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手足口病の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2018/04/11 皮膚

手足口病とは

手足口病(てあしくちびょう)とは、手のひら・足の裏・口のなかに小さな水疱性(すいほうせい)の発疹(ほっしん)が出るウイルス性の感染症です。
この病気が流行しやすいのは夏であり、7月に最盛期を迎えます。

ただ、夏にしか発生しない病気というわけではなく、秋~冬にかけて多少の発生が認められることがあります。
数年おきに大流行したことがあり、日本国内では1990年、1995年のほか、比較的大規模な流行が2000年に発生しました。

手足口病は2歳以下で多い病気で、4歳程度になると大多数が経験します。
小学生以上では流行時に感染することがあります。

手足口病は子供の病気というイメージがあるという人は多いでしょうが、実際には大人が感染することもときにはあります。
大人に引き起こされることが少ない理由としては、抗体を獲得している点をあげることができます。

一度かかるとウイルスに対する免疫を獲得しますが、手足口病を引き起こすウイルスは複数存在するため、2回以上かかることもあります。

夏にかかる人が増加する感染症は、手足口病のほかに咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)、ヘルパンギーナがあります。

この3種類の感染症は子供の三大夏風邪というくくりかたがされていることもありますが、たとえばプールで感染することが多いためにプール熱(ぷーるねつ)という別名がある咽頭結膜熱には、学校保健法で第二種学校伝染病に含まれており、出席停止期間が定められています。

手足口病の場合はどうかといいますと、登校や登園が禁止される対象となっている病気ではありません。
ただし、まわりにウイルス感染をひろげるリスクがあるため、注意が必要です。

手足口病の原因

手足口病の病原体

エンテロウイルス属のエンテロウイルス、コクサッキーウイルスというウイルスが原因となって、手足口病は引き起こされます。
手足口病の原因となるウイルスには複数の型が存在するため、複数回かかってしまうことも珍しくありません。

また、胃腸炎(いちょうえん)を招きやすいウイルスでもあります。
手足口病を引き起こすウイルスは、口や腸のなかで増殖します。

どの種類のウイルスで手足口病にかかったとしても、出現する症状に違いはありません。
また、エンテロウイルスなどの手足口病の病原体は、ノンエンベロープウイルスです。

エンベロープというのは脂肪・たんぱく・糖たんぱくで構成されている膜で、ノンエンベロープウイルスにはこの膜がありません。

ノンエンベロープウイルスは、熱やアルコール消毒剤に強いという性質を有していますが、いまはこのウイルスに効果を発揮する酸性アルコール消毒剤の開発が行なわれています。

手足口病の感染経路

手足口病の感染経路としては、主に飛沫(ひまつ)感染と接触感染をあげることができます。
この病気を引き起こすウイルスは口や腸のなかで増殖するため、ウイルス感染者の唾液、鼻水、便などにより、飛沫感染や接触感染などで人から人へとうつります。

手足口病の潜伏期間

エンテロウイルスなどのウイルスに感染すると、即座に症状が出現するわけではありません。
ウイルスに感染し、4日前後の潜伏期間を経て発症することになります。

手足口病の症状

手足口病の主な症状は?

手足口病という病気の名前のとおり、手のひら、脚の裏、口のなかを中心に、米粒ほどの大きさの水疱性発疹が出現するのが特徴です。
ただ、絶対に手足、口にだけ発疹が出るとは限りません。

脚全体、腕全体に出るケースもありますし、お尻に発疹が出ることもあります。
水疱はかさぶたになることなく、1週間ほどで消失してしまいます。

なお、手足口病による発疹は水疱瘡(みずぼうそう)と思われることが珍しくありません。
ただ、手足口病では腹部や背中に発疹が生じないため、このことが水疱瘡と見分けるためのポイントになるでしょう。

発熱

手足口病では、発熱の症状が引き起こされることがあります。
ただ、多くは微熱が1~2日だけ続いただけで熱は下がり、通常、高熱が持続するようなことはありません。
また、発熱の症状自体が全員に引き起こされるわけではなく、30%ほどの人に起こる症状です。

脱水症(だっすいしょう)

手足口病の主症状である水疱性発疹は通常、痛みやかゆみを伴いません。
しかし、口内の水疱が破裂して口内炎(こうないえん)になると、痛みを感じるようになります。
この痛みが気になって食事や水分の摂取しにくくなり、脱水症を招いてしまうことがあります。

ツメの脱落

手足口病では、原因となるウイルスの種類によっては、手足のツメがはがれてしまうことがあります。
ただこの症状は一時的なものであり、はがれたあとにはまた自然と伸びて元どおりになります。

そのほかの症状

手足口病は、かぜと似ている症状や下痢などの消化器症状が起こることがあります。
また、珍しいケースではあるものの、まれに中枢神経系の合併症を招くことがあります。
主な手足口病の合併症としては、髄膜炎(ずいまくえん)をあげることができます。

髄膜炎は脳および脊髄をおおっている膜である髄膜に病原体が入り込んで生じる炎症で、脳内に病原体が入り込んで生じる炎症の脳炎(のうえん)を併発することがあります。

急な高熱や頭痛ではこの病気の可能性があり、悪化すると意識がはっきりとしなくなったり、痙攣(けいれん)したりすることもあります。
髄膜炎、脳炎が引き起こされると、首の後ろが痛み、そのために首を前に曲げることができなくなる項部硬直(こうぶこうちょく)が起こります。

早期に的確な治療が行なわれれば、病原体が体内から取り除かれてよくなりますが、意識が改善されないままになったり、麻痺(まひ)などの後遺症が残ったりすることもときにはあります。

そのほか、心臓の筋肉に炎症が生じ、胸の痛みや心不全(しんふぜん)が引き起こされる心筋炎(しんきんえん)などを招くこともあります。

手足口病の検査・診断

手足口病かもしれないと思ったら?

多くの場合、手足口病は7~10日ほどで自然に快復します。
ただし、手足口病はまれに髄膜炎のような危険な合併症を招いてしまうことがあります。

持続する高熱や頭痛、繰り返すおう吐などがある場合はとくに、すぐに病院へ行くのが賢明な判断です。
このような深刻なケースでない場合も、病院へ行くに越したことはありません。

手足口病の初診に向いている診療科としては、小児科、皮膚科、内科をあげることができます。
受診する本人の年齢や、引き起こされている症状に合った診療科を選択しましょう。

手足口病かどうかはどうやって調べるの?

この病気なのかどうかは、出現している症状で見極めます。
手足口病の診断の決め手になるのは発疹の状態ですが、観察してみてもはっきりしなければ血液検査が行なわれています。
血液検査は初回と2回目を2週間ほどあけて行ないます。

病原体に対する抗体が初回に比べて2回目のほうが高ければ、手足口病と判断されることになります。
なお、これまでにかかったかどうかを把握したいだけであれば、血液検査は1回で事足ります。
そのほか、便やのどをぬぐった綿棒などから病原体を分離して調べる方法もありますが、時間や費用を要するため現時的な検査ではなく、いまは実施されていません。

手足口病の治療

手足口病の治療方法は?

手足口病の原因はエンテロウイルス属のウイルスです。
原因がウイルスということで、直接に激的な効果を発揮するような特別な薬は存在しません。

また、7~10日ほどで自然に快復するため、特別な治療は行なわれず、出現している症状を改善するための対症療法が中心です。

たとえば、発熱の症状に対しては解熱剤、口内炎に対して鎮痛薬、粘膜保護剤の軟膏の処方のほか、脱水症に対する点滴などが行なわれています。

家庭で注意することは?

まず、口内炎の痛みで食欲がなくなり水分の摂取量が減少するほか、発熱の症状で水分の消費量が増加して脱水症を招いてしまうリスクがあるため、十分な水分補給を行ないます。

食事は噛まずに飲み込めるものを選択すると、苦痛を感じにくく、栄養の補給もできて一石二鳥です。
水分補給ができずに尿が出ない、ぐったりしているようであれば脱水症を疑いすぐに医療機関へ行きましょう。

また、高熱や頭痛などの髄膜炎、脳炎の症状が出るような場合も、同じく医療機関で受診します。

登園・登校のタイミングは?

手足口病は登園や登校が法律によって制限されている感染症ではありません。
体外へのウイルス排出期間が長く、流行防止目的での登園・登校停止は無意味とされています。
そのため、かぜをひいたときなどと同じく、本人の状態次第で登園・登校を判断することになります。

熱が下がって1日以上が過ぎても発熱がなく、普段どおりの食事を摂ることが可能なのが登園・登校を再開する目安といわれることもありますが、医師に相談するのが安心で確実です。

手足口病の予防・二次感染予防

手足口病の予防接種・予防薬はあるの?

手足口病の感染を未然に防ぐために効果的なワクチンは存在しません。
また、発病を防ぐことが可能な薬もないです。
残念に思うかもしれませんが、自分たちでできることはあります。

手足口病の予防方法は?

手足口病の原因となるウイルスに感染後、発病しないままウイルスを排出していることもあるとされています。
また、手足口病を発病し、快復後にも数週間にわたりウイルスが排出されることがあります。

したがって、症状が出ているあいだだけでなく、流行時期にはとくに、日常生活で予防に努めることが大切です。
とくに難しいことをする必要はなく、患者と接触したあとには手洗い・うがい・手指の消毒を徹底します。

ウイルスは便にも存在しているため、子供の排泄後は十分に手洗い・手指の消毒を行なうように指導し、赤ちゃんのおむつ交換後には十分に手洗い・手指の消毒を行ないます。

そのほかには、玩具など物にウイルスが付着するため、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)での消毒を行ないましょう。
また、タオルの共用が原因で感染することもあるため、これを避けます。

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