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たばこ誤飲を詳細に:原因,症状,検査,治療,予防など

公開日: : 最終更新日:2017/05/12 たばこ, 誤飲

たばこ誤飲とは(概要)

誤飲というのは、本来は食べたり飲んだりしてはいけないものを誤って飲み込んでしまう行為のことを意味しています。
さらに健康を害する恐れがあるものを口にした場合には治療の対象になります。
たばこはその中の一つであり、たばこ以外では薬品、化粧品、殺虫剤、洗剤などの誤飲の発生件数が多いです。
子どもの誤飲事故ではこれまで長くたばこが発生件数第1位でしたが、いまは喫煙者が減少傾向にあるという理由などにより、厚生労働省が2015年(平成27)に発表した2013年(平成25年)の誤飲事故は、医薬品・医薬部外品の発生件数が第1位の96件で、たばこは94件とトップの座をゆずる形になりました。
しかしながら、依然として発生件数が多いことに変わりはありません。

また、2015年に厚生労働省が発表したデータでは、94件中約50件が6ヶ月~1歳、約25件が1歳~1歳6ヶ月の子どもであり、とくに乳幼児に多発している誤飲事故であることがわかります。
たばこには多くの有害物質が含まれていることは多くの人がご存知でしょうが、誤飲をした場合にはニコチンが原因となって中毒症状が引き起こされてしまうことがあります。
厚生労働省が公表している2008年(平成20年)~2012年(平成24年)のデータでは、たばこ誤飲により命を落としたという報告はありません。
しかしながら、乳幼児の場合はたばこ2分の1本~1本のニコチンが致死量(ニコチン成分を血液内に直接注射した場合)となっており、命の危険がないわけではありません。

たばこ誤飲の原因

誤って飲み込んでしまうことにより、ニコチンの中毒症状を引き起こすリスクがあるのがたばこ誤飲です。
乳幼児のたばこ誤飲事故発生件数が多い理由ですが、とくに生後6ヶ月過ぎの子どもによく起こっているのは、この時期にある赤ちゃんの特徴が主な理由とされています。
このあたりの時期の子どもというのはたいへん好奇心旺盛で、身のまわりにあるものは何でも口に入れてしまいます。

さらに食品と食品ではないものの区別がつくようになるのは早い子どもでも1歳6ヶ月~2歳以降であるため、1歳6ヶ月までの赤ちゃんの発生件数が多くなっているのです。
また、欧米では誤飲事故全体でたばこが占めている割合が1%未満というデータがあり、日本と比較すると非常に低いのですが、このことには日本人の暮らしぶりが関係しているという見方がされています。
日本人は欧米人とは違い、生活用品を畳や床のような低い位置に置く習慣があり、ハイハイやつかまり立ちをするようになった小さい子どもの手が届きやすい場所にたばこが置かれているということが、発生件数が多い大きな理由になっているとされているのです。

そのほか、食品と食品でないものを区別できるようになった子どもや大人でも、誤ってたばこを飲み込んでしまうことがあります。
たとえば、よく灰皿がたまたまないような場面で、ジュースの缶に水を入れるなどして、そのなかにたばこを入れて火を消す人がいます。
中身がわからないままジュースがまだ残っていると勘違いした子どもや大人がたばこが入りニコチンが溶け出した水などを飲んでしまい、中毒症状を起こしてしまうこともあるのです。

たばこ誤飲の症状

たばこには毒性があり、1本の含有量が16~24mgのニコチンの場合、成人では40~60mg、小児では10~20mgが急性致死量(直接静脈注射した場合)とされています。
この量は成人の場合はたばこ2~3本分相当、小児の場合は2分の1本~1本分相当です。
ただし、急性致死量にあたる本数のたばこ誤飲があったとしても、すぐに命を落としてしまうというわけではありません。

どういうことかといいますと、ニコチンが吸収されていく過程で、この物質の刺激性は強い吐き気によって嘔吐の症状が出るため、深刻な症状が引き起こされる前に吐き出されてしまう場合が多いというのが理由の一つです。
ニコチンの吸収スピード自体が遅く、15分で3%しか吸収されないというのも、すぐに死にいたることはないという理由の一つとなっています。
しかしながら、火を確実に消しておこうという理由などにより、灰皿に水をためている場合や、ジュースの空き缶に水をためて、そのなかにたばこを入れて火を消しているような場合には注意が必要です。
たばこの吸殻の入っている水などの液体には、多量のニコチンが溶け出しており、誤って水を飲み込んでしまうとたばこ自体を誤飲した場合より吸収速度が高く、極めて重い中毒症状を引き起こしてしまう恐れがあります。
なお、温水に1時間、たばこを浸しておくだけで、70%の量のニコチンが溶け出すことがわかっています。

次に、中毒症状としてどのような症状が起こるのか、この点に関する解説をさせていただきます。
まず症状が出るまでの時間ですが、たばこ誤飲をしたあと30分~4時間以内に発症します。
たばこの吸殻を浸していた水を誤飲した場合には、15分以内にニコチンの中毒症状が引き起こされてしまいます。

また、高濃度のニコチン摂取をした場合には5分以内に命を落としてしまいます。
主な症状としては吐き気、嘔吐、下痢、めまい、頻脈、顔面蒼白、不機嫌が起こり、重篤な場合には前述した症状に続いて30分以内にけいれん、昏睡状態に陥ります。
また、ほかの重篤な症状としては発汗、唾液泌物増加、縮瞳(瞳孔の過度な縮小)、散瞳(瞳孔の過度な拡大)、脱力、筋肉麻痺、過呼吸、過呼吸からの呼吸停止、血圧上昇、心拍数増加、不整脈といったものも引き起こされることがあります。

たばこ誤飲の検査・診断

たばこ誤飲の疑いがある場合には、誤飲があったと仮定して適切な処置をほどこします。
ただし、たばこの誤飲があったのかが不明で事実確認をしなければいけないケースや、いまの状態を詳細に把握しなければいけないケースでは、腹部レントゲン検査、腹部エコー検査、鼻の穴から胃へと管を挿入して内容物を調べる検査が行なわれる場合があります。
また、家ではどういう場合に病院に行ったほうがいいのか、判断のしかたを知りたいという人もいるのではないでしょうか?この点に関してですが、たばこが浸されていた水を飲み込んでしまった場合には、少量でも非常に危険なため、すぐに救急車を手配して病院へ行き、適切な処置を受ける必要があります。
また、すでにニコチン中毒の症状が引き起こされている場合にも、病院での治療が必要です。

そのほか、乳幼児が2cm以上のたばこを誤って飲み込んでしまった場合には、その時点では平気そうに見えても時間の経過とともに中毒症状が起こりはじめます。
その場でなるべく吐かせた上で、急いで病院へ行って処置を受けましょう。
なお、ここまであげたことに該当せず、様子をうかがっていてなにも症状がないまま4~5時間が経過した場合には、病院での緊急の対処は不要です。
通常、ニコチン中毒は30分~4時間以内に症状が出るため、4~5時間無症状のままであればひとまず安心ということです。

ただし、病院に行かないよりは行ったほうが安心というものです。
様子を見ているうちに嘔吐などの症状が起こってパニックになってしまうようなことも起こり得るため、誤飲を確認したら病院へ連れていくというのを基本的な考え方にしておいたほうが良いでしょう。
なお、たばこ誤飲に関しては中毒110番があるため、誤飲事故が起こった場合の情報提供を受けるため、いつでも連絡しておけるようにしておくと安心です。

たばこ誤飲の治療

たばこ誤飲があった場合に病院へ行くと、どのような治療が行なわれるのでしょうか。
まず、誤飲後~4時間が経ったあとも吐き気やけいれんなどのニコチン中毒症状が出ない場合には、経過観察だけになるのが一般的です。
経過観察以外では、胃洗浄が病院での治療としてはあります。
誤飲後1時間以内であること、乳幼児ではないことなどの基準を満たしている場合に、治療によるメリットと胃洗浄を行なうことで起こり得る肺炎などの合併症というデメリットのバランスを考慮して、行なうかどうかが判断されることになります。

このほか、活性炭の経口投与も行なわれており、いまは胃洗浄よりこの治療方法がまず選択されるという流れになっています。
なお、現状において有効な解毒薬は存在していません。
重症の患者には命を落とさないための対症療法が行なわれています。

たばこ誤飲の予防

喫煙者にとっては難しい問題ですが、たばこ誤飲を防ぐために一番いいのは禁煙をしてしまうことです。
たばこをやめて身のまわりにたばこがない環境にすることによって、少なくとも家庭内でたばこ誤飲が起こることは完全に防げます。
また、完全にたばこはやめないまでも、家のなかで吸わないようにする、家のなかにたばこを置かないというのも、誤飲対策としては有効です。

そのほか、誤飲が起こる確率は上がってしまいますが、子どもの手が届かない場所にたばこを置いておくこと、たばこを吸ったあとの灰皿も、喫煙後にはすぐに洗ってしまうことも効果的です。
空き缶に水を入れたり、余ったジュースが入っている缶やペットボトルなどを灰皿がわりにしないこと、灰皿に水を入れてたばこの火を消し、そのまま放置しておくこともやめましょう。
大人のたばこ誤飲を防ぐためには、中身のわからない缶ジュースは飲まないというのも大事です。
自分は大丈夫と思っていても、空き缶に水を入れて灰皿がわりにしていたとして、普段は間違えて飲んでしまうようなことがなくても、お酒に酔っているような場合には誤って飲んでしまうようなことが起こりかねません。

処置の注意点

病院に行く前の処置を間違ってしまうと、かえって深刻な問題を引き起こすことになりかねません。
たばこ誤飲の処置としては気付いた時点ですぐに吐き出させるのが基本ですが、吸殻が浸してあった水などの液体を飲んだ場合以外には、水、お茶、牛乳などを飲ませた上で吐かせてはいけません。
たばこの葉や吸殻を誤って飲み込んだ場合に水などを飲ませると、消化器官中でのニコチン吸収速度が上昇してしまいます。
また、強引に吐かせようとすると、たばこの葉が間違って肺に入り込んでしまい、肺炎を起こしてしまう恐れがあります。

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