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物忘れ改善対策の基礎知識

公開日: : 最終更新日:2016/02/16 頭・脳・神経の病気 , , , ,

物忘れ改善対策の基礎知識

物忘れとは…

ある程度の年齢を過ぎると、「最近、物忘れがひどくって・・・」と感じることは多くの人にあると思います。

ですが、人間である以上、物を忘れるというのが必要なことであるのも事実。

もし、生まれてから現在まで経験してきたことの全てを忘れることなく覚えていたら、私達の脳は情報でいっぱいになって機能しきれないかもしれません。

それに、いわゆるトラウマなどのように、忘れてしまった方がその後の生活をおくる上で有利になるということもあります。

そう考えると、忘れるということが全て悪いというわけではないようです。

ただ、思い出したいことがすぐに思い出せないというのは辛いもの。

芸能人の話をしている時に「顔は浮かんでいるのに名前が思い出せない・・・」という状態になると、やっぱり気持ち悪いですよね。

しかし、よく考えると思い出せることもあるわけですから、完全に記憶がなくなっているわけではないようです。

つまり、物忘れとは、何かを忘れていると言うよりも、覚えている情報を引き出せない状態といったほうが正確かもしれませんね。

思い出したい情報にアクセスする機能が、やや低下している状態とでも言うのでしょうか。

それが一時的なものであれば、特に気にする必要はありません。

ただし、その原因が病的なものなら、何らかの治療も必要となってきます。

ですから、自分のもの忘れが一時的なものなのか、あるいは何らかの病気によるものなのかということを見極めることが大切なポイントと言えそうです。

正常な物忘れと病的な物忘れの違い

物忘れをすること自体はだれにでも起きることですから特に気にする必要はありませんが、その原因が病的なものになると話は変わってきます。

では、正常な物忘れと病的な物忘れの違いというのは、どこにあるのでしょうか?病的な物忘れというと、その代表的なものとしてあげられるのが「認知症」や「アルツハイマー病」などですね。

物忘れが激しくなってきた時に、これらの病気を心配される方も少なくないと思います。

ですが、正常な物忘れと、認知症などの病的な物忘れには決定的な違いが存在しています。

それは、『自分が物忘れしていることを認識できているかどうか』ということです。

例えば、「隣の部屋に何かを取りに来たのに、何を取ろうとしていたのかを忘れた」というのが正常な物忘れで、「隣の部屋に何かを取りに来たこと自体を忘れている」というのが病的な物忘れです。

つまり、物忘れを悩んでいるうちは正常で、病的な物忘れになると悩むことすらなくなってしまうというわけですね。

あるいは、「朝、何を食べたのかを忘れている」のが正常な物忘れで、「朝食を食べたこと自体を忘れている」のが病的な物忘れということもできます。

この場合も、前者は忘れたから思い出そうとしているわけですが、後者は食べたこと自体がわからないので思い出そうともしていない状態ですね。

ですから、総じて「最近物忘れがひどくって・・・」と悩んでいる間は、まだまだ大丈夫だと言えそうですから、あまり気にし過ぎないようにしておきましょう。

認知症・アルツハイマー・痴呆症・ボケの違い

病的な物忘れの中でも、特に代表的なものとしてあげられるのが「認知症」や「アルツハイマー」、「痴呆症」、「ボケ」などの症状ですね。

これらの病気に似たようなイメージを持っている方は多いと思いますが、具体的にどんな違いがあるのかをご存知でしょうか?実は、これらの病気は、ほぼ同じものと考えて構いません。

どれも、脳に障害が起きることによって病的な物忘れが進行するというもので、これらすべてを総称する言葉が「認知症」ということになります。

そして、「アルツハイマー」は脳が萎縮することによって認知能力が低下するという病気のことです。

「アルツハイマー型認知症」と呼ばれることもありますが、認知症の中には「脳血管性認知症」というものもありますので、アルツハイマーは認知症の一種と考えて構わないと思います。

また、「痴呆症」や「ボケ」というのは、認知症の別名といえるでしょう。

元々は「痴呆症」や「ボケ」という呼び方のほうが一般的だったのですが、これらの呼び方には侮蔑的な意味合いが含まれてしまっていて、病気なのに差別につながりやすいということから「認知症」という言葉が正式名称として定められています。

ですから、医学用語としては「認知症」が使われていますが、今でも俗語としては「痴呆症」や「ボケ」と呼ばれる場合もあるようです。

とはいえ、「痴呆症」や「ボケ」という呼び方には、やはり悪いイメージがついて回りますので、基本的には使わないほうがいいでしょう。

老化と物忘れ

「ある程度の年齢を過ぎると、老化現象のために物忘れがひどくなるのは仕方がないこと」多くの方がそう考えていると思いますが、実はこれ、半分本当で半分間違いといえるようです。

確かに、脳も身体の器官の一つですから、年齢とともに衰える、いわゆる老化現象は起こります。

ですが、脳というのは適切な負荷をかけていけば、年齢にかかわらず機能を維持することができ、場合によってはさらに機能を発達させられるということもわかってきているのです。

もちろん、脳の部位によっては老化によって明らかに退化するところもあるのですが、発達の余地がある別の部位の機能が向上させることによって、退化した部分を十分にフォローすることができるんですね。

ですから、老化したからといって物忘れがひどくなることをあきらめるのは、早計といえるかもしれません。

では、適切な刺激というのはどんなものなのかというと、いわゆる「脳トレ」とよばれているものですね。

簡単な計算問題を解いたり、文字の書き取り練習をしたりする単純なものから、絵を描いたり楽器を弾いたりするような幾分高度なものまで、色々な脳トレが存在しています。

要は、脳そのものを使うことと、脳に刺激がいくように手や指先をよく使うことというのが大きなポイントになるようです。

また、「楽しんで行う」ということも大切なポイントだと言われています。

好きな趣味を存分に楽しみながら脳の老化を食い止め、物忘れも最小限にとどめておきたいものですね。

薬と物忘れ

薬と物忘れの関係性も、気になるところだと思います。

何らかの症状を改善するために飲んでいる薬の副作用によって物忘れがひどくなるということも、残念ながらあり得るようです。

特に、「睡眠薬」や「精神安定剤」、それに「抗うつ薬」などの精神疾患の際に用いられる薬は、その傾向が強いといえるでしょう。

ある意味で精神の緊張を解きほぐす作用がある薬ですが、そのためにボーッとしたような状態になり、記憶力が低下する要因になってしまいます。

また、これらの薬は依存性が高いという傾向もあるため、常用することが続くと、ますます物忘れがひどくなるというケースも少なくありません。

もちろん、原因はハッキリしているわけですから、薬を減らせば物忘れもなくなってくるはずですが、これらの薬は医師の指導のもとで飲んでいるでしょうから、担当医と相談しながら量の調節をしていく必要があるでしょう。

逆に、物忘れに効くと言われている薬もあります。

これは物忘れの中でも、アルツハイマー病や血管性の認知症のための薬ということになりますが、病状の進行を遅らせる薬というものが研究されているようですので、医師に相談すれば処方してもらえることもあるでしょう。

さらに、薬ではありませんが、脳に良いと言われている「EPA」や「DHA」などのサプリメントを摂るということも、物忘れの改善には効果が期待できるかもしれません。

本格的な薬になると、どうしても医師の指導のもとで服用する必要がありますが、サプリメントなどでしたら手軽に摂取することができますね。

心の病と物忘れ

心の病と物忘れにも、深い関係があります。

心の病といえば、「うつ病」などが代表的ですが、どうしても何かをしようという意欲も低下してきますし、新しいものへの好奇心も少なくなってしまいますので、何かを見ても記憶に定着することがなくなってくるものです。

それに、意欲が低下するということは物事に対する価値観も低くなり、重要度を感じることもなくなりやすいですから、思い出そうという気持ちもなくなってくるでしょう。

すると、当然ながら物忘れはひどくなるものです。

さらに、うつ病などの場合は治療のために投与される薬の影響で、物忘れに拍車がかかってしまうという傾向もあるようです。

いわゆる「精神安定剤」や「抗うつ薬」などは、気持ちを落ち着ける働きをするわけですが、それにより意識がボーッとしてしまう傾向もありますので、記憶しようという意欲も、思い出そうという意欲も下がってしまうのでしょう。

また、物忘れの中でも、正常な物忘れではなく、「認知症」などの病的な物忘れの場合は、それ自体が心の病ということもできます。

認知症は脳機能障害の一つと分類することができますが、初期症状のうちには物忘れだけでなく被害妄想などで苦しむ人も少なくありませんので、心に影響を与える部分もかなりあるのです。

このように、心の病と物忘れには深い関係がありますので、できる限り健やかな状態を保ちたいもの。

そのためには、普段からストレスを溜めないようにするなどの心がけが大切と言えそうです。

脳疾患の検査

物忘れで脳疾患の検査というのは大げさに感じるかもしれませんが、実は関係のあることなんです。

特に、認知症などの病的な物忘れの場合には、脳疾患の検査を受けることで早期発見が可能になり予防につながるというケースもあるようです。

とはいえ、直接的に認知症が発見できるというわけではなく、主には「脳梗塞」はじめとする脳血管性の病気を見つけることが主な目的となります。

認知症の約半分は脳血管性のものですから、脳梗塞や脳卒中がキッカケとなって発症するケースも多いんですね。

ですから、脳疾患の検査が認知症の予防にもつながってくるというわけです。

それに、脳梗塞などを発症してしまうと命にも関わってきますし、助かったとしても身体に重篤な症状が残る場合がほとんどですから、検査を受けることで早期発見しておくほうが安心なのは言うまでもありません。

最近では「無症候性脳梗塞」と呼ばれる、ほとんど自覚症状がないまま気が付かないうちに進行してしまうタイプの脳梗塞も増えてきているようです。

このような病気を発見する方法は検査を受けるということしかありませんから、特に問題を感じなくても一度受けておくほうがいいでしょう。

ちなみに、脳疾患の検査のことを「脳ドック」と呼ぶこともあります。

脳ドックの検査内容は、「MRI」や「MRA」、「マルチスライスCT」、「超音波検査」などの他に「脳波測定」や「心電図」、「血圧測定」、「血液検査」、「尿検査」それに「眼底検査」など、かなり幅広い角度から行われています。

妊娠中・産後の物忘れ

意外と知られていないことなのですが、妊娠中や産後というのも物忘れが多くなる時期です。

なぜこの時期に物忘れがひどくなるのか、その理由はハッキリとはわかっていないようですが、一説によると「ホルモンのバランスが崩れること」が関係しているのではないかと言われています。

また、妊娠中は母親の血液が赤ちゃんの方に流れていきますから、それも関係していると考えられますし、産後になると赤ちゃんの世話をすることにかかりっきりになり疲れてしまいますから、そういったことも物忘れが多くなる原因になるのでしょう。

夜泣きなどで睡眠時間が少なくなると、どうしても集中力も途切れがちになりますから、物忘れが多くなるのも自然なことのような気がします。

ですから、妊娠中や産後の物忘れというのは無理のないことと考えていいでしょう。

実際には、物忘れそのものより、「物忘れがひどくなった」と必要以上に気にしすぎてしまうことかもしれません。

それでなくても、妊娠中や産後は大変な時期ですから精神的にもバランスを崩しやすいもの。

その上、物忘れのことまで気にしていたのでは、身も心も持たなくなってしまいますし、赤ちゃんにも悪い影響を与えてしまいかねません。

意外とそのようなことから育児ノイローゼなどに発展してしまうことも考えられます。

ですから、「今は物忘れをしても当たり前」と考えて、明るく笑い飛ばすくらいで丁度いいと言えそうです。

また、家族をはじめ周囲の人も、そのことを理解して暖かく接することが大切です。

物忘れと睡眠

物忘れと睡眠の関係というのも重要なものです。

睡眠が私たち人間にとって重要なものであることは言うまでもないと思いますが、それだけに睡眠不足などになると、様々な問題が生じてきます。

実際のところ、睡眠不足が続いた時に集中力が低下してボーッとしてしまうというような経験は、きっと誰もがしていることでしょう。

そんな状態では、何かを覚えようという意欲も低下してしまいますし、新鮮味も感じにくくなりますから覚えること自体も難しくなってしまいます。

これはなぜかというと、睡眠には私たちの身体の疲れを取り除き、問題があればそれを修復させるという働きがあるからですね。

つまり、睡眠不足では身体がリフレッシュされないため、新しい経験を受け入れる準備ができないということになるわけです。

また、睡眠中には脳の中で、記憶の整理が行われているということも発見されています。

記憶の整理とは、言い換えると記憶を定着させる作業のようなもの。

ですから、起きている時の経験は睡眠を通じて脳に定着し、本当にしっかりとした記憶になるということですね。

そう考えると、試験前などに寝る間を惜しんで勉強し、徹夜で当日を迎えるというのは、かなりナンセンスな方法ということになります。

そのため最近では、受験生にも十分な睡眠時間を取ることが推奨されていますね。

「物忘れが多くなってきたな」と感じる時は、もしかすると睡眠不足が原因ということも考えられます。

なるべく良質な睡眠が取れるよう、工夫してみることも大切かもしれませんね。

喫煙の影響は

物忘れや認知症と喫煙の関係性は、愛煙家の方であれば気になるところでしょう。

特に最近では、喫茶店などでも禁煙の店が増えてきてタバコが吸いづらくなってきていますから、愛煙家にとっては何か喫煙のメリットを見つけたいという気持ちがあると思います。

ですが、残念ながら喫煙は物忘れや認知症にも悪影響を及ぼしてしまうようです。

というのも、喫煙は全身の血管を収縮させてしまいます。

つまり血行も悪くなりますから、脳に新鮮な血液が十分に行き渡りにくくなるということですね。

これでは脳も機能しにくいですから、結果的に物忘れにつながってしまいます。

また、喫煙を長期間続ければ続けるほど、脳の血管に障害が起きる可能性も高くなりますね。

すると「脳血管性の認知症」を発症するリスクも高くなりますし、「アルツハイマー型の認知症」にも喫煙は悪影響をおよぼすというデータが出ているようです。

こうして見てみると、喫煙は正常な物忘れにも認知症にも良くないということは確かといえるでしょう。

さらに、これらの悪影響は「受動喫煙」でも起こってしまうと言われています。

自分自身がタバコを吸うかどうかというのは自己責任ですが、周囲の人にも物忘れや認知症のリスクを負わせてしまうとすれば、もはや自分だけの問題ではなくなって来ます。

愛煙家にとっては耳が痛い話かもしれませんが、自分と、自分の大切な人が健やかに生きていくためには、喫煙は避けたほうが賢明と言えそうですね。

飲酒の影響は

「酒は百薬の長」という言葉もありますが、物忘れや認知症と飲酒の影響はどうなっているのでしょうか?結論から言うと、お酒は飲む量によって薬にも毒にもなりうるようです。

まず、お酒には血行を良くする作用がありますから、程々の量であれば脳をはじめ、全身に新鮮な血液を運び、良い影響を与えてくれます。

しかし、度を越した飲酒になると肝臓をはじめとした内蔵に負担をかけるだけでなく、「脳を萎縮させる」ということもハッキリとわかってきているのです。

この萎縮は一時的なものですので、過度の飲酒をやめれば元には戻るのですが、深酒というのも習慣になりやすいものですから、それを続けていれば結果的に脳が萎縮した状態が長くなってしまいます。

そんな状態が脳に良くないことは一目瞭然でしょう。

もちろん、物忘れなどもしやすくなることは容易に想像できると思います。

さらに、高齢の認知症患者の発症原因を調べていくと、29%は大量の飲酒が原因だというデータも出ているようですし、大量の飲酒経験がある人は、そうでない人に比べて認知症の発症率が4.6倍も高くなると言われています。

ですから、毎日大量の飲酒をする習慣がある人は、物忘れや認知症の予防のためにも控えたほうがいいということですね。

逆に、350mLのビールを週に1~6本程度、つまり1日1本以下の量であれば、認知症の発症率が低くなるというデータも出ているようです。

何事も『ほどほど』というのが大切だと言えそうですね。

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