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肥厚性瘢痕の症状・原因・治療について

公開日: : 皮膚


肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)は、外傷が治ったあとに残るあとのことを指します。
肥厚性瘢痕はどのようにでき、どういった治療が適しているのでしょうか。

肥厚性瘢痕とは

皮膚に傷ができると血液中の成分が凝固して、皮膚が付着しようとします。

通常、皮膚の表面の表皮は24時間以内に細胞が付着し、深い箇所は数日間のうちに毛細血管が生成されます。

皮下組織の繊維がつくられて1週間ほどでくっついて、傷口部分が補強されます。

外傷を縫う治療のあと抜糸が行われるのがこのタイミングですが、こういった理由からです。

通常の傷は一時的に赤みを帯びても少しずつ赤みがとれていき、一時的に色素沈着しても少しずつ白く変化し目立たなくなります。

しかし、こういった流れをたどらず、いったんは治った傷が数ヶ月後に赤みを帯、盛り上がることがあります。

いわゆる「みみずばれ」の状態で、目立つようになります。

この状態となると、引きつれやかゆみといった症状があらわれるようになります。

そういった場合は、肥厚性瘢痕の疑いがあります。

なんらかの原因で傷の治りが悪くなると、皮膚を生成する繊維細胞が過剰につくられて、その繊維の増生によって赤く盛り上がってしまいます。

肥厚性瘢痕では傷の範囲外に病変が拡大することはありませんが、場合によってはキノコ状に増大することがあります。

顔面や関節部に起こった肥厚性瘢痕の場合は、ひきつれが起こりやすくなって、機能障害の原因となることも珍しくありません。

肥厚性瘢痕と同じような状態にケロイドがありますが、ケロイドとは違って肥厚性瘢痕は時間が経つにつれて色が抜けていきます。

盛り上がりも少しずつ平らな状態となって、やわらかな傷に変化します。

治療の効果も出やすいため、きちんと治療を継続すれば治る可能性は十分あります。

肥厚性瘢痕の原因

肥厚性瘢痕がなぜ起こる原因ははっきりとわかっていません。

しかし、なりやすい人には共通するものがあるとも言われ、個人の体質が影響を及ぼすことが指摘されています。

同様の怪我や手術をしても、問題なく完治する人もいれば、肥厚性瘢痕が起こりやすい人もいます。

こういった体質は遺伝することもありますが、遺伝は関係ない場合もあります。

人種的に見ると、黒人が多く白人には少なく、日本人はその中間程度と言われています。

また、同じ人でも小学校高学年~思春期に起こりやすく、成長すると起こりにくいといったような、年齢的要素も関係していると言われています。

肥厚性瘢痕はアレルギーのひとつだという説もあり、アトピー性皮膚炎や喘息などと同じように人それぞれがもつ免疫学的活動性の関与が指摘されています。

同じ人でも、肥厚性瘢痕が起こりやすい場所や起こりにくい場所などがあります。

耳や下腹部、背部、前胸部は肥厚性瘢痕が起こりやすく、下腿や手掌、足底、顔面、頭部などは起きにくいとされています。

皮膚にかかる力学的緊張、炎症の程度も関係していると考えられています。

外傷、あるいは手術後に運動によって皮膚伸展が繰り返された場合、傷跡が化膿して治るまで時間を要したばあいなどには肥厚性瘢痕は発生しやすいことがわかっています。

肥厚性瘢痕の診断

肥厚性瘢痕は外見上の特徴で診断されるのが一般的です。

しかし、ほかのなんらかの疾患、特に悪性腫瘍などの疑いがある場合には組織を切り取って検査されることもあります。

肥厚性瘢痕とケロイドは状態が似ているため、その区別は簡単ではありません。

一般的に、ケロイドは治癒しづらい、怪我などの直接的原因がなくても生じることがあるのが特徴で、その点から肥厚性瘢痕と区別されます。

また、ケロイドは周辺への拡大の仕方が異なるため、その特徴から肥厚性瘢痕と区別される場合もあります。

ケロイドと肥厚性瘢痕はこういった違いはありますが、統一された見解がなされていないのが現状です。

専門家の間でもしばしば論争になることもあり、現在でも問題となっているのです。

しかし、一般的には赤みをもつ盛り上がった瘢痕が肥厚性瘢痕と診断されることが多いでしょう。

赤みについては発症して症状が進む間に強くあらわれ、赤紫色になってから赤みはなくなって盛り上がりのみになるなど、その状態はいろいろです。

いずれしても隆起がある間は、肥厚性瘢痕と診断されることが多いでしょう。

肥厚性瘢痕は病変や時期によって適した治療法がちがってくるため、専門医の正しい診断が必要となります。

放置せずに、早めに医師に相談して、適切な治療を開始することが大切です。

肥厚性瘢痕の治療

肥厚性瘢痕の根本的な原因はわかっていませんが、手術や外傷によって皮膚にかかる緊張を少なくする対処、あるいはアレルギーを抑制する治療を早い段階ではじめることで発生を防ぐことが可能です。

できてしまった肥厚性瘢痕に対しては、外科的治療や薬物治療、圧迫療法などが行われます。

外科的治療では病変箇所を切り取ったあとに、周囲の皮膚を縫い寄せます。

内側からこまかく縫うことで再発を防ぎ、範囲が広い場合は皮膚の移植をして対処します。

単純な手術だと再発しやすいので、保存的治療方法を同時に行うのが一般的です。

手術後に再発すると傷が大きくなる可能性が高いので、手術後も予防のために外用治療や内服をつづけていく必要があります。

再発を防ぐために放射線療法が取り入れられることもあります。

放射線療法を行うことで、再発は大幅に低下すると言われています。

放射線療法では、電子線を数回~十数回にかけて照射していき、傷口の皮膚繊維細胞の増殖を抑制します。

この治療法はケロイド治療にも用いられます。

薬物療法では副腎皮質ホルモン薬を病変があらわれている部位に直接注射すると言う方法が行われることが多いでしょう。

副腎皮質ホルモン薬は抗炎症作用をもち、皮膚繊維細胞の増殖を抑制します。

かゆみや赤みにも効果を発揮するため、この症状に最適です。

副腎皮質ホルモン薬は塗り薬やテープなどもありますが、直接皮膚に注入できる方法がもっとも効果的だと言われています。

病変に厚みがあるケースでは、テープなどの効き目が深く浸透しづらいため、注射が適しています。

肥厚性瘢痕のほとんどは数回の注射によって、かゆみや痛みが抑制されます。

肥厚性瘢痕が生じている箇所は知覚が過敏になっていることがほとんどで、しかも硬い組織へ注射するため、強い痛みをともないます。

人によっては痛みが強いストレスとなって治療を途中でやめることもあります。

さらに、1ヶ月に1度程度治療をつづける必要があります。

また、薬の効果が強く出過ぎると皮膚がへこんでしまうことがあるので、使用には慎重さが求められます。

病院によっては周辺皮膚に局所麻酔を施すこともあるので、痛みがつらいという人は医師に相談してみるといいでしょう。

テープを用いる場合は瘢痕を超えた範囲に貼ると、問題ない場所も赤みを帯びることがあります。

生じた赤みはとれにくいので、テープは慎重に貼らなければいけません。

治療で内服薬を用いることがあります。

リザベン(トラニラスト)という内服薬は保険適用される肥厚性瘢痕の治療薬なので、これをつかって治療を進めていきます。

リザベンは抗アレルギー薬でもあるため、増殖する皮膚繊維細胞を抑制することが可能です。

リザベンには患部の赤みやかゆみを抑制する作用もあります。

圧迫療法はシリコンゲルシートクッションやスポンジなどを患部に当てて、粘着テープやサポーター、包帯などで圧迫するというものです。

圧迫することで肥厚性瘢痕の血流を滞らせて、皮膚繊維細胞の増殖を抑制します。

また、圧迫することで動作や衣服によって患部がこすられないため、患部への刺激を緩和させることが可能です。

肥厚性瘢痕は、そのほとんどが時間の経過ともに平坦になっていき、色も少しずつ薄く目立たなくなっていきます。

そのため、外科的治療は決して急がず、経過観察が重要視されます。

また、患部を過度に動かさないようにするといった日常的な工夫も大切だと言えるでしょう。

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