*

皮膚そう痒症の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2015/12/21 皮膚


ひどいかゆみが特徴の皮膚そう痒症はどういった皮膚病なのでしょうか。
ここではこの皮膚そう痒症について紹介します。

皮膚そう痒症の症状

皮膚そう痒症は発疹や炎症などの症状がないにもかかわらず、かゆみを感じる病気のことを言います。

かゆみを鎮めるために掻きむしったり、ひっかいたりすることで、発赤やひっかき傷、茶褐色の色調変化などの症状が二次的に起こることもあります。

皮膚そう痒症は肌が乾燥しやすい冬に生じやすく、皮膚に皮脂や水分があまりない高齢者に頻繁に見られ、これを老人性皮膚そう痒症と言います。

妊娠中の女性に起こる皮膚そう痒症については、妊娠掻痒症と呼んで区別されます。

体中がかゆくなる場合もあれば陰部や肛門周辺など局所的にかゆくなる場合もあり、人によってかゆみが生じる箇所はいろいろです。

かゆみが継続される場合と、発作的にかゆみが生じる2パターンがあります。

かゆみの程度も人によって異なり、むずむずするような軽度なかゆみから、ちくちくと刺激を感じるようなかゆみまでさまざまです。

入浴後など体があたたまるとき、あるいは就寝時にはかゆみが増すことが多く、刺激を与えるとさらにかゆみが増して皮膚にダメージを与えるまでおさまらないこともあります。

また、かゆみが原因で不眠気味になることもあり、日常生活への支障も小さくありません。

皮膚そう痒症の原因

皮膚そう痒症の多くは皮膚の乾燥や皮膚の老化によって起こると考えられています。

全身にかゆみが生じるタイプでは、全身性疾患や内臓疾患が原因となって起こっているケースもあります。

薬剤中毒や精神神経疾患、寄生虫疾患、がん、慢性腎不全、悪性リンパ腫、鉄欠乏性貧血、血管疾患、甲状腺疾患、糖尿病、痛風、肝疾患などによって全身性のかゆみは起こります。

肛門周辺や外陰部など局所的にかゆみが生じるタイプでは、蟯虫症、便秘、前立腺肥大症、前立腺がん、尿道狭窄、腟カンジダ症、腟トリコモナス症などが原因で起こる場合があります。

外陰部や肛門周辺のかゆみの多くは、真菌や寄生虫などの感染によって起こると言われています。

精神的な原因によって局所的にかゆみが生じることもあります。

病気が原因でない場合は、皮膚の乾燥によって起こることが大半です。

健康上問題のない皮膚は角質層の角質細胞間脂質と天然保湿因子によって適切な水分量が確保されています。

そして皮膚の膜が表面を覆うことで水分が蒸発するのを阻害し、外部からのいろいろな刺激から皮膚を保護しています。

しかし、空気の乾燥などによって角質層の脂質や水分が消失し、細胞と細胞の間に大きなへだたりが生じると、外部からの刺激をダイレクトに受けるようになります。

もっと皮膚の乾燥が進行するともともとは肌の深い場所にある、かゆみを感じる神経終末が角質層付近まで延びていきます。

そして皮膚へのわずかな刺激だけでも、かゆみが生じるようになります。

高齢者の場合は肌の新陳代謝が低くなることで、角質細胞間脂質や皮膚膜などが少なくなって皮膚が乾燥状態となります。

高齢者にかゆみが起こりやすいのは、そういった理由からです。

若い人に起こるかゆみの多くは、入浴時の洗いすぎが原因だと言われています。

乾燥肌によって起こるかゆみを我慢できずに掻きむしると、皮膚膜や角質層が消失して外部からの刺激に弱くなります。

さらにかゆみに敏感な状態となって、かゆみの症状はどんどん悪化していきます。

子供が皮膚そう痒症を発症することがありますが、虫に刺された場所を掻きむしること、あるいは小麦や牛乳、卵などの食物アレルギーが起こりやすい食物を取り入れたことで起こることが多いとされています。

また、妊娠中の女性が発症する妊娠性痒疹は、妊娠後3ヶ月~4ヶ月に発症しやすいと言われています。

その多くが1回目の妊娠ではなく、2回目以降の妊娠で起こると考えられています。

出産後はほとんど症状はあらわれなくなりますが、妊娠するたびに症状が見られます。

皮膚そう痒症の診断

皮膚になんらかの異常が確認できず、かゆみがある場合は皮膚そう痒症と基本的には診断されます。

しかし、皮膚そう痒症そのものには皮膚症状がなくても、かゆみによって掻きむしったりひっかいたりすることはあります。

そのことで皮膚に傷が生じる場合、もしくは二次的な症状として湿疹のようになる場合があります。

そのため、湿疹との区別がつきづらく、診断があいまいになってしまうこともあります。

全身疾患や内臓疾患によって皮膚そう痒症が起こることもあるので、血液検査やX線検査によってなんらかの疾患がないか調べることも大切です。

いずれにしても、皮膚そう痒症はほかのかゆみが生じる疾患との鑑別が大切になります。

皮膚そう痒症の治療

なんらかの疾患によってかゆみが生じている場合は、その治療がまずは優先されます。

皮膚のかゆみに対しては尿素軟膏やワセリンなどを用いて、皮膚の乾燥状態を改善していきます。

抗ヒスタミン薬が用いられることもあり、これはかゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑制させるので、効率的にかゆみを改善することができます。

ただし、この薬は眠気などの副作用があるため、自動車運転など危険が伴う作業をするときは気をつける必要があります。

高齢者、前立腺肥大や緑内障などの疾患がある人は利用できない場合もあるので、注意が必要です。

かゆみがあるとついつい皮膚を掻きむしってしまいますが、そこからどんどんかゆみの原因物質が増加して、かゆみはひどくなっていきます。

掻きむしって皮膚炎などの二次症状が見られる場合は、ステロイド外用薬が用いられることもあります。

虫刺されや食物によってかゆみが生じている場合も、ステロイド外用薬が使用されます。

炎症を改善する効果があるステロイド外用薬ですが、色素性痒疹にはステロイドは十分効かないと考えられています。

その場合は、抗生物質が治療に用いられるケースもあります。

血液透析によって起こる皮膚のかゆみには、ナルフラフィン塩酸塩が使用されます。

慢性の腎臓病あるいは透析治療中に起こるかゆみに対しては、中波長紫外線が有効と考えられます。

妊娠中に症状が出た場合も治療は可能ですが、内服薬などを自己判断で服用すると胎児になんらかの悪影響が及ぼされる場合があります。

そのため、医療機関で妊娠していることを伝え、適切な治療を受けるようにしましょう。

老人性皮膚そう痒症の場合は、皮膚の乾燥状態を改善するための外用療法、かゆみを抑制するための対症療法、皮膚の乾きやかゆみを悪化させる生活習慣の改善などが治療の柱となります。

老人性皮膚そう痒症は腰部や側腹部、四肢伸側に特に起こりやすく、光沢が消失して乾燥によるひび割れ、鱗屑などが生じます。

必ずしもかゆみが起こるとは限りませんが、皮膚のバリア膜機能が十分働かずに外部からの刺激が皮膚内部に伝達されやすくなります。

そのため、衣類のこすれなどちょっとしたことでも、刺激となってかゆみが起こりやすくなります。

こういった皮膚の乾燥に対しては尿素やヘパリン類似物質の軟膏を用いることで対応するのが一般的です。

皮膚そう痒症の予防

皮膚そう痒症を防ぐためには、まずは皮膚が乾燥状態にならないように日常生活のなかで注意する必要があります。

入浴時には特に注意が必要で、入浴回数が多い、もしくは石鹸やボディーソープを頻繁に使用すると皮膚膜は落ちやすくなります。

入浴回数や時間は適切に、あまり長時間入浴するのは避けるべきでしょう。

また、熱すぎるお湯は肌によくないため、適切な水温で調整することも大切です。

イオウ入りの温泉入浴剤の使用、タオルなどでごしごしと強くこすることも肌の状態を悪化させる場合があるので、避けたほうがいいでしょう。

入浴後は肌が乾燥しやすいので、特に念入りに保湿します。

お風呂から上がったら時間をおかずに、化粧水や乳液、保湿液などをつかって肌にうるおいを与えます。

たわしやナイロンなどの使用も、控えるようにしましょう。

こまめに、保湿剤を肌に塗ることも大切な予防です。

市販の保湿剤を用意して、肌が乾燥する前にこまめに塗り込むようにします。

保湿剤はさまざまなものがありますが、セラミドやワセリン、尿素などが含まれるものが一般的です。

皮膚が乾燥していると感じたら、複数回塗るようにして、肌が常に潤っている状態にしておきましょう。

化学繊維やウールなどの素材をつかった衣類は、かゆみが起こりやすいので避けたほうが無難です。

肌に直接接触する肌着は、コットン製を選んだほうがいいでしょう。

エアコンは寒い時期には欠かせませんが、空気を乾燥させる原因となります。

温度を低めに設定する、加湿器を併用するなどして、空気の乾燥を防ぐことが大切です。

湿度は50~60%を目安として、これを下回らないように注意します。

コタツや電気毛布などの暖房器具の長時間使用も皮膚によくないので、気をつけなければいけません。

皮膚の新陳代謝は睡眠中や心身がくつろいだ状態で活性化されると言われています。

冬は肌の新陳代謝が弱まるので、規則正しい生活を心がけ、良質な睡眠をとるようにしましょう。

ストレスも肌の状態に悪影響を及ぼすので、リラックスできる時間を確保することも大切です。

栄養バランスの乱れも、肌の状態を悪化させる原因となります。

緑黄色野菜やレバー、卵、乳製品などに多く含まれるビタミンB、野菜やくだものに多く含まれるビタミンCなどをたっぷり取り入れるようにしましょう。

アルコールや香辛料の過剰摂取もかゆみを誘発させる原因となるので、気をつける必要があります。

紫外線も肌の乾燥を引き起こす原因となるので、長時間外で過ごす場合などはしっかり紫外線対策をするようにしましょう。

特に肌が乾燥している場合は直射日光は避けたほうがいいので、肌の露出は避けるべきです。

関連記事

花粉皮膚炎の症状・原因・治療について

春先は肌の状態が不安定になりやすく、肌荒れが起こりやすいと言われています。 肌荒れの原因はたく

記事を読む

乾燥性皮膚炎の症状・原因・治療について

冬は外気の影響で肌が乾燥しやすく、肌のコンディションは悪化しがちです。 肌がかさかさしたり、ひ

記事を読む

手湿疹の症状・原因・治療について

手湿疹は女性、特に主婦に多く見られる皮膚病です。 そのため、別名主婦湿疹とも呼ばれています。

記事を読む

毛孔性苔癬(毛孔性角化症)の症状・原因・治療について

毛孔性苔癬(毛孔性角化症) は皮膚病のひとつで、小児期や思春期に起こりやすい病気として知られてい

記事を読む

肥厚性瘢痕の症状・原因・治療について

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)は、外傷が治ったあとに残るあとのことを指します。 肥厚性瘢痕は

記事を読む

日光角化症を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

日光角化症とは 日光角化症(にっこうかくかしょう)とは、太陽光などの紫外線を浴び続けて

記事を読む

爪甲下出血の症状・原因・治療について

爪甲下出血は、その名が示すように爪の下に生じた出血のことを言います。 ここではその症状や原因に

記事を読む

帯状疱疹の症状・原因・治療について

帯状疱疹は水ぼうそうの原因ともなる水痘・帯状疱疹ウイルスの影響で起きる病気です。 それでは帯状

記事を読む

水痘の症状・原因・治療について

水痘はみずぼうそうともいい、水疱性の発疹が見られる病気です。 その症状は全身にあらわれ、人によ

記事を読む

汗疱を詳細に:原因,症状,検査,治療など

汗疱(かんぽう)とは、手のひらや手指、足の裏に小さい水疱(すいほう)が多発する病気です。

記事を読む

no image
期外収縮を詳細に:原因,症状,検査,治療など

期外収縮とは 期外収縮(きがいしゅうしゅく)は不整脈(ふせいみゃく)の一種

no image
副腎がんを詳細に:原因,症状,検査,治療,予後など

副腎(ふくじん)がんとは、副腎に発生する悪性腫瘍(しゅよう)のことです。 そ

薬疹を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

薬疹とは(概要) 薬疹(やくしん)とは皮膚の病気の一種であり、薬剤によって症状が

no image
副甲状腺機能低下症を詳細に:原因,症状,検査,治療など

副甲状腺機能低下症とは 副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかし

薬物性肝障害を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

薬物性肝障害とは 薬物性肝障害(やくぶつせいかんしょうがい)とは、医療機関の

→もっと見る

PAGE TOP ↑