短くカットしておきます。
赤ちゃんの場合は、手袋を着用したりガーゼでカバーしたりするといいでしょう。

熱が高い場合は、入浴は避けます。
熱が下がってもまだ皮膚症状ある場合は、シャワーで軽く流すようにするとかゆみや化膿を防げます。

水疱はなるべくつぶさないようにして、体を拭くときはタオルを軽く当てるようにしましょう。
水痘は水疱内部に含まれているので、患者の看護をする場合はうつらないように手洗いを徹底させます。

水痘の予防

水痘はワクチンによって予防することができます。
水疱のワクチンを接種すると、90%以上の人は水疱ウイルスに対する免疫が産生されます。
ただし、1度接種しただけでは15~20%の人が水疱を発症するとされています。
しかし、たとえ発症しても自然に感染した場合よりも軽症で済むことが多く、重篤な合併症が起こるリスクも低下します。

また、水疱を発症した人と接触してから72時間以内にワクチン接種を受けると、発症を防ぐとともに、発症した場合の症状の軽症化につながります。
水痘は発疹がではじめる1~2日前から感染すると言われているため、接触時期が不明で効果が十分得られないこともあります。
ワクチン接種のあとには、接種箇所が赤みを帯びて腫れたり、発熱したりする場合があります。

接種して数週間後に発疹や発熱など水痘に近い症状があらわれることもありますが、水ぶくれが生じることはごくまれです。
また、以前のワクチンにはゼラチンが含まれており、アレルギーをもつ人は受けられませんでしたが、現在出回っているワクチンには含まれていないので受けることができます。

水痘のワクチンは1歳から受けることが可能です。
水痘の感染力は非常に強力で、幼稚園や保育園など大勢の人が過ごす場所、家庭内で感染することが大半です。
そのため、1歳を迎えたらできるだけ早く接種することが望ましいでしょう。
成人後に水痘にかかると重症化しやすいので、水痘のワクチン接種を受けたことがなく、これまでに発症したことがない人は接種することをおすすめします。

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