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伝染性膿痂疹の症状・原因・治療について

公開日: : 最終更新日:2015/12/07 皮膚


伝染性膿痂疹は接触によって飛び火のように広がることから、「とびひ」とも呼ばれています。
伝染性膿痂疹は皮膚の細菌感染症のひとつです。

伝染性膿痂疹(とびひ)とは

伝染性膿痂疹は接触をきっかけにうつって短期間で、皮膚全体に拡大する病気です。

皮膚の細菌感染症のひとつで、溶血性連鎖球菌(溶連菌)やブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などが原因菌です。

これらの細菌が皮膚に感染することで症状はあらわれ、ほかの人にうつることもあります。

患部を掻きむしった手を通じて、皮膚全体に拡大していきます。

伝染性膿痂疹は夏に乳幼児や小児に発症することが多く、伝染性が強いため幼稚園や保育園などで流行することも珍しくありません。

プールなど皮膚の接触が多い場所でもうつりやすく、子供の間で感染するのが一般的です。

割合としては少ないですが、学童や成人も発症することがあります。

最近注目されているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によって起こる伝染性膿痂疹もあり、これは完治がむずかしいとされています。

伝染性膿痂疹(とびひ)の症状

伝染性膿痂疹の病型は大きく2つに分けられます。

ひとつは水ぶくれが生じて、皮膚がむけやすくなるという症状で水疱性膿痂疹と呼ばれます。

もうひとつが炎症状態となって厚いカサブタができるという病態で、これが起こるのはごくまれです。

ほとんどが水疱性膿痂疹で、ほかにも珍しい病型がありますが、まれにしか起こることはありません。

主な病型では、体幹や四肢に浅い透明の水疱ができ、黄色の浸出液、痂皮が生じてかゆみを感じます。

湿疹病変や擦り傷、虫刺されなどから生じた小さな水疱が、時間の経過とともに紅斑に変化します。

水疱は非常に破れやすいため、爛れや腫れとなります。

水疱の内側にはたくさんの菌が密集しているため、近くに拡散してどんどん伝染していきます。

軽度なかゆみはありますが、発熱などの症状は見られません。

また、アトピー性皮膚炎の患者は伝染性膿痂疹を発症しやすいと言われ、2つが合わさって強い症状があらわれることがあります。

炎症が起こる伝染性膿痂疹は痂皮性膿痂疹と呼ばれ、子供だけでなく大人も発症する病型です。

また、季節は関係なく1年を通して感染します。

小さな水疱もしくは膿疱で症状はスタートして、短期間で黄色の痂皮となります。

この状態が短期間で拡散していきます。

生じた膿疱や痂皮のまわりははじめから赤く、発熱やのどの痛みをともない、リンパ節の腫れが生じることもあります。

どの膿痂疹も四肢や顔など露出している部位にできやすく、口内などの粘膜に生じることはありません。

手や足は角質層が厚いため、膿痂疹の水疱膜が張り切った状態になりやすく、大きく変化します。

これを手足部水疱性膿皮症と言います。

炎症や腫脹も顕著に見られ、疼痛をともないます。

症状が悪化すると菌が生み出す毒素によって体中が潮紅するケースもあり、注意が必要です。

溶連菌の重症感染の場合は、腎障害などが起こることもあります。

治療によって治ってからもしばらくは尿タンパクの確認などが必要となり、長期間体に気をつけている必要があります。

伝染性膿痂疹(とびひ)の原因

水疱性膿痂疹の場合は、虫刺されや擦り傷など小さな皮膚の傷に黄色ブドウ球菌が感染することで起こります。

菌が生成する表皮剥脱毒素の影響で、皮膚の浅い場所に水疱が生じます。

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚に常在する菌で、傷口などから皮膚に浸入することがわかっています。

伝染性膿痂疹の多くは、この黄色ブドウ球菌が原因です。

痂皮性膿痂疹は主にA群β溶血性連鎖球菌(化膿連鎖球菌)の感染によって起こりますが、この毒素がどう影響を与えているのかということははっきりとわかっていません。

アトピー性皮膚炎が悪化すると細菌が入り込みやすくなるため、気をつけなければいけません。

伝染性膿痂疹(とびひ)の診断

まだ破れていない水疱や膿疱を採取して、内容液を培養することで黄色ブドウ球菌もしくは化膿連鎖球菌が確認されます。

痂皮性膿痂疹の場合は、白血球が増加してCRPと呼ばれる体に炎症が起こると血液中にあらわれるたんぱく質の一種が陽性となります。

また、連鎖球菌に対抗するための抗体が上昇することもあり、これも診断するうえでの目安のひとつとなります。

糸球体腎炎が合併症状として起こることもあるため、尿検査なども実施される場合もあります。

水疱性膿痂疹の診断はむずかしくありませんが、水ぼうそうや接触皮膚炎、虫刺され、天疱瘡、カポジ水痘様発疹症、類天疱瘡などとの誤診されることもあるので注意が必要です。

伝染性膿痂疹(とびひ)の治療

水疱性膿痂疹の場合は黄色ブドウ球菌を死滅させるため、抗菌薬を数日間内服するのが一般的です。

痂皮性膿痂疹はペニシリン系薬の効果が期待できますが、黄色ブドウ球菌との混合感染の可能性もあるため、内服薬の選択は慎重に行われます。

水疱に含まれる内容液が周囲の皮膚に付着すると症状が拡大するため、水疱の内容液は抜かれます。

痂皮、爛れや腫れが生じた箇所には抗生剤の軟膏が用いられます。

かゆみが強い場合は、副腎皮質ステロイド薬がつかわれます。

副腎皮質ステロイドは使用方法や使用量を誤ると危険なので、医師の指示に従って正しく用いることが大切です。

患部にはリント布に厚く伸ばした亜鉛華軟膏を塗布して、包帯を巻きます。

乾燥していれば抗生剤の軟膏、あるいは副腎皮質ステロイド薬の軟膏のみを塗布して、亜鉛華軟膏は控えます。

痂皮が完全になくなるまで、治療は継続されます。

膿痂疹が改善されるまでは湯船に浸かることは避けて、シャワーを浴びるようにします。

シャワーによって痂皮や分泌物をきれいに流し、軟膏を塗布します。

痂皮性膿痂疹の場合は糸球体腎炎が合併するのを防ぐために、症状が改善されても10日程度は内服は継続したほうがいいでしょう。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によって膿痂疹が起こっている場合は、抗生物質などの点滴注射が行われることがあります。

伝染性膿痂疹の治療では発疹がどう拡大しているのかを正確に把握することが大切なので、医師による診察は重要です。

伝染性膿痂疹はアトピー性皮膚炎や湿疹をともなっていることも多く、伝染性膿痂疹のみの治療では症状に変化が見られないこともあります。

また、ウイルス性の皮膚病である単純ヘルペス、あるいは重症度の高いカポジ水痘様発疹症を合併していることもあります。

さらに黄色ブドウ球菌によるぶどう球菌性熱傷様皮膚症候群、A群β溶血性レンサ球菌による猩紅熱などの重症度の高い病気の可能性がないか見極めつつ治療を継続することが大切となります。

子供が伝染性膿痂疹を発症した場合、それだけが単独で起こることはあまりありません。

あせもや乾燥肌、アトピー性皮膚炎、虫刺され、擦り傷などさまざまな病気が基盤となって、そこに細菌感染されることで伝染性膿痂疹が起こるのが一般的です。

それらの治療も進めることで、効率よく症状を改善していくことができます。

伝染性膿痂疹(とびひ)の予防方法

家族内、特に兄弟間でうつりやすいので、家族に感染者がいる場合は十分に注意しなければいけません。

同じタオルを使用しているとうつりやすいので、それぞれのタオルを用意しておくようにしましょう。

症状がある人がタオルをつかった場合は、個別で洗濯して日光消毒するようにします。

きちんと日光に当てれば、特に消毒薬などを使用する必要はないでしょう。

湿疹症状があらわれている小児の場合、細菌が付着した手で皮膚を掻きむしることで感染拡大の大きな要因とされています。

爪が伸びていると皮膚が傷つきやすいので、こまめに爪切りするようにしましょう。

患部に手を触れた場合は、石鹸などをつかってきれいに洗い流す陽にします。

ただし、手洗いをし過ぎると皮膚のバリア機能が低下して伝染性膿痂疹が悪化する恐れがあるので、洗いすぎは厳禁です。

症状がそれほど重くなくガーゼなどで保護できるようなら、幼稚園や保育園に行っても問題はありません。

しかし、口や鼻などガーゼが貼りにくい場合、あるいは子供が自分でガーゼを剥がしてしまう場合は通園は控えたほうがいいでしょう。

学校への登校には、注意が必要です。

伝染性膿痂疹は学校保健安全法で学校感染症の第三種と扱われることがあります。

法令に具体的な病名が示されているわけではありませんが、「その他の感染症」のひとつとして、場合によっては通学が制限されることがあります。

判断は医師によって行われますが、基本的にはほかの子供にうつす恐れがある場合は通学することはできません。

公共浴場や水遊び、プールなども人にうつりやすいので、避けたほうがいいでしょう。

水ぼうそうは免疫力をつけるなどして再発を予防することは可能ですが、伝染性膿痂疹の場合はそういったことで予防することはできません。

多くの伝染性膿痂疹は皮膚の傷やダメージをきっかけにして起こるので、傷がついたら早めに対処することが大切です。

アトピー性皮膚炎や乾燥肌の人は、肌が乾燥しないようにこまめにケアするようにしましょう。

夏は汗によってあせもなどのトラブルが起こりやすいので、入浴して皮膚を清潔に保つことが大切です。

伝染性膿痂疹が発症してしまった場合も、全身症状がなければシャワーを浴びたほうがいいでしょう。

また、鼻にはたくさんの病原菌が常在しているため、子供には鼻をいじらないように教えるようにします。

子供はしばしば鼻の穴に指を入れたり、鼻に触れたりするので、まわりの大人が注意を向けておくようにしましょう。

症状が出ている場合は患部には極力触れないようにし、触ったら手を洗うようにします。

子供だけでなく、皮膚のバリア機能が低下した高齢者も感染しやすいので、普段から十分気をつけておく必要があります。

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