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クローン病を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/05/25 腸の病気

人間は摂取したものを消化し、栄養を吸収することによって、生命維持に欠かせないエネルギーを確保しています。

食べ物などを摂取し、体内で消化・吸収が行なわれて、最後には不要なものを排泄するまでの役目を果たしている器官のことを消化器(しょうかき)とよびます。

消化器としては胃や腸のほか、食べるときにまず通過することになる口腔(こうくう)、栄養素の貯蔵や加工を行なう役目を果たす肝臓なども該当します。

消化器のなかで、食物や水分が通過する道にあたる部分のことを消化管(しょうかかん)とよびます。

消化管には摂取したものが通過する順に口腔、咽頭(いんとう)、食道、胃、小腸(十二指腸(じゅうにしちょう)、空腸(くうちょう)、回腸(かいちょう))、大腸、肛門までが含まれており、全部で6メートルほどの長さがあります。

食物は消化管を通過して消化・吸収されますが、消化・吸収しきれず残った分が糞便として体外へと排出されることになります。

消化管の仕事をもう少しくわしく説明すると、食物を口に含み咀嚼(そしゃく)をすると唾液と混じり、唾液に含まれている消化酵素によってデンプンの消化が行なわれます。

次に、摂取したものが食道を通り過ぎて胃に入ると、一時的に胃のなかで貯蔵され、撹拌(かくはん)されて胃液に含まれている酵素や酸により、タンパク質が消化されます。

摂取したものが胃で撹拌されたあとは十二指腸へと送り込まれて、膵液(すいえき)や胆汁(たんじゅう)と混じり、酵素による消化が進みつつ小腸のなかを移動していって、そのあいだに栄養素の吸収が行なわれます。

そして大腸まで移動すると水と電解質が吸収されて、消化・吸収が行なわれなかった分や老廃物は肛門まで送り込まれて排泄されます。

大腸および小腸の粘膜の慢性の炎症や潰瘍(かいよう)が発生する病気をまとめて炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)=IBD(Inflammatory Bowel Disease)とよびます。
クローン病(くろーんびょう)は炎症性疾患の一種です。

炎症性腸疾患には細菌や薬剤といった、明確な原因で引き起こされる特異的炎症性腸疾患(とくいてきえんしょうせいちょうしっかん)と、原因がわからない非特異的炎症性腸疾患(ひとくいてきえんしょうせいちょうしっかん)に大別されています。
クローン病は原因不明の病気であり、非特異的炎症性腸疾患にあてはまります。

なお、特異的炎症性腸疾患としては、腸結核(ちょうけっかく)、赤痢(せきり)、腸チフス(ちょうちふす)といった感染性腸炎(かんせんせいちょうえん)、抗生物質起因性腸炎(こうせいぶっしつきいんせいちょうえん)などの薬剤性腸炎(やくざいせいちょうえん)のほか、放射線腸炎(ほうしゃせんちょうえん)、虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)といった病気が含まれており、非特異的炎症性腸疾患としては、クローン病のほかに潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)があります。

クローン病は口腔から肛門までの消化管のどこにでも炎症や潰瘍が発生する可能性がありますが、主に小腸や大腸に引き起こされます。

小腸と大腸に引き起こされるクローン病は小腸大腸型(しょうちょうだいちょうがた)、小腸だけに引き起こされるクローン病は小腸型(しょうちょうがた)、大腸だけに引き起こされるクローン病は大腸型(だいちょうがた)といいます。

発生した炎症や潰瘍によって、腹部の痛みや下痢、血便、体重の低下などの症状が引き起こされます。

この病気は指定難病として認定されており、日本国内でのクローン病の罹患者(医療受給者交付件数)は年々増加しています。
2013年度における罹患者の数は約40,000人です。

発症年齢は男性の場合は20歳代前半、女性の場合は10歳代後半が一番多く、男性と女性では男性のほうが倍程度多いです。
このようにクローン病は若くして発症し、よくなったり再燃したりしつつ、長年にわたり持続します。

なお、クローン病を完治させる治療法は現状で確立されていませんが、的確な治療を行なうことによって病気を抑えて、健康状態に問題のない人とほぼ一緒の日常生活を送ることが可能です。

クローン病の原因

クローン病の原因は解明されている?

現状において、クローン病の原因は不明です。

考えられている原因としては、元々クローン病を起こしやすい遺伝的な体質の人に、食事・感染・化学薬品といった環境因子が加わって、腸内に存在する細菌や腸の粘膜の免疫を調節するしくみに異常が起こり、発症・増悪(ぞうあく=病気の症状が悪化すること)するというものです。

クローン病は遺伝病?

この病気にかかっている人と血縁関係にある人は、そうでない人と比較してクローン病が引き起こされるリスクが高めであることが知られています。
また、家族内でクローン病が起こったという報告が多数あります。

このようなことから、遺伝的な因子の関わりがあるという見方がされていますが、クローン病はいわゆる遺伝病ではありません。

現状でクローン病の発症リスクが高い遺伝子が複数報告されているものの、現状では一種類のみの遺伝子の関与によって引き起こされるのではなく、いくつかの遺伝子と環境因子が複雑に関わり合って引き起こされるという見方がされています。

クローン病の危険因子

クローン病が引き起こされるリスクが高まる、またはクローン病の増悪に繋がるような原因のことを危険因子といいます。
主な危険因子としては食事があります。

国外では糖質、とくに砂糖の摂り過ぎ、日本では脂肪と砂糖が大量に含まれているファストフードが危険因子になると考えられています。
このほかの危険因子としては、タバコがあります。

タバコはクローン病の発症・増悪のリスクを高めるだけでなく、タバコを断つことにより手術後の再発が起こりにくくなるほか、タバコが薬剤による効果を失わせてしまうことも示されています。

そのほか、NSAIDs(エヌセイズ、エヌセッズ)ともいう、ある種の非ステロイド抗炎症薬や、経口避妊薬がこの病気の発症・増悪のリスクを高めることが知られています。

クローン病の症状

クローン症ではどのような症状が引き起こされるのか?

この病気による症状は、どこで発生しているのか、また病気の程度によって違いがありますが、よくあるのは食事を摂ると腹痛や下痢の症状が出現し、やがて栄養障害によって体重が低下してくるというものです。

クローン病と診断されたときに、お腹の痛みやお腹を下す症状は、70%以上の人に起こっています。
よくある症状のうち、お腹の痛みは腸に炎症や潰瘍が発生することが原因で出現します。

また、炎症が生じていることで腸が狭まる狭窄(きょうさく)、腸の内容物がつかえてしまい、ひどい腹部の張りや激しい痛みの症状が出現することがあります。
お腹を下してしまう症状は、腸に炎症や潰瘍が発生し、消化・吸収が正常に行なわれなくなることによって出現する症状です。
便に血液が混じる血便の症状は30%の人に起こりますが、大出血を起こすようなことはほぼありません。

肛門の異常は50%以上の人に起こり、肛門の潰瘍が発生するほか、肛門まわりに膿が貯留したり出てきたりして痛みを感じる症状や、裂肛(れっこう)といういわゆる切れ痔(きれじ)といった異常が引き起こされることもあります。
なお、肛門の症状に関しては、別の症状に先行して出現するケースもあります。

体重低下、発熱、倦怠感(けんたいかん)、食欲減退といった全身症状は、診断が下されるときに40~70%の人に起こっています。
腸に炎症が生じることで消化・吸収が正常に行なわれなくなっており、栄養障害を招いて体重が落ちます。

また、炎症がひどくなると共に発熱がの症状が起こり、微熱の場合が多いですが、体の組織内の一部に膿が貯留する膿瘍(のうよう)などの合併症が引き起こされていると、高熱が出るケースもあります。

そのほか、口内の浅い潰瘍や口内炎(こうないえん)も、クローン病にかかっているときに起こりやすい症状です。

クローン病で引き起こされる合併症

腸が狭まる狭窄、腸同士、腸と体外または腸と膀胱(ぼうこう)・膣(ちつ)といった臓器のあいだに管状の穴が生じて繋がる瘻孔(ろうこう)、膿が貯留する膿瘍が合併症として起こり得るほか、大出血、大腸癌(だいちょうがん)、肛門癌(こうもんがん)が珍しいケースではあるものの引き起こされることがあります。

クローン病の年数が長くなるのに伴って合併症は増加し、手術を受けなければいけなくなることも少なくありません。

なお、瘻孔に関しては、腸同士、腸と膀胱といった具合に、体のなかにある臓器と臓器が潰瘍から発生した管状の穴で繋がったもののことを内瘻(ないろう)といい、管状の穴によって腸と皮膚が繋がったもののことを外瘻(がいろう)とよびます。

また、合併症では腸だけではなく、関節、皮膚、眼などに異常が発生することがあります。

関節の異常はクローン病にかかっている人の30%以上に、皮膚の異常はクローン病にかかっている人の2%ほどに、眼の異常はクローン病にかかっている人の1~2%に引き起こされます。

関節に起こる合併症としては手足に引き起こされて、痛みを伴う関節炎(かんせつえん)が、皮膚に引き起こされる合併症としては、足首やすねが赤く腫れる結節性紅斑(けっせつせいこうはん)、足などで皮膚が死に、炎症や痛みが引き起こされる壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)が、眼に引き起こされる合併症としては、眼の虹彩(こうさい)、結膜(けつまく)、ぶどう膜に炎症が生じて痛みが出ることがある虹彩炎(こうさいえん)、結膜炎(けつまくえん)、ぶどう膜炎(ぶどうまくえん)があります。

それから、原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん)という胆管が炎症を起こし、胆管が狭まって胆汁の流れが悪くなり、肝臓の働きが悪くなる病気が、クローン病にかかっている人の1~3%ほどに引き起こされます。

そのほか、成長障害、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、血管炎(けっかんえん)といった合併症が、小児ではよく起こります。
炎症性腸疾患にかかっている小児では、腸とは別のところの合併症がよく起こっていることが知られています。

なお、引き起こされる合併症としては、治療のために使用する薬に対し本来期待されている作用ではなく、好ましくない作用=副作用によって引き起こされるものも入ります。

クローン病の検査・診断

血液検査

引き起こされている症状と診察によってこの病気の可能性がある場合には、血液検査が行なわれます。

血液検査は免疫機能に深く関与している白血球の数、炎症や組織細胞が壊れると血清中で多くなるたんぱく質のCRP、赤血球が試験管内を沈む速度を示し、炎症を伴う病気の有無や程度を把握できるす赤沈値(せきちんち)で炎症反応を、血清たんぱく、アルブミン、コレステロールの数値を確認して栄養状態を、赤血球の赤い色素であるヘモグロビンの数値を確認して貧血(ひんけつ)をといった具合に、異常の有無や程度を調べることを目的に行なわれます。

血液検査で得ることのできる情報は、クローン病の活動強度を表していることが多く、定期的に血液検査で状態を調べることになります。

画像検査

クローン病の特徴的な異常を発見し、その異常がどこで起こっているのか、どのような状態なのかを知るための検査が、消化管の画像検査です。

クローン病は消化管のどこでも起こり得ますが、よく起こる大腸と小腸の終わりの部分の様子をみるために、大腸内視鏡(ないしきょう)検査やバリウム注腸造影(ちゅうちょうぞうえい)検査が行なわれています。

大腸内視鏡検査は、肛門から細長く柔軟な内視鏡(カメラ)を入れて、大腸と小腸の終わり部分を直接みて、組織の一部を採取して顕微鏡で観察する生検病理(せいけんびょうり)検査まで行なうことが可能です。

注腸造影検査は、肛門に管を挿入し、バリウムなどの造影剤という薬と空気を流し込み、大腸のX線画像を撮影する方法です。

こうした画像検査では、腸の縦方向に生じた長い傷である縦走潰瘍(じゅうそうかいよう)、潰瘍周囲の粘膜が隆起し、丸い石が敷き詰められているような様子を示す敷石像(しきいしぞう)といった、クローン病に特徴的な異常を確認してこの病気か否かを判定します。
縦走潰瘍や敷石像以外にも、狭窄や瘻孔が確認されるケースもあります。

さらに、内視鏡検査を行なった際に、わずかに腸の粘膜をつまんで、顕微鏡で観察することによって肉芽腫(にくがしゅ)というクローン病に特徴的な異常が起こっていることを確かめることも可能です。

大腸の画像検査で診断できたケースでも、口または鼻から入れた管から造影剤を流し込み、X線画像を撮影する小腸の造影検査や胃内視鏡検査によって消化管全体を調べることにより、その状態を把握することは、患者に合った治療を選択するためには有用です。

とくに、大腸内視鏡検査で診断が困難なケースでは、小腸全体の検査と胃内視鏡検査は不可欠です。
さらに診断が困難なケースや、より詳しく探りたいという目的があるケースでは、小腸の内視鏡検査が選択されることがあります。

感染が原因の腸炎とクローン病を見分けるための検査

間違いのないクローン病の診断のためには、クローン病と似た病気と見分けなければいけません。

腸結核など感染が原因で引き起こされる腸炎を除外することを目的に、便を採取して培養し、細菌の有無や量、種類を探る検査や、特殊な血液検査、ツベルクリン液を注射し、48時間後に注射部位の赤みや腫れなどの反応を確認することで、結核菌に感染しているかどうかなどを見極める検査が行なわれています。

腸の合併症を調べるための検査

膿瘍、痔瘻(じろう)といった、クローン病によって引き起こされる腸の合併症にあてはまるような症状がある人には、画像検査である腹部CT検査やMRI検査が行なわれています。

腹部CT検査はX線を照射することにより、断面を画像化する検査方法であり、MRIは電磁波を照射することで腹部の断面を画像化する方法です。
MRIはX線不使用であり、放射線被ばくの心配がありません。

クローン病の治療

薬物療法

クローン病の症状が出ている活動期(症状が重い時期)には、5-アミノサリチル酸製剤、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド、免疫調節剤といった内服薬が使用されています。

5-アミノサリチル酸製剤は腸の粘膜に直接作用して炎症を抑制する薬、副腎皮質ステロイドは強い抗炎症作用を発揮する薬、免疫調節剤は過剰な免疫反応抑えることで、寛解(かんかい)といって症状のないまたは軽い状態へと導いたり、その状態を維持したりする効果、副腎皮質ステロイドの服用量を減少させる効果が期待できる薬です。

5-アミノサリチル酸製剤と免疫調節剤に関しては、症状が落ち着いても、再燃を防ぐことを目的に、続けて使用することになります。

また、上記の薬が効果を発揮しなかったときには、抗TNFα受容体拮抗薬(こうてぃーえぬえふあるふぁじゅようたいきっこうやく)という、炎症を生じさせるTNF-αとよばれる物質の作用を抑制する薬が使用されます。

抗TNF-α受容体拮抗薬を使用することにより、活動期にあるクローン病を寛解に導く効果のほか、寛解の状態を保つ効果、副腎皮質ステロイドの使用をやめる効果を期待することができます。

さらに、潰瘍や瘻孔の改善効果があるほか、入院や手術を少なく済ませることが可能になると考えられています。

栄養療法

口から液体の栄養剤を摂取するか、鼻から胃内部までチューブを挿入して、そこから栄養剤を流し込む経腸(けいちょう)栄養療法があります。

活動期にあるクローン病を寛解へと導くことや、寛解状態を維持するためにも効果的です。

重症の場合には絶食し、胸などの静脈に挿入したカテーテルという管から栄養分を流し込む完全静脈栄養療法を選択しなければいけません。

完全静脈栄養療法は、腸管が極端に狭くなっているケース、クローン病による小腸の病的変化がひろい範囲におよんでいるケース、最初にあげた栄養剤の経口・経鼻での補給が不可能なケースなどで選択されています。

血球成分除去療法

保険の使用が可能な血球成分除去療法として、顆粒球(かりゅうきゅう)除去療法があります。

この血球成分除去療法では、炎症の原因になっている白血球のうち、顆粒球と単球(たんきゅう)を血液から除去することで、炎症を抑制する効果を狙います。

血液透析の装置を使用して血液を取り出して、フィルターやビーズで白血球を除去し、この治療を受けている人の体に血液を戻す方法です。

手術療法

薬物療法などの内科的治療の効果が不十分で、社会生活を送ることが困難な場合、外科的治療を行なわなければいけなくなります。

クローン病を発症して5年で約30%の人が、10年では約70%の人が外科的治療を経験しています。
腸管に異常がある人に対する外科的治療では、切除範囲を最小限にするのが基本です。

腸閉塞(ちょうへいそく)を起こした、腸に穴があいて腹膜炎(ふくまくえん)、腸に発生した潰瘍からの大出血が起こった、腸や痔瘻の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)が発見された、腹腔内(ふくくうない)や腹壁(ふくへき)に膿が貯留した場合には、絶対的適応といって緊急手術をする形になります。

一方、腸が狭まり食事の通りが悪くなった、腸に穴があいて腸同士、腸と別の臓器、腸と体外のあいだが繋がってバイパスが形成された、薬物療法などの内科的治療の効果が発揮されない、治りにくい肛門の異常がある場合には相対的適応といい、患者の状態次第では手術をする形になります。

クローン病の手術としては、吻合(ふんごう)術と狭窄形成術があります。
吻合術は、狭まりのあるところや穴があいているところを切除し、腸同士を縫合します。

小腸が短くなると、口から摂取するだけでは十分な栄養を取り込むことが困難になるため、小腸の切除を行なう範囲はできる限り小さくします。

これに対し狭窄形成術に関してですが、クローン病では異常が起こっている部位が連続していないという特徴があり、小腸で異常が起こっているところを残さず切除してしまうと、口から摂取するだけでは十分に栄養を取り込むことが困難になってしまう可能性があります。

そのため、異常が起こっているところの切除は行なわずに、狭まっているところをひろげることによって、腸管のとおりをよくするのですが、このような手術療法のことを狭窄形成術といいます。

そのほか、クローン病では裂肛、潰瘍、肛門周囲膿瘍、痔瘻といった肛門の異常が生じることが多いです。
内科的治療がうまくいかない場合、繰り返し再発する場合には、手術を受けることがあります。

シートン法といって、肛門周囲に貯留して膿がスムーズに排出されるよう、瘻孔内に交通を促進する糸のドレーンを通して留置します。
膿が円滑に排出されなければ膿が蓄積されて痛み、発熱が生じますが、ドレーンの留置により常に膿の排出が行なわれるようになります。

また、直腸に活動性の異常が存在し、治りにくい肛門の異常が存在する場合には、直腸の切除を行なうことでストーマという人工肛門に置き換えるケースもあります。

内視鏡的拡張術

クローン病によって腸管が狭まっている場合には外科的治療が検討されますが、内視鏡的拡張術が選択されることがあります。

治療の名前にあるとおり内視鏡を使用する方法で、風船状の医療機器であるバルーンを挿入し、このバルーンを拡張させることによって、狭窄を起こしている腸管をひろげます。

クローン病は完治する病気なのか?

この病気を完治させることができる治療法は、現状において確立されていません。
症状がない寛解を長いあいだ保っている人もいますが、クローン病は再燃を招くことが多いです。

寛解したり再燃したりを繰り返し、生涯にわたって付き合っていかなければいけなくなるのが基本なのが、クローン病の特徴のひとつです。

クローン病の日常生活における注意点

食事

動物性脂肪はクローン病の悪化に影響していることが知られており、食事は低脂肪で低残渣(ざんさ)のものが推奨されています。

低残渣食というのは、消化管に対する負担を軽くするため、消化に悪い食物繊維を控えるよう調整した食事のことをいいます。
脂肪は魚介類、えごま油、なたね油、しそ油で摂取する場合、悪影響はありません。

また、たんぱく質は植物性食品や魚介類で補給し、魚介類のなかではとくにイワシ、サンマ、サバといった青魚がおすすめです。
そのほか、刺激物を避け、甘い食品や冷たい食品には注意し、外食はなるべくしないに越したことはありません。

アルコール

お酒に含まれているアルコールを摂取すると、腸の粘膜はダメージを負ってしまいます。

飲酒がクローン病におよぼす影響に関してははっきりしていないものの、腸の粘膜がダメージを受けることによって、病状に悪影響がおよぶ可能性はあります。

ただし、症状がないまたは軽い時期である寛解期にある人は、少量のアルコール摂取であれば問題ありません。

タバコ

喫煙がクローン病の発症リスクを上昇させることが知られています。

また、クローン病にかかり、薬や手術で寛解したあとの再発・手術のリスクは、タバコを吸わない人と比較して吸う人のほうが高いことが示されています。

さらに、1年以上の禁酒に成功した人のほうが、その後の経過が良好なことも知られています。
このようなことから、タバコを吸う習慣がある人は、禁煙に取り組んだほうがよいでしょう。

便臭

クローン病にかかっている人で、自分の便臭に対して神経質になる人がいます。

便のニオイが気になる場合には、食事内容の見直しを行なうことにより、腸内環境を整えることによって、不快なニオイを抑制できる可能性があります。

ただ、自分だけが過度にニオイを意識しているだけで、実際にはほかの人はまったく気にしていないことも珍しくありません。

とはいえ、やはり気になってしかたがないという場合には、先述した腸内環境の正常化と共に、消臭パッドの使用や消臭下着を身に着けるなどの対策を取り入れてみるとよいでしょう。

口内のケア

クローン病にかかっている人のなかには、むし歯でツライ思いをしている人が多いといわれています。

むし歯を防ぐためには、むし歯に繋がる歯垢(しこう)が蓄積しやすい歯の溝、歯と歯のあいだにあるすき間を丁寧にみがくことが大切です。

家庭でのケアだけでなく、定期的に歯科医院に通って口腔内を健康・清潔に保つというのもよいでしょう。

肛門のケア

排便を済ませたとき、トイレットペーパーでゴシゴシ拭くのはやめましょう。
強く拭いたところの皮膚を傷めてしまう原因になるためです。

温水シャワーを使用することにより、肛門を洗浄することをおすすめします。
なお、ただれているときには的確な処置をほどこさなければいけない場合があるため、医師に判断をあおぎましょう。

進学・就職

クローン病の発症年齢は、男性の場合は20歳代前半、女性の場合は10歳代後半が最多であり、進学や就職の時期と重なってしまう人は少なくありません。

進学や就職のような環境の変化は何かとストレスがたまりがちですが、ストレスはクローン病の症状に悪影響をおよぼしてしまうことが知られています。

ストレスは万病のもとといわれているためクローン病に限った話ではありませんが、ストレスは放置することなく自分なりの健康的な方法でうまく発散しましょう。

妊娠・出産

若い年齢で発症するため、妊娠・出産の時期と重なることも少なくありません。
クローン病であることが妊娠・出産に悪影響があるのではないかと、不安に感じる人は多いでしょう。

この点に関してですが、妊娠・出産でクローン病が問題になることは基本的にありません。
クローン病にかかっている人でも、適切な治療を受けて寛解を維持し、再燃を防ぐことによって無事に妊娠・出産している人は多数います。

なお、女性だけでなく男性がクローン病にかかっていたり、この病気の治療を受けていたりすることで、妊娠・出産に問題を起こすことはまずあり得ません。

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